Webhit 編集部今回は「AI 全盛期の今、伴走してもらうパートナーを見極める方法って?」というテーマについて、お話しいただきたいと思います。
よろしくお願いします。



お願いします。



AIの進化により、社内でもマーケティング施策を実行しやすくなったと
感じます。
そうしたなかで、あえて外部のパートナーと伴走する意義や、信頼できるパートナーを見極める際のポイントはどこにあるのでしょうか。



そうですね、AIの提案だけ出してくるようなところではないところは信頼できると思います。



なるほど。



近年、生成AIが一般化して、実業の企業も支援を行う企業も積極的に活用するようになってきています。しかし一方で、生成AIによって出力されたものを、そのまま提出するビジネスマンが非常に増えました。
しかも、支援側も実業側も同様にそのような実態があります。



そうなんですか?



はい。生成AIが広がったことで、仕事を楽にできるという意識がとても強まっていると感じます。
私自身ももちろん活用していますが、出力されたものをそのまま提出することはしていません。



なるほど。



なぜこうした状況になってしまっているのかについては、生成AIに関する情報発信を行っている人たちの影響が大きいと考えています。



生成AIの使い方や最新のツールを紹介する情報発信は、数多く見られます。そのほとんどが,
「以前はこれだけ時間がかかっていた作業が一発でできる」
「これほど精度が高くなった」
「もう自分で作る必要はない」
といった、効率化や手間を省けることを強調しています。



そうした情報を目にした人は、そもそも面倒な作業に時間をかけたくないという意識が強い場合がほとんどです。
そのため、「自分も楽をする方法を見つけよう」と考え、生成AIを活用する際に「どうすれば楽ができるか」という視点で使うようになります。



確かに、「楽をしたい」と考えてしまいますよね。



はい。そうした発信を見て「いいな」と感じてしまうことで、生成AIで出力したものをある程度確認し、「いい感じだからこれでいいのでは?」とそのまま提出するケースが増えています。
しかし、支援する立場から見れば、その時点で、その人である価値は
失われているため、本当に最悪だと思っています。



つまり、その人やその会社に依頼する価値はどこにもなくなるのです。



実際に、先日弊社に「一緒に仕事をしたい」と提案してきたマーケティング支援会社がありました。



私は1時間ほど喋り続けて、担当者にヒアリングをしてもらいました。
そして、その後担当者が1週間後に提案書を作って持参しました。



私は、「時間をかけて作成したのであれば、当然しっかりとした内容になっているだろう」と期待していました。
ところが実際には、生成AIに入力して出力された内容をほとんどそのままコピペしたものでした。



それがなぜ分かったかというと、生成AI特有の言い回しや、通常の人間であればしない記号やスペースの使い方が随所に見られたからです。
見たら一発でわかります。



その担当者自身は豊富な経験とスキルを持ち、実績もあり、料金プランも魅力的でした。
しかし、提案書の内容がそのようなものであったため、私は即座に依頼を見送りました。



おそらくこの話を聞いた方の中には、「生成AIで作成したものであっても、その人やプラン自体が良ければ問題ないのではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、私はそれは100%間違いだというのを断言していいと思っています。



100%間違いというのは、なぜでしょう?



なぜなら、どれだけ料金プランも魅力的でいい人であったとしても、
自分の熱意を相手に伝え、「御社と共にこういう取り組みを進めたい」という思いを示すことは必要不可欠だからです。



そのため、提案をする非常に重要な機会の場において、生成AIの出力をそのまま利用し、手間を省いて受注を取ろうとする姿勢は、支援を任せる相手として相応しくないといえるでしょう。



もし、提案書でそのような対応をしているのであれば、今後マーケティング業務を任せたとしても、同じように安易なやり方で済ませる可能性が高いと思います。



提案ですら誠実に取り組めないのであれば、実際の業務に入ったらよりひどい結果になるという可能性は存分にあります。
そのため、私は依頼を見送る判断をしました。



もちろん、その方が実際はしっかり考えたうえで作成していたのかもしれません。しかし、最終的に提出されたアウトプットが生成AIのコピーに見えてしまうものであれば、そう判断されても仕方がありません。そして、この点を理解できていない人が、世の中に多いのではないかと思います。



なるほど。たしかに、提案書という最初の接点ですら誠実さが伝わらなければ、実務でも同じような安易な対応になりかねませんね。



そうです。AIを使ってアウトプットを作成すること自体は、問題ありません。重要なのは、AIで作成した内容であっても、なぜその内容や提案、施策、方向性、キャッチコピー、そしてコンセプトが必要なのかを本人が全部説明ができるかどうかです。



すべての点について具体的かつ論理的に説明できるのであれば、AIを活用したアウトプットであっても問題ないと思います。



なるほど。AIを使うこと自体が問題ではなく、最終的に本人が論理的に
説明できるかどうかが大事なのですね。



それが説明できるということは、自分の提案とイコールであることを
意味します。
しかし、私が実際に経験した例では、質問をしてもほとんど答えられず、内容についてろくに説明できませんでした。
そのため、これでは話にならないと判断し、依頼を見送ったという経緯があります。こうした点には気をつけてもらいたいです。



そうですね。
内容をしっかり説明できないと、一緒に仕事をするのは不安ですね。



はい。生成AIに仕事を奪われると言う人がいますが、そもそも奪われる仕事というのは、その人でなくてもよい仕事である場合がほとんどです。逆に、その人でなければ成り立たない仕事であれば、仕事はなくなりません。



以前、弊社のお客様へのインタビューを行った際に、「最近、生成AIがたくさん出てきているため、コンサルやコミュニケーションの役割は不要ではないですか?」と思い切って尋ねてみました。



お客様の答えは、「生成AIとは大澤さんは、全然違う」とのことでした。この言葉をいただき、大変ありがたく感じました。



つまり、生成AIではできないことを提供できているという意味で、多少なりとも私でなければならない価値を感じていただけているのだと思います。



一方で、こうした価値をお客様に認めてもらえない場合は、生成AIに
仕事を奪われる可能性が高いでしょう。
安ければよい、早くアウトプットしてくれればよい、という仕事で
あれば、生成AIに任せた方が効率的です。



自分が今生成AIに仕事を奪われると言って、ビビっているということは、
「自分は大した仕事をしていません」と公言しているのと同じです。



そのため、生成AIに仕事を奪われることを恐れる前に、自分でなければできない価値を生み出すことに重きを置いたほうがいいと思います。



わかりました。ありがとうございます。
AIの活用によって、仕事のスピードや効率が格段に上がっているように感じます。マーケティングの分野でも、AIを使えば社内で多くのことができるようになっていますよね。そうした中で、
・自社で内製すべき部分
・外部パートナーに伴走してもらう部分
は、どのように分けて考えるのが理想的でしょうか。



どのように分けて?難しい質問ですね……。
ひと言で言うと、社内の従業員でなくてもよい仕事は、パートナーに任せて構わないと思います。重要なのはコストパフォーマンスです。



コストパフォーマンスとは、単に安ければよいという意味ではなく、支払うコストに見合った成果が得られるかどうかということです。



例えば、広告運用を社内で行えるとしても、その担当者のスキルセットが十分でなく、改善がうまく進まない場合があります。
その場合は、お金を支払ってでも外部に依頼した方が、うまく回る可能性が高いと思います。



ありがとうございます。中小企業が AI を活用することで、逆に損をしてしまうケースもありますか?



そうですね。中小企業に限らず、生成AIを活用する中小企業の経営者や
担当者が損をするケースは非常に多く見られます。



そうなんですね。例えばどのようなケースがあるのでしょうか?



生成AIを使って出来上がったものを「これで十分だ」と思い込み、そこから先の検証や調整を行わず、そのまま進めてしまうケースは少なくありません。生成AIに「こんなことをしてほしい」と指示すると、それらしい成果物が出来上がるからです。



つまり、自分たち自身で経験したことがないことや、自分にスキルセットがない領域の作業を、生成AIに任せようとするケースです。



しかし、そのような人たちは、そもそも「どうすればより良い成果物が作れるか」というノウハウを持っていません。そのため、生成AIを活用しても、成果物を適切に点検・評価することができないのです。



そうですよね。わからないからできないですよね。



はい。そのため、生成AIから出力された内容が良いものかどうかを評価できないため、そのまま受け入れて実行してしまうのです。
しかし、施策を打ってみると、意外と「これ微妙かも?」 と思ったものが当たることがあります。まぐれ当たりを起こすんです。



なるほど。まぐれで成功することもあるのですね。



そうです。まぐれで成果が出ると、短期的には良い結果に見えます。
しかし、そのまぐれ当たりを経験すると、ただのまぐれ当たりにもかかわらず、「生成AIの言うことはすべて正しい」「生成AIから出てきたものは質が高い」と勘違いを起こすことがあります。



しかし、ノウハウがないため、まぐれ当たりだということも、生成AIの出力が本当に良いものかどうかも正しく評価できない状態になっているのです。
そういった人が、広告運用のノウハウを勉強しようと思うでしょうか……?



勉強しないと思います。



そうだと思います。そういう人は自ら学習しようとはしません。なぜなら、生成AIが出したもので短期的に成果が出ているため、「AI が出してくれたものでうまくいってるからいい」と考えてしまうからです。



短期的には確かに便利で、楽に感じるでしょう。しかし、中長期的に
考えた場合、生成AIが出したものばかりが世の中に氾濫する世界線が
来た時に、お客様に響かなくなります。



その結果、時代の変化に伴い状況が大きく変わり、属人性のあるコンテンツが求められる時代が来た時に何が起きるかというと、その人は対応できなくなります。



生成AIがなければ何もできない人は、外部に相談しても生成AIらしい出力しか得られず、属人性がまったく見られません。
そのため、自分の考え方やプライド、ノウハウがない状態では、結果として時代に取り残されてしまうのです。



確かに。
便利さに頼るほど、自分の力が衰えてしまう危険性もありますよね。



はい。仮に、人が一切働かず、月曜日から日曜日まで毎日休みのような世界、いわゆるベーシックインカムで一人あたり毎月百万円を受け取り、好きに過ごせる世界が訪れたとします。
その場合、人は仕事を通じて価値を発揮する必要がなくなります。



仮に、人が仕事をせずに生活できる世界であれば、自分でコミュニティを作ることや、趣味を極めることが人間としての価値につながります。
それは一種のパラダイムシフトと言えるでしょう。



しかし、現実には仕事をして、その対価として給料を得る環境が続いています。その状況下において、生成AIに依存すると、自分自身の能力値が全く向上しなくなります。



質問の内容に戻ると、結局生成AIを使って損をしてしまうのは、会社の問題というよりも、生成AIを使う担当者や経営者個人の問題です。
その人たちのスキルセットが低下すると、会社自体も中長期的には骨がスカスカなっていくみたいな状態になります。
骨として機能していても、少しの変化や外部の影響で簡単に崩れる、耐久性の低い組織になってしまいます。



便利さの裏で考えなくても済む状態が続くと、人も組織も弱くなって
しまいますよね。
では、そうならないために組織の「骨密度」を高めるには、どんな取り組みが必要だとお考えですか?



そうならないために、「自分がやったことがない領域」で生成AIを使う
場合は、先に自分で勉強したり、実際に経験してみたりすることが大切
です。
仮に先にできなかったとしても、「生成AIが出したものが全てではない」という前提を持ち、自分自身でも試作したり、実践してみたりすることが必要です。



そのうえで、「こういうふうにやるとこういう結果が出るんだな」ということを、自ら仮説・検証する習慣を持つ。これを常々やらないと、人間としての能力値は落ちます。



AIに「使われる」のではなく、AIを「使いこなす人」になることが大切だと思いました。



はい。例えば非常に分かりやすい例として、トップ営業マンの話があります。この営業マンが非常に成果を上げたとします。その後、部長に昇進し、後輩の指導を担当することになったとしましょう。
しかし、もしその人が現場に一切出なくなった場合、年に一度現場に戻ったとしても、かつてと同じ成果を上げられるかと言えば、ほとんどの
場合では難しいでしょう。



営業の現場には、相手との会話の感覚や、攻めるタイミングを見極めるポイントなど、言語化できない経験値が必要です。
これらは個々の営業マンが実際の経験を通じて身につけるものですが、現場から離れるとそうした肌感覚は失われてしまいます。



まさに、現場でしか得られない学びがあるということですね。



はい。「昔はどうやっていたっけ?」 となるはずです。
昔の感覚ややり方を思い出せなくなるのは、続けていないからです。
つまり、作業を他の方法に頼りきってしまっていることが原因です。



そのため、私自身がコンサルティングを行う際には、必ず自分で広告運用の案件を担当し、数字に直接触れるようにしています。
また、お客様の現場を訪問し、実際にどのように改善を進めるかを共に検討することも欠かしません。他の業務は社員に任せることがあっても、これは絶対にやるようにしています。



これに対して、現場に立たず、生成AIだけに作業を任せて「まあ上手くいったからいいや」としてしまう人は、スキルセットがどんどん劣化していきます。



現時点の最前線での経験を積まない人間は、どんどん能力が落ちていくのです。そのため、生成AIを使うこと自体は問題ありませんが、現場に立たずに成果物だけに依存してしまうと、組織や個人の基盤が徐々に脆くなり、骨粗しょう症のようにすぐ折れてしまう状態になります。



非常に便利な世の中になってきたという一方で、非常に恐ろしいことが起こっているということですよね。



そうですね。静かに死を迎えてると言っても過言ではないと思います。



怖いですね。



はい。
だからこそ、私は日々非常に慎重に、ビビりながら仕事をしています。
いつ何が起こるか分からないという意識を持って。



ありがとうございます。少しゾッとしました。では、最後にこの記事を
読んでくださっている読者の方に最後に一言お願いします。



はい。今回は「AI全盛期の今、伴走してもらうパートナーを見極める方法って?」というテーマに沿ってお話いたしました。



基本的に見極める方法としては、生成AIの出力をそのまま提出するような人や会社とは、絶対に付き合わない方が良いと思います。



生成AIを活用すること自体は問題ありませんが、最終的には人と人との関係性や信頼の上でビジネスが成り立つため、その人と一緒に仕事をしたいと思えるか、提案内容に共感できるかどうかが重要です。



また、内製化と外注化に関しては、従業員でなくてもよい仕事はパートナーに任せればよいという前提があります。
その上で、業務中心で組織を構築するのか、従業員中心で組むのかは、自社が目指す組織体制や提供したいサービスに応じて判断すべきです。
各社でバランスは異なるでしょう。



生成AIの活用自体は有効ですが、乱用すると、使用する人間のスキルセットが徐々に失われ、組織の中核が脆弱化してしまいます。
その結果、取り返しのつかない状態になる可能性があります。
そのため、生成AIで作業を効率化する場合でも、アウトプットしたものが適切かどうかを自分自身でチェックできるような状態であってほしいと思います。



ありがとうございました。











