今回のテーマは「Web集客の改善うんぬん言う前に、Web集客の前提条件を知らないと100%失敗する」というテーマでお話いただきたいと思います。
はい。よろしくお願いします。
改善の前に、前提条件ということですが、Web集客の前提条件というのはどういうものなんでしょうか?
Web集客の前提条件なんですけど、実際に店舗やリアルでお客様と接するビジネスの場合によく間違えられやすいです。
まず一つ目は、
・お店に来てくれているお客様や、人脈でのご紹介などで来てくれてい
るお客様
・Webに居るお客様
が同じ状態だという勘違いをしていることがよくあるのですが、そこは全く違うというのが前提条件です。
Web集客をするときは、
・自社の商品サービスに熱烈に興味のある人たちだけに広告を出す
・その人たちだけに情報を見せる
・その人たちだけにメッセージを投げる
みたいなことは、原則できません。
お客様がWeb上でどんな行動をしていて、どんな興味関心を持っているか、どんな属性であるかというターゲティングをして広告を出すことはできます。SNSやSEOでもいろいろなやり方がありますが、ターゲティングができてもせいぜいそのぐらいです。ということは、その属性に当てはまる人に広告などは出せるんです。
だから、実際に足を運んでくれていたり、時間を確保してくれて目の前まで来てくれたりしている人たちと、Web上で初めてその会社のサービスを見る人たちの属性が違うのは、当然のことなんですよ。
けれども、ウェブマーケの施策で、例えば「広告を出しても全然反応が悪い」というときに、「でもうちのお店に来てくれている人は非常に満足してくれている」「商談に来てくれた人はみんななんか熱意が高くてとか、意欲が高いお客様ばっかり」と言われることがありますが、Web上にいるみんながそうかというと、そんなことはないです。
そういうのは本当に一握りの人たちだけで、全体から見れば数%あるかないかみたいなボリュームです。Webの人たちは基本的には99%と言っても過言ではないくらい、その会社のサービスに何の興味もないです。
そういうわけで、興味がある人たちに初めから自分たちのサービスに興味がある人たちに広告を出せるとか、Webマーケティング集客を仕掛けられると思っている人がいるんですけど、そんなことはないです。
どうやってやっていくのかということに関しては、興味を持ってもらえるような仕掛けをしていくしかないです。興味がない人たちに興味を持ってもらって、少しずつその興味を持ってもらえる人を増やしていくというのが、Web集客をやっていく前提となります。
「Webだからたくさん取れるでしょう?」とか「自分たちのサービスを欲しがっている人に届けられるんでしょう?」とよく言われますが、そんなことはありません。
前提を知らないと「みんながみんな自分たちの商品サービスや店舗のことを気になってくれている」「興味を持ってくれている人たちだけに出せるから絶対うまくいくはずだ」と思っちゃうんです。
だから、実際に足を運んで目の前に来てくれるお客様と、Web上の人たちの属性が違うことは前提として知っておく必要があります。
なるほど。
もう一つは、お客様は自社の商品やサービスを、とんでもない数の競合の中で、同じように横並びで見ているということです。例えば、Googleの検索結果などは、わかりやすいかもしれませんね。広告も含めて上から並んでいますが、見出しが良いか悪いかだけで判断されます。
SNSの広告であれば、どんなメッセージが出ているかで判断をされます。例えば、脱毛に興味がある人が見ていたら、脱毛のサービスがたくさん出てきますよね?他のサービスも同様です。
そのようなものがたくさん出ている中で、自分たちを選んでもらわなければいけないのに「広告を出しているのに何で成果が出ないの?」という人もいるんですよ。
しかし、広告を出しても成果が出ないときは出ません。なんでかというと、圧倒的にサービスが競合に負けているからです。
それを「マーケティング側でなにかうまく見せ方を変えればいいのでは?」という考えもあります。もちろん変えられる部分はやる前提ですけれども、やりすぎてしまうと虚偽になるので、詐欺になってしまいます。
例えば、最近問題になったもので言えば、美容医療系です。十何ヶ月分無料という書き方をしているものもありますが、十何ヶ月分無料と言っているのにも関わらず、実際に行ったら元々の定価設定から割り引かれていただけだったということがありました。
大手美容医療のクリニックさんで、初回は何百円とか何千円だと聞いて行ってみたら、何百万のプランでないといけないと言われ、契約するまで帰れないみたいな状態が半ば起こり、契約するまで、カウンセラーによる軟禁状態みたいになっていたということがありました。
そのように表面化しているものも含めて、やりすぎた表現はお客様を騙すことと一緒なんですよ。確かに、その見せ方をすれば集客はできるかもしれません。「問い合わせがたくさん来て、来店もたくさんあってよかった!」となるかもしれないですが、お客様側はどうですかという話です。
ただ単に集客のテクニック論で、しかもやり方としてはかなりブラックです。「お客様をとにかく集める」ことだけをやっていた結果です。しかし、お客様はそれで結局満足しません。「詐欺だ」と言われたり「あの会社は怪しい」「こんなに安くなるわけがない」などと思ったりして、どんどん信じられなくなります。
そうですよね。
もちろんマーケティング側でできることとして、表現の調整とかは行います。ただ、サービス上言ってはならないこともあります。
本来一番いいのは、良いサービスを作ってちゃんとした方法で、お客様に届けることです。もちろん爆発的な伸びは出ません。特に中小企業さんであれば予算も少ないので、爆発的に売り上げが伸びることはそんなにないです。ただ、その分事業としての継続性がある程度担保されている状態になります。
「お客様をとにかく集める」ことだけをやっていると、結果として短期的に売り上げは上がるかもしれないけれど、
・お客様の信頼を失ってしまう
・広告を出してもお客様が訴求を信じてくれない
・メッセージをしてくれない
ということになります。
SNSで叩かれたりすると、どんなに大手の会社さんでもそのサービスを止めなくてはいけなくなったり、その訴求をもう二度と使えなくなったりします。そうなった瞬間に武器を失うので、そこの集客というのは型落ちになるんです。
そこで、「事業の継続性ってどうなんだっけ?」というところに疑問符が付きます。当然、中小企業さんで、もしそんなことが起きれば一発で終わりです。
そのため、たくさんの競合の中から横並びで見られるという前提条件を知ったうえで、ちゃんと勝てる状態にして出していく必要があります。
しかし、前提条件を知らないと、広告だけだして「広告出しているんだからうまくいくんでしょ?」と勘違いをして、さらにどうにかしようとするために強力なメッセージを作ったり、ちょっとやりすぎてしまったりすることが広告業界ではあります。
そうすると、事業継続性がなくなるので、ちゃんとしたマーケターであれば「そういうことをやってはダメです」と言いますが、マーケティングを理解していないマーケターは「そういうことをすればどんどん集客ができます」とか「他の病院も他の美容医療もやっているので、大丈夫ですよ」と言うんです。
そういうわけで、前提としては、目の前にいるお客様とWeb上にいるお客様は全然状態が違うということや、自社にとって高いお金で広告を出してたとしても、そもそも競合もたくさん出てくる中に広告を出していくので、サービスを競合に勝てる状態で作って出していかないと、うまくいきませんということになります。
SEOやSNSなどをお願いすると、魔法のように売れるのではないかと思ってしまうということですね。
そうです。でもそんなわけはないんですよ。そんなに簡単には売れないんです。
Web集客をする前にもっとしなければいけないことがあるのかな?と思ったのですが、まずどういったことをしたらいいでしょうか?
はい。まずはサービスが、Webで売れる状態になっていることが一番大事です。
例えば、100万円のサービスがあって、Web広告で「こういうサービスを100万円でやっています!」と出しても売れるわけがないです。なぜかというと、初めて見たよくわからない会社で知らない人が売っている、どういうものかよくわからないものを、広告を見ていきなり100万円で買おうとする人はいないからです。
値段が100万円でも1000円でも一緒です。そこに対していきなり「お金をかけてどうにかしよう」「問い合わせをしよう」と思ったり、買おうと思ったりする人は多くありません。
よくあるのは「こういうお悩みはありませんか?それに対してまずはご相談に乗らせていただきますよ」と、「弊社のソリューションにこういうものがあり、もしかしたら解決できるかもしれないので、1回ご相談に乗りますよ」という形で、ゴールをご相談に設定するのも1つの方法です。
例えば、情報も何もない中で100万円のサービスが必要かどうかというのは判断できないので、無料の「悩みを解決するためのセミナー」みたいなテーマ設定をしてセミナーを開催し、その中で、お客様にいろいろな気づきを与えて情報提供します。
そして「その悩みは100万円かけてでも解決しなきゃいけない」「一定のコストをかけてでも解決しなきゃいけない」ということがわかった人たちにだけ、個別の相談のお時間をいただいて、そこで商談に持っていく方法もあります。
あとは、100万円のサービスを売るためには、そもそもお客様はそのサービス自体をすぐ買うかはわかりません。けれども、興味を持ってくれている人たちがいればいるほど、売り上げに繋がりやすいです。
いわゆる見込み顧客と呼ばれる人たちに、メールアドレスを登録してもらって情報を提供したり、LINEの公式アカウントに登録して情報提供して、そこから相談を受け付けるような形でも良いと思います。
あとは金額を表に最初から出すのではなくて「こんな機能があるものがございますけれども、お問い合わせいただけますか?」「興味がある方はお問い合わせしてください」という形を準備するのも良いですね。
つまり、いきなり一番売りたいものを正面に持ってくるのではなく、お客様が最初のステップとして踏みやすいステップを準備してあげることが一番重要なんです。
そこに公式LINEやセミナーを挟んだり、いろんなコンテンツを準備する動線を準備することをやっていくという流れが、今のサービスを、Webで売りやすい状態にするということになります。
まずは、コンテンツができてから、それに合わせて集客方法を選んでいくという形ですか?
そうですね。
まとめ
ありがとうございます。
では最後に今日のまとめと、この記事を見てくださっている方に一言お願いします。
今日は「Web集客改善うんぬん言う前に、Web集客の前提条件を知らないと100%失敗する」というテーマなんですけど、まずその前提条件は2つあります。
まず一つは「そもそも目の前に来てくれているお客様と、Web上で出会うお客様は全然状態が違う」ということです。
もう一つは、広告を出すにしても、SNSやSEOなど何でもそうですが、「基本的に集客をやろうと思ったら、競合は必ずいます」ということです。うちのサービスは、独自だから競合はいませんなんてことは、ありえません。
競合はたくさんいるので、その中から選んでもらえるようにしなければならないということが確実に必要であるということです。自分たちが良いと思っていても、お客様から見て良くなければ選ばれません。
この2つを大きく勘違いしてしまうと「Web集客をすれば、自分たちに興味を持つ人がたくさんいるんじゃないか」「自分たちにとっては高い広告費をかけているんだから、うまくいくはずだ」といったような感じになってしまいます。
しかし、先ほどの2つの前提条件を理解していれば、うまくいくわけがないとわかります。Web上には、いろいろなユーザーがいるので、必ずしもすぐに効果は出ません。だからこそ、興味がない人たちに、興味を持ってもらう仕掛けをしていく必要があります。
そこから少しずつ興味を持ってもらって売っていく流れが必要ですし、逆に競合がたくさんいるのであれば、その中でお客様が選びやすい、選びたくなるようなサービスや商品にすることが大切です。
あとは、お客様がそこから踏み出しやすいような、マーケティングのステップを準備することが重要です。そのステップが踏みやすいものになっているかどうかということが、さらに重要なポイントになります。
Web集客の前提条件をもし知らなかった方がいれば、ちゃんとここで学んでいただいて認識を改めていただくと良いと思います。
前提知識を知って初めて「何の媒体を使おう」とか「何の集客にコストをかけよう」みたいな話になってくるのです。
ありがとうございます。