SNSブランディングの目的は、自社の認知度を高めて競合との差別化を図ることです。BtoCだけではなくBtoBにも活用できるため、近年ではSNSブランディングに力を入れる企業も増えてきました。
本記事では、SNSブランディングの基本知識や成功事例、事例から学べる成功のコツなど役立つ情報をまとめています。Webマーケティングをこれから行う方やブランディングがうまくいかず悩んでいる方は、ぜひご参考ください。
SNSブランディングとは
SNSブランディングは、SNSを活用したWebマーケティングの1つです。SNSで情報発信を行い、自社の認知度やブランド価値を高めて競合との差別化を図るのが主な目的です。
近年では、デジタルの発展とSNSの普及によりユーザーが情報を能動的に収集するようになり、SNSは企業にとって無視できない重要なコミュニケーションチャネルとなっています。「SNSブランディングといえばBtoC」のイメージを持たれやすいものですが、実はBtoBにも有効な戦略です。
SNSブランディングを行うメリット
SNSブランディングを行うメリットは、次の4つが挙げられます。
- あらゆる世代のユーザーとコミュニケーションが取れる
- ユーザーによる口コミ効果が期待できる
- リアルタイムなフィードバックが得られる
- 低コストで運用できる
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
あらゆる世代のユーザーとコミュニケーションが取れる
SNSには、多くのユーザーが世界中から集まっています。そのため企業は、あらゆる世代のユーザーとコミュニケーションが取れます。ターゲットとなる層だけではなく新規層へのアプローチも図れる点は、企業にとって大きなメリットです。
いいねやコメント機能を使った相互コミュニケーションは、既存顧客の満足度向上やリード獲得などにつながっていきます。
ユーザーによる口コミ効果が期待できる
SNSに情報を発信すると、情報に共感したユーザーや企業のファンによる「口コミの投稿」「リンクの拡散」といったUGC（共感者による口コミなど積極的なコンテンツづくり）が得られる場合があります。
UGCが拡散されると拡散先で新たなUGCが創出され、口コミをはじめとする共感の輪が広がりやすくなります。共感の輪が広がっていけば、次第に自社の認知度は高まり、ブランド価値の向上につながるでしょう。
リアルタイムなフィードバックが得られる
SNSはリアルタイムに更新されるため情報の拡散速度が速く、投稿直後からコメントなどユーザーの反応がみられます。ユーザーのコメントはマーケティングに役立つものが多いため、積極的に目を通すようにしましょう。
情報の拡散速度が速いとリアルタイムなフィードバックが得られます。その結果、PDCAサイクルの回転も速くなり、戦略の改善を迅速に行えます。ユーザーからの問い合わせに即時対応が可能なため、リード獲得や顧客満足度の向上につながりやすい点もメリットです。
低コストで運用できる
インターネットが発達する前の一般的なブランディング手法は、TVや新聞などの媒体です。これらの媒体の宣伝費は基本的に高額なため、当時のブランディングにはある程度の資金が必要でした。
SNSは、そういった従来の媒体に比べるとブランディングコストがかかりません。多くのSNSは、基本的な機能なら無料で利用できるためです。主にかかる費用には、宣伝広告費や人件費、有料機能の追加費用などが挙げられます。低コストでブランディングが行えるのは、企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
ブランディングによく使われるSNSの種類と特徴
ブランディングによく使われる代表的なSNSを紹介します。紹介するのは、以下の4つです。
- X（旧：Twitter）
- YouTube
ここで紹介する年齢層や利用率などの情報は「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」をもとにしています。
X（旧：Twitter）｜拡散性の高さが魅力
無料で140文字の短文投稿が可能なSNSで、更新速度の速さやリポスト機能を使った情報の拡散性の高さが特徴です。いいねやコメント機能で、ユーザーとの気楽なコミュニケーションが図れる上に「スペース」機能を使えばリアルタイムな会話も行えます。
Xのメリットは、ユーザーに近い距離でブランディングが行える点です。回答者全体の約49%がXを利用しており、幅広い世代へアプローチできます。
Instagram｜ビジュアル重視のSNS
Instagramは、流行語にもなった「インスタ映え」からもわかるように、画像や動画の投稿が中心です。Instagramにはショッピング機能があり、タグ付けした投稿から購入サイトに移動が可能です。
Instagramのユーザーは女性の比率が高く、20代の78.8%、30代の68%が利用しています。全回答者におけるInstagramの利用率は、56.1%にも達しています。ビジュアルやデザインでアピールをしたい企業や女性ユーザーをターゲットにしている企業には、Instagramの活用が向いているでしょう。
Facebook｜実名登録による信頼性の高さが特徴
Facebookは実名登録制のため、信頼性が高い点が特徴です。ビジネス利用のユーザーも多く、ユーザーの年齢層は30〜50代が中心です。
Facebookは、LPへ移動せずにアクション可能な「リード獲得広告」に対応しているため、リード獲得につながりやすくなっています。ビジネスパーソンの多い世代をターゲットにするなら、Facebookの活用を検討しましょう。
YouTube｜動画を使った情報発信が可能
YouTubeは、動画配信を主とするSNSです。視覚と聴覚の両面からアプローチを行うため、テキストのみの媒体より効果が出やすくなっています。
YouTubeの利用率は調査回答者全体の87.8%と多く、ジャンルを問わず幅広いユーザーに向けた情報発信が可能です。共有機能を使えばほかのSNSにも簡単に送信できるため、SNSの複合的な活用に向いています。動画編集が可能なら、YouTubeを使ったブランディングは効果的です。
SNSブランディングの要注意ポイント
SNSブランディングにはデメリットも存在します。ここでは、SNSブランディングを行う際に注意するべきポイントを紹介します。主な注意点は次の3つです。
- 不適切な投稿や誤解による炎上の恐れがある
- 成果を得るまでに時間がかかる
- 既存の手法に固執する
SNSを活用する際には、これらのポイントに注意をしましょう。
不適切な投稿や誤解による炎上の恐れがある
SNSには、常に「炎上」のリスクがつきまといます。炎上とは、不適切な投稿や誤解をまねく発言に対する批判がネット上に殺到する現象のことです。SNSは情報の拡散スピードが速いため、悪いうわさや言動が拡散されるのも速くなります。
炎上の原因は、不適切な表現、個人アカウントと間違えて発信、誤解を招く言い回しなどいくつかあります。対策として、ネットリテラシー研修を行う、炎上対策リストを作成してリストに沿った発言をするなどの方法を取るようにしましょう。
成果を得るまでに時間がかかる
SNSを使ったマーケティングは、大きな成果を得るまでにある程度時間が必要です。発言内容の精査も必要なため、担当者には長期的な負担もかかります。継続的に情報を発信し、地道に自社の存在を知ってもらいながらユーザーから信頼を得ることが大切です。
ユーザーにとって有用な情報を発信し続け、一人ひとりとのつながりを大事に育てていきましょう。少しでも早く成果を得たいのであれば、SNSの複数運用、SEOコンテンツ作成などを並行するのも1つの手です。
既存の手法に固執する
Webマーケティングがうまくいかない原因の1つに、これまでのやり方に固執してしまう点が挙げられます。これまで培ってきた経験や成功体験を経営に活かすのはもちろん大切です。
しかし、昔ながらの方法ばかりにこだわり続けると、新しい視点を持つことが難しくなります。企業が安定を求めて守りに入ると、成長は期待できません。技術は日々新しいものが誕生し、競合は成長のために新しい施策をどんどん取り入れていきます。
競合に遅れを取らないためにも、デジタルに対する理解を深め、SNSを新しいブランディング戦略として積極的に活用しましょう。
3社から学ぶSNSブランディングの成功事例
事例には成功に役立つ情報がたくさんあります。ここでは、次の3社の成功事例を紹介します。
- トンボ鉛筆
- タカラベルモント
- オムロン
各企業とも、SNSの特徴を活かして自社の強みをうまく発信しています。ブランディングの際には、ぜひ成功企業の事例を参考にしてください。
トンボ鉛筆
株式会社トンボ鉛筆（以下、トンボ鉛筆）は、創業から110年以上を誇る老舗の文房具メーカーです。トンボ鉛筆のSNSブランディングは、Instagram・X・Facebookなどを中心に行われています。
各SNSには「MONO」「PIT」といった定番ブランドの紹介や最新文具の発表、文房具のさまざまな使い方などユーザーに役立つ情報が多く、ユーザーからも好評です。Instagramのトンボ鉛筆公式は、自社商品で描いた優しいタッチのイラストが添えられ、画面全体を華やかに彩っています。
これらの投稿はユーザーに文房具を使用する楽しさを伝えるとともに、トンボブランドの認知度と信頼度の向上に成功している事例といえるでしょう。
タカラベルモント
タカラベルモント株式会社（以下、タカラベルモント）は、創業100年以上の歴史を持つBtoB企業です。「美しい人生を、かなえよう。」をパーパスに制定し、理美容・医療そのほか多くの分野で社会貢献を果たしています。
タカラベルモントが行うブランディングは、InstagramやFacebookが中心です。Instagramでは、理美容部門で行っている空間設計の様子やサロン経営に役立つ情報、イベントの様子など動画や画像を豊富に用いてユーザーの高い支持を得ています。
サロン経営者や経営予定者にとって参考になる情報であるとともに、一般ユーザーにも企業の活動を具体的に知ってもらう良い機会となっています。
オムロン
BtoB企業の成功事例の3つ目は、オムロン株式会社（以下、オムロン）です。オムロンは1933年に創業したBtoB企業です。オムロンは、企業理念や事業内容、社会問題への取り組みなど文字だけでは伝わりにくい部分をSNSで発信しています。
YouTubeでは事業別の再生リストを作成して事業内容を分かりやすく説明し、環境問題や交通戦争など多くの取り組み事例を紹介しています。Xでは、事業紹介のほかに自社商品のペーパークラフトなどユニークな画像の投稿も行っています。
SNSを使えば多くの利用者に向けた情報発信ができるため、BtoC企業だけではなくBtoB企業のブランド価値向上にも有効です。
事例から学ぶSNSブランディング成功のコツ
ここでは紹介した3つの成功事例をもとに、SNSブランディング成功のコツを3点取り上げて説明します。主なポイントは次の3つです。
- ペルソナを細かく設計する
- 定期的に発信する
- ハッシュタグを積極活用する
いずれも成功の秘訣といえる重要なポイントのため、押さえておきましょう。
ペルソナを細かく設計する
ペルソナとは、ターゲットになるユーザーの人物像のことです。誰に向けた情報なのか、年齢や性別、趣味、嗜好などできる限り具体的に決めましょう。ペルソナが具体的であるほどターゲットが明確になり、発信する情報もターゲットへ届きやすくなります。
今回の成功事例では「タカラベルモント」が好例です。タカラベルモントはSNSをうまく使い、サロン経営者や経営予定者、理美容業界に興味のあるユーザーなどターゲットを絞り、自社の取り組みやデザイン性の高さをアピールしています。
定期的に発信する
SNSは、多くの情報がリアルタイムで流れています。発信が少なければユーザーの意識に残りにくく、ブランディング効果の取得は難しくなるでしょう。
成功事例で紹介した「オムロン」は、識者との対談やプロジェクトの様子などをYouTubeで定期的に投稿しています。ユーザーの認知と信頼を得るには、情報発信やアンケート、キャンペーンなどあらゆる手法を用いて数多く接することが大切です。
ハッシュタグを積極活用する
ハッシュタグ（#の記号）を用いると、ユーザーはハッシュタグを使い興味のある情報に辿り着きやすくなります。ハッシュタグには、投稿内容を表すトピックやキーワードを入れるとよいでしょう。
成功事例で紹介した「トンボ鉛筆」は、ハッシュタグを積極的に活用している事例です。キーワードには社名やブランド名など一般的なものだけではなく、「文房具好きな人と繋がりたい」などユーザーが親しみやすいワードも設定されています。
まとめ
SNSをうまく活用すると、低コストで多くのユーザーに向けたブランディングができます。炎上対策を行った上で時間をかけて継続的に発信すれば、少しずつ効果が得られるでしょう。今回の記事で紹介をした成功企業の事例や成功のためのコツを踏まえ、自社のブランド価値向上に役立ててください。
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