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マーケティングの予算はどうやって決める?

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Webhit 編集部

今回は「マーケティングの予算はどうやって決める?」というテーマについてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

大澤 要輔

お願いします。

Webhit 編集部

ズバリお聞きしたいのですが、マーケティングの予算はどのように決めるものなのでしょうか?

大澤 要輔

はい。まず最初に、マーケティングに使える予算を明確にする必要が
あります。その予算は、次の要素からしか決まりません。

売上
営業利益率
その他販管費
原価・仕入原価

この4つです。

Webhit 編集部

なるほど。つまり、マーケティングの予算というのは感覚的に決める
ものではなく、売上や利益率、原価といった経営数値から論理的に導き出されるものなんですね。

大澤 要輔

はい。例えば「マーケティング予算を月に100万円使いたい」といくら
声高に言ったとしても、月の営業利益が50万円しかなければ、マーケ
ティング予算に月100万円も出せるはずがありません。

大澤 要輔

では、どうするかというと、もしその他の販管費にマーケティング費が
1円も組み込まれていない場合は、営業利益の中からどのくらいマーケ
ティングに回せるかを決める必要があります

Webhit 編集部

営業利益の中から、マーケティングにどの程度配分できるのかを明確にしていくのですね。

大澤 要輔

そうです。ただし、問題は営業利益はマーケティング以外にも使われるという点に注意が必要です。
例えば、将来のための再投資や、会社としての内部留保(資金の蓄え)に回されることもあります

大澤 要輔

そうなると、「営業利益のうち、実際にどのくらいマーケティングに使っていいのか」は、各社の状況によって異なります。したがって、まずは
自社としてどの割合をどこに配分するかを決めることが必要です。

大澤 要輔

例えば、次のように考えます。

営業利益のうち、内部留保に○割
事業再投資に○割
マーケティングに○割

大澤 要輔

仮に、月の営業利益が100万円あり、そのうちマーケティングに使う割合を2割と設定した場合、使えるマーケティング予算は20万円となります。このようにして初めて現実的な予算が明確になるのです。

Webhit 編集部

なるほど。営業利益が出ているからといって、すべてをマーケティングに回せるわけではないんですね。

大澤 要輔

はい。マーケティング予算を決める際は、まず財務の数字をもとに考える必要があります
単純化して言えば、売上・営業利益率・販管費・仕入原価といった要素
からしか、実際に使えるお金は決まりません。

大澤 要輔

さらに、マーケティング施策は基本的に「先出しの費用」です。
つまり、売上が立つ前にコストが発生するため、キャッシュフローの
確認が必須です。

大澤 要輔

したがって、PL(損益計算書)とBS(貸借対照表)の両方を見て、
「どの程度の資金を、どのタイミングで投入できるのか」を把握した
上で、マーケティング計画を立てる必要があります

Webhit 編集部

まず「こうやりたい」という施策を考えるのではなく、先に予算を決めて、その予算の範囲内でできるマーケティングを考えていく、という
認識で合っていますか?

大澤 要輔

はい、合っています。
逆に言えば、財務的に実行できないレベルのマーケティング施策を考えても意味がありません
予算を超える施策は、現実には実行されないため、ただの「机上の空論」や「妄想」に終わってしまいます。

Webhit 編集部

わかりました。ありがとうございます。
では、予算が出た場合、実際に施策を進めていくと思いますが、その
とき費用対効果はどこまでシミュレーションしておくのが望ましい
のでしょうか?

大澤 要輔

エビデンスや試算根拠は、現時点で得られる範囲のものだけで十分です。具体的には、直近3か月程度のデータをもとに、シナリオパターンをいくつか描けるレベルで構いません。

それ以上に精緻なシミュレーションを作り込む必要はありません。
なぜなら、シミュレーションはあくまでシミュレーションであり、実際の結果とはほとんど異なるものになるからです。

大澤 要輔

結局のところ、「精緻な数字を作りたい」というのは安心したいだけで
あるため、そこに過度な時間をかける必要はほとんどありません。

Webhit 編集部

なるほど。

大澤 要輔

一応、試算シミュレーションを作るのであれば、3つのシナリオパターンを用意する程度で十分です。

大澤 要輔

具体的には、

楽観的シナリオ(非常にうまくいった場合)
妥当シナリオ(通常想定される範囲)
悲観的シナリオ(全く成果が出なかった場合)

この3パターンをもとに、直近3か月分ほどの数値をそれぞれ見積もればOKです。
例えば「1か月目・2か月目・3か月目」でどの程度の結果になるかをざっくり出すイメージですね。

大澤 要輔

また、算出根拠やエビデンスについても、過度にこだわる必要はあり
ません

Webhit 編集部

3つのシナリオを想定しておけば、十分に現実的な見通しが立てられるということですね。

大澤 要輔

そうです。正直なところ、精緻なシミュレーションを作り込んで「シミュレーションどおりに進んだ」「成功した」というプロジェクトは、見た
ことがありません。

Webhit 編集部

ありがとうございます。素人目線で考えると、「もしシミュレーションと現実が違った結果になった場合、別のシナリオも用意する必要はないのでは」と思いがちですが、やはり複数のシナリオは用意しておくべきなのでしょうか?

大澤 要輔

最低限、3つのシナリオは作った方がいいと思います。なぜシナリオを作るのかというと、起こり得る状況を可視化し、あらかじめ認識しておくことが重要だからです。

大澤 要輔

それを知らないままだと、実際にトラブルが起きたときに慌ててしまい、たいてい間違った判断を下します。

大澤 要輔

同じ出来事が起きても、「これは想定済みだ」と思えるか、「初めて見る、どうしよう」となるかで、対応の質がまったく違ってきます。
シナリオを複数パターンで作っておくことは、“想定内を増やす作業”
です。その結果、プロジェクトが炎上しにくくなることが一番の目的に
なります。

Webhit 編集部

よくわかりました。ありがとうございます。
予算を決めてシミュレーションし、実際に施策を実行したあと、
そのマーケティングの予算はどれくらいの頻度で見直すといい
のでしょうか?

大澤 要輔

毎月です。

Webhit 編集部

毎月なんですね。

大澤 要輔

年間のマーケティング予算を組んでいたとしても、「今月は成果が良い
から、少し前倒しで使いたい」ということもあります。

大澤 要輔

例えば、月100万円の予算を予定していたところを、今月は200万円使ったとします。
そうなると当然、その先の月の予算配分が変わるでしょう。

大澤 要輔

見直しをしないままだと、後半に「使いすぎ」や「使わなさすぎ」が
起きてしまい、結果的に、最適な投資判断ができなくなります。
そのため、予算は固定ではなく、毎月見直す必要があります

Webhit 編集部

なるほど。つまり、毎月固定で予算が出るわけではなく、施策の成果や状況に応じて柔軟に調整する必要があるため、毎月見直すほうがよい、ということですね。

大澤 要輔

そうですね。もちろん、ただ単にツールの利用料を支払っているだけのようなケースなら、毎月の支出はほとんど固定でも問題ありません。

大澤 要輔

しかし、Web広告を運用している場合は話が別です。広告予算というのは非常に柔軟に動かせるものであるため、「もう少し伸ばしたい」と思ったときにすぐ追加投資することができます。

大澤 要輔

成果が出ているタイミングで、そのチャンスを逃すのはもったいないと考えるのであれば、あえて予算を増やす判断もあり得ます。
そのため、マーケティング予算は変動するものだと考えておいたほうが
いい
でしょう。

Webhit 編集部

ありがとうございます。
では、マスマーケティングのように大きな予算が必要となる施策の
場合は、どのタイミングで実施するのが適切なのでしょうか?

大澤 要輔

「今はしっかり予算を使える時」なのか、それとも「本当にマスマーケティングが必要な時」なのか、見極めることが大事です。

大澤 要輔

ただし、中小企業においてはマスマーケティングはほとんど意味がありません。理由は単純で、継続できないからです。

大澤 要輔

たとえば、毎月のマーケティング予算が50万円、つまり年間で600万円という企業があるとします。そんな企業がテレビCMなどのマス広告を
2週間だけ出そうとして、1,000万円を投じたとしたらどうでしょう。

Webhit 編集部

たしかに、単発でドンとお金をかけてもその後が続かないですよね。

大澤 要輔

そうです。仮に、テレビCMを打ったとします。
「視聴率はこれくらい出ました」
「これくらいの人に見てもらえました」
「認知度はこれくらい上がりました」
と言われても、売上が変わらないことはよくあります。

大澤 要輔

これは当然で、CMを一度だけ流したくらいでは、視聴者はすぐに忘れてしまうからです。CMは何度も繰り返し見せることで、記憶に定着していくものです。そうして初めて、ジャンル認知や第二次想起が得られます。

大澤 要輔

つまり、一度だけのマスマーケティング、たとえば2週間だけのCMでは、大きな成果は期待できません

大澤 要輔

そのため、もし効果を出そうと思ったら、
・来年も継続してやる
・毎月やる
といった形で長期的に投資する必要があります。しかし、中小企業にとっては、それを継続的に実施するのはほぼ不可能です。

Webhit 編集部

続けられるかどうかが、マスマーケティングの最大のポイント
なんですね。

大澤 要輔

はい。しかし、そうなると「じゃあやった意味は何だったのか?」と
いう話になります。
結局、一度CMを流したことで得られるのは、「CMを打った」という実績くらいです。一瞬だけ視聴者に覚えてもらえますが、すぐに忘れられてしまうため、大きな成果にはつながりません。

大澤 要輔

そのため、マスマーケティングは予算に余裕があり、かつ本当に必要な場合のみ行うべきです。

大澤 要輔

では、本当にマスマーケティングが必要となる場合とは、具体的には
どのような状況が考えられるのでしょうか?

大澤 要輔

そうですね、短期的に売上を大幅に伸ばす必要がある状況で必要になることはあります

大澤 要輔

二次曲線的に売上を伸ばす必要があるスタートアップなどでは、資金
調達を何億円と行い、マス向けに早い段階で認知を取ることが重要に
なる場合があります。

大澤 要輔

こうした場合は、時間軸が速ければ速いほど有利です。後ろに倒すほど、まだ認知していない人が増えたり、同じようなサービスを提供する競合が出てきたりします。

大澤 要輔

そのため、テレビCMやタクシー広告、新聞広告など、マスマーケティングの手法を活用することも一つの選択肢になります。つまり、短期間で
市場に強く印象付ける必要がある場合に限り、マスマーケティングを
活用する価値があります。

Webhit 編集部

なるほど。つまり、スピード重視で一気に市場を取りにいく必要がある
場合に限って、マスマーケティングが有効になるということですね。

大澤 要輔

はい。ただし、予算があるからといって無条件にマスマーケティングを行うべきではありません。
例外として、株主やベンチャーキャピタルなどが多く、早期に売上を上げることを強く求められている場合は、マスマーケティングを検討する価値があります

大澤 要輔

また、マスマーケティングを行う場合でも、マス向けに訴求した際に
実際に行動してもらい、売上につながる可能性が高い業種や商品・
サービスであることが条件です。

大澤 要輔

しかし、現実的には中小企業や多くの業種では、マスマーケティングの必要性はほとんどないと私は思います。 

Webhit 編集部

よくわかりました。ありがとうございます。
では、予算が限られ、施策も思うように成果が上がっていない状況を
打破する方法はあるのでしょうか?

大澤 要輔

だいたいそのような場合は、改善が遅れています。うまくいかないのは
単純に、予算の問題ではありません。

大澤 要輔

目標とする成果が高すぎて、うまくいってないと思ってるだけである場合がほとんどです。あとは、目標とする成果が高すぎて、現状の施策では達成不可能である場合もあります

大澤 要輔

また、目標自体は適切であっても、 PDCAサイクルが適切に回っておらず、施策の実行と改善が十分に行われていないケースも多くあります

Webhit 編集部

なるほど。では、予算が少なくて施策もうまくいっていない場合、原因を見極めるには「目標設定なのか」「PDCAがうまく回っていないのか」の
2つを確認すればいいのでしょうか?

大澤 要輔

そうですね。

Webhit 編集部

この2つ以外に、他に確認すべき点はありますか?

大澤 要輔

うまくいっていない状況を打破するためには、まず目標の設定 を見直すことが重要です。

大澤 要輔

目標が無謀すぎてどうやっても達成できない場合は、 目標の再設計
(下方修正) が必要になります。
ただし、プライドから下方修正を嫌がる人が出てくることもあるので、その心理的な障壁をどう解消するかも考えなければなりません。

大澤 要輔

でも結局、最終的には、「こうなりたい」という理想よりも、現実が
最優先されると思います。そのため、目の前の状況を正確に事実として
共有しながら、適切に目標を下方修正することが第一歩
となります。

大澤 要輔

次に、目標自体は適切であるものの、 改善サイクルが回っていないケースの場合は、改善のルーティンやオペレーションを決め、 施策の量を増やしてPDCAを回すことが最優先です。質よりもまず量を増やし、改善サイクルを回すことが、最も効果的な打開策となります。

Webhit 編集部

ありがとうございます。では最後に、この記事を読んでくださっている読者の方に一言お願いします。

大澤 要輔

マーケティング予算を決める際に重要なのは、「どれだけ使いたいか」という希望ではなく、財務指標に基づいて現実的に算出することです。

大澤 要輔

具体的には、
・売上
・営業利益
・販管費
・仕入原価
などの数字をもとに、どの程度マーケティングに投資できるかを
明らかにします。
この際、キャッシュフローの状況も必ず確認することが大切です。

大澤 要輔

無理に予算を投入すると、黒字倒産のようなリスクもあり得るため、
注意してほしいと思います。

大澤 要輔

次に、予算運用の参考としてシミュレーションを作ることがありますが、ここで作る数字はあくまで仮の目安に過ぎません。実際に施策を実行すると予想とは異なる結果が出ることがほとんどです。

大澤 要輔

そのため、シミュレーションは素早く作り、判断の参考にする程度で
十分
です。予算は状況に応じて柔軟に増減させる必要があります
成果が良ければ積極的に投資し、期待通りでなければ抑える。
このように毎月の状況を見ながら予算の見直しを行い、全体の調整、
帳尻合わせをする必要があります

大澤 要輔

大きな予算を使うことに関しては、本当に必要であればいいですが、
基本的に中小企業の領域においてはほとんど必要ないため、正直検討
すらしなくていいと思います。

大澤 要輔

しかし、一定の事情において必要なケースは確かにあるため、そういう場合には注意しながら検討してください。

大澤 要輔

予算が少なくてうまくいっていない場合に取るべき行動は、実はとてもシンプルです。
まずは「目標を見直す」、そして「改善と行動を繰り返す」ことです。
この2つ以外に、打開策はありません。

大澤 要輔

中小企業の9割が、大体この辺でサボってしまい、成果が生まれない
ことがほとんどです。

Webhit 編集部

ありがとうございました。

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この記事の執筆者・監修者

大澤 要輔のアバター 大澤 要輔 『Webhit(ウェビット)』編集長

【プロフィール】
マーケティングメディア『Webhit(ウェビット)』の編集長。運営元の株式会社FlyEde 代表取締役を務める。中小企業経営者へのコンサルティングは累計3,000回以上。Webマーケティング × 組織構築 × 人材育成の3つの領域を中心に、年商5,000万円~数億円前後の領域で売上を伸ばす仕組みを構築。

【保有資格】
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