SNS使った情報発信をしていても、あまり効果が出ていないと感じることがあるでしょう。その場合、エンゲージメント率を確認してみるとよいかもしれません。エンゲージメント率とはSNSでの反応率を指しており、数値が高ければユーザーの興味関心が高い状態であると考えられます。
この記事では、各SNSにおけるエンゲージメント率の計算方法や数値を高める方法を解説します。会社のSNS投稿で多くの反応を得たい、マーケティング効果を高めたいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
エンゲージメント率とは?
エンゲージメント率とは、SNSの投稿に対するユーザーの反応の割合を表した数値です。エンゲージメントとはいいねやクリック、シェアなど、いわゆるユーザーの反応や行動を指しています。
投稿を見たユーザー数から反応のあった割合を算出することで、その投稿がどれほど興味・関心を持たれているかを数値化できます。SNSマーケティングを行っていても思うような結果が出ていないと感じる場合は、エンゲージメント率に着目した分析を行いましょう。
SNSマーケティングで重要な指標の一つ
エンゲージメント率は、そのSNS投稿がどれだけの影響力を持っているかを示す指標です。この数値をもとに影響力のある投稿を分析していくことで、質の高いコンテンツを発信するアカウントへと成長させられます。
どの投稿でフォロワーが増えたのか、どの投稿が多くの方々に読まれているのかなどを調査・分析していくと、ユーザーの行動をより詳細に把握できるでしょう。これらの情報はマーケティング戦略を立てる上で重要だといえます。
企業がSNSマーケティングに取り組む理由
近年は、積極的にSNSマーケティングに取り組む企業が増加しています。SNSマーケティングの特徴に「双方向のコミュニケーションが図れる」点が挙げられます。企業がSNSを活用してユーザーとコミュニケーションを図ることで、直接的にファンを増やせる可能性に着目しているのです。
また、SNSでのエンゲージメント率が高いということは、企業に対して興味・関心を持つユーザーが多いといえます。この興味・関心が好意的なものであればあるほど、サービス利用や売上向上などにつながると考えられます。
SNSごとのエンゲージメント率の計算方法
SNS投稿におけるエンゲージメント率を知るためには、各プラットフォームでの計算方法を把握しておくべきです。ここでは、各プラットフォームにおける、エンゲージメント率の計算方法を説明します。
なお、エンゲージメント率の平均値はRival IQ社の「2024年ソーシャルメディア業界ベンチマークレポート」を参考にしています。
X(旧:Twitter)
Xにおけるエンゲージメント率の計算方法は、下記の通りです。
エンゲージメント率 = (エンゲージメント総数 ÷ インプレッション数)× 100
例えば、あるポストのエンゲージメント総数が100、インプレッション数が10,000だった場合、エンゲージメント率は(100 ÷ 10,000)×100 = 1%となります。なお、エンゲージメント(反応)には、さまざまなリアクションがカウントされます。
Xにおけるエンゲージメント
いいね
返信
リポスト
ポストの詳細閲覧
フォロー
画像や動画のクリック
ハッシュタグやリンクのクリック
プロフィール閲覧
また、インプレッションとはポストを見た回数のことで、1人が2回見た場合はインプレッションが2となります。Xでの全業界のエンゲージメント率は、平均値0.029%です。ほかのSNSと比較しても、いいねやフォローを手軽にしやすい点から、低い数値になる傾向があると覚えておきましょう。
Instagramのエンゲージメント率は下記の計算方法で導き出します。
エンゲージメント率 = {エンゲージメント総数 ÷(リーチ数 or インプレッション数 or フォロワー数)}× 100
ある投稿のエンゲージメント総数が500、リーチ数が20,000である場合、エンゲージメント率は(500 ÷ 20,000)× 100 = 2.5%となります。また、フォロワー数をもとにエンゲージメント率を導き出す場合は、積極的にリアクションしてくれるアクティブユーザーがどれくらいいるのかを考慮しましょう。
Instagramにおけるエンゲージメントは「インタラクション」と呼ばれ、下記のものが挙げられます。なお、インタラクションを確認するには、ビジネスアカウントかクリエイターアカウントが必要です。
Instagramのインタラクション
いいね
コメント
シェア
返信
投稿の保存
ほかのSNSと比べてエンゲージメントの種類は少ないものの、「保存数」がカウントされる点が特徴です。なお、Instagramのエンゲージメント率平均の目安は0.43%となっています。インスタグラマーに宣伝を依頼する場合は、0.43%以上の数値を持っている方にお願いするのがおすすめです。
TikTok
TikTokのエンゲージメント率は、下記の方法で計算します。
エンゲージメント率 =(エンゲージメントの総数 ÷ ビュー数)× 100
例えば、ある動画のエンゲージメント総数が1,000、ビュー数が50,000だった場合、エンゲージメント率は(1,000 ÷ 50,000)×100 = 2%となります。
エンゲージメントには、「いいね」「コメント」「シェア」の3つがあり、これらをビュー数で割って算出します。エンゲージメント率を求める場合は、インサイト機能から計算に必要な数値を確認しましょう。なお、TikTokのエンゲージメント率は平均2.63%とされています。
また、TikTokでマーケティング効果を上げたい場合、エンゲージメント率の計算には含まれないものの、何度も見返してもらえるように保存数を増やす方法も効果的です。
YouTube
YouTubeでエンゲージメント率を算出するための計算式は、下記の通りです。
エンゲージメント率 = (高評価数 + コメント数)÷ 再生回数 × 100
ある動画の高評価数が1,000、コメント数が500、再生回数が100,000回だった場合、エンゲージメント率は(1,000 + 500)÷ 100,000 × 100 = 1.5%となります。なお、YouTubeアナリティクスにはエンゲージメント率が直接表示されないため、手動で算出しないといけない点に留意しましょう。
もっとも、YouTubeのエンゲージメントには視聴回数、高評価、低評価、チャンネル登録者数などが挙げられます。ただし、エンゲージメント率を算出する場合、高評価とコメントの総数を再生回数で割る計算式が一般的だと覚えておきましょう。
Facebookでは下記の方法でエンゲージメント率を求めます。
エンゲージメント率 = エンゲージメントの総数 ÷ 投稿のリーチ × 100
ある投稿のエンゲージメント総数が500、リーチ数が50,000だった場合、エンゲージメント率は 500 ÷ 50,000 × 100 = 1%となります。なお、Facebookではエンゲージメント率0.063%を超えるように戦略を立てるとよいでしょう。また、Facebookのエンゲージメントには、下記のものが挙げられます。
Facebookのエンゲージメント
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写真やアイコンのクリック
さらに、Facebookにおける「リーチ」とは、投稿を閲覧したユーザー数を指しています。Xのインプレッションとはカウント方法が異なり、同じユーザーが何度その投稿を見ても、リーチ数は1とカウントされる点に注意しましょう。
SNSのエンゲージメント率を上げるポイント
SNSマーケティングにおいて、効果を高めるためには高いエンゲージメント率を維持することが重要です。ここでは、エンゲージメント率を上げるためにできるポイントを5つ紹介します。
具体的なペルソナを設計する
SNSのエンゲージメント率を上げるには、実際に読んでくれるユーザーをイメージしながら、ペルソナ設計を行う必要があります。ペルソナ設計する大きな理由は、自社の商品やサービスを利用するユーザーをイメージできるようにするためです。
例えば、若年層の女性をターゲットにした商品・サービスを展開する場合は、「10~20代の女性で、学生として通学中にスマホをよく利用する」のように詳しく設計します。SNSでは、万人受けを狙って広く浅い内容の投稿をしてしまうと、結果的に誰からも反応をもらえないリスクがあります。
そういった無反応な結果を回避するためにも、ペルソナ設計によってターゲットを絞ることが大切です。
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求められている情報を発信する
ペルソナ設計した、想定ユーザーが欲している情報を継続的に発信しましょう。ユーザーに適したコンテンツ配信は好意的に受け止めてもらえる可能性が高く、マーケティング戦略としても良い効果が期待できます。
SNSはユーザー主体のメディアです。そのため、双方向でのマーケティング活動につなげる戦略が大切です。ユーザーのニーズに応える情報を発信し続けていくことで、エンゲージメント率の上昇やファンの獲得につながるでしょう。
積極的なコミュニケーションを図る
エンゲージメントとは、ユーザーから反応を得ることです。そのため、双方向のコミュニケーションを図りやすいというSNSの特徴を活かして、エンゲージメント率の向上が可能です。
具体的には、「フォローしてくれたユーザーをフォローバックする」「コメントで質問を受けたらこまめに回答する」といった行動が挙げられます。このような積極的なコミュニケーションは、ユーザーに「別の投稿でも反応しよう」と前向きな気持ちへと促す効果も期待できます。
コミュニケーションを大切にすることは、エンゲージメント率向上のカギといえるでしょう。
プラットフォームの特性やトレンドに合わせる
SNSにはそれぞれ異なる特性があるため、プラットフォームごとの特徴に適したコンテンツ配信が重要です。例えば、Instagramは写真や動画がメインとなるSNSであるため、ビジュアルを重視した投稿を行います。
また、特性と併せてトレンドにも着目しましょう。Instagramでは、「映え」という言葉が流行するほど、以前は美しい写真が好まれていました。しかし最近では、美しさよりも加工しすぎていない写真のほうが、反応率は高い傾向にあります。
このように、トレンドには変化があるため、そのときの流行を押さえておく必要があるでしょう。
投稿するタイミングを最適化する
エンゲージメント率を向上させるには、ユーザーの行動パターンを理解し、最適なタイミングで投稿することが重要です。例えば、ペルソナ設計した学生のエンゲージメント率を高めたい場合、通学時間帯である朝に投稿するなど、ユーザーがアクティブな時間に合わせることが有効です。
反対に、日中や夕方は学業や部活動に励んでいると考えられるため、投稿を見てもらえないリスクがあります。そのため、見てもらえる可能性の低い時間帯は、投稿を避けるべきでしょう。
エンゲージメント率を分析する際の注意点
SNSマーケティングにおいてエンゲージメント率を高めることは重要ですが、マーケティング効果として分析する際には、いくつかの注意点があります。下記で説明する3つの注意点をもとに、数値だけに惑わされないようにしましょう。
効果はすぐに表れない
SNSでは1つの投稿が注目を集めたとしても、エンゲージメント率が急激に高まるわけではありません。そのため、効果が出るまで時間がかかるものと理解し、地道に取り組む必要があります。
エンゲージメント率の上昇をはじめSNSマーケティングで効果を出していくには、ユーザーが興味を示すコンテンツを継続的に発信しつつ、反応を見ながら改善を重ねていかなければなりません。ユーザーの反応は日々変動するものであるため、一時的な数値の変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持って取り組みましょう。
エンゲージメント率のみにとらわれない
SNSにおけるエンゲージメント率は、数値が高いからといって必ずしも良い結果とは限りません。なぜなら、反応の中にはネガティブなものも含まれている可能性があるためです。マーケティング戦略として売上向上やファン獲得につなげていきたいのであれば、数値だけでなく反応の内容までチェックしましょう。
エンゲージメント率が高いといっても、内容をよく見たら批判的な反応が多かったという場合は、改善すべき点があるかもしれません。このように、数値だけに惑わされず、投稿の質や反応の種類に対しても評価することが重要です。
フォロワー数とは比例しない場合がある
SNSのフォロワー数が多ければ、投稿を見てもらえる可能性は高まります。しかし、必ずしもエンゲージメント率の増加につながるとは限りません。重要なのは、フォロワーの中に積極的な反応を示してくれる「アクティブユーザー」がどのくらいいるかどうかです。
例えば、「フォロワー数は多くても投稿への反応が少ない」「一時的なキャンペーンで増えたフォロワーが、時間の経過とともに離れていく」といったケースもあります。インフルエンサーを活用する際も、フォロワー数ばかりに着目せず、エンゲージメント率や反応の質を見極めましょう。
まとめ
SNSマーケティングで成果を出すには、ユーザーからの反応率を示す「エンゲージメント率」を向上させることが大切です。計算方法は各SNSで異なるため、活用するSNSのエンゲージメントについては把握しておくべきでしょう。
また、エンゲージメント率の向上にはさまざまな工夫を施す必要があります。SNSの特徴を踏まえて、ユーザーとの適切なコミュニケーションを目指しましょう。
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