Webhit 編集部今回は、「経営者は自社のマーケティングにどこまでコミットするべきか?」についてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。



はい、お願いします。



では早速、経営者は自社のマーケティングにどこまでコミットすべき
なのでしょうか?



結論としては、全部です。



全部なのですね。
戦略の立案から効果測定、実行など、そのあたりまで全部でしょうか?



そうですね、全部です。
効果測定の実装作業を誰がやるか、広告を配信するのを誰がやるかといった実務については、正直言えば「誰がやっても良い」部分でしょう。しかし、「誰がコミットすべきか」という問いに対しては、経営者が
すべてにコミットすべきです。



そのため、経営者は、「効果測定が分からない」「広告の仕組みが分からない」と言っている場合ではありません。
経営者としてコミットするためには、分からないのであれば、分かる人に聞く、専門家を入れる、自ら勉強するなど、何らかの方法で理解する必要があります。



つまり、マーケティングにコミットするのであれば、それに必要な知識や行動量を経営者自身が担保することが肝心です。



なるほど。
経営者自身が必要な知識や行動量を得ることが必要だとわかりました。



はい。
マーケティングの戦略立案についても、弊社は支援としてご一緒させて
いただくことがありますが、本来であれば自社の中で戦略を立て、施策を実行できる方が圧倒的に良いと思います。
なぜなら、自社の事業だからこそ解像度が高く、現場理解があるから
です。



ただし、実際には知識や専門性、経験が足りないことによって自社で完結できず、外部支援を必要とするケースが多いのも事実です。



ここで強調したいのは、「誰がやるか」は問題ではなく、経営者自身が
すべてにコミットすべきだということです。
効果測定であれば、どのような効果測定を行うべきかについて知識や経験を持ち、自分の言葉で意思決定することが求められます。



最悪なのは、戦略を外部に丸投げし、施策についても「担当者がやっているから分からない」、効果測定についても「データは苦手だから分からない」として一切コミットしない状態です。
これではマーケティング組織が形骸化し、成果にはつながりません。



そうは言っても、一切コミットしていない経営者の方が多いのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか?



非常に多いと思います。しかし、 マーケティング業界には残念ながら、知識の浅い経営者を“食い物”にする業者も少なくありません。
自社での理解やコミットメントがないまま外部に丸投げしてしまうと、業者にとっては格好の獲物になってしまいます。



経営者が「自分は分からないから任せる」と受け身でいる限り、対等な立場で議論することもできず、成果が出ない理由すら把握できません。
その結果、「誰かに言われるがままにお金を払っているのに、なぜうまくいかないのか分からない」という状態に陥ります。



だからこそ、一定程度の知識・経験を身につけ、経営者自身がマーケティングに主体的に関わることが不可欠です。
自分たち主導でマーケティングを設計・運営できなければ、その先の成長も望めません。



そうすると、社員のマーケティングへの取り組みにどこまで指示や指摘をするべきなのでしょうか?



そうですね。マーケティングは、会社の中でも超根幹にある活動です。
そのため、「他の業務が忙しいから」「社内の会議や書類整理で手一杯
だから」と後回しにしているのであれば、それは完全に判断ミスです。



もちろん、自らが出なければならないトップ営業や、非常に重要なクライアント対応などは優先されるべきでしょう。けれども、単なる社内業務や雑務に時間を取られて、マーケティングへの着手が遅れるのは本末
転倒です。



経営においては、営業も大切ですが、マーケティングも同様に大切です。サッカーで言うと、直接的に「シュートを決める」というのが営業の
役割になります。一方で、マーケティングは「自然とゴール前までボールを近づけてくる」のが役割です。



そのため、どれだけシュート力のある営業マンがいても、ボールが
ゴール前に届かなければ意味がありません。逆に、ボールを前まで運べても、ゴールを決める人間がいなければ成果にはつながらない。
つまり、営業とマーケティングはどちらも不可欠であり、どちらか片方が欠けても組織全体として機能しないのです。



そのため、「他の業務が忙しいからマーケティングできない」「営業が
手いっぱいだからマーケに手を回せない」というのは、ただの言い訳にすぎません。
経営者である以上、どちらかを疎かにしていい理由はないと思います。
むしろ「時間がないなら寝ずにでもやる」という気概が必要です。
会社を前に進めるのは、結局のところ経営者自身なのです。



ありがとうございます。サッカーの例え、非常に分かりやすかったです。会社=自分という感じですもんね。



そうです。特に中小企業においてはそうだと思います。
指示とか指摘というよりは「意思決定をする」という方が正しい
と思います。



マーケティングのことに関して、意思決定を検討して長々と保有していると、基本的にほとんどの場合、うまくいきません。
マーケティング施策は動きが速く、数字がすぐに変化していくため、施策を打てば数字が日々動きます。



しかし、経営層の判断が遅いと、決定が下る頃にはすでに「その意思
決定をすべきフェーズ」が過ぎ去ってしまっています。
本来なら刺さるはずの施策や改善案も、判断が遅れることでタイミングを逃し、効果が出ないまま終わってしまいます。



そのため、意思決定のスピードをとにかく上げることが重要です。
自分で決められる範囲は即決し、まず進める。数字や細かい指標が
すべて分からなくても、最悪それで構いません。
重要なのは「行動と改善」を早く繰り返すことです。



現場への「指示」や「指摘」ではなく、トップとして「早く改善して、
すぐやってみて」と要求し続ける姿勢が求められます。
スピードある意思決定と改善の連続が、マーケティングを前進させる
ことが重要なポイントです。



とにかく早く改善して早くやる、それを要求し続けることが大切なの
ですね。では、全くマーケティングを学んだことがないという経営者は、どこから学ぶといいのでしょうか?



マーケティングを始めるにあたって、まずは本を読んでください。
本の内容以上のことは実際にやらないと身につかないので、まずは本で基礎知識を得て、会話ができるレベルにしましょう。



例えば、日本語しか話せない人と英語しか話せない人がいたら、会話は成り立ちませんよね。
同じように、知識がゼロだと、相手が何を言っているのか分からず、
とりあえず「イエス」としか言えない状態になります。
本を読めば、最低限の基本用語は理解できます。つまり、共通言語を作ることが大切なのです。



そのうえで、自分のそばに「マーケティングにおけるナンバー2」となる信頼できる人を1人入れてください。
私自身そういう仕事もしていますが、幅広い業種を経験してきた人だからこそ持っている専門的な知見があります。
そういう人と一緒に壁打ちをしながら、自分のやりたいことをどうマーケティングで実現していくのかを言語化し、それを現場に落とし込んで
いく流れを作ることが重要です。



本を読むだけの机上の知識で現場に指示を出しても、現場は疲弊し、思うように動きません。
だからこそ、知識をベースに実践を重ね、信頼できるパートナーと共に現場に浸透させていくことが成功につながります。



自分のブレーンを作るということが苦手な経営者の方も多いのでは
ないかと思うのですが、いかがですか?



そうですね。自分の考えで物事を進めたいと考える人は多くいますが、
そのような人はほとんどの場合、意思決定が遅く、判断自体もずれていることが少なくありません。
その結果、実行しても期待通りの成果を得られる確率は非常に低くなります。



なるほど。



ずれていたとしても、従業員は手を止めることはできません。
なぜなら「社長が言ってるから」です。



わかりました。 この記事がたくさんの経営者に届くことを祈るばかり
ですね。では、最後にこの記事を読んでくださっている読者の方に、
一言お願いします。



今回は、中小企業の経営者がマーケティングにどこまでコミットすべきかという話をしました。
結論から言うと、迷わず全てにコミットしてください。



特に中小企業にとって、マーケティングはお客様や市場から自然に選ばれる仕組みを作る上で最も重要です。
問い合わせを集められるか、興味を持ってもらえるかは、会社の成長に直結します。
営業ももちろん重要ですが、営業はサッカーでいうシュート役です。ボールがゴール前に集まってこなければ、シュートを打つこともできません。マーケティングは、そのボールを前線まで運ぶ役割にあたるため、営業と同等に重要です。



そのため、経営者はどれだけ多忙でも、マーケティングの重要性を理解し、フルコミットすることが必要です。
ただし、経営者自身が全ての業務を行う必要はありません。重要なのは、専門家と共通言語を作りながら、自社のやりたいことをマーケティングでどう実現するかを言語化し、その内容を現場に落とし込める体制を整えることです。



この流れを作ることが、中小企業がマーケティングを成功させるための最初の一歩になります。
経営者の皆さんには、ぜひこの視点で行動していただきたいと思います。











