「コンテンツマーケティングの目標がなかなか達成できない」
「数値化できない場合、どのように設定すればいい?」
このように悩んでいる中小企業のWeb担当者もいるでしょう。
KPIの設定はKGIを達成するために不可欠です。KGIや自社に合った設定ではない場合、達成までの道のりが難しいものになります。そのため今回は、効率良く、着実にKGI達成に向けて行動できるよう、KPIの設定方法や成功のポイント、数値化が難しい目標への対応方法を解説します。
効果的なKPIを設定できる知識を身につけ、KGI達成に向けてぜひ実践してください。
コンテンツマーケティングの成果につながるKPI設定のSTEP
コンテンツマーケティングのKPI設定は以下の手順で行います。
- ゴールとマーケティングの目的を明確にする
- 必要な指標を洗い出す
- 指標に優先順位をつける
- 優先度上位からさらに絞り込む
- 絞り込んだ指標にKPIを設定する
正しい手順を踏むことで、コンテンツマーケティングの成果につながりやすくなります。
STEP1.ゴールとマーケティングの目的を明確にする
KPIを設定する前にゴールとマーケティングの目的を明確にしておきましょう。ゴールであるKGIやマーケティングの目的を明確にすると、達成のために必要な行動がわかります。
KGI設定のポイントは、抽象的なものではなく数値化して具体的に決めることです。現在の目標が「購入ページへの流入を増加させる」と抽象的なのであれば「オウンドメディアからの受注数を500に増やす」といったように具体的な数字にしましょう。数値化すれば、見直しや振り返りがしやすくなります。
なお、目標設定は無理な目標値ではなく、達成できそうな数値に設定してください。マーケティングの目的を明確にする際は「なぜ、このマーケティングが必要になったのか」を考えます。KPIやKGIがマーケティングの目的からずれないようにするためには、課題の認知と確認が必要です。
STEP2.必要な指標を洗い出す
ゴールを達成するために必要な指標を洗い出します。例えば、「オウンドメディアからの受注数を500に増やす」をKGIに設定した場合、指標には以下が挙げられます。
- メディアサイトの訪問者数・閲覧数・滞在時間
- サービスサイトの流入数
- オウンドメディアを介したお問い合わせの数
ここでポイントになるのは、顧客の動きの把握とKSF(目標達成のために必要な指標)の設定です。どのように顧客は指標に向かって動くかを分析すれば、実践すべき行動が詳細にわかります。「カスタマージャーニーマップ」を作ると、情報が視覚化され、整理しやすくなるでしょう。カスタマージャーニーマップは、以下の項目をまとめて作成します。
- ペルソナ
- フェーズ
- 行動
- 思考
- タッチポイント
KSFを設定すれば、自ずとKPIの内容が明確になります。
STEP3.指標に優先順位をつける
洗い出した指標に優先順位をつけます。マーケティングに割ける時間は業務中と限られている上に、費用を予算内におさめなければなりません。効率的に目標を達成するには、成功の確率を高める指標を選ぶ必要があります。
定期的に集計を行い確認する必要のある優先度の高い指標は、「数値化できるか」「簡単に集計できるか」で考えましょう。定期的にしなければならない作業は、リソースや予算を考えてコストがかかりにくい指標にすると業務の効率化が図れます。
STEP4.優先度上位からさらに絞り込む
指標が多過ぎる場合は、優先度上位からさらに絞り込む作業が必要です。指標が多過ぎると情報の整理・管理が困難になったり混乱したりするため、業務効率が悪くなる恐れがあります。絞り込みをする際、以下に当てはまる指標は選ばないようにしましょう。
- コストがかかり過ぎる
- 効率化が難しい
- 集計方法がわからない
ただし、上記に該当する指標を選ぶ必要がある場合は、予算内で外注できるか、ツールで効率化できないかを検討するといいでしょう。
KPIの効果測定や集計には、人員確保や作業時間のリソースを考えなくてはなりません。社内で割けるリソースを想定し、人の手でやる内容とやらない内容を決め、外注やツールで対応できる指標を優先的に絞りこみましょう。
STEP5.絞り込んだ指標にKPIを設定する
指標の絞り込みが完了したら、最後にKPIを設定します。設定のポイントは「いつまでに」「どのように」達成するかを考えることです。KPIは中間目標のため、最終目標を達成するための具体的な期限を設ける必要があります。加えて、目標達成にはロジカルな思考に沿った行動が求められます。
KPIを具体的に決める際は「KPIツリー」を用いるとよいでしょう。KGIを頂点にKPIとKSFを枝分かれさせ、ロジックに考えていくものです。このようなロジックツリーは、思考や必要な情報を書いて視覚化できるため、情報整理に役立ちます。具体的なKPIが浮かびやすくなるため、検討する際はぜひ活用してください。
KPI管理の効率化・達成を促進する4つのポイント
KPIを達成させるためのポイントは、以下の4つです。
- ITツールで効率よく管理する
- 効果測定を行いトライアンドエラーを重ねる
- KPIの設定数は適量にする
- 必要に応じてKPIを変更する
KPIを設定して集計するだけではKGIの達成が困難です。KPIやKGIを達成するためのポイントを押さえて、実践しましょう。
ポイント1.ITツールで効率よく管理する
ITツールの活用はKPI管理の効率化やKGI達成の効果を高めるのに役立ちます。ITツールには業態に合わせて必要な機能がある特化型が存在しており、自社に適したツールを選べば自動でKPIを管理してくれます。加えて、数値のチェックや期間ごとでの比較も可能です。
ExcelシートやGoogleスプレッドシートを利用する方法もあります。数値を入力し、数式タグにある自動計算機能を使用した管理が可能です。メールを用いたコンテンツマーケティングを行うのであれば、メール配信ツールやMAツールで簡単に集計する方法もあります。
これらのツールを使用すれば、簡単にメール配信と効果測定などができるため、管理や分析にかかる時間の短縮につながります。
ポイント2.効果測定を行いトライアンドエラーを重ねる
KPI・KGIを達成するには、効果測定を行いトライアンドエラーを重ねることが不可欠です。KPIの設定は予測で行われているため、実際と異なった状況になることもあり、実践しなければ結果はわかりません。検索上位に表示されていない、読まれていないなど、効果があらわれていないコンテンツが出てくる可能性があります。
オウンドメディアやブログといったSEO記事の場合、Googleアナリティクスなどの分析ツールを使うとよいでしょう。閲覧数や読まれている端末などが詳細にデータ化されるため、改善点を見つけるのが簡単になります。どのくらいの頻度で効果測定を行うかを話し合い、定期的に見直しと改善を行って設定したKPIの達成を目指しましょう。
ポイント3.KPIの設定数は適量にする
KPIを多く設定すると以下のような不都合が生じる可能性があります。
- 管理・分析の負担が大きくなる
- 行動目標が社内でズレやすくなる
- コストが増加する
全員で同じ熱量をもって同じ目標に向かうのは難しいものです。そのため、優先順位や重視すべき目標が不透明になると、方向性がバラつきやすくなります。また、KPIの数が多くなると社内では管理しきれず、余分な外注費が発生する可能性もあります。
これらの理由により、KPIは3〜5個、多くても10個におさめるのが一般的です。限りあるリソースのなかでKGIを達成するには、設定するKPIの数は適量にしましょう。
ポイント4.必要に応じてKPIを変更する
KPIは状況に応じて変更することも必要です。メディアの現状を把握し、成長段階に合わせてKPIを適宜変更するとよいでしょう。KPIを変更する際は、ブレが生じないように、設定したKGIから逆算して検討しなければなりません。
KPIを変更する場合、変更する理由も含めてメンバー間で共有します。変更理由がわからないまま新しく設定したKPIを達成に導くことは非効率です。メンバーに変更理由を共有することで、新たなKPI、そしてKGIの達成に向けた行動ができるようになります。
コンテンツマーケティングにおける顧客フェーズごとのKPI指標
コンテンツマーケティングにおける顧客フェーズごとのKPI指標を解説します。具体的な指標の例も紹介するので参考にしてください。
新規顧客の獲得につながる指標
新規顧客の獲得につながる指標の例に以下が挙げられます。
- 投稿数
- PV(ページビュー)数
- UU(ユーザーユニーク)数
投稿数は、自社コンテンツの投稿記事数やSNSの投稿数を指します。新規顧客を獲得するためには、定期的に新しいコンテンツを配信し、企業や商品に興味をもってもらったり、認知してもらったりすることが不可欠です。存在を忘れられてしまう可能性もあるため、覚えていてもらうためにも、定期的な更新は欠かせません。
PV数は、ユーザーがどのくらいページをみたのかがわかる数値です。PV数が多いほどコンテンツが閲覧されているとわかるため、認知の拡大がどの程度できているかの指標になります。
UU数は、何度同じ人が訪問しても1回にカウントされるため、新規ユーザーがどのくらい訪問したかが計測できます。
見込み顧客の獲得につながる指標
見込み顧客の獲得につながる指標の例に以下が挙げられます。
- メルマガ開封率
- メルマガクリック率
- SNSのシェア数・シェア率
- イベントの参加数
メルマガ開封率は、配信したメルマガの総数に対して、開封された割合を指す指標です。配信したメルマガの開封率が高いと、商品やサービスに興味を持っていると判断できます。
メルマガクリック率は、配信したメールの内にあるリンクがどのくらいクリックされたかを表す指標です。URLがクリックされると、商品やサービスに強い興味・関心を持っていると判断できます。
SNSのシェア数・シェア率は、どれだけ拡散されたかを示すものです。数が多くなるほどたくさんの企業や人の目に触れやすいため、認知の拡大につながります。
イベントの参加数は、実際に行動する見込みのある企業の数や興味を示している企業の数を表す指標です。どのような企業から興味を示されているか、見込み顧客の反応をダイレクトに知ることができます。
既存顧客の継続につながる指標
既存顧客の継続につながる指標の例に以下が挙げられます。
- 利用頻度
- ユーザー維持率
- 収益増加率
利用頻度は、どのくらいの頻度で利用しているかを表す指標です。利用頻度が低下すると解約につながる場合があるため、早急に改善しなければなりません。
ユーザー維持率は、継続的に利用してもらえている割合を表します。維持率が高いほど、顧客満足度も高く、商品やサービスを気に入ってもらえていると判断できます。
収益増加率は、一定期間でどのくらい収益が増えたかを表す指標です。収益の増え具合や、増加傾向なのか減少傾向なのかでマーケティングの成功・失敗を判断できます。
数値化が難しい指標への対応策
KPIは数値化して具体的に決めることが大切です。しかし、数値化できない指標もあります。数値化が難しい場合、以下のように別の視点で対応する方法があります。
- 成果の影響を数値化する
- アンケートの結果を数値化する
それぞれの対応策を解説します。
対応策1.成果の影響を数値化する
具体的な数値にすることが難しいテーマである場合、成果の影響を数値化する方法があります。自社商品の評価向上を目標とすると、「レビュー機能」を利用することで評価を測定できます。
通販サイトや公式サイトの星の数で商品の評価がわかるため、KPIを「商品の評価を2から4にアップする」のような数値化が可能です。また、リピート率も評価を判断できる指標です。「0.6%から5%に上げる」のように、リピート率も数値化してKPIとして設定できます。
対応策2.アンケートの結果を数値化する
顧客満足度や認知度といった数値化が難しいテーマの場合、アンケート結果で数値化できます。例えば、顧客満足度を向上させることが目標の場合、アンケート結果において「満足の回答を90%以上にする」をKPI設定にすれば数値化が可能です。
認知度も同様に、アンケート結果において「知っている・よく知っているの回答を80%以上にする」にすれば数値化できます。アンケートは感想を知るためのツールとして利用できるほか、数値的なデータの把握にも役立ちます。自社に対する顧客企業や見込み顧客企業の意見や思いも把握でき、コストもそれほどかからないため、試す価値はあるでしょう。
まとめ
コンテンツマーケティングのKPIを成果につなげるためには、以下の行動が必要です。
- ゴールとマーケティングの目的を明確にする
- 必要な指標を洗い出す
- 指標に優先順位をつける
- 優先度上位からさらに絞り込む
- 絞り込んだ指標にKPIを設定する
KPIは数値化した具体的な内容にするべきですが、できない目標もあります。そのような場合は、数値化できる手段を用いることで解決する対応方法もあります。
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