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中小企業がマーケターの採用に苦戦する理由とは?

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Webhit 編集部

今回は、中小企業がマーケターの採用に苦戦する理由とは?という
テーマについてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

大澤 要輔

はい、お願いします。

Webhit 編集部

早速ですが、多くの中小企業の中で、「マーケターが採用できないんだよね」とおっしゃる経営者は非常に多いと思います。
マーケターの採用に苦戦してしまう理由は何なのでしょうか?

大澤 要輔

そうですね。まず、自社にマーケターが1人もいない中小企業を想定した場合、マーケターの採用自体は、条件さえ合えば誰でも可能です。
しかし、多くの経営者が口にするのは「良いマーケターがなかなか集まらない」という現実です。これは明白な事実です。

大澤 要輔

マーケターという職種は、多数の実験や実践経験を通して初めて強く
なる職種です。
さまざまな案件や業種に挑戦できる環境、先輩・後輩など周囲の学びの機会があって初めてスキルが伸びます。
そのため、単独で経験の浅い人を採用しても、すぐに結果を出せる人材はほとんどいません

大澤 要輔

例えば、規模の小さい中小企業で、マーケティング体制がほとんど
なく、経営者自身もマーケティングに詳しくない場合、マーケターが
自分しかいないという状況になりがちです。

大澤 要輔

こうなると、マーケターとして得られる経験の総量が限られてしまい
ます。その結果、考え方や価値観が硬直しやすくなるのです。

大澤 要輔

マーケターにとって重要なのは、個人的な価値観ではなく、仕事としてのマーケティングに関する考え方や価値観を常に柔軟に保つことです。
そのため、柔軟性が失われる環境では成長が制限されるため、優秀なマーケターはこうした場所をあえて選ばない傾向があります。

Webhit 編集部

なるほど。成長が制限される環境には優秀なマーケターは来ないということですね。

大澤 要輔

そのとおりです。さらに、給与的な面で言うと、以前マイナビなどの調査でマーケターの平均年収は500万円を超えると報告されていました。
つまり、中央値レベルの人材でも500万円前後の給与が相場となります。

大澤 要輔

そのため、優秀なマーケターを採用したい場合は、それ以上の給与を提示する必要があります
しかし、中小企業では現実的にその水準の給与を求人要項に提示でき
ない場合が多く、結果として優秀な人材を確保しづらくなるのです。

大澤 要輔

給与の制約も、優秀なマーケターが中小企業に集まりにくい理由の1つと言えるでしょう。

Webhit 編集部

なるほど。 そうは言っても、中小企業においてもマーケティング活動は
もちろん必須だと思いますが、どんなふうにマーケターを採用するべき
でしょうか?

大澤 要輔

そうですね、中小企業でマーケターを採用する際、非常に経験豊富で高スキルの人材を最初から期待するのは現実的ではありません
むしろ採用すべきなのは、経験が浅くてもさまざまなチャレンジに食わず嫌いせず、前向きに取り組める人です。

大澤 要輔

さらに重要なのは、行動が素早く柔軟に動ける人であることです。加えて、日本語の使い方が巧みで、文章表現や助詞・接続詞といった細部にも注意を払える人であれば、情報発信やマーケティング施策を正確かつ効果的に伝えることができます。

大澤 要輔

中小企業では、こうしたポテンシャル重視の採用が現実的であり、組織の成長につながります

Webhit 編集部

組織の成長には、ポテンシャル重視でマーケターを採用することが重要なのですね。

大澤 要輔

はい。例えば、ライティング作業をするとよく分かりますが、同じコピーが連続すると違和感を覚えます。この「気持ち悪さ」を察知できる感覚は、非常に重要です。句読点の位置や数字の書き方でも、違和感を覚えるかどうかで文章の精度が変わります。

大澤 要輔

例えば「3000万」と書く場合、コンマがないことに違和感を持って
気づき、修正できることが求められます。

大澤 要輔

さらに、人とのコミュニケーションにおいても、日本語が上手な人は
相手のニュアンスを正確に読み取り、自分が相手に与える印象を客観的に判断できます。この能力があるかどうかで、言葉を自在に操れるか
どうかが決まります。

大澤 要輔

人間が情報を認識する際には、音声で聞くか視覚で見るかのどちらかが基本です。文字情報も視覚を通した言語であり、その根本は日本語の運用能力にあります。英語などの他言語は補助的な役割であり、原則として日本語を正確に使えることが前提です。

大澤 要輔

したがって、日本語の使い方が巧みでない場合、マーケティング業務を適切に遂行することは難しくなります言語を正確に扱えることは、
マーケターにとって必要不可欠なスキルです。

Webhit 編集部

確かに、広告でも何でも日本語を使いますよね。
最近では、国語力の低下といった要因も結構あると思います。
そのなかで日本語がうまい人を探すことは、なかなかこう難しいのではないかと思いましたが、いかがでしょうか?

大澤 要輔

非常に細かいスキルまで挙げると、採用するまでにどんどんレベルが上がってしまいます。日本語が上手かどうかを判断する簡単な方法は、実際に会話してみることです。

特に形式張った会話ではなく、「最近面白かったことは何ですか?」など、アイスブレイク的な軽い雑談で構いません。

大澤 要輔

何でもいいので、実際に会話をしてみると分かることがあります。
なかには、まともに会話ができない人もいるのです。
例えば、「AはBですか?」と尋ねても、イエスかノーしか返ってこなかったり、「Bです」「Bではありません」しか答えられなかったりするケースがあります。

大澤 要輔

一方で、少し複雑な状況を説明して、「Cはこうで、Bはこうで、Dはこういう感じです」と順に話したときに、「少しわかりません、考えておき
ます」と言える人は、会話のキャッチボールがスムーズにできます。

大澤 要輔

会話のテンポが悪い人は、主語や目的語が抜けていることが多く、自分の解釈や価値観だけで話してしまいがちです。
マーケティングでは、誰が何を誰に伝えるのかという構造を正確に理解し、言葉を使えることが重要です。
主語や目的語が抜けやすい人は、この構造化ができないため、マーケ
ティングには向いていません。

Webhit 編集部

採用活動では、「とにかくいいマーケターに来てもらわないと」となってしまいがちですが、チャレンジができる人や行動が素早く柔軟に動ける人というポテンシャルを重要視して採用をすると良いということが
よくわかりました。

Webhit 編集部

そのポテンシャルを持っている人が自社に魅力を感じるようにする
には、企業としてどんなふうにアピールするといいのでしょうか?

大澤 要輔

まず大事なのは、マーケティング業務にどんどんチャレンジしてよいと
いう姿勢を社内でオープンにすることです。
「こういうこともやっていくから、主体的に動いてください」と伝えることが、社員の主体性を引き出す第一歩です。

大澤 要輔

次に重要なのは、フィードバックを受けられる体制を整えることです。
マーケターが最初から社内にいない場合、上司や経営者から直接フィードバックが得られる仕組みにすることで、社員は仕事を進めやすくなりますし、経験値も積めます。
結果として、ダイレクトにスキルアップに繋がります。

大澤 要輔

また、社内の政治色が強くないことも重要です。社長が「やっていい」と言っても、部長や他の役員が反対すれば実行できないような環境では、主体的なチャレンジが難しくなります。こうした状況は、社員の
成長やマーケターの採用にとってもマイナスです。

大澤 要輔

つまり、マーケターにとって魅力的な職場条件は、自由にチャレンジ
でき、フィードバックを受けられ、社内政治が比較的少ない環境であること
です。

Webhit 編集部

よくわかりました。
では、少し近い質問ではあるのですが、その中小企業がマーケターを
採用するにあたって、やるべきことは何かあるのでしょうか?

大澤 要輔

やるべきことは、早い話が、求人の原稿を書いて早く求人サイトに出す
こと
です。なぜかというと、経営者自身がまず自分たちで改善を試みる
ことが重要であり、これ自体がマーケティングだからです。
結局のところ、自社をお客様に選んでもらえる状態を作ることがマーケティングの本質になります。

大澤 要輔

例えば「この求人では応募が来ない」と感じた場合、「じゃあ、どう変えれば応募が増えるだろう」と考えて改善してみる。
これもマーケティングの改善活動の1つです。

大澤 要輔

特に、これからマーケターを採用して本格的に活動を始めようと考えて
いる会社では、社内の人がマーケティング実務を少しでも経験していないと、現場との会話がスムーズにできません。
そのため、実際に成果が出るかどうかは別として、まず主体的に改善を試みることが重要です。

大澤 要輔

そうすることで、マーケターの立場や考え方が理解できるようになり
ます
。「改善は簡単ではない」「どの部分を変えればどのような結果になるかはすぐには分からない」といった現実も体感でき、マーケターとの
コミュニケーションもスムーズになるでしょう。

大澤 要輔

そういうことを理解した上で、マーケターを入れると、長く定着して
くれるでしょうし、パフォーマンスを最大化してくれるのではないかと思います。

Webhit 編集部

ありがとうございます。では、最後に、この記事を読んでくださっている読者の方に一言お願いいたします。

大澤 要輔

はい。中小企業がマーケターを採用するのは非常に苦戦するケースが
多いと思います。
やはり、環境が整っていたり、多様な経験が積める中堅・大手企業と
比べると、どうしても魅力が伝わりにくいのが現実
です。

大澤 要輔

しかし、それでも「この人と一緒に働きたい」「この環境でチャレンジ
したい」と思ってもらえる状況を、まず会社として準備することが最低限必要です。

大澤 要輔

ここで重要なのは、いきなり「優秀なマーケターを採用しよう」と期待しすぎないことです。
採用時には、単純にスキルの高さだけでなく、一緒に取り組んでくれ
そうか、主体的に行動してくれるか、チャレンジを恐れないかといった要素を重視する方が効果的
です。
こうした視点で選んだ人材にまず経験を積んでもらい、数字にコミットさせることが、採用の成功に繋がります。

大澤 要輔

さらに、採用候補者とは必ず直接会話をして、日本語でのコミュニケーション能力を確認することも重要です。
話がかみ合わない人や、意思疎通が難しい人を採用してしまうと、マーケターとしての機能を十分に発揮できません。

大澤 要輔

中小企業のマーケター採用は確かに難しいですが、事前準備や候補者選定の工夫で改善できます
まずは社内環境や働き方の整備、コミュニケーションの確認など、できることから着手し、その上で採用媒体やコストをかける順序が理想です。何も準備が整わないまま採用活動に多額の投資をしても、成果は上がりにくいことに注意が必要です。

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この記事の執筆者・監修者

大澤 要輔のアバター 大澤 要輔 『Webhit(ウェビット)』編集長

【プロフィール】
マーケティングメディア『Webhit(ウェビット)』の編集長。運営元の株式会社FlyEde 代表取締役を務める。中小企業経営者へのコンサルティングは累計3,000回以上。Webマーケティング × 組織構築 × 人材育成の3つの領域を中心に、年商5,000万円~数億円前後の領域で売上を伸ばす仕組みを構築。

【保有資格】
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目次 ー この記事で分かること ー