今回は、「会社のマーケ担当になったのですが、まず何から勉強したらいいの?」というテーマでお話しいただきたいと思います。
初めて会社のマーケ担当になったら本当に不安だと思うのですが、何から勉強したらいいんでしょうか?
まず初めにするべきこととして、「用語から覚えましょう」というものがあります。
これには理由がありまして、用語から学ぶ理由は、一番最初にWebマーケを含むマーケティングをやろうと思ったときに大体つまずくのが「何かいろいろ難しいことを言っていて、訳が分からない……」と止まっちゃうことがあるからなんですよ。
これがマーケをやるうえで一番つらくて厳しいことのファーストハードルなので、そういう意味で、まずは用語を学ぶことが大事です。
わかりやすいイメージで言うと、英語などの外国語を学ぶにあたって、例えば「スペイン語を覚えてください」というときに、最初は何を言っているかわからないんですよ。
でも、その中にある単語やフレーズ、その文章の構文を覚えていくと、徐々にストレスなく読めるようになってくるんですよね。
それと同じで、マーケも最初に3文字系・4文字系の略語がいっぱい出てくるんです。CPC、CPVR、CPA、LOHAS……みたいなものがいろいろ出てきます。
そういうものが出てきたときに「あれっ、これは何のことだっけ?」とならないように、まずは用語を押さえることが一番だと思います。
確かに、覚えることは大変苦しいんですけど、これを覚えてしまうと、後でいろいろな本を読むときなどにも自然に読めるようになってくるので、この後に続いてくる、情報のインプットやアウトプットをスムーズにしたり、苦しさを和らげたりするためだと思って、ここはぐっとこらえて頑張っていただきたいです。
続いて必要なことは、ある程度体系的な知識を仕入れることです。体系的な知識を仕入れる方法はいろいろありますが、僕のおすすめはウェブ解析士の資格を取ることですね。
僕も上級ウェブ解析士を持っていますが、例えば「ここだけをやります、やりなさい」というようなものではなくて、いろいろな知識をどんどん取り入れていかなくてはならないんです。
ウェブ解析士のテキストは、およそ400ページ以上のボリュームがあるのですが、そのテキストを1冊買って、資格試験の勉強をします。
上級ではなく、通常のウェブ解析士でいいです。テキストを読んでいる過程でいろいろなことが基礎知識として入ってくるので、それが効果的だと思っています。
もう一つは、本を読むことです。最近は本を読まない人が多いですね。Tips的なポイントやコツのようなものはWeb上の記事やYouTubeを見ればいいのですが、体系的な知識を仕入れるということがこの段階では大事なんです。
例えば、何かの教科書や、「何とか大全」のようなものを中心に2~3冊、自分が読みやすいものや、会社で現在必要とされている領域のものから読んでいくのがいいと思います。
この段階で大切なのは、間違っても、応用的なテクニックの本に手を出さないことです。小手先のテクニックが欲しくなってしまうので、コピーライティングについての本や、コピーのフレーズが載っている本などに行きたくなると思いますが、それはやめてください。
単に知識を入れれば効果が出るのではなくて、意味のある形で入れないと、想定通りの効果は発揮されません。
会社のマーケ担当として、切って貼ったようなテクニックだけでやっていくと、非常に薄っぺらいマーケ担当になってしまいます。
そういったものを読むのはいいのですが、前提として大事なことは、「まずは体系的な知識を仕入れる」ということです。
三つ目は、体系的な知識を仕入れたら、あとはもうやってみることです。
ここで「やる」ではなく「やってみる」にしている理由は、この段階ではまだ仕入れた知識がベースライン程度のため、入れたからうまくいくというものではないんです。
そのため、まずは1回、ミニマムでいいので、ちょっとずつやってみるということが大事ですね。実際にやってみると、うまくいくものとうまくいかないものが大なり小なり出てきます。
例えば、広告費を日に500円や1000円程度しかかけていなくても、たくさんアクセスが取れるものと取れないものが出てきますし、その中でも、いわゆるコンバージョンが取れるものと取れないものが出てきます。少しずつでいいのでやってみてください。
広告でもいいですし、SNSだったら何か投稿を作って投稿してみてもいいと思います。役に立つものであればどんどん拡散されますから。
例えばTikTokなども、動画を撮ってみてうまくいかなかったら1回辞めてやり直せばいいんです。
僕もSNSは苦手で、人前で喋るのも嫌いだし苦手なんですよ。できれば家で黙々と作業をしたい人間なんです。
それでも、TikTokなども試してやってみないとわからないので始めてみたんです。そんな僕でも3000再生ぐらいは取れました。でも、やっぱり何か違うなと思って、1回辞めたんですけど。
うまくいくかわからなくても1回やってみることが大事なので、まずはそこから始めていただくことが一番いいんじゃないかなと思います。
マーケ担当の勉強としては、まず用語をちゃんと勉強する。次に、その用語を前提とした体系的な知識を入れる。体系的な知識を入れたら、今度はそれをもとにやってみる。
そうすると実践的な経験値が自分の中にたまっていくので、自分自身の経験で判断できるようになっていきます。そうなったら、マーケ担当として自分で施策を回すことができるようになるので、このような方法でやっていくのが一番いいのではないかと思います。
最近は「一人マーケ担当」という言葉をよく聞きますが、もし一人マーケ担当になった場合は、勉強した後、どのように施策を進めるのがいいと思いますか?
一人マーケ担当で外注することもできないとすれば、その体制の中でやっていくしかないですね。
例えば、リスティング広告をやりますということになったら、リスティング広告に何が必要なのかをまず学ばなければいけません。
どのような方法で学んでもいいんですけど、リアルタイムの状況を知ることができるものはほとんどないんですよ。最新のものを探せば似た情報は出てきますが、知りたい内容と100%一致するものはほとんど見つからないです。
リスティング広告で、Google広告の管理画面の設定方法を調べて、1~2ヶ月前に作られた記事を見ても、今の管理画面とは違うということがあるんですよ。
正解が転がっていることの方が、そもそもあまり多くないんです。リスティング広告だったら、「キーワードにはこんな種類があるよね」とか、「キーワードの設定をして広告文を作り、ターゲティングを設定する」とか、その辺のベースラインを押さえたらもう設定に取りかかることですね。
それで、「こういう設定がいいかな、ああいう設定がいいかな」と、いろいろ試行錯誤しながらまず設定をやってみて、出してみることです。
ただ、この段階では、絶対に最初から大きい予算で出すことはしないでください。1日1万円とかは高すぎるので絶対に駄目です。
少しずつ調整していけばよいものなので、日に1000円から3000円ぐらいまでで、僕は十分かなと思っています。
そして、リスティング広告であれば、初めは「朝・昼・夜の帰宅前」の3回は絶対に見てください。
とにかくアカウントに触れて、キーワードの数字や広告の数字がどう動いているかということの肌感をつかむことに、とにかく時間をかけていただきたいです。
肌感がつかめてくると、大体こういうふうに動くということがわかってくるので、チェックの回数を減らしてもらっても結構です。
設計の仕方がわかってくると、例えば「こういうふうになったらメール通知を出す」というような機能などをうまく使って、自分が直接見に行く回数を減らしても構いません。
結果として、「このキーワードをやめよう」とか、「こういうキーワードを除外しよう」、「こういう広告文を作ってみよう」など、マーケ担当として施策を回すにあたって、次々と手を動かして作ってみることが、やるべきことかなと思います。
やるべきことを3つ出していただきましたが、もし大澤さんが駆け出しの頃の自分に一言アドバイスをするとしたら、どのようなことがありますか?
一番言いたいのは「恐れずにやれ」ということですね。
とりあえず手数を増やさないと、良いか悪いかの判断がつかないし、判断がつく時期も遅くなるので、より早くやった方がいいと思います。
当時は最大限やったつもりでしたが、今の僕からすれば、もっとできたよねと思います。
あとは「経験者の話によく耳を傾けなさい」ということですね。その時に自分より先輩かどうかは別として、自分と同じような経験をしている人や、これからマーケをやろうとする人を見てきた指導者の人など、自分と同じ業務を経験したことがある人間の話をたくさん聞いた方がいいです。
なぜかと言うと、特に事業会社などの場合は、自社の事業の広告しか経験したことのない人が多いんですよ。
ですから、同じ業界でも他の会社がどうやっているのかがわからないし、他業界のことはもっとわからないということが起きるんです。
その中で、事業会社の一人マーケは、他の状況をいろいろと知るためにも、さまざまな人の話を聞くしかないんですよ。
いろいろなところで情報を仕入れると、「この人がやっていたこういう業界」の「このぐらいの規模」の「こういうアカウント」で「こういうこと」が起きていたんだということがわかるので。
うまくいかないことは絶対真似しちゃいけないし、うまくいったことをどんどん真似していく方が、視野が広がるし施策の幅も広がります。
なので、自分と同じ経験や仕事をしていたり、指導している人にはどんどん話を聞きましょうということですね。
もし、そのような同じ経験をした人が社内にいない場合は、どういったところに行くと話が聞けるのでしょうか?
もう社外にゴリゴリ出るしかないのですが、今は人と会う方法がたくさんあります。わかりやすいのがセミナーなどですね。
それも、オンラインではなくて、リアルなものにもどんどん出て行ったり。広告に関して言えば、媒体のレポートツールもいろいろあるんですけど、媒体のツール会社のセミナーなどです。
セミナーがなければ、例えばビジネスマッチングのアプリなどを使うと、結構いろいろと会うことができるんですよね。
例えば、Yentaなどのようなところで情報交換をして人脈を作っていくというのは非常に大事なことかなと思います。
まとめ
最後に今日のまとめと、この記事を見てくださっている方に一言お願いします。
「マーケ担当になったら、まず何から勉強すればいいの?」に関しては、まず用語をちゃんと押さえて、その上で体系的な知識をちゃんと仕入れる。そこからあとはもうやってみる。とにかくいろんなパターン、いろんな形でやっていくのは非常に大事なことです。
結局、経験が最終的にマーケ担当として会社にバリューを出せるのかどうかの大きな分岐点になると思っています。
その上で特に大事なことは、同じ経験をしている人や、それに対して指導している人の話をどんどん聞きに行くことですね。
それはお金を払ってでも、時間を使ってでも聞きに行った方がいいと思います。
僕は今、Xも運用していますが、Xでもすごくたくさんの人が発信されているので、常にキャッチアップするようにしていますし、セミナーなどにもよく行きます。
今でもそういった習慣を継続していいるので、ぜひこれからマーケを勉強する人には、よりアンテナを高くすることを意識してもらえたらいいなと思います。