近年、スマートフォンやパソコンの普及により、動画市場が発展しています。テキストやバナー広告だけでなく、購入促進に大きな効果が期待できる動画広告を取り入れる企業も増えてきました。しかし、動画広告の作り方がいまいちわからないといった企業も多いでしょう。
今回は、動画広告の作り方や効果を上げる制作のコツをご紹介します。また、配信先となる媒体の特徴や動画広告を取り入れるメリットまで詳しく解説しますので、ぜひこの記事を、動画広告を作成する際の参考にしてください。
動画広告の作り方|目的設定から配信までの流れ
動画広告は、以下の手順で作成します。
- 動画広告の目的や得たい成果を明確にする
- ターゲットとなるペルソナを設計する
- 配信する媒体を決定する
- 目的やペルソナに合わせたメッセージを決める
- 動画広告の構成を考える
- 動画広告に使う素材を編集して配信する
動画広告ができるまでの流れを把握し、視聴者の行動につながる広告を作成しましょう。
動画広告の目的や得たい成果を明確にする
はじめに「メッセージの一貫性を保つ」ための目的や目標の設定を行います。
動画広告を制作をする目的には、「ブランディング」「認知度拡大」「購入促進」などが挙げられるでしょう。目標は「Webサイトアクセス数20%増加」「売上3割増加」など、具体的な数値を設定します。
目的や目標が不確かだと動画の内容がユーザーに伝わりにくく、思ったような効果を上げられません。そのため、目的と目標の明確化は動画広告を作成する上で重要な工程です。
ターゲットとなるペルソナを設計する
目的や目標を明確にしたら、ペルソナを設計しましょう。性別や年齢、仕事、趣味などを詳細に決めることで、ターゲットに沿った動画広告の作成を行えます。
また、抱えている悩みや課題も明確にすると、ターゲットの行動を促す効果的なメッセージや動画の構成を作成しやすくなります。ペルソナの設計が不十分だと、目的や目標の達成が難しくなるため、丁寧に取り組むことが重要です。
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配信する媒体を決定する
動画を配信する媒体を決める際は、ペルソナが利用する頻度の高いプラットフォームを選びましょう。媒体によって動画のサイズや再生時間、配信方法が異なります。
また、媒体によって利用者層が異なる点にも注意してください。例えば、若年層の認知拡大につなげたいのであれば、メインユーザーが10~20代になる「TikTok」が適しているでしょう。
目的やペルソナに合わせたメッセージを決める
目的やペルソナに向けたメッセージを具体的に決めましょう。競合の分析を通じて、自社の強みや優位性が伝わる内容を考えます。また、自社の商品やサービスの魅力を的確に伝えることも重要です。
さらに、複数のメッセージを用意し、それぞれの効果をペルソナごとに検証・分析します。これにより、効果的なアプローチ方法を発見できます。
動画広告の構成を考える
ストーリー性のある動画広告を作成するには、構成作りが重要です。動画広告の構成を作る際は、「AIBAC」「ABCD」「CAMS」などのフレームワークの利用がおすすめです。
フレームワーク | 概要 |
AIBAC | ・A:Attention(注意を引く) ・I:Interest(興味を引く) ・B:Benefit(利益を伝える) ・AC:Action(行動を促す) |
ABCD | ・A:Attract(ひきつける) ・B:Brand(ブランド) ・C:Connect(つながる) ・D:Direct(誘導する) |
CAMS | ・C:Catch(つかみ) ・A:Appeal(アピール) ・M:Motivate(動機づける) ・S:Suggest(行動を促す) |
興味を引く内容の動画を制作するだけではなく、目的によって動画構築の流れを考える必要があります。フレームワークを活用して、動画の構成を考えましょう。
動画広告に使う素材を編集して配信する
動画制作の最終段階では、構成に基づいて必要な動画素材を集め、編集作業を行います。必要に応じて、動画用の撮影やオリジナルイラストの制作を行う工程も入ります。
編集は動画のカットやテロップの挿入のほか、イラストに動きを付けたり、ナレーションやBGMを挿入したりする流れです。最終調整を加え、完成後に配信を行います。
効果を引き出す動画広告の制作ポイント
動画広告の効果を最大化する3つのポイントを紹介します。
- 動画の始まり数秒間でペルソナをひきつける内容を伝える
- テロップ挿入で直感的に伝わるようにする
- CTA設置でユーザーに行動してもらう
紹介するポイントを押さえて動画広告を制作すれば、設定した目的や目標の達成に近づくでしょう。
動画の始まり数秒間でペルソナをひきつける内容を伝える
動画の冒頭数秒間は、第一印象を決める重要な瞬間です。ターゲットとなるペルソナが興味を持つポイントを冒頭にすることで、視聴完了率を高められます。
例えば、ペルソナが抱える悩みや疑問を動画の冒頭で提示し、共感を呼ぶような内容にするのも効果的です。また、動画で得られる具体的なベネフィットを明確に示せば、視聴者の興味を引き付けます。
動画の冒頭でペルソナの心を掴めれば、最後まで視聴してもらう確率が高まり、動画の効果を最大限に引き出せるでしょう。
テロップ挿入で直感的に伝わるようにする
動画広告を視聴している方の中には、音を出せない環境下にいる場合があります。テロップを挿入すれば、音声だけでなく視覚からもキャッチできる動画広告になります。
例えば、キャッチコピーやキャンペーンの詳細、行動喚起につながる言葉などをテロップで表示することで、広告内容を直感的に理解できるでしょう。テロップの挿入は情報伝達力を強化し、広告効果の向上につながります。
CTA設置でユーザーに行動してもらう
動画広告の最後にはユーザーの行動を促す「CTA(Call To Action)」を設置しましょう。例えば、資料のダウンロードが目的なら「ダウンロードはこちらをクリック」や、商品の購入を目的とするなら「購入はこちらから」などです。
CTAを設置することで、ユーザーは申し込みや購入をしやすくなります。これにより、広告の目的達成に近づけるでしょう。
動画広告の主要な配信媒体
動画広告の配信で利用される媒体を6つ紹介します。
- LINE
- TikTok
- YouTube
- X(旧:Twitter)
それぞれの特性を理解し、自社の商材に合った媒体で動画広告を配信しましょう。
LINE
LINEは個人間でのトークに特化したSNSです。利用者層は10代~60代と幅広く、ほかのSNSと比べても利用者数が多いです。LINEでは企業や店舗が開設できる公式アカウントがあり、ユーザーは自らの意思で公式アカウントにともだち登録を行えます。
公式アカウントに登録しているユーザーは、商品やサービスに興味を示しているため、購買意欲が高い層に該当します。このため、商品やサービスの魅力が伝わる動画を投稿すると購入の後押しができるでしょう。
また、LINE広告では「LINE広告ネットワーク」といった機能があり、LINE独自の膨大なデータを活用したターゲティングにより広告の配信が可能です。
Instagramは、画像や動画を中心とした視覚的な情報伝達に特化したSNSです。10代〜40代まで幅広い年齢層のユーザーを抱えており、視覚的な魅力を活かしたマーケティングに適しています。Instagramでも動画広告の配信は可能で、ユーザーの目に触れる機会や目的によって以下4つに分類されます。
- フィード広告
- ストーリーズ広告
- リール広告
- ディスカバリー広告
Instagramでは過去に投稿した動画を広告として配信できる機能が備わっています。このため、コストを抑えた広告の運用が可能です。
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Facebookはプロフィール入力時に実名だけでなく年齢や職業といった個人情報を公開するユーザーが多いSNSです。特に、ビジネスで利用する30代〜40代の年齢層が暑い傾向にあります。ターゲットを絞り込んだマーケティングを効率的に行えるFacebookでは、3種類の動画広告を配信できます。
- インストリーム広告
- フィード広告
- ストーリーズ広告
FacebookはMeta社が運営しているため、Instagramにフィード広告やストーリーズ広告の配信も可能です。ストーリーズ広告は、縦型の動画広告という特性上、スマートフォンとの親和性が高く、訴求力に優れています。
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TikTok
TikTokは1分以内の短い動画の投稿に特化したSNSで、10代〜20代の若い世代を中心に利用されています。TikTokでは広告配信プラットフォーム「TikTok Ads」を提供しており、配信できる広告は主に以下の3つに分類されます。
- 起動画面広告
- インフィード広告
- ハッシュタグチャレンジ広告
このほか、「ブランドエフェクト」と呼ばれるTikTokならではの広告手法もあり、動画撮影の際にブランド体験の提供も可能です。さらに、ハッシュタグチャレンジ広告との併用により、ブランドの認知度向上を促進する効果も期待できます。
YouTube
YouTubeでは横長の動画だけでなく、縦長の動画であるショート動画(YouTube ショート)も投稿できます。ユーザーは10代から60代までと幅広い年齢層にわたるため、どんな分野でもマーケティング効果が期待できるでしょう。YouTubeでの動画広告は以下6つに分類できます。
- スキップ可能なインストリーム広告
- スキップ不可のインストリーム広告
- インフィード動画広告
- バンパー広告
- マストヘッド広告
- ショート広告
特にショート広告は、YouTubeショートという短尺動画に特化した広告フォーマットです。この広告は、短時間で多くの視聴者にリーチしたい場合や、エンタメ性の高い動画広告を配信したい場合に効果的です。
YouTube動画広告は、目標達成のためのサポートが充実しています。広告の作成から配信、効果測定まで、初心者の方でも無理なく運用するためのツールやガイドを用意しています。
X(旧:Twitter)
Xは画像や動画と共に140字以内のテキストを投稿できるSNSで、10代から30代までの若い世代を中心に利用されています。「リポスト」機能による拡散力の高さ、リアルタイム投稿による情報伝達力の速さが特徴です。動画広告の種類が多く、目的に合わせて最適な広告を選択できます。
- 独立した動画広告
- ウェブサイトボタン付き動画広告
- アプリボタン付き動画広告
- カンバセーションボタン付き動画広告
- 投票付き動画広告
例えば、アプリのダウンロード数を増やしたい場合は、「アプリボタン付き動画広告」が効果的です。Xの動画広告は、さまざまなニーズに対応できる柔軟性を持っています。
動画広告を配信するメリット
動画広告を配信するメリットは以下3つあります。
- 短時間で多くの魅力を伝えられる
- SNSで拡散されやすく認知拡大につながる
- 配信後の効果検証がやりやすい
これらのメリットを最大限に活かすため、ぜひ動画広告を活用したマーケティング戦略に取り組みましょう。
短時間で多くの魅力を伝えられる
動画広告はユーザーの視覚と聴覚に直接働きかけ、短時間で多くの情報を伝達できる有効なツールです。例えば、1分間の動画はWebサイトの3600ページ分に相当する量の情報を伝達できるといわれています。
さらに、テキストや画像と比べて、動画広告はよりリアルな体験を提供し、商品の魅力やサービスの素晴らしさを効果的に伝えられます。
SNSで拡散されやすく認知拡大につながる
動画広告はSNSで拡散される可能性が高く、自社の認知度向上に貢献します。しかし、広告動画を単に制作しただけでは、拡散にはつながりません。ユーザーが思わずまわりの人に共有したくなるような工夫が求められます。
ユーザーが積極的に拡散してくれるような動画広告を作成することで、多くの視聴者の目に触れる機会を増やしましょう。これにより、短期間で認知度を飛躍的に向上させることが期待できます。
配信後の効果検証がやりやすい
動画広告は、インプレッション数や広告クリック数、再生回数、視聴維持率などの指標で、ユーザーの行動を詳細に計測できます。これらのデータは、動画広告の効果を検証する上で役立ちます。
どの広告がユーザーの目に止まりやすいか、どの動画が最後まで視聴されているか、といった情報を分析できれば、広告の改善点を見つけだせるでしょう。また、効果検証を通して、ターゲット層に適切な動画広告を作成したり、配信のタイミングを調整したりもできます。
社内におけるPDCAサイクルをスムーズに回し、より効果的なマーケティング施策の展開が可能です。
動画広告の配信事例
動画広告の配信により顧客の獲得や売上の向上につながった事例を2つ紹介します。事例を参考に動画広告の配信を検討してください。
Netflix
動画配信サービス「Netflix」では、登録者数の増加を目的にInstagramで動画広告の配信を行いました。
映像の中央にブランドロゴを配置したシンプルな演出は、広告を視聴したユーザーに強い印象を与えます。動画広告の配信により、ブランドの認知度が拡大し、結果として売上向上にもつながりました。
株式会社エーザイ
医薬品の製造・販売を行う株式会社エーザイ(以下エーザイ)では、顧客獲得を目的にLINEで動画広告の配信を行いました。
既存の人気のある静止画にアレンジを加えて動画広告を作成し、視覚に訴求するポイントを追加します。ユーザーの購買意欲を損なわないよう自然に溶け込む形で動画広告を配信できたことも功を奏し、新規顧客の獲得・売上の向上につながりました。
まとめ
動画広告は、テキストや画像による従来の広告に比べると、高いパフォーマンスを出せる効果的なマーケティング手法です。動画広告の効果を高めるには、冒頭の数秒間でペルソナをひきつけることが重要です。また、動画広告の目的や目標を達成するためには、配信先を吟味し、ターゲットがよく利用する媒体を選びましょう。
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