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マーケターは社内で育成するべき?外部に委託するべき?

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Webhit 編集部

今回は、「マーケターは社内で育成するべき?外部に委託するべき?」
というテーマについてお話しいただきたいと思います。
よろしくお願いします。 

大澤 要輔

はい、お願いします。

Webhit 編集部

早速ですが、 ずばりマーケターは社内で育成するべきなのか、
外部に委託するべきなのかどちらなのでしょうか。 

大澤 要輔

難しいところですが、理想的には社内で育成すべきです。
しかし、中小企業だと非常にマーケティングを強化している会社でない限り、マーケターが何人も揃っている会社は、ほとんどありません。
社内で育成すると1人マーケターになります。

大澤 要輔

そうすると、マーケターは自分たちの会社のマーケティングしか
やらないため、幅広い業種での経験やさまざまな施策の知見は入って
きません。これにより、ノウハウが「硬直化」します。

大澤 要輔

他業種のことは分からないし、自分たちのやっている施策や目の前で
やっている施策以外のことは分からない状態になります。
知見がどんどんそこに集約されて、狭く深い世界になるということ
です。

大澤 要輔

そして、ノウハウが硬直化して、目の前のものばかり目指すように
なった結果、最終的にどんどん視座が下がっていきます

Webhit 編集部

社内で育成する場合、ノウハウが硬直化するデメリットが
あるのですね。

大澤 要輔

そうです。
例えば、リスティング広告が取れている会社だったら、予算をそこに
割いてリスティング広告をとにかく頑張るようになります。

大澤 要輔

ほとんどの経営者に今成功しているGoogleのリスティング広告と、
全く効果が分からない新しい施策のどちらをやりますか」と尋ねたら、多分ほとんどの場合Google広告の方に予算が割かれるんです。

大澤 要輔

新しいものを次々試す経営者は、実はそんなに多くありません。
ほとんどの場合、ノウハウの硬直化があって、さらに予算をそこに
つぎ込まれるので、より目の前の施策の数字ばかりになっていきます。

大澤 要輔

しかし、本当に会社としてやらなければいけないのはグロースハックではなくて、マーケティング活動です

大澤 要輔

・お客様が今何を考えているのか
・お客様は何を必要としてるのか
・お客様にこのコンテンツは届いているのか

といったことを見ていく必要があります。

Webhit 編集部

数字ばかりになってしまうのはよくない傾向ですよね……。

大澤 要輔

はい。しかし、いつの間にかそういうのが思いつかなくなって、
頭に入ってこなくなるんです。

大澤 要輔

私にもそういう経験がありました。
広告の運用ばかりやっていて、その時には広告の管理画面のことと、CPAのことしか考えられませんでした。
考えても、せいぜいGAやLPぐらいまででした。
昔は、お客様にインタビューする発想はありませんでした。

大澤 要輔

やはり、特定の業務や同じ業界のものばかりやっているとそうなって
いくんです。
もちろん、その一定の業務の範囲であるとか、一定の業界で知見が深いということ自体はスペシャリティではあるので、それはそれで素晴らしいことではあります。

大澤 要輔

しかし、中小企業において、社内で1人マーケターとして育っていくと
いう環境を前提に考えると、ノウハウが硬直化するので、非常に危険
です。本当はやるべきことをやらないで、現状維持を選びやすくなっていきます。

大澤 要輔

マーケターとして入れて育ててきたはずなのに、いつの間にか、
マーケティングの作業者、作業代行者になっているという状態が
よくあります。

大澤 要輔

そのため、理想的には社内で育成するべきですが、そういう状況が
起こりやすいということを加味しなければなりません。
その状況をどうやって打破するのかというと、外部のさまざまな業種をやっている人を常々顧問につけておく、アドバイザーとして直接つけておくことが必要です。

大澤 要輔

さまざまな知見や新しい発想を常に入れながら、新陳代謝を促すというのを意図的にやるというのは、1つの解決策になり得ると思います。

Webhit 編集部

マーケティングの作業者にならないように、対策も必要なのですね。

大澤 要輔

そうです。これは「内製化」とも言いますが、内製化は必ずしも安く安上がりではありません

大澤 要輔

マーケターを育てようと思ったら、マーケットを見させる必要が
あります。マーケットを見させずに、改善作業や運用作業ばかり
やらせるから、マーケターではなく作業者になってしまうのです。

大澤 要輔

経験をさせようと思ったら、さまざまな経験を積んでもらうための投資
コストもかかりますよ。
教育をさせようと思ったら、教育をするために顧問をつけたり支援をつけたりするコストもかかります。
そのため、必ずしも内製化したから安くなるとは限らないのです。

大澤 要輔

結論として、「ノウハウが硬直化するリスクを理解し、それでも教育して社内に1人マーケットを置いておきたい、その人と一緒にやっていきたい」という人は、内製の方がいいと思います。

Webhit 編集部

なるほど。 デメリットの方が大きいというお話のように思いますが、
社内でマーケターを育成することのメリットはないのでしょうか。 

大澤 要輔

もちろんメリットもあります。外注よりも自社事業をより深く理解してくれることはメリットと言えるでしょう。社内の関係者と従業員という形でつながってくれているため、単純に連携が取りやすいです。

大澤 要輔

社内にいるマーケターが自分たちの集客の施策などを運用して
くれると、より理解度が高い運用ができることはメリットです。

Webhit 編集部

なるほど。
そうは言っても、メリットに対して、デメリットが多いようなイメージがありますがどうでしょうか?

大澤 要輔

自社の理解度が高い状態で運用ができるというのは、非常に大きなメリットなんです。

大澤 要輔

外注の会社に依頼して、解約する会社の20~30%ぐらいが「外注先が
自社のことをあまり理解してくれなかった」という理由で解約します。

Webhit 編集部

なるほど。

大澤 要輔

そのため、やはり自社の理解をしてくれて、どういうことをやりたいのか、どういう方向に持ってきたいのかを理解してくれて、一緒にやろうとしてくれる会社は、外注だと非常に稀です。 

大澤 要輔

弊社のような支援会社もそうですが、基本的にはお客様の情報をフレームワークや、ヒアリングシートのようなものに当てはめて理解することが一般的です。

大澤 要輔

しかし、自社の中にマーケターがいる場合、

・従業員が毎日どういう顔で出勤をしてきているか
・実際に、どういう作業を目の前で行っているか
・実際の社内のお金の動きはどうなっているか
・今月の売上がリアルタイムでどう上がっているか

などをリアルに見ているでしょう。

大澤 要輔

SNSでお客様からどんなDMが届いているのか、リプライでどういう返信が来ているのかといったことも全部つぶさに見ているのは、社内の人間です。

大澤 要輔

会社改造の場合でも、社内の人間は自分たちの会社の業務内容についての解像度が高いので、メリットは非常に大きくなります。

大澤 要輔

先程お伝えしたのはデメリットというよりはリスクです。
社内にマーケターがいると外注コストがかからないし、都合のいいことばかりに見えるんです。しかし、人件費がかかっているんです。

Webhit 編集部

そのリスクをはらみながらも、育てることを決断できるかどうかというのがポイントでしょうか。

大澤 要輔

そうですね。教育のリスクを理解したうえで、会社が雇用をしたらその人がやって結果が出なくても簡単に諦めてすぐ解約できないため、経営者側には胆力も必要です

大澤 要輔

「どうやってもこの人を成長させる」ということが必要なので、そこを含めてリスクを許容できるのであれば、内製化が理想的です。
許容できないのだったら、外注化を検討いただいた方が格段にいいと
思います。

Webhit 編集部

ありがとうございます。今もお話に出てきましたけれども、マーケターを外部に委託するメリット、デメリットについて教えてください。

大澤 要輔

はい。まずメリットは、依頼すればプロが早い段階で運用を始めてくれることです。時間軸としては早くなります。

大澤 要輔

他には、さまざまな業種を経験しているプロのため、他業種の知見を
取り入れられることもポイントです。
あとは、自社よりも専門性の高いところの領域で仕事をしているため、何がうまくいくか、何がうまくいかないかのデータを持っており、
より高い成功確率で戦略の運用ができます。

Webhit 編集部

早く運用できるのはメリットが大きいですね。

大澤 要輔

はい。デメリットは、外注なので自社のことを理解してくれない会社が多いことです。
ヒアリングシートを埋めて理解したという会社が多いですが、ヒアリングシートを埋めるだけで理解できるものではないと思っています。

大澤 要輔

本当に大事な現場の温度感は、実際にその現場を見に行かないと分かりません

大澤 要輔

・経営者が「売上を上げたい」と言っていても、現場はそんな雰囲気になっていない
・経営者は「どんどん決めて前に進めたい」って言ってるけど、社内に慎重派の役員がいる

といった、力関係のようなことも含めて把握する必要があります

大澤 要輔

例えば、飲食店などに実際に行ってみても、

「来店してくれているお客様はどういう顔をして帰っていくか」
「お店に入った時や注文するとき、どういう顔で見ていくか」

などは、経営者にヒアリングしても出てきません。

大澤 要輔

「お客様は何十代の方が多いです」
「女性の方が多いです」
「平均単価はいくらぐらいです」

といった情報しか出てこないんです。

大澤 要輔

それはまとめられた情報や数字なので、実際には、「昼に来ているのは
主婦層が多い」というだけで、「夜になると実は大学生が多く来ている」といったこともあり得ます。

大澤 要輔

そのうえ、出された平均値は社長やオーナーが見に行っている時間が、たまたまそうだっただけの可能性もあります。

大澤 要輔

そのため、お客様や会社を理解するために、実際に現場を見に行くというのは、非常に大事です
それを効率化するためにやらない会社が非常に多くなっていて、この
泥臭い作業を理解してくれる会社は少ないです。

Webhit 編集部

お客様や会社を理解するために、実際に現場を見に行くことをしないのは、大きなデメリットですよね。

大澤 要輔

そうなんです。あとは自社にノウハウが貯まりにくいです。
外注の会社からすると、ノウハウだけ抜かれて契約を解約されるというのが一番リスクになります。

大澤 要輔

弊社はノウハウを出すこと自体は、別にマイナスではないという考えを持っているので、どんどん出していきます。

大澤 要輔

マーケは1ヶ月単位で全く状況が違うということがよくあるので、
先週は通用したことでも今週は通用しないということがあります。

大澤 要輔

そのため、ノウハウがお客様に残っても、それだけで解約されるということは、そのノウハウ以上のものは出てこないということです。

大澤 要輔

弊社の場合、現在動画をYouTubeに月8本、TikTokに月15本アップして
いるんです。
他にも、お役立ち資料を月に1本作って、ウェブアーカイブセミナーも
月1本作っています。

大澤 要輔

SEOのメディアも月に10本から20本ぐらい記事を出しているので、
その辺の中小企業にまず負けるわけがありません。

大澤 要輔

弊社の営業利益の約70%以上は、マーケティングの新しい策に投資していて、行動や経験の量が全く違います。

大澤 要輔

そのため、あまりノウハウを出したがらない会社は、多分それだけを持っている会社なので頼まない方がいいと思います。
一般的な外注をすると、そういう人たちが多いので、気をつけていただいた方がいいと思います。

Webhit 編集部

社内でやるのが一番理想的なのだと思うのですが、まずは外部に委託をして、徐々に内製化していくということは可能なんでしょうか?

大澤 要輔

可能です。
しかし、まず外部に委託して徐々に内製化していくというのは、一見正解のように思われますが、基本的にはやめた方がいいでしょう。

Webhit 編集部

そうなんですね。なぜ、やめたほうがいいのでしょうか。

大澤 要輔

理由としては内製化する上で最も超えなければならない障壁が、一番最初にあるからです。

Webhit 編集部

なるほど。最初が肝心なのですね。

大澤 要輔

そうです。そのため、一番最初の一番大変なところを外注に任せて、ある程度運用が乗ってから内製化すると、ただの作業者しか育ちません

大澤 要輔

一番最初期の大変な立ち上げのところを経験していない、内製化された社員が出来上がってしまいます。

大澤 要輔

残念ながら、内製化支援の会社には、最初の2ヶ月は支援会社のほうで
やってから、後半の3カ月、4カ月で内製化して引き継ぐサービスが
よくあります。

大澤 要輔

お客様に受けがいいからそうやっているのでしょうけど、お客様にとってみれば悲鳴物です。
一番大変なところを自分の手で乗り越えて、初めてマーケターとして育っていくのに、そこの過程を全部飛ばすのは致命的です

大澤 要輔

お客様のことを考え抜いたり、広告文や公式サイトに載せる1行の文章を考え抜いたりすることを、お客様に向き合ってやるからできるように
なるんです。

大澤 要輔

そのため、弊社では、「アカウントを0から立ち上げて、自分で設定する」ところから始めます。

Webhit 編集部

アカウントの立ち上げから自分でやるのですね。

大澤 要輔

もちろんレクチャーはしっかりします。
「この設定はどういう意図でそう設定しているんですか?」 と聞いて
答えられなければ、「まず考えて持ってきてください」というのを徹底的にやります。

大澤 要輔

そのため、内製化の支援で関わらせてもらった人たちは、「非常に厳しい」と言いますが、プロジェクトが終わった後は、基本的に私から何かレクチャーや作業の指示出しを受けなくても、できるようになっている状態になります。

大澤 要輔

これは現場で一番大変な立ち上げのところを、短期間で叩き上げて
初めてできることです。

大澤 要輔

そのため、最初から成果を出したいからといって、最初は外注に頼んでやる人もいますが、内製化する上で、最初から成果が出ることは期待
しない方がいいです。

大澤 要輔

未経験の人に任せて1ヶ月、2ヶ月でうまくいくわけありません。
半年から1年は成果が出ないと思った方がいいでしょう。

Webhit 編集部

はい、ありがとうございました。
最後に、マーケターは社内で育成するべきなのか迷っている読者の方に
一言お願いします。

大澤 要輔

いろいろお話ししましたが、言いたいことは「内省化するなら、外注
する何倍も覚悟を持ってやってください
」ということです。

大澤 要輔

「外注すると安くなります」と聞こえのいいことを言って、内製化支援を売りつけている会社もあるみたいですが、そんなわけはありません。

大澤 要輔

まずマーケターを1人雇用したら、社会保険料がかかります。社内の人にやらせても、その人がマーケティングの仕事に集中するのであれば、
「その人がもともとしていた仕事は誰に移すの?」という話が出ます。

大澤 要輔

そして、その人がマーケターとして動いたとしても、未経験なので、半年か1年は成果が出ません。そのうえ、1人で固執してやっていたらノウハウが硬直化するため、いいことばかりではありません。

大澤 要輔

もちろん、自社の解像度が高い状態でできる、運用ができるなど、素晴らしい面も多くありますが、 内製化するのは非常に覚悟が必要です。

大澤 要輔

その覚悟がないのであれば、外注を探した方がいいと思います。
その方が手っ取り早いと思います。

大澤 要輔

しかし、「自分たちのその体制をこの半年、1年かけてしっかり作る」
「この半年、1年で、成果がなくても仕方ない」といった覚悟を持って
やれる会社は、内製化に踏み切っていただいた方がいいと思います。

大澤 要輔

そうでない場合は、外注したほうがいいと思います。
その外注先の1つとして、弊社も力になれると思いますし、内製化支援もできるので、ご相談いただければと思います。

Webhit 編集部

ありがとうございました。

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この記事の執筆者・監修者

大澤 要輔のアバター 大澤 要輔 『Webhit(ウェビット)』編集長

【プロフィール】
マーケティングメディア『Webhit(ウェビット)』の編集長。運営元の株式会社FlyEde 代表取締役を務める。中小企業経営者へのコンサルティングは累計3,000回以上。Webマーケティング × 組織構築 × 人材育成の3つの領域を中心に、年商5,000万円~数億円前後の領域で売上を伸ばす仕組みを構築。

【保有資格】
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