
カスタマージャーニーマップってなんですか?
これはどうやって作って、何に効果があるのでしょうか。



カスタマージャーニーマップは、商品やサービスをお客様が認知してから購入するまでの一連の流れを視覚化したものです。



商品やサービスを買うときは「こういうことで困っている」といった問題意識や「こうしたいな」といった願望からお客様自身で調べて商品に辿り着きますよね。
もちろん、その場で購入する場合もありますし、問い合わせをしたり比較検討したりする場合もあります。
そういった流れをカスタマージャーニーマップといいます。



どんなのに効果があるかという話ですが、カスタマージャーニーマップをつくることで何かの数字が良くなることはありません。
ですが、つくることでやみくもに施策を打たなくて済むんですよね。
どのフェーズのお客様が、どんなことを考えていて、どんな感情をもっているのか、洗い出したデータをもとに、このような目的で施策を打ちますというところまで言語化するんですよね。



ですので、Webに限らずマーケティング施策の指針というか、基準みたいなものが出来上がると思ってもらえればわかりやすいかなと思います。



このカスタマージャーニーマップって、必ず作るものなんですか?



そうですね、Webマーケ全体を作り直したり、これからやるとなった場合には基本的にやりますね。
それをやらないとどうなるかというと、お客様の気持ちや考えていることに対して仮説を立てられないし一覧化できません。
これが無いと自分以外のプロジェクトメンバーがいるときに認識が揃いにくいんです。



なるほど。これはどの段階で作るべきなんでしょうか。
これからサービスを始めたいときにやるものなのか、この広告を回していきたいなとなったときに作るのか。



それでいうと、商品やサービスを作る前よりは作った後ですね。
例えるとするなら、ここに頭の疲れをとるマッサージ器具があります。これを売ろうとなったら頭がボーっとするな、疲れが溜まっているなという人が、どういう気持ちでどう行動するのかを考えて作っていかないといけません。
これが無い状態で作ろうとしても、誰をターゲットにするのかペルソナが設定されていない状態ですので方向性にズレが生じてきますよね。



全部揃っている状態で、運用を回す前に作るといったイメージですか?



いえ、運用を回すよりはだいぶ前ですね。
ペルソナを設定した後の、次のタスクがカスタマージャーニーマップ
です。



なるほど、ありがとうございます。
カスタマージャーニーマップはどうやって作るのでしょうか。



そもそも、自社の商品やサービスを売ろうとしたときに、お客様がどういう流れで購入に至るのか、全体の流れを作らなくてはいけません。
例えば、「こういうふうにしたいな」といった考えから調べ出して、他のものと比較検討をして買おうというものもあります。



また、保険みたいなものもありますね。
「保険に入りたいけれどどうしよう」となったときに、
・まずは情報収集をする
・他のプランと色々比べながら保険の窓口に行って相談する
・その後、家に持ち帰って再検討をする
ということもあるわけですよ。
持ち帰って再検討をして、また来店をして、それを繰り返しながら決めていくわけです。
内容の詳細やサービスによって売れるまでの導線が違います。



ですので、その導線がどうなっているのかを洗い出す必要があります。
それらの各フェーズを横軸に並べていきます。



縦軸の項目はシーン(どの場面か)を入れていきます。
・どこで課題の認識をするのか
・どこで認知をするのか
・どこで興味関心を持つのか
・どこで情報収集をするのか
といったことですね。



先程の例で挙げてみますと、疲労感を感じるときはいつなのでしょうか。
・仕事帰りの電車の中
・自宅で一息ついたとき
などといったシーンを具体的に入れていきます。



そして、次は各チャネルですね。
どういう経路でこの課題を認識するのか。自分の心の中だけで認識することもありますし、そうでない場合もあります。



例えば、経営者の思うようにスタッフが動いてくれないといった問題があったとします。
業務の最中や人に依頼したときに「(スタッフが)思ったように動いてくれないな」と思うシーンがあって、それはどういったタッチポイントで思ったのか、外注にタッチしているときにそういった状況が発生することが分かったとしましょう。
まずは、そういったタッチポイントやチャネルを埋めなければいけません。



その次は行動ですね。
その課題を認識し、今の経営者が思うようにスタッフが動いてくれないとなったときに、どういう行動をしているのかという話です。
例えば、誰でもできるはずの作業をスタッフが動いてくれないからと
経営者自身がやってしまっているケース。
人に仕事を任せることができないので自分の時間は当然空かないし、
外注しなくて単にいい人材が見つからないからだと自身に言い聞かせてるだけ、みたいなことですね。



そういう場合は、思考を探ってより具体的な行動を書きます。
自身がどういうことを考えて、どういう思いでいるのか。
例えば、経営者が、「思うように人が動いてくれない」となったときに
考えることとして、「なんで思い通りにならないの?具体的な指示を出してるじゃん」のように。



また、良いことも悪いことも含めて、
「この前言ったよね」
「前にも同じこと言ったじゃん。同じフィードバックしたじゃん」
「うちのスタッフってあんま仕事を任せられないんだよな。高い費用を払ってどっかの法人に丸ごと任せるしかないかな」
とかですね、こういうことを思うわけですよ。
思ってる気持ちとその心の中の気持ち、頭の中の感情や思考ですね。
そういうものを入れていきましょうってのが、そこの思考と感情です。



その次にやらなきゃいけないこととしては、課題の認識というフェーズの中で、
・シーン
・チャネル系タッチポイント
・行動と思考・感情
など、それらのフェーズにいる人たちに対して、何を伝えなければならないのか、何が伝わってなければならないのかを言語化することです。



例えば、経営者側が「思い通りにならないなと思うように人が動いてくれない。なんで思うようにならないんだろう」とイライラしてるだけじゃなくて、そこにはちゃんと理由や原因があるんです。
今は自分が仕事を巻き取り続けても別に構わないけれども、中長期的な目で見ると経営にリスクがあるんですよ。



別にスタッフで業務を回すことにこだわらなくても、やり方はいろいろありますよね。
自動化したり、そもそも業務をなくしたりとか、あとは指示を出していてもなんで業務ができないのか理由があって、ちゃんと伝えなきゃいけないよねみたいなことが入ってきます。



そういうものを伝えなければならない、理解させなければならないものとして必要な対応施策って何かというと、
・公式サイトに書く
・オウンドメディアに書く
・動画コンテンツを作る
・セミナーを開催する
・SNS広告を出す
などですね。



要は全体を通していくと、どういうフェーズがあって、シーンやタッチポイントなりチャネルなり行動と思考か、というこの5つの点で、
・どのフェーズにお客様がいるか
・どういう客層なのか
・お客様はどういう状態なのか
ということを言語化します。



それに対して、
・我々は企業として何をすべきなのか
・そのための施策として具体的に何をしなければならないのか
を落とし込んでいくというのが、カスタマージャーニーマップの
各フェーズの構成になっています。



ですので、当然これを課題の認識として、次に情報収集や比較検討、
行動……みたいな感じで、フェーズごとに作るという感じですね。
そうすると、最終的に全フェーズのお客様の行動・思考の仮説、対応
施策みたいなものが、全部一覧化または言語化されている状態になり
ます。



なるほど、これがあるかないかで全然違いますね。



違いますね。



基本的には、皆さんこれを作っているということなんですよね。



うちで対応させていただいている以上は全部作っています。



カスタマージャーニーマップを作っていない企業もあるんでしょうか。



そういうのを作らないでやる人たちもいるとは思います。
例えば、適切なコンサルを受けるコストがなかったり、「カスタマージャーニーマップを作るのに労力がかかるからやりたくない」と言ってやっていないところは、多分実際に存在します。



なるほど、そういうことですね。
確かに、今のお話を聞くと時間がかかりそうですもんね。



そうですね、作るのは大変ですよ。



そうですよね……。
けど、ここでちゃんと作らないと、意味のないものが出来上がっちゃいますよね。



そうです、そうです。



そのカスタマージャーニーマップを見直すタイミングって
あるのでしょうか?



もちろん定期的にはあるんですけど、シンプルにわかりやすく言うとやってみてうまくいかなかったときですね。
例えば、情報収集をしてる人たちにリスティング広告を出したけど、
思ったような反応が得られない場合、どこかが間違っているんですよ。商品やサービスがお客様の求めるものとズレているのか、それとも
こっちが想定してるお客様の感情や思考、行動がズレてるのか、とか
ですね。
そういうときは、どこが間違っていそうか当たりをつけていきます。



リスティング広告で出したメッセージと、それに対しての反応を見ながら、「このメッセージで反応していないということは、この感情と、
この行動がおそらく仮説として間違ってるから変えよう」と、そういうことですね。
細分化していれば、ボトルネックを見つけられます。「何が悪かったの?」という点に対して、「リスティング広告のメッセージが刺さってないみたいです」と。



その点でカスタマージャーニーマップを作っておくと、
・リスティング広告は情報収集層に向けて、こういったメッセージを出したが、結果は効果が無かった
・目標が達成できなかった
・それは何故かというと、情報収集の中のこの感情が読み違っていた可能性がある
・そのため、次はこういった感情に読み替え、他の仮説を作って新たに考えたメッセージをテストする
みたいなことが可能なわけです。どこが悪かったのか仮説とその原因みたいなのを組めるのでPDCAを回せるんです。



どうやら良くないようだと思っていても、訴求が刺さっていないとPDCAを回しようがないですよね。
ドラクエとかで、仲間になりたそうにこちらを見ているのと変わらないです。



確かに!



何も進まないよねそれ、みたいな。
こちらを見ていても、何も進まないですよね。



なるほど、それをしてるってことですね。
確かにそれじゃあ駄目ですもんね。
わかりやすかったです。ありがとうございます。

