「マーケティングがうまくいかず、自社の製品に興味をもってもらえない」
「自社の製品に興味をもってもらうにはどうしたらいいのだろう」
上記のような悩みを抱えるマーケティング担当者の方は多いのではないでしょうか?製品が優れたものだとしても、適切なマーケティングができなければ売上につなげられません。そこで押さえておきたいのが、インバウンドマーケティングです。
本記事では、インバウンドマーケティングの基礎からメリットとデメリット、取り組み方をご紹介します。事業拡大を狙う方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
インバウンドマーケティングとは?
インバウンドマーケティングとは、まだ自社・サービスを知らないものの、これから顧客となる可能性のある潜在顧客の関心を深めて、製品を購入してもらうマーケティングです。インバウンドマーケティングにはコンテンツマーケティングやSEO、動画コンテンツ、SNSマーケティングなどが挙げられます。
インバウンドは英語で「inbound」となり、外から中へ入ってくる意味です。しかし観光業界において外国人旅行者を指す言葉であるため、外国人に向けたマーケティングと勘違いする方もいますが、全く異なる言葉です。混合しないよう、注意してください。
インバウンドマーケティングと間違われやすい言葉
インバウンドマーケティングと間違われやすい言葉として、以下の2つがあります。
- コンテンツマーケティング
- アウトバウンドマーケティング
スムーズに理解できるよう、これから紹介する内容を押さえておきましょう。
コンテンツマーケティングとは?
インバウンドマーケティングと混合されやすい言葉の1つに、コンテンツマーケティングがあります。コンテンツマーケティングとは、「コンテンツの提供」を介して顧客を育成したり、リピートにつなげようとしたりする手法です。
ブログ記事・Webサイトのコンテンツ・ソーシャルメディア投稿・ビデオコンテンツ・ポッドキャストなど、多くの異なる形式のコンテンツを提供し、受け手と信頼を築くのを目的とした戦略です。ブランド認知を高め、信頼関係を構築し、顧客のエンゲージメントを増加させ、ロイヤルカスタマーの増加や売上アップを狙います。
一方、インバウンドマーケティングは、ブログやSNS、メールマガジンなどの媒体を介して、顧客が自発的にブランドにアクセスし、関心をもつように誘導する手法です。どちらも、有益な情報を提供する点では違いはありません。
要するに、インバウンドマーケティングはコンテンツマーケティングを包括する概念です。インバウンドマーケティングとは、顧客獲得と信頼関係を構築する包括的な戦略を指し、コンテンツマーケティングはその中で、コンテンツ制作と配信に焦点を当てた具体的な施策を指します。
アウトバウンドマーケティングとは?
アウトバウンドマーケティングとは、訪問営業やテレアポ・DM(ダイレクトメッセージ)・展示会・テレビCMなど、企業から顧客に向けて行う施策です。企業から一般の大衆に向けメッセージを配信し、製品や商品をプッシュする方法を指します。ターゲットは幅広く、顧客からのリアクションやフィードバックは限られているのが特徴です。
一方のインバウンドマーケティングは、顧客との相互対話とエンゲージメントを促進するものです。SNSやブログといったコンテンツを通じて顧客とコミュニケーションを図りながら、顧客が自発的に情報を求め関心をもつように導きます。
アウトバウンドマーケティングは従来のマーケティング手法であり、一部のビジネスには有効です。しかし、消費者の嗜好が変化し、インバウンドマーケティングが重要視されるようになっています。どちらが優れている施策かではなく、業界や目的に応じて両者を使い分けるのがポイントです。
インバウンドマーケティングが重視される理由
インバウンドマーケティングが重視される理由としては、インターネット広告の売上がマス4媒体といわれる「テレビ」「新聞」「雑誌」「ラジオ」を超えたためです。同時に顧客は自分で情報収集ができるようになった面もあります。
昨今では、顧客が自分から情報を探し、問題を解決し、製品やサービスに関する情報を求める傾向が増しています。インバウンドマーケティングは、顧客志向のマーケティング戦略を実現する手段です。
さらに、インバウンドマーケティングは価値あるコンテンツを提供し、エキスパートとしての地位を築くことを通してブランドの信頼性を高めます。長期的な視点でビジネスの発展を狙うなら、顧客との持続可能な関係構築は必須です。
加えて、インバウンドマーケティング戦略は、新しいトレンドやテクノロジーの変化に適応しやすく、迅速に軌道修正できます。これにより、市場の変化に適切に対応し、競争力を維持できるのも重要視される理由です。
インバウンドマーケティングのメリット
インバウンドマーケティングならではのメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- 低コストで運用できる
- ブランディングにつながる
- 顧客のニーズを掴める
- SNSでの拡散ができる
ここでは、それぞれのメリットをみていきましょう。
低コストで運用できる
インバウンドマーケティングは基本的に自社のメディアを通して情報発信していくため、低コストで運用できます。さらにメディアを訪れるユーザーは、そもそも特定の業界に関して興味関心が高い顧客であるため、見込み客も獲得しやすくなります。
訪問営業やテレアポがメインであるアウトバウンドマーケティングよりも圧倒的低コストであり、予算が限られている企業には最適です。
ファンの獲得につながる
企業が一方的に情報を発信するアウトバウンドマーケティングのような手法は、情報を自分ごとと捉える顧客は少なく、興味を惹くのは困難です。しかしインバウンドマーケティングであれば、訪れるユーザーはすでに特定業界に興味があり、知識もあるため、ファンの獲得につなげやすい傾向にあります。
企業としても、効率よくファンを獲得できるのは大きなメリットです。
顧客のニーズを掴める
自社メディアに解析ツールを導入すれば、顧客の動きを把握できるようになります。さらにその情報を元にPDCAサイクルを回せば、企業の製品・サービスの質アップにもつながったり、提案に活かしたりもできます。
売上につなげていく上で、顧客のニーズを掴むのは必要不可欠です。
SNSでの拡散ができる
SNSでの拡散ができるのも、インバウンドマーケティングのメリットです。SNSでは、インフルエンサーを起用すれば、俳優よりも安い費用で企業の宣伝が可能です。特に近年は、YouTuberやインフルエンサーの認知度が拡大しているため、高い費用対効果が期待できます。
SNSはファンを作りやすく、自社の資産になると考えると、インバウンドマーケティングを実施する価値は十分にあります。
ただし、SNSは誰もが閲覧できるため、世界中に発信していると意識しましょう。不適切な内容の配信であれば、一気に拡散され、企業の信用は1日で崩れます。配信する内容は十分に検討しましょう。
インバウンドマーケティングのデメリット
インバウンドマーケティングには複数のメリットがありますが、反対に以下のデメリットもあります。
- 成果を得るまでに時間がかかる
- 十分なリソースが必要
実際に取り組む前に、ここで紹介するデメリットも押さえておきましょう。
成果を得るまでに時間がかかる
インバウンドマーケティングに限らず、すべてのマーケティングにいえることですが、成果を得るまでに時間がかかります。インターネットでの情報発信は、SEOと呼ばれる施策が欠かせません。SEOでは上位を獲得するための専門知識や、多くの人にわかりやすく情報を伝える技術が必要です。
加えて長期的に取り組んでいるからといって、必ずしも成果を得られるとも限りません。継続して運用し、同時に改善し続ける必要があるため、根気強く取り組む覚悟をもちましょう。
十分なリソースが必要
インバウンドマーケティングはコンテンツを作って終わりではなく、鮮度の高い情報を継続的に発信する必要があります。以前は新しく正しいとされていた情報でも、月日が経てば間違っている情報になるケースも珍しくありません。
新しい情報を発信し続けるには、取り組み続けられる人員と時間が必要です。社内でリソースを確保できないとしても、外注するなど工夫をして、取り組み続けられるような環境を整えましょう。
インバウンドマーケティングに取り組む6つのステップ
インバウンドマーケティングのメリットとデメリットを押さえた上で、実際に取り組むステップをみていきましょう。
取り組むステップとして、以下の6つが挙げられます。
- STEP1.目標を設定する
- STEP2.現状把握する
- STEP3.リソース・予算を確保する
- STEP4.具体的な戦略を決める
- STEP5.継続的に情報発信・運用する
- STEP6.PDCAサイクルを回す
これからインバウンドマーケティングに取り組む方は、ぜひ参考にしてください。
STEP1.目標を設定する
インバウンドマーケティングを実施する前に、まずは目標を設定します。すでにテレビCMやダイレクトメールなどのアウトバウンドを行っている場合は、どこまで割合を減らしてインバウンドに注力するか、もしくは予算を増やすか決めていきましょう。
月ごとの目標値やアクションを設定するのがポイントです。達成困難な目標や大まか過ぎるものはモチベーション低下の原因となるため、達成可能な範囲内で具体的な数値にして設定します。
STEP2.現状把握する
現状把握は、顧客の声・競合状況・ブランドの強みや弱点などを理解するのに役立ち、戦略の基盤を築くためにも重要です。まずは、ステップ1で定めた目標と自社の現状にどのくらいの差があるのかを把握しましょう。
市場調査やWebサイトのデータ分析、SNSでのブランド評価など情報を集め、現状を把握していきます。CRM(顧客管理ツール)やSFA(営業支援ツール)などを活用し、効率的に進めていきましょう。
現状把握をすれば、より具体的な施策が思い浮かび、戦略に組み込めます。
STEP3.リソース・予算を確保する
ステップ3では、リソース・予算の確保を行う必要があります。具体的には「活用するリソース・予算の確保」、そして「人材のアサイン」などです。特に人材のアサインは求められる要件によっては、半年以上から人脈探しが必要です。
早めに行動することで、実際の施策もスムーズにできるようになります。もしも人材を集めるのが難しい場合は外注をしたり、リソースが足りない場合はクラファンをしたりするなどして、工夫していきましょう。
STEP4.具体的な戦略を決める
インバウンドマーケティングに取り組めるようになったら、具体的な戦略を決めましょう。立てた目標を達成できるよう、ツールを取り入れたり、外部の力を借りたりするなどして、戦略を考えていきます。
どのSNSを使うか、どのような広告で発信していくか、キャンペーンをするかなど、細かく決めていきます。コンテンツ作成をするのであれば、ユーザーが知りたいテーマや記事の方向性などを決めます。
ユーザーが必要としている情報を発信するのがポイントです。
STEP5.継続的に情報発信・運用する
具体的な戦略を決めたら、後は継続的に情報発信・運用をするだけです。有益なコンテンツを発信し、継続的にメディアを訪れてもらい、商材の必要性や魅力をできるだけ伝えましょう。
ただし、コンテンツで情報を発信していく際、自社の製品をアピールし過ぎるのは顧客の企業離れを促す危険性がありNGです。あくまでユーザーが必要としている情報を提供し、その上で自社のこともアピールできるのが理想です。顧客に必要とされている情報を提供せず、自社のことばかりアピールするのは一方的な売り込みにしかなりません。
STEP6.PDCAサイクルを回す
インバウンドマーケティング実施後は、定期的に計測と分析を行ってください。1回目の取り組みで、立てた目標を達成できるとは限りません。目標とどのくらいの差があるか、リソースは十分か、円滑に取り組めているかなど、あらゆる方面からPDCAサイクルを回していきましょう。
とはいえ、すぐに効果を得られるわけではないため、数ヶ月単位と長期的に測定をしていく必要があります。このときにステップ1で立てた目標が達成困難とわかれば、見直してください。
まとめ
この記事では、インバウンドマーケティングに取り組むメリットとデメリット、間違われやすい言葉、取り組む流れなどを紹介しました。
インバウンドマーケティングは成果を得るまでに時間がかかったり、十分なリソースが必要だったりとデメリットはあるものの、低コストで運用でき、ブンディングにもつながるメリットがあります。本記事で紹介した内容を参考に、インバウンドマーケティングに取り組んでいきましょう。
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