Webhit 編集部では、今回は「マーケティング組織の立ち上げは何から始める?」と
いうテーマについてお話しいただきたいと思います。
よろしくお願いします。



よろしくお願いします。



早速ですが、マーケティング組織の立ち上げは何から始めたらよいのでしょうか。



まず、マーケティング組織を整える際には、管轄する人間を決めることが重要です。そして、その管轄者には、チーム内で意思決定ができる
権限を与えてください。



マーケターが施策を実行する際に、いちいち上層部にお伺いを立てるようでは、組織として自律的に動くことはできません。
マーケティング部署として自分たちの責任を持ち、一定の範囲内で意思決定を行い、施策を実行し、結果に向けて改善を繰り返す体制を作る
ことが必要です。



社長がすべての判断を下す組織では、それは『社長直轄のアシスタント組織』に過ぎません。
マーケティング組織を自律的に提案し動ける組織にしたいのであれば、意思決定と提案の権限を適切に与えること、あるいは管轄者として
マネジメント担当者を一人置くことが、最初に行うべきステップです。



なるほど、まず管轄する人間を決めることが必要なのですね。



そうです。マーケティング組織を立ち上げる際には、管轄者を決める
ことがまず重要です。
しかし、管轄者を決めた後は単にその下に多くの人を配置すればよいというわけではありません。
マーケティング組織は、職種を細分化すれば非常に多くの人数を抱え
られる仕組みになっています。
そのため、闇雲に人数を増やす前に、まず自社がマーケティング組織を立ち上げて何を達成したいのか、目的を明確にしておくことが大切
です。



例えば、「毎月の問い合わせ数を安定させる」「LINE公式アカウントの運用や返信を安定して行う」といった目的であれば、組織を大きく作る
必要はありません。
一人の社員にタスクとして任せたり、外注の広告代理店に依頼したり
すれば十分です。



しかし、社内にマーケティング組織を設置し、管轄者を置き、一定の
文化を作って運営しようと考えるのであれば、『なぜそこまで行うのか』という目的を言語化することが必須です。
目的が明確でないまま組織を作ると、手間も時間もかかり、結果的に
無駄になってしまいます。



手間も時間も無駄になるのはもったいないですね。
では、目的がある状態で、管轄者も設けている状態になった後は
どうすればいいのでしょう?



マーケティング組織内のジョブを作ることです。ジョブとは、一言で
言えば役割や機能のことです。
マーケティング組織で設定した目的を実現するためには、それぞれの
役割が必要になります。



役割に誰を当てはめるかを考えるためには、ジョブを設計しましょう。
例えば、全体の目的の一部に『広告運用を行う』というものがある
場合、広告運用を担当する人が必要です。
広告運用担当者のジョブには、アカウントの設定や設計、日々の運用
改善などが含まれます。



もし広告運用とクリエイティブ制作を同じ人に担当させるのであれば、ジョブの中に両方を含めます。
逆に、クリエイティブを別の人に任せる場合は、『広告運用に使用する
クリエイティブを作る』というジョブを別に作る必要があります。



ジョブは、1人の人がどこまで担当するのかを明確にするためのもの
です。整理する対象には、次のようなものがあります。
・クリエイティブや広告コピーライティングは誰がやるのか
・LPは誰が作るのか
・LP改善は誰が行うのか
・問い合わせがあった際の初期対応は誰が担当するのか
また、BtoBの場合は、初期対応後の商談を誰が行うかも決める必要が
あります。



さらに、ジョブを誰が担当するかは、マーケティング組織内なのか
外部なのかによっても異なります。
組織内外の範囲を明確にし、営業部隊に任せるラインも定めることが
重要です。



なるほど。ジョブを作るということが必要になるのですね。



そうです。
ジョブが作れたら、次はそこに社内の人材をアサインしていきます。



スキルをすでに持っている人や、その役割を即戦力としてこなせる人であれば、比較的スムーズにジョブに配置できます。
しかし、ジョブはあるものの、社内にその役割を担える人材が現時点でいない場合もあります。その場合は、アサインの方法や育成計画を慎重に考える必要があります。



そういった場合にはどうすればいいのでしょう?



ジョブに人をアサインする場合、2つのパターンがあります。



1つ目は、役割やスキルセットを完全に満たせるかは不明でも、社内にいる人材をあてはめてみる方法です。
2つ目は、その部分だけ外注する方法です。



このようにジョブの空白を埋めていくと、ジョブの数が増えたり、
プロジェクトに関わる組織のメンバーが非常に多くなったりすることがあります。
そのため、組織設計の際には、人数や体制のバランスも意識しておく必要があります。



そうですよね。マーケティング組織というと、大きな組織を考える人も多いのではないでしょうか?



おっしゃる通りです。しかし、中小企業の場合、現実的に人件費や外注コストには上限があります。



ジョブを広げて人をあてはめたり、外注や営業部隊に担当させたりした
際にかかるコストを計算すると、自社の予算の上限を超えてしまうことがあります。
この場合、最初に設定した目的が大きすぎることが考えられます。



そのため、目的の規模を調整し、ジョブの数を減らして自社の身の丈に合った組織を作ることが、立ち上げ段階では非常に重要です。



ありがとうございます。 組織の立ち上げ方について理解できました。
では、その組織を立ち上げるべきタイミングというのは、どのように
考えたらいいでしょうか?



マーケティング組織を立ち上げるべきタイミングは、大きく2つ
あります。



1つ目は、社内の担当者に片手間でマーケティング業務を任せている
状況や、1人で対応できる範囲を超えて、社内でのマーケティング活動を
さらに拡大したいフェーズに入ったときです。



2つ目は、外注に丸投げするだけでは、目標とする成果に届かない
フェーズに入ったときです。



なるほど。その2つのフェーズになったタイミングで、立ち上げを検討
するのですね。
その場合、立ち上げのタイミングの見極め方はあるのでしょうか?



そうですね。次に目指す施策の規模が、1人のスキルセットの幅を超えてしまう場合です。



外注に丸投げする方法もありますが、多くの場合、外注側は自社の
事業理解が十分でないため、期待した成果を最大化するのは難しく
なります。
事業理解が浅い状態でマーケティングを行うと、広告運用やSNS運用
など単体の施策では成果が出ても、全体を統合して同じ水準の成果を
すべての施策で得ることは困難です。
単体施策だけで成果を出すことには限界があり、他の施策と組み合わせることで、最終的に成果を最大化することができます。



そのため、全ての施策をワンストップで管理し、全体を最適化するには
社内にマーケティング組織を持つことが非常に重要です。



わかりました。 ありがとうございます。 では、立ち上げたばかりの
マーケティング組織は、どのように評価をしたらいいのでしょうか?



立ち上げたばかりのマーケティング組織には、まずKPIとして目標の
数字を設定することが重要です。
もちろん、その通りに結果が出ているかは前提として確認する必要が
ありますが、それと同時に『プロセス資産』をきちんと作れているか
どうかも大切です。



プロセス資産とは、マーケティング組織の運営の中で蓄積される資産のことです。
例えば、自社のマーケティングノウハウをテキスト化したり、動画化・マニュアル化して『ノウハウ』として可視化されている状態がそれに
当たります。



リアルタイムの口頭ミーティングだけで進めている場合は、プロセス資産が作られていない状態です。
1回説明したことを2回説明しなくても済むように録画を残したり、
うまくいったこと・うまくいかなかったことをデータベース化することが重要です。



プロセス資産が整備されている状態では、業務の生産性も最大化され、無駄な動きや失敗しやすい行動を減らせます。
社内専用のチェックリストやルール、オペレーションが整っていれば、組織として機能しているかどうかを確認することができます。
組織として成果を出すためには、このプロセス資産の整備が不可欠
です。



ありがとうございます。組織を立ち上げてうまくいかなかった場合の
原因と対処方法はありますでしょうか?



マーケティング組織がうまくいかない場合の原因として多いのは、
最初に決めた管轄者が、フィードバックを含めた十分なディレクションを行えていないことです。



上から降りてきた仕事を、そのまま現場の運用者やSNS担当者に丸投げしているだけでは、丸投げする対象が外注か社内かの違いだけで、意味がありません。
管轄者が置物状態になっている場合、組織は失敗しやすくなります。



解消方法は2パターンありますが、一番シンプルで確実な方法は、管轄者を変えることです。



経営者や役員がマーケティング組織のトップとなり、組織の運営やオペレーションルールを作ったうえで、従業員にその通りにやらせるだけでは、組織は失敗しやすくなります。
この場合、マーケティング組織のトップにはあまり人材的価値が生まれません。



確かに。



もう1つが、マーケティング組織の目的を忘れた時です。
マーケティング組織を立ち上げた際に、徐々に本来の目的から離れてしまうことがあります。
理由は、広告やSNSなど、数字が見えやすく、目に見えるコンテンツに引きずられやすいからです。
広告の数字が良ければいい、SNSの再生数が伸びればいい、という発想になりやすくなります。



しかし、例えば「会社のファンを作る」ことが目的であれば、まず「ファンとは何か」を考え、そのうえでファンを増やすための施策を打つ
必要があります。
広告やSNSの単体の成果だけに走ると、組織としての意味は薄れて
しまいます。施策ごとの個別最適化に過ぎず、プロの外注に頼んだ方がうまくいく場合もあります。



そのため、マーケティング組織を立ち上げた当初の目的を忘れた場合は、組織はうまく機能しません。
対処法としては、一度原点に立ち返り、『その目的を達成するために必要なアクションリスト』を作成して、目的に沿った施策に立ち戻ることが重要です。



ありがとうございます。では、最後にこの記事を見てくださっている
読者の方に、一言お願いします。



今回は、マーケティング組織の立ち上げ方法や、立ち上げのタイミング、うまくいかなかった場合の対処法についてお話ししました。
基本的に、マーケティング組織は、最小規模でも構わないので立ち上げた方が良いと思います。



外注を活用する場合でも、まず「会社として何をしたいのか」ということを正しく言語化し、外注側に理解してもらう必要があります。
これができていなければ、まともな運用や実務の実行は難しいです。
マーケターは魔法使いではないため、契約をしたからといって自社の理解度がいきなり100%になることはありません。
外部から得られる情報はせいぜい5%程度です。



そのため、社内にマーケティング組織がある場合は、「会社として伝えたいこと」を言語化できるチームを作ることが重要です。
そして、そのチームの力と、外注による個別施策の最適化力を組み合わせることで、うまくいくケースも多くあります。



ただし、個別施策の最適化だけを重視して「この施策だけやれば良い」という考えであれば、無理に社内にマーケティング組織を作るよりも、外注に任せた方がコストパフォーマンスは良いでしょう。



いずれにしても、マーケティング組織の立ち上げは非常に有効ですが、注意すべき点も多くあります。
経営者が想定しているよりも、10倍ほど手間がかかると思ってください。
「マーケティングのチームが社内にあったら楽だよね」という安直な
発想で立ち上げないよう、ご注意いただければと思います。











