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LTVとは?マーケティングでの活用方法と計算方法を解説

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「LTVってよく聞くけど、実はよく分かっていない…」

マーケティングは専門用語が多く、実はよく分からないけれど、今更聞けない。そんなお悩みもよく聞きます。

本記事では、LTVの基本的な定義から、CACやチャーンレートといった関連指標、そして具体的な計算方法までを徹底解説します。

さらに、購入単価・頻度を高める具体策、CRMを活用したLTV向上事例、事業の健全性を測るLTV/CAC比の目安まで、明日から現場で使える知識を網羅しました。

もし「LTVの計算や改善方法が分からない」と悩んでいるなら株式会社FlyEdgeにご相談ください。3,000回以上のコンサルティングで構築した、中小企業の勝ちパターンを活用したい方はぜひお問い合わせください。

目次 ー この記事で分かること ー

LTVとは?マーケティングにおける基礎と定義

LTVは、企業の利益を安定的に伸ばすために欠かせない考え方です。顧客と長期的な関係を築き、一人ひとりの顧客から得られる価値を最大化することが目的です。

LTVを理解し活用すれば、効果的なマーケティング戦略を立てられます。

LTV(顧客生涯価値)とは?

LTV(Life Time Value)は、一人の顧客が取引を始めてから終わるまでの期間に、自社へもたらす利益の総額を示す指標です。日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。顧客との関係性を重視し、長期的な視点で事業の収益性を測るために用いられます。例えば、ある顧客が生涯で商品やサービスにいくら費やすかを予測するのです。LTVを把握することで、顧客一人ひとりの価値を正しく評価できます。

マーケティングでの重要性

マーケティングにおいてLTVが重要視されるのは、事業の継続的な成長に不可欠な指標だからです。新規顧客の獲得コストは年々高まる傾向にあります。そのため、既存顧客との関係を維持し、長く取引を続けてもらう方が効率的に利益を上げられるのです。例えば、顧客ロイヤルティを高める施策は、LTV向上に直接つながります。LTVを最大化する視点は、安定した経営基盤を築くポイントのひとつです。

類似指標との違い(ARPU等)

LTVと似た指標との違いを理解することは、正確な分析に不可欠です。

ARPU(Average Revenue Per User)は、一人のユーザーから得られる月間などの平均収益を示します。LTVが「生涯」という長期的な視点であるのに対し、ARPUは「特定の期間」を切り取った指標です。

例えば、月額課金サービスのARPUが1,000円でも、平均継続期間が短ければLTVは低くなります。指標ごとの意味を理解し、目的に応じて使い分ける必要があります。

LTVと併せて知っておきたい関連用語

LTVの理解を深めるには、いくつかの関連用語を知っておくことが大切です。LTVの計算や分析に密接に関わっており、マーケティング施策を考える上での土台です。
用語を正しく理解し、LTVとの関係性を把握しましょう。

CAC

CAC(Customer Acquisition Cost)は、新規顧客を一人獲得するためにかかった費用の総額を指します。「顧客獲得コスト」とも呼ばれます。LTVとCACを比較することで、事業の収益性を判断可能です。例えば、LTVがCACを上回っていれば、その事業は利益を生んでいると評価できます。CACを正確に把握し、LTVとのバランスを見ることが、健全な事業運営の鍵です。

MQL・SQL

MQLとSQLは、見込み顧客(リード)の購買意欲の段階を示す用語です。MQL(Marketing Qualified Lead)はマーケティング活動によって創出された見込み顧客を指します。一方、SQL(Sales Qualified Lead)は営業担当がアプローチすべき、購買意欲が高い見込み顧客のことです。LTVの高い優良顧客へ効率的に育成する流れを最適化できます。

チャーンレート

チャーンレートは、一定期間内にサービスなどを解約した顧客の割合を示す指標で、「解約率」とも呼ばれます。この数値が高いほど、多くの顧客が離れていることを意味します。顧客の継続利用期間はLTVを構成する重要な要素であるため、チャーンレートはLTVに直接的な影響を与えます。
チャーンレートを低く抑えることは、同時にLTVを高めることになり得ます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスは、顧客一人当たり(1ユニット)の採算性を測る考え方です。具体的には、LTVとCACのバランスを見ることで、事業モデルの健全性を判断します。例えば「LTVがCACの3倍以上」という状態が、健全な事業の一つの目安とされます。ユニットエコノミクスを分析することで、事業が持続的に成長可能かどうかを評価できるのです。

LTVの計算方法

LTVを算出するには、いくつかの計算方法が存在します。自社のビジネスモデルや取得できるデータに合わせて、適切な計算式を選ぶことがポイントです。簡単な式から応用的な式まであり、それぞれでLTVの精度や示す意味合いが異なります。

必要データと計算前の準備

正確なLTVを計算するためには、事前のデータ準備が不可欠です。

主に「平均購入単価」「購入頻度」「継続期間」といったデータが必要です。企業の顧客管理システムや購買データから収集するのが一般的です。計算を始める前に、信頼できるデータを揃えることが、LTV分析の始まりです。

データの精度が、LTVの信頼性を左右します。

売上ベースの簡易計算式

LTVを手軽に把握したい場合、売上を基にした簡易的な計算式を活用しましょう。
計算式は「LTV = 平均購入単価 × 平均購入頻度 × 平均継続期間」です。この式を用いることで、顧客一人が生涯にわたってどれくらいの売上をもたらすかを大まかに計算できます。複雑なデータを必要としないため、LTV分析の導入段階で使いやすい計算方法です。

利益ベース+CACを含む応用式

より正確に事業の収益性を測るには、利益ベースの応用的な計算式を用います。
計算式は「LTV = 平均顧客単価 × 粗利率 × 平均継続期間 − CAC」です。この式は、売上から原価や販管費を引いた利益を基にするため、顧客一人から得られる本当の利益を明らかにします。

顧客獲得コスト(CAC)も考慮することで、より精密な投資判断が可能です。

チャーンレート式(サブスク向け)

サブスクリプション型のビジネスモデルでは、チャーンレート(解約率)を用いた計算式を使います。
計算式は「LTV = 顧客の平均単価 ÷ チャーンレート」で算出できます。顧客の継続期間を直接測定するのが難しい場合でも、解約率から平均的なサービス利用期間を逆算してLTVを求めます。SaaSなど月額課金制のサービスで特に活用される計算方法です。

計算例(BtoB/EC)

LTVの計算は、事業形態によって最適な式が異なります。例えばECサイトの場合、「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」が使いやすいでしょう。一方、BtoBのSaaS事業では「平均月額料金 ÷ チャーンレート」が一般的です。自社の顧客行動や収益構造に合った計算式を選ぶことが大切です。適切な計算式を用いることで、より実態に近いLTVを把握できます。

LTVをマーケティングに活かす読み解き方

算出したLTVは、マーケティング方法を立てる上で強力な武器です。

数値をただ眺めるのではなく、その意味を正しく読み解き、具体的なアクションにつなげましょう。LTVを分析することで、事業の課題や改善点が見えてきます。

CAC/LTV比で見る投資判断

LTVとCAC(顧客獲得コスト)の比率は、マーケティング投資の効率性を判断する指標にできます。一般的に「LTVがCACの3倍以上」ある状態が健全とされています。この比率を見ることで、広告費などの投資が適切かどうかを客観的に評価できます。

もし比率が低い場合は、集客方法の見直しや、LTVを高める施策が必要だと判断できるのです。

セグメント別LTV分析とKPI設計

LTVは全顧客で平均するだけでなく、顧客セグメント別に分析することで、より深い洞察を得られます。流入経路や初回購入商品などで顧客を分類し、それぞれのLTVを比較します。例えば、特定の広告から来た顧客のLTVが高いと分かれば、その広告への投資を増やす判断が可能です。セグメント分析に基づき、それぞれの顧客層に合わせたKPIを設計することがポイントです。

ダッシュボード活用方法

LTVや関連指標をダッシュボードで可視化して、改善に活用しましょう。

LTV、CAC、チャーンレートなどの数値をいつでも確認できる環境を整えるのです。ダッシュボードを使えば、マーケティング施策の効果がLTVにどう反映されたかをすぐに把握できます。データに基づいた迅速な意思決定を促し、組織全体のLTV意識を高める効果も期待できます。

LTVを向上する具体策

LTVを高めるには、顧客との関係性を深めるための具体的な取り組みが求められます。「購入単価」「購入頻度」「継続期間」というLTVの構成要素に働きかけることが基本です。コストを最適化する視点も同時に持つことで、利益の最大化を目指せます。

購入単価アップ(アップセル・クロスセル)

顧客一人当たりの購入単価を上げることは、LTV向上に直接つながります。アップセルとクロスセルという二つの手法が有効です。アップセルは、顧客が検討している商品より高価格帯の上位商品を提案することです。クロスセルは、関連商品を一緒に提案し、合わせ買いを促します。

提案を適切に行えば、顧客満足度を保ちながら購入単価を高めることが可能です。

購入頻度向上(リピート促進)

顧客に商品を繰り返し購入してもらうことは、LTVを高める上で重要です。

購入頻度を上げるためには、顧客との継続的な接点を持つことが求められます。例えば、メールマガジンやSNSで新商品情報やクーポンを届け、再購入を促します。顧客の購買データを分析し、適切なタイミングでアプローチすることが成功のポイントです。顧客との関係を育て、ファンになってもらうことを目指します。

解約率低減(オンボーディング/サポート)

顧客に長くサービスを使い続けてもらうには、解約率を低く抑える必要があります。
特に、利用開始直後の顧客を丁寧に支援する「オンボーディング」は必須です。商品の使い方や活用方法を分かりやすく伝え、顧客が価値を実感できるよう手助けします。また、問い合わせに迅速かつ丁寧に対応するサポート体制も欠かせません。顧客の不満を解消し、満足度を高めることが解約防止につながります。

CAC削減でコスト最適化

LTVを利益ベースで考える場合、顧客獲得コスト(CAC)を削減することも有効な手段です。少ない費用で新規顧客を獲得できれば、一人当たりの利益が増加します。例えば、広告のターゲット設定を見直したり、紹介プログラムを活用したりする方法があります。既存顧客からの紹介は、低コストで質の高い顧客を獲得できる可能性があります。事業全体の収益性を高めるために、コスト効率を常に意識することが大切です。

ロイヤルティ強化(コミュニティ施策)

顧客ロイヤルティ、すなわち企業やブランドへの愛着や信頼感を高めることは、同時にLTVを高めます。ロイヤルティの高い顧客は、継続的に商品を購入してくれるだけでなく、良い口コミで新たな顧客を呼び込んでくれます。オンラインコミュニティの運営や限定イベントの開催は、顧客との特別な関係を築く有効な手段です。顧客を「ファン」として大切に扱う姿勢が、LTVを最大化させます。

LTVとCRMとの関係

LTVの向上を目指す上で、CRM(顧客関係管理)は重要な役割を果たします。
CRMは単なるツールではなく、顧客との良好な関係を築き、維持するための考え方そのものです。LTVとCRMを連携させることで、データに基づいた効果的な施策を実行できます。

目的と役割

LTVとCRMは、顧客を中心に据えるという点で目的が共通しています。

LTVが「顧客から得られる価値」という成果指標であるのに対し、CRMはその成果を最大化するための「手法・仕組み」です。CRMツールを活用して顧客情報を一元管理し、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを行うことで、顧客満足度やロイヤルティを高めます。

この連携が、結果的にLTVの向上へとつながるのです。

LTVが高い顧客の特徴

LTVが高い顧客には、いくつかの共通した特徴が見られます。

まず、企業やブランドに対して高い信頼を寄せている「ロイヤルカスタマー」であることが多いです。繰り返し商品を購入してくれるだけでなく、より高価格帯の商品を選ぶ傾向にあります。また、知人や友人に商品を推薦してくれるなど、自発的な広告塔の役割を果たすことも少なくありません。

こうした顧客を見つけ出し、関係を深めることがポイントです。

CRM導入によるLTV向上事例

CRMを導入することで、LTV向上に成功した企業は数多くあります。

あるECサイトでは、CRMで顧客の購買履歴や誕生日データを管理していました。そして、誕生月に合わせて特別なクーポンを送る施策を実施したのです。結果として、クーポンの利用率が高まり、休眠顧客の掘り起こしにも成功しました。

一人ひとりに合わせたアプローチが再購入を促し、LTVの向上に大きく貢献した事例です。

LTVに関するよくある質問(FAQ)

LTVは多くの企業で注目されていますが、その考え方や活用方法について疑問を持つ方も少なくありません。ここでは、LTVに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。基本的な疑問を解消し、LTVへの理解をさらに深めましょう。

理想的なLTV水準は?

LTVに「この金額なら良い」という絶対的な理想水準はありません。

なぜなら、理想的なLTVは、扱う商材の価格や利益率、業界の慣習によって大きく異なるからです。例えば、高価な自動車と日常的な食料品では、LTVの額は全く違います。
ポイントは、自社の顧客獲得コスト(CAC)を上回るLTVを確保し、その数値を継続的に高めていくことです。

他社と比較するより、過去の自社データとの比較が大切です。

BtoBとBtoCで異なる点は?

LTVは、企業間取引(BtoB)と消費者向け取引(BtoC)でその特徴が大きく異なります。

一般的に、BtoBは顧客単価が高く、取引期間も長くなるため、一件あたりのLTVは高額になる傾向があります。一方、BtoCは顧客数は多いものの、一人当たりのLTVはBtoBに比べて低いことが多いです。

そのため、LTVを高めるための方法も、BtoBでは手厚いサポート、BtoCでは広範なリピート促進策など、おのずと変わってきます。

LTV/CAC比の目安は?

事業の健全性を測る上で、「LTV/CAC比」、つまりLTVを顧客獲得コスト(CAC)で割った数値が重要指標です。一般的に、この比率が「3倍以上(LTV > 3 × CAC)」であることが一つの目安とされています。比率が1を下回ると、顧客一人を獲得するのに、その顧客から得られる利益以上のコストがかかっている赤字状態を意味します。

まずはこの3倍という数字を目指し、事業モデルの収益性を評価することが推奨されます。

まとめ

本記事では、LTVの基礎知識から具体的な計算方法、そしてLTVを高めるための施策までを網羅的に解説しました。

新規顧客の獲得が難しくなる現代において、事業を安定的に成長させる鍵は、顧客一人ひとりと向き合い、その価値を最大化する「LTV思考」にあります。まずは自社のLTVを計算して現状を把握することから始めましょう。そして、LTVとCACのバランスを見ながら、顧客との関係を深める施策を実行してみてください。

この記事が、あなたのビジネスの一助となれば幸いです。

しかし計算方法や改善方法が分かってもいざ実践となるとどう行動したらいいのか迷ってしまう場合もあるかもしれません。株式会社FlyEdgeでは適切な目標管理で、貴社のリソースを最大化させるお手伝いをしております。3,000回以上のコンサルティングで構築した、中小企業の勝ちパターンを活用したい方はぜひお問い合わせください。

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この記事の執筆者・監修者

大澤 要輔のアバター 大澤 要輔 『Webhit(ウェビット)』編集長

【プロフィール】
マーケティングメディア『Webhit(ウェビット)』の編集長。運営元の株式会社FlyEde 代表取締役を務める。中小企業経営者へのコンサルティングは累計3,000回以上。Webマーケティング × 組織構築 × 人材育成の3つの領域を中心に、年商5,000万円~数億円前後の領域で売上を伸ばす仕組みを構築。

【保有資格】
上級ウェブ解析士
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