「ABテストが意味ないって本当?」
「そもそもABテストのメリットは?」
例えばWebサイトやWeb広告の運用を行う上で、ABテストを検討している担当者の方もいるのではないでしょうか?ABテストは、マーケティングや製品開発などの分野で広く使用される実験的な手法の一つです。異なるバージョンの広告や製品機能などを比較して、どちらがより効果的かを評価するために使用されます。
しかし、テスト中に外部の影響を受けると結果に影響を与えてしまうなどの理由で、中にはABテストは意味がないのでは?と思う方もいるでしょう。
そこで本記事では、ABテストは本当に意味がないのか、実行するメリットとデメリットを解説します。
ABテストを考えている担当者の方は、本記事をぜひ最後までご覧ください。
そもそもABテストとは?
WebサイトにおけるABテストとは、バナー広告やWebサイトを最適化するためのテストです。特定の要素を変更したページを2パターン以上用意して、どちらのパフォーマンスが高いか評価します。別名、スプリットテストとも呼ばれる手法です。
例えば、基準となるページをA、特定の要素だけ変更を加え試験的に運用するページをBとし、どちらのページの反応率がよいか比べます。
このように、特定の期間に一部分の要素だけ変更を加えたページを2パターン以上用意し、より高い成果を得られるパターンを検証します。さらにそこから改良を重ねて、繰り返し検証を行なうのがABテストの一般的なやり方です。なお、ABテストとあるものの、2パターンではなく3パターン以上でテストすることもあります。
さまざまなパターンでABテストをしていくことによって、クリック率やコンバージョン率を向上するためにどうすべきか、最適なアプローチ方法を見つけ出します。
ABテストは意味がないって本当?
中には、ABテストは意味がないと述べる方もいます。しかし、結論から述べるとABテストに意味がないのは間違いです。そもそも、ABテストに意味がないといわれているのは、前提条件が異なっていたり、ABテスト自体が目的になっていたりするためです。
ABテスト自体が目的になっていると、適切に検証ができなかったり、検証結果を上手に活用できなかったりします。前提条件と目的を明確にして、精度の高いデータを収集するのが第一歩です。
さらに、ABテスト中に外部の要因が変化すると、実験結果に影響を与える可能性も否めません。季節の変化やマーケットの動向などが該当します。テストというと短期的な結果を求めますが、一部の変更が時間の経過とともに長期的な影響をもつ可能性があります。短期的な結果だけに頼っても、正確なデータは収集できず誤った判断を導くため注意しましょう。
ABテストは思いつきのままテストを実行しても、思うような結果につながりません。これからABテストを行うのであれば、事前に目的や前提条件を明確に決め、結果に影響を及ぼすであろうさまざまな要因を考慮する必要があります。
ABテストを行うメリット
ここでは、ABテストを行うメリットを解説します。
具体的なメリットは、以下の3つです。
- 根拠に基づいた改善策がわかる
- 低コスト・低リスクで改善ができる
- サイト全体のパフォーマンスアップにつながる
ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。ABテストを行っていない方は、これから紹介する内容を参考に導入を検討してみてください。
根拠に基づいた改善策がわかる
ABテストを行うことで離脱率が高かったり、CV率につながらなかったりする原因がわかるため、根拠に基づく改善策がとれます。実際、ABテストを行うまでは、なんとなく感覚的に根拠のない改善策を考えていた方も多いのではないでしょうか。根拠のない改善策は、成果を得られなかったときに原因の追究に時間がかかります。
また、仮に成果を得られたとしても、ほかのサイトで応用ができません。一方、根拠に基づいた改善策であれば、原因にたどり着くまで時間がかかりません。さらに、その経験をほかのサイトに活かすことも可能です。つまり、ABテストを行うことで最終的にビジネス全体の成果を早く得やすくなります。
低コスト・低リスクで改善ができる
すでにあるサイトをリニューアルすると、数ヶ月以上、数十万円以上の費用がかかります。さらに、必ずしもよい成果が得られるとは限りません。場合によっては、リニューアル前のほうが高い成果を出せることもあるでしょう。
一方、ABテストであれば、ボタンの色や形など小さいところから変更を試みるため、コストを大きく抑えられます。また、少しずつ変化を加えていくため、リニューアルほど大きな手間とリスクもありません。仮に成果を得られないとしても、すぐに元の状態のサイトに戻せます。このように、ABテストは低コスト・低リスクで改善できるため、予算やリソースに制限のある企業でも取り組みやすいのが利点です。
サイト全体のパフォーマンスアップにつながる
ユーザーを引きつけるサイトのパターンを把握して改善策に取り組めば、サイト全体のパフォーマンスアップにつながります。その結果、見逃していたかもしれない顧客の獲得につながり、新しい売上を確保できる可能性もあります。
そもそも、品質のよさと売上は比例しません。企業によっては商品自体はいいものの、マーケティングやサイトの構成が理由で、サイトが売れないこともあります。そのような企業では、ABテストは機会損失を防ぐのに有効な手段だといえます。
ABテストを行うデメリット
ここでは、ABテストを行うデメリットを解説します。
具体的なデメリットは、以下の2つです。
- 仮説と効果測定で検証結果の質が左右される
- 継続的に行う必要がある
ABテストはサイト全体のパフォーマンスアップにつながったり、根拠に基づいた改善策がわかったりと、さまざまなメリットがあります。一方で、いくつかのデメリットもあります。これから紹介するデメリットも踏まえて、ABテストの実施を検討しましょう。
仮説と効果測定で検証結果の質が左右される
ABテストで得られる検証結果の質は、仮説と効果測定で左右されます。仮説と効果測定が適切でないと、ABテストをしても具体的な改善策を得られません。ABテストは、あくまで成果を出すための過程だと認識しておく必要があります。
そのためには、最終目標の明確化が必須です。仮説と効果測定が適切であれば、より成果に近づく改善策に導けます。
継続的に行う必要がある
ABテストはある程度のデータが必要になるうえ、継続的に行う必要があります。そもそも、ユーザーの動向や趣向は、世の中のトレンドで大きく変化しています。数ヶ月前まで人気だった製品も、今では話題にならなくなったというのはよくある話です。
特に現在は、SNSやメディアなどの影響が大きいことから、成果を得たとしても短期間の可能性があります。したがって、ABテストは長期的かつ継続的に検証し、検証結果の精度を高めていく必要があります。
ABテストを導入するべきタイミング
ここでは、ABテストを導入するべきタイミングを解説します。ABテストでコンバージョン率の向上や売上の改善を見込めますが、タイミング次第では成果は得られません。しかし、以下に当てはまるのであれば、ABテストで高い成果が見込めます。
- 離脱率が高いとき
- ユーザーの行動喚起の改善を狙うとき
- コンバージョンが増えないとき
ここでは、それぞれのタイミングを詳しく解説します。
離脱率が高いとき
まずは、離脱率が高いときにABテストを検討しましょう。離脱率とは、すべてのページビューで、セッションの最後になったページの割合です。離脱率に似た言葉に直帰率がありますが、直帰率は1つ目のページを訪れて直帰した割合です。
離脱率が高いページの要因はさまざまですが、主に以下のものが考えられます。
- 読者のニーズとズレているコンテンツ
- ユーザービリティが悪い
- 訴求が強すぎる
コンテンツ内容とユーザーニーズに大きなズレがないなら、ABテストで訴求方法を見直してみましょう。訴求方法が、離脱率に影響を与えている可能性があります。
ユーザーの行動喚起(CTA)の改善を狙うとき
CTAの改善を狙うときも、ABテストが効果的です。CTAとは、Webサイトを訪問したユーザーに、具体的な行動を促すことです。購入ページのクリック、内部クリックなどが挙げられます。
ABテストで行う具体的な施策として、ボタンの視認性を高めたり、Webの視線の動きであるFの法則を導入してみたりしましょう。ユーザーがわかりやすいと思うサイトになれば、CTAの改善が期待できます。
コンバージョン(CV)が増えないとき
アクションが起こっていないときは、ABテストで原因を分析してみましょう。CVが増えない原因には、コンテンツ内容とユーザーニーズがズレている、もしくはサイト構造の問題や読み込みの遅さなどが挙げられます。まずはABテストを行い、CVが増えない原因を見つけていきましょう。
ABテストを行うときのポイント
ABテストでより高い精度の結果を得るには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 目的を明確にすること
- 仮説をもって行う
- 実施するときは一箇所ずつ
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
目的を明確にすること
ABテストの目的はCV率や売上の向上であり、ABテスト自体が目的ではありません。ABテスト自体が目的になってしまうと、具体的な改善策を見つけられません。まずはCV率向上、離脱率改善など、具体的な目標を立てていきましょう。
もしもCV率を改善するのであれば、ボタンの色・配置を変えるのが効果的です。離脱率であれば、コンテンツの改善やサイトの構造に問題がないか確認しましょう。1つずつ原因を考えて、ABテストを実施するのがポイントです。
仮説をもって行う
ABテストを行うときは、仮説を立てて検証しましょう。ユーザーの心理やページの特徴などを踏まえた上で、課題が起きている原因を探っていきます。ユーザーの心理や原因の背景を考えることで、結果的に効率よく改善することが可能です。
実施するときは一箇所ずつ
ABテストを実施するときは、一箇所ずつ行いましょう。複数の箇所を一度に改善すると、どこで成果が出たのかわからなくなってしまいます。同時に行うと原因がわからず、結果的に遠回りとなるため、必ず一箇所ずつ実施していきましょう。
ABテストを行うときの注意点
ABテストは仮説を立てたり、一箇所ずつ実行したりと、さまざまなポイントがあります。さらに以下の注意点もあります。
- ABテストを目的にしないこと
- すぐに結果が出ると思わないこと
- 同期間に行うこと
これから紹介する注意点を踏まえた上で、上手にABテストを行っていきましょう。
ABテストを目的にしないこと
ABテストを行うときは、ABテストを目的にしないようにしましょう。先述した通り、ABテストはあくまでCV率や売上を上げるための手段であり、ABテスト自体が目的ではありません。そもそも目的を考えると、ABテスト以外が効果的なこともあります。したがって、まずは課題を明確にして、ABテストが効果的であるかを考えましょう。
すぐに結果が出ると思わないこと
ABテストは長期的に取り組むものであり、すぐに結果が出ると期待するものではありません。そもそも、世の中のトレンドは常に大きく変化しており、短期間の検証で精度の高い成果を得ることは不可能に近いです。
たとえ高い成果を得たとしても、タイミングで偶然の可能性もあります。数日程度のテストで判断すると、誤った判断をしかねません。したがって、テスト期間は短くとも1週間、長くて1ヶ月程度は実施しましょう。
同期間に行うこと
ABテストは同期間に行いましょう。先述した通り、ABテストの結果は世の中のトレンドで左右されてしまうことがあります。そのため、異なった期間に行うと正しいデータを得ることができません。まずは同じ期間に同じだけの検証をして、前提条件が異ならないようにしましょう。その上で入手したデータを分析し、具体的な改善策を考えていきましょう。
まとめ
この記事では、ABテストが意味ないといわれる理由や、行うメリット・デメリットなどを紹介しました。ABテストは前提条件を揃え、行うタイミングを見分ければ十分効果のあるものです。
特にCV率や離脱率で悩んでいる場合、ABテストで具体的な改善策が浮かぶ可能性があります。本記事で紹介した内容をもとに、ABテストでCV率や離脱率の改善に役立てていきましょう。
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