BtoBマーケティングで成果を出すためにはKPI設定が重要です。プロジェクトに適したKPIを設定すれば事業目標の達成に近づけるだけでなく、従業員のモチベーションアップにもつながります。
今回はBtoBマーケティングにおけるKPI設定の重要性から具体的な手順やコツまで解説します。BtoBマーケティングで成果が出ないとお悩みの方は、ぜひ参考にして、プロジェクトに適したKPIを設定してください。
KPIは目標達成までのプロセスを評価する指標
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、目標達成までの進捗(プロセス)を測定する中間指標を指します。KPIを設定することによりマーケティング活動の成果を客観視でき、ボトルネックの発見やスピーディーな課題解決が可能となります。
適切なKPI設定は優先すべき施策を明確にし、目標達成までの戦略を立てやすくするため、BtoBマーケティングには欠かせません。
KPI設定ではKGIとKSFの明確化が重要
KPIと似た言葉にKGIとKSFがありますが、KPIを設定する上ではこれら2つの明確化が重要です。
KPI | KGI | KSF | |
名称 | Key Performance Indicator | Key Goal Indicator | Key Success Factor |
意味 | 目標達成までの進捗を測定する中間指標 | 事業やプロジェクトの最終目標 | 目標達成において重要な戦略、戦術 |
例 | 商談数、新規リード獲得数 | 売上高、利益率 | 集客力アップ、営業機会の創出 |
KGIは、事業やプロジェクトで目指す最終目標です。一般的には、まずKGIを明確にしてから、それを達成するまでに必要なプロセスをKPIとして設定・測定します。またKSFとは、目標達成において、特に重要な活動や戦略を意味します。目標達成への影響が大きい要素を洗い出していくと、KSFを明確化しやすいでしょう。
BtoBとBtoCにおけるKPIの考え方
BtoBとBtoCの大きな違いは購入者の立場で、BtoBは企業、BtoCは消費者を指します。相手の立場に応じてマーケティングの目標やプロセスが変わるため、重視されるKPIも大きく異なります。
例えば、BtoBは購買に至るまでのプロセスが複雑で長期間かかる場合が多い傾向です。一方、BtoCでは消費者が直感で購入する場合が多く、購入に至るまでのプロセスは短期的といえます。
したがって、BtoBでは問い合わせ数や商談数など長期的な目線でKPIを設定します。それに対し、BtoCではWebサイトの訪問数やCV率など、消費者の行動と直接関係している指標をKPIに設定するとよいでしょう。
BtoBマーケティングでKPI設定が重要視される理由
KPIは組織やプロジェクトのゴール達成における進捗管理に活用されており、BtoBマーケティングでも重要視されています。以下で、BtoBマーケティングでKPI設定が重要視されている理由を3つ解説します。
目標達成に向けた施策を打ち出しやすい
KPIを設定すると現状の課題が明確になるため、具体的な施策を打ち出しやすくなります。KPIをもとに日々の業務やマーケティングの成果を具体的な数値で把握すれば、KGIを達成する上で解決すべき課題が明確になるでしょう。
例えば、KGIを「年間販売数を昨年より120個増やす」と設定したとします。その場合、KPIは「月間販売数を10個増やす」「毎月の商談数を10件増やす」などと設定できます。
このように、KPIをもとに現状の課題を明確にすれば、具体的な施策を打ち出しやすくなるでしょう。また、販売数を伸ばすために商談会やセミナーを開催するのも一案です。具体的かつ現実的な施策を考えることで、設定したKGIが現実的かどうかをすぐに把握できるという点もメリットです。
PDCAサイクルを効率的に回せる
PDCAサイクルを効率的に回す上でもKPI設定が重要です。なぜなら、PDCAサイクルを素早く、かつ良質に回し続けることがマーケティングの成果を上げるために必要だからです。
KPIを設定していない場合、実施中の施策のどこに問題点があるのか、何を改善すればよいかが判断しづらくなります。一方、KPIを設定すれば業務の進捗状況が可視化され、課題の把握や改善に取り組みやすくなります。このように、施策の課題を把握しスピーディーに改善を繰り返すことで、KGI達成につながりやすくなるでしょう。
ブランディングにつながる
KPIを設定すれば、顧客の認知度や満足度を定量的に評価でき、さらに定性的情報も併せて分析することでブランディングの成功につながりやすいでしょう。顧客からの評価やブランド認知度は把握しづらい概念であり、費用対効果や成果が見えにくいものです。
しかし、KPIを正しく設定すれば認知度や好感度といった評価を数値化できるため、ブランディングにおけるマーケティング戦略の調整や改善を行いやすくなります。これにより顧客満足度の向上が狙え、リピート率の向上や口コミによる新規顧客獲得にもつながります。そして、最終的にはブランドの認知度が向上するでしょう。
BtoBマーケティングにおけるKPIの設定手順
BtoBマーケティングで成果を出すKPIを設定するためには、手順を踏んで進めていく必要があります。以下で、KPIの具体的な設定手順を解説します。
STEP1|KGIの設定
まずは、事業やプロジェクトの最終ゴールとなるKGIを設定します。KPIはKGIの数値から逆算して決定していくため、曖昧なものではなく、定量的なゴールを設定するのがポイントです。
また、達成までの期限がないと、いつまでに何をすべきかが曖昧なものになってしまうため、必ず期限を設定しましょう。上記2点を組み合わせれば、「◯月までに売上を◯%アップする」といったように具体的な目標が設定できます。
STEP2|KSFの洗い出し
KGIが設定できたら、KSFを洗い出していきます。KSFはBtoBマーケティングで設定したKGIを達成するために必要不可欠な要素といえます。要素の洗い出しは、必ずしも定量的である必要はなく、どうしたらよいか・何をすればよいかといった視点で考える定性的な指標でも問題ありません。
具体的には、販売数の増加・商品やサービスの質向上・検索流入の増加などが挙げられます。
STEP3|KPIの設定
続いて、洗い出したKSFを数値に落とし込み、KPIを設定します。設定時のポイントは、KGI達成に向けた進捗管理を意識し、定期的に効果測定ができるよう具体的な数値にすることです。
例えば、「販売数の増加」というKSFに対しては、新規顧客数やリピート率などをKPIに設定できます。このとき、KGI達成におけるインパクトの大きなものからKPIを設定していくと、成果につながりやすいでしょう。
KSFの洗い出しができていない場合、KGIと無関係な指標をKPIとして設定してしまい、KGIが達成できない可能性もあります。KPIを設定する際には、KGI→KSF→KPIという流れを意識するとよいでしょう。
STEP4|KPIツリーの作成
KPIが設定できたら、KGI達成までの道筋をツリー形式に表した「KPIツリー」を作成します。KPIツリーを作成するメリットとして、以下のものが挙げられます。
- KGI達成までの全体像を可視化できる
- 進捗状況が分かりやすく、施策を改善しやすい
- 関係者や組織間の認識を統一化でき、情報共有がしやすい
業務の効率化を図るためにも、KPIの決定後はKPIツリーを作成して全体像を可視化するとよいでしょう。
BtoBマーケティングで成果を出すKPI設定のコツ
BtoBマーケティングで成果を出すためには、適切なKPIの設定が不可欠です。以下では、KPI設定のコツを3つ解説します。
SMARTの法則に基づいて目標を設定する
KPIには、達成可能で現実的な目標を設定する必要があります。そこで活用したいのが、「SMARTの法則」です。
- Specific:具体的に
- Measurable:計測可能な
- Achievable:達成可能な
- Relevant:関連性のある
- Time bound:時間的制約がある
これら5つの要素を基準にすることで、具体的かつ明確で達成可能な目標を定めやすくなります。これにより、非現実的な目標設定でプロジェクトメンバーのモチベーションを下げてしまうといった事態を避けられるでしょう。
また、設定されたKPIは定量的な指標となるため、目標達成までの進捗状況や施策の成果を測定できます。
継続的な見直しと改善を行う
KPIは一度設定したら終わりではなく、継続的に見直しと改善を実施することが重要です。なぜなら、組織の業績やプロジェクトの進捗状況しだいでは設定した数値を達成することが難しくなり、そのままにしておくと適切ではなくなってしまう恐れがあるからです。
週に1度、月に1度など、定期的にKPIの達成度合いを確認しましょう。これにより、何かしら問題が起きた際でも何が原因であるかすぐに仮説を立てられ、施策の課題を見つけやすくなります。継続的にKPI設定を見直し、目標が達成できそうにない場合は数値自体や施策の内容などを改善するとよいでしょう。
優先順位の高いものを絞り込む
KPIの設定は、達成すべき優先度の高いものに絞り込むことが大切です。複数のKPIを設定すれば、それだけKGIの達成度合いを多角的に分析しやすくなるでしょう。しかし、数が多過ぎても何をすべきか不明瞭となり、最終的にどれも達成できない可能性があります。
目標達成までの効率化を目指すためにも、KPIは優先順位の高い3個程度に絞り込むとよいでしょう。また、候補が多すぎる場合はKPIツリーを活用し、重複している要素がないか確認するのも手段の1つです。
BtoBマーケティングにおける施策ごとのKPI設定例
ここでは、BtoBマーケティングにおけるKPIの設定例を4つ紹介します。各施策においてどのような観点でKPIを設定すればよいかも併せて説明します。
イベント・展示会|過去の参加実績を参考にする
イベントや展示会に参加する場合は、過去に参加した経験があればそのときのデータを参考にKPIを設定しましょう。初めて出展する場合は、イベント主催者から過去データをもらうのも一案です。
例えば、イベントでの目標を「◯件の成約」などと仮定すると、KPIには名刺獲得数や商談数を設定するのがよいでしょう。また、後日とれたアポイント数のKPIを設定し、アポイントに至った経緯や企業の情報を記録しておけば、次にイベントや展示会に参加する際の改善にも役立ちます。
インサイドセールス|活動の量と質を評価する
インサイドセールスのKPIは、営業部門の効率向上や成果を図るために重要な指標を設定しましょう。例えば、コール数・コネクト数・商談化率・受注率などが有効です。インサイドセールスの役割は組織によって異なるため、自社の状況に適したKPIを設定することが重要です。
また、インサイドセールスは営業部門だけでなく、マーケティング部門とも密接に関わります。各部門から適切なフィードバックをもらえるよう、積極的にコミュニケーションを取ることも心がけましょう。
カスタマーサクセス|顧客の感情を数値化する
カスタマーサクセスは顧客満足度の向上が役割のため、顧客の感情を数値化したKPIを設定します。具体的には、NPS(顧客満足度)、LTV(顧客生涯価値)、リピート率などが挙げられます。
カスタマーサクセスで重要なのは、顧客の目的達成を後押しできているかどうかです。自社の商品やサービスが悩みをどのように解決できるのか、どのように利用すれば顧客満足度が向上するかといった観点を大切にしましょう。そのためにも、顧客のニーズや自社の商品・サービスに関する理解を深めることが重要です。
Webサイト|フェーズに応じてKPIの指標を変更する
Webサイトの運用におけるKPI設定では、フェーズごとに指標を変更していくことが重要です。立ち上げ初期はコンテンツが少ないため、コンテンツの作成数や公開数をKPIに設定し、コンテンツ作成に注力できるようにするとよいでしょう。
コンテンツ数が増えてからは、集客力向上を達成するKPIを設定します。例えば、PV数やサイト回遊率などです。さらに、集客力がついてきたら、問い合わせ数・CV率・受注率など売上アップに直接つながるような指標をKPIとして定めましょう。
このように、フェーズごとにKPIとする指標を変更し、高い集客効果を見込めるWebサイトへと成熟させるのがポイントです。
まとめ
BtoBマーケティングで成果を出すためには、適切にKPIを設定することが重要です。KPIはKGIやKSFを明確化することで、具体的な数値を設定できます。
また、定期的にKPIを見直し、目標達成が難しければ数値変更や施策改善を行いましょう。今回紹介したKPI設定の手順やコツ、施策ごとのKPI設定例を参考に、BtoBマーケティングの売上アップにつなげてください。
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