「テレビCMや新聞広告といった手法を宣伝の主軸にしているが、あまり効果を感じない」とお悩みの方は、アウトバウンドマーケティングの効果を最大化できていないかもしれません。
本記事では、アウトバウンドマーケティングのメリットやデメリット、具体的な手順を解説します。インバウンドマーケティングとの違いや効果を最大化するコツもまとめているので、アウトバウンドマーケティングを活用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
アウトバウンドマーケティングとはPUSH型の顧客アプローチ
アウトバウンドマーケティングとは、企業が顧客に対して積極的にアプローチし、自社の商品・サービスをプロモーションするマーケティング手法です。テレビCMやダイレクトメールなど、企業から顧客に情報を届けるため「PUSH型(プッシュ型)」と呼ばれています。
企業からの積極的なアクションにより、顧客は商品・サービスを知らなくても受動的に情報をキャッチできるのが特徴です。しかし、近年ではアウトバウンドマーケティングの役割・重要性が低下しているといわれています。
インバウンドマーケティングとの違いは顧客行動
アウトバウンドマーケティングと対極にあるのがインバウンドマーケティングです。顧客が能動的に企業や商品・サービスを探し、関わりを持つよう導くマーケティング手法になっています。企業は顧客に価値ある情報やコンテンツを提供して、顧客が自発的に情報収集できるよう導きます。
Webサイトや動画、SNS、メルマガなどインターネットを介して顧客が自発的に情報を取りに行くマーケティング手法のため「PULL型(プル型)」と呼ばれています。顧客が積極的に情報を探している状態でアプローチできるため、情報の質が良ければ、長期的な関係構築も期待できるでしょう。
アウトバウンドマーケティングの重要性が低下している理由
近年インターネットの普及により、広告手法はテレビ・新聞・雑誌など従来のマス広告からインターネットを活用したオンライン広告にシフトしています。そのため、アウトバウンドマーケティングの役割や重要性が低下していると考える方もいるようです。
理由の1つには、顧客行動の変化やメディアの多様化が考えられます。顧客が必要としている情報はインターネットをとおして簡単に収集できるため、マス広告に頼る必要性が低下しました。また、ブログやSNS、YouTubeなどメディアの発達・普及により、企業が自らコンテンツ作成や配信を行い、低コストでの宣伝が容易となっています。
アウトバウンドマーケティングを行うメリット
アウトバウンドマーケティングを行う主なメリットは、以下の3つです。
- 直接的に訴求できるため効果が早い
- アピールできる範囲が広い
- 映像や動画でインパクトを与えやすい
インバウンドマーケティングではリーチできないポイントをそれぞれ解説します。
メリット1|直接的に訴求できるため効果が早い
アウトバウンドマーケティングは顧客へ直接アプローチして商品・サービスのメリットを訴求できるため、実施効果の即効性が期待できます。
例えば、直接顧客とコミュニケーションを図る電話営業や情報提供は、顧客が求める情報を直接提供でき、その場でアポイントメントの獲得や商談につながりやすくなります。
メリット2|アピールできる範囲が広い
アウトバウンドマーケティングは、テレビや新聞などマス広告の活用により、広範囲にアピールできます。特に、展示会やイベント出展の場では、同じようなニーズや悩みを抱えた顧客へ一斉にアピールできるため、効果を最大化しやすい点が特徴です。
さらに、想定ターゲット以外からも反応を得られるなど、潜在層へもリーチでき、ビジネスチャンスの拡大も期待できます。
メリット3|映像でインパクトを与えやすい
テレビやSNSなど映像(動画)を活用した広告は、顧客の視覚や聴覚に直接訴えかけ、強い印象を与えます。映像は文章や静止画より複雑な商品・サービスの特徴を簡潔に伝えられ、反復して流すことで顧客の記憶に残りやすくします。
こうした映像による広告は、商品・サービスの具体的な利用イメージをわかりやすく表現できる点がメリットです。また、顧客の認知度を高めて興味・関心を短時間で引き出すなどの効果も期待できます。
アウトバウンドマーケティングで考えられるデメリット
アウトバウンドマーケティングには、ターゲットが広範囲になることから生じるデメリットもあります。主なデメリットは下記の3点です。
- 広告・イベントなどコストがかかる
- 短時間で商品・サービスの良さを伝えにくい
- 拒否感を抱かれる可能性がある
それぞれを解説します。
デメリット1|広告・イベントなどコストがかかる
テレビCMや新聞などのマス広告は、制作費や掲載費が高くなる傾向です。効果の持続やさらなる認知度向上を期待して継続的に広告を出稿すると、さらにコストがかさむ可能性があります。
また、展示会やセミナーといったイベント開催には、会場費や設営費、人件費などのコストが必要です。ダイレクトメールやテレマーケティングにも、通信費や電話担当の人件費がかかります。
これらの施策はターゲット以外の顧客にもリーチできる反面、費用対効果が下がる恐れがあります。
デメリット2|短時間で商品・サービスの良さを伝えにくい
テレビCMやSNSによる短時間の映像広告では、認知度の向上は期待できても魅力を十分に伝えることまでは難しい場合があります。また、顧客が抱いた疑問や質問には即座に対応できず、商品・サービスの価値を理解してもらえない恐れもあります。
マス広告でのメッセージだけでは、リーチしたい顧客層と訴求ポイントにズレが生じることもあるでしょう。そのような場合にはSNSやメルマガなどを併用し、顧客が能動的に情報を補完できる仕組みを構築するとよいでしょう。
デメリット3|拒否感を抱かれる可能性がある
顧客が商品・サービスの検討前やそもそも興味がない場合、広告の頻度が高すぎると一方的なアプローチに拒否感を抱かれたり、迷惑と感じられたりする恐れがあります。過度な広告やしつこい電話営業などは、企業のイメージ低下を招く可能性もあるでしょう。
特に、顧客との関係構築をより重要とするフェーズでは、新商品の発表時に絞って発信するなどの工夫が必要です。
アウトバウンドマーケティングの具体的な手順5つ
アウトバウンドマーケティングを効果的にするには、戦略的かつ顧客志向での取り組みが必要です。効果的な手順は下記の通りです。
- リーチすべき顧客の明確化
- 明確な目的とKPIの設定
- 顧客へのメッセージ戦略の策定
- 適切なチャネルの選定
- 定期モニタリングと改善
手順ごとに詳しく解説します。
手順1|リーチすべき顧客の明確化
まずは効果的にリーチするために、アプローチするターゲットを具体的に定義付けます。なお、ターゲットを具体化するには、以下のような細かい属性の洗い出しが必要です。
- 業種
- 企業規模
- 従業員数
- 部門
- 予算
- 収益
- 課題
- 購買特性 など
ターゲットを明確に定義すると、適切なメッセージやチャネルを選びやすくなり、リーチできる確度も上がります。また、社内リソースを効率的に活用でき、費用対効果の向上も期待できるでしょう。
手順2|明確な目的とKPIの設定
リーチすべき顧客を明確化したら、達成したい目的を具体的に設定します。例えば、「顧客への認知度アップ」「獲得リード数の増加」などを設定すると施策の方向性が決まりやすくなります。
次に、目的に合わせて進捗や成果を測る具体的な指標としてのKPIを設定しましょう。目的に合わせたKPIの設定は、効果を把握しやすくします。イベント出展ならブースへの来場者数、インターネット広告ならクリック数など、できるだけ具体的で測定可能なものがよいでしょう。
KPIの設定により、目的達成に向けた進捗の継続的な確認と、施策の効果の評価が可能となります。
手順3|顧客へのメッセージ戦略の策定
設定した目的にあわせたメッセージ戦略を策定します。目的に沿ったメッセージは顧客ニーズと合致しやすく、受け入れられやすいメリットがあります。効果的なメッセージを作成するポイントは、下記の通りです。
- 顧客のニーズと課題を明確にする(高コスト体質、業務の属人化など)
- 顧客のメリットを明確に伝える(コスト削減、効率化など)
- 顧客に期待する明確なアクションを入れる(問い合わせ、セミナー参加など)
顧客のニーズや関心に合わせて内容を調整しカスタマイズすると、顧客の関心や興味を引き出しアクションを促しやすくなります。
手順4|適切なチャネルの選定
メッセージ戦略をより効果的にするには、顧客に最もリーチできるチャネル(手段)を選ぶ必要があります。顧客の行動パターンや好み、購買意思決定のプロセスなどに適したチャネルを選定すると、メッセージが届きやすくアクションの確度も高まります。
そのため、ターゲットの職種、役職、業界、購買傾向などに応じた最適なチャネル選択が必要です。例えば、一般消費者向けにはSNSやYouTube広告などが適していますが、BtoB向けには展示会やセミナー、ワークショップなどが適しています。
手順5|定期モニタリングと改善
マーケティング効果を最大化するには、設定したKPIに対して定期的なモニタリングと達成度の評価が必要です。具体的には下記の改善につながります。
- 効果的なメッセージを選別し、顧客に響くアプローチを明確にする
- 高い成果が上がるチャネルを明確にし、リソースを効果的に配分する
定期的なモニタリングと改善は、顧客のニーズや市場の変化をタイムリーに把握でき、変化に応じた施策が実行しやすくなります。また、戦略の改善により人員や予算などのリソースを適切に配分でき、費用対効果の改善も期待できるでしょう。
アウトバウンドマーケティングの効果的な活用シーン3つ
アウトバウンドマーケティングは、効果的に活用できれば成果も出しやすくなります。ここでは、効果的な活用シーンを3つ紹介します。
- 短期間で認知度や成果を上げたい
- 特定顧客へ直接アプローチしたい
- 競合と差別化したい
それぞれを解説します。
シーン1|短期間で認知度や成果を上げたい
アウトバウンドマーケティングは、認知度向上など短期間で成果を上げたい場合に効果的です。ターゲットに対する積極的なアプローチと拡散力により、特定のアクションを引き出すことに適しているためです。
そのため、短期的な成果が求められるキャンペーンや、顧客のタイムリーなアクションを期待するプロモーションなどに向いています。また、新規ビジネスの立ち上げや新規市場への参入時など、早急に認知度を上げる必要がある場合にも有効です。
シーン2|顧客へ直接アプローチしたい
アウトバウンドマーケティングは、顧客に対して商品・サービスのメッセージを直接伝達できます。特に専門性の高い商品・サービスでは、丁寧な説明と質問対応が顧客の信頼を獲得し、意思決定を後押しできます。
また、直接アプローチすることにより、顧客のニーズや課題に合わせてカスタマイズした提案が可能です。顧客は「自分向けの情報」と感じやすくなり、商品・サービスへ興味を抱き、企業への信頼感が高まります。
シーン3|競合他社と差別化したい
競合が多く、差別化が難しい商品・サービスを扱う企業は、インバウンドマーケティングだけでは顧客へのリーチが難しくなります。そうした場面では、他社と差別化するためにアウトバウンドマーケティングの活用が有効です。
映像やキャッチフレーズによるメッセージは自社らしさをアピールし、差別化したブランドイメージを与えられます。また、過去の実績や実際に利用中の顧客の声、他社にないサポート力のアピールも他社との差別化に効果的です。
アウトバウンドマーケティングを最大化するコツ
マーケティング戦略において、アウトバウンドマーケティングの効果を最大化するコツを2つ紹介します。
- インバウンドマーケティングと併用する
- デジタルを活用してデメリットをカバーする
それぞれを解説します。
コツ1|インバウンドマーケティングと併用する
アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの両方を使い分けることで、マーケティング戦略を最適化できます。下表は「目的」「認知度」「購買意欲」の3つの視点で分類した使い分けのポイントです。
アウトバウンド | インバウンド | |
目的 | 認知拡大やリード獲得など即時効果を狙いたい | 長期的な顧客育成と関係構築を目指したい |
認知度 | 新規事業や新市場への進出など広範囲にアピールしたい | 認知度がある程度高まり定まったターゲット層にアピールしたい |
購買意欲 | 購買ニーズが明確でない顧客にアプローチしたい | 積極的に情報を探している顧客にアプローチしたい |
それぞれのマーケティング手法のメリットが異なるため、目的やフェーズに合わせた使い分けが重要です。
コツ2|デジタルを活用してデメリットをカバーする
テレビCMや電話など、従来の宣伝手法では顧客行動の追跡が難しく、効果の定量的な把握が困難でした。また、メッセージに効果が出るよう顧客ごとにカスタマイズするには、工数とコストがかかります。こうしたデメリットをデジタルの活用でカバーできます。
効果の追跡には、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)などのデジタルツールが有効です。SNSなどのオンライン広告では、顧客との接触履歴や反応がデータとして自動的に蓄積され分析できます。このように効果測定が容易となるため、具体的な改善を加えることで費用対効果の向上も期待できるでしょう。
まとめ
アウトバウンドマーケティングは、企業のマーケティング戦略を最適化し効果を最大化するための手法の1つです。アウトバウンドマーケティングのメリットを活かしながら、インバウンドマーケティングやデジタルツールを組み合わせることで効果を最大化できるでしょう。
ウェビットでは主に中小企業がWebマーケティング、Web集客を行ううえでのお悩みを解決するような情報を発信しております。気になられた方はぜひ、ほかの記事もご一読ください。