インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーに商品やサービスを宣伝してもらい、認知度および売上向上を狙うマーケティング手法です。SNSが普及した近年、市場規模は年々拡大しており、多くの企業が導入し成果を出しています。
本記事では、実施することで期待できる効果や実施時のポイントを、成功事例とともに解説します。SNSを活用した宣伝に取り組もうと考えている方は、お伝えするポイントを押さえて、商品やサービスの認知度向上を目指してください。
インフルエンサーマーケティングにおける基本知識と市場動向
インフルエンサーマーケティングにおける基本知識を解説します。近年の市場動向も併せて解説するため、取り組み始めた方は参考にしてください。
インフルエンサーマーケティングとは消費者視点を取り入れた手法
インフルエンサーマーケティングとは、主にSNSで多くのファンを持ち、影響力のある人物に商品やサービスの宣伝をしてもらう手法です。認知度向上・売上増加を狙いたい場合に有効な手法となります。
従来のマーケティングでは、企業が消費者に対して一方的に情報を発信するため、潜在顧客の関心を引きづらい点が課題でした。一方、インフルエンサーマーケティングでは多くのファンから信頼を得ている人物に宣伝してもらうため、消費者視点を取り入れた共感性の高い宣伝が可能です。
インフルエンサーは特定の領域で大きな影響力を持つ人物
インフルエンサーは、人あるいは世間に対して何らかの情報発信を行い、思考や行動に影響を及ぼす人物です。各々強みとするメディアや専門領域が異なり、ゲーム実況や筋トレ、料理などさまざまな領域に存在しています。
インフルエンサーはフォロワー数に応じて以下の4タイプに分けられます。
名称 | フォロワー数 | 性質 |
トップインフルエンサー | 100万人以上 | 情報の拡散力が高い |
マクロインフルエンサー | 10万人以上 | 特定の領域でカリスマ的存在 |
マイクロインフルエンサー | 1万~10万人 | フォロワーとの距離感が近く、購買につながりやすい |
ナノインフルエンサー | 数千~1万人 | フォロワーと友達感覚のつながりを持ち、投稿への反応が良い |
フォロワー数やタイプによって性質は異なります。自社の業態や商品やサービスの宣伝方法によって相性があるため、人材選びには注意が必要です。
市場動向と今後の展望
2023年のインフルエンサーマーケティング市場は741億円で、前年比120%増加の見通しです。今後も規模は拡大し続け、2027年には2023年比1.8倍の1302億円に到達すると予想されています。さらに、SNSマーケティングの市場規模も成長し続け、2027年に1兆8000億円を超える見込みです。
情報収集にSNSを利用する人が増え、消費者と企業との接触の場が複雑化しています。このような状況を受け、インフルエンサーが企業に代わって情報発信を行う施策が一般的になっていると考えられます。
参考:【市場動向調査】2023年のソーシャルメディアマーケティング市場は1兆899億円、前年比117%の見通し。2027年には2023年比約1.7倍、1兆8,868億円に|CyberBuzz
活用するプラットフォームと特徴
インフルエンサーマーケティングの導入によって期待できる効果を解説します。SNS別に期待できる効果を紹介するので、活用するプラットフォームを選ぶ際の参考にしてください。
YouTube|商品やサービスの魅力を伝える
動画配信による宣伝は、商品の使用方法や使用感などの魅力が伝わりやすいのが特徴です。文章を読む必要がないため、文字では表現できない投稿者の感情や心情が視聴者に伝わりやすく、幅広い年齢層のターゲットへ情報を届けられます。
また、動画の概要欄に自社サイトのURLを載せれば、動画内で興味を持った商品をすぐに購入できる動線を作れます。訴求力が高く、ユーザーの購買意欲を高めやすいプラットフォームといえるでしょう。
Instagram|若年層の認知度向上に期待できる
写真・動画を中心とし、流行に敏感な20〜30代の利用率が高いSNSです。視覚的にイメージを伝えられるため、商品やサービスの魅力を写真とともに宣伝してもらえば若者世代の認知度向上につながるでしょう。
また、画像や動画中心で言語によるコミュニケーションが不要なため、海外ユーザーへの宣伝効果も期待できます。なお、Instagramは写真映えするジャンルと相性がよいため、料理、インテリア、旅行などの領域に属する企業に向いています。
X(旧:Twitter)|高い拡散力で情報共有ができる
幅広い年齢層に利用されているプラットフォームです。ハッシュタグ・リポスト・シェアを通じて、瞬間的に拡散されていくのが特徴です。
また、興味を持った対象をフォローすれば簡単に相手とのつながりが得られるため、拡散性に優れた媒体といえます。加えて、二次拡散が期待できるため、注目されればより多くのユーザーへ情報を発信できるのもメリットです。
Facebook|詳細なターゲティングができる
ほかのSNSとは異なり、Facebookはすべてのユーザーが実名登録しており、ビジネスシーンでも使用されるケースが多いのが特徴です。文章と画像が一緒に投稿されるケースが多く、シェア機能もあるため使いやすいプラットフォームといえます。
自分の属性を詳細に登録しているユーザーも多いため、自社ターゲットに適したマーケティング施策を実施しやすいのがメリットです。Facebookは、海外では中国を除いて人気があるSNSです。そのため、自社商品やサービスの海外進出を目指している企業に向いています。
TikTok|若年層へアプローチできる
TikTokは投稿に対するユーザーの反応率と拡散力が高いため、認知度や話題性を高める施策の利用に適しています。例えば、「ハッシュタグチャレンジ」を活用すれば爆発的に拡散(バズ)され、TikTokを起点にトレンドを生み出せる可能性があります。
バズれば商品やサービスの認知度が一度に上がります。魅力的なコンテンツを作成すれば、費用を抑えつつ高い宣伝効果が得られるでしょう。メインターゲットが10〜20代のため、若者向けに宣伝したい商品やサービスを取り扱う企業に向いています。
BtoBでインフルエンサーマーケティングを取り入れる3つのメリット
インフルエンサーマーケティングを実施するメリットは、次の3つです。
- 宣伝感が少なく受け入れられやすい
- 精度の高いターゲティングができる
- 口コミによる情報拡散が期待できる
以下でそれぞれのメリットを詳しく解説します。
メリット1.宣伝感が少なく受け入れられやすい
第三者であるインフルエンサーによって商品やサービスが紹介されるため、宣伝感が少なく受け入れられやすいのがメリットです。インフルエンサーの個性を活かして商品やサービスを紹介するため、フォロワーの興味・関心を引きやすい傾向です。そのため、信頼できる情報として受け取ってもらえるでしょう。
ただし、「広告」「PR」などの文言をわかりやすく表示しなければ、ステルスマーケティングと判断され、景品表示法違反となります。そのため、依頼する場合は案件である告知だと徹底してもらう必要があります。
メリット2.精度の高いターゲティングができる
PRしたい商品やサービスのジャンルに適したインフルエンサーを選定すれば、ターゲット層へ的確にアプローチできます。インフルエンサーは特定のジャンルに特化しているため、そのジャンルに興味を持つフォロワーが多い傾向にあります。
そのため、起用するインフルエンサーによって細かいターゲティングが可能です。例えば、料理ジャンルで活躍している方を起用すれば、料理関連に関心が高いフォロワーに情報を拡散できるでしょう。
メリット3.口コミによる情報拡散が期待できる
インフルエンサーに商品やサービス宣伝してもらうことで、フォロワーによるコメントや共有による情報拡散が期待できます。インフルエンサーとフォロワーの関係性や距離感は、企業と比較すると圧倒的に近く、インフルエンサーが発信した情報はフォロワーによって自然な形で拡散されるでしょう。
情報が拡散されればフォロワー以外にも情報が届けられ、注目コンテンツとしてさらに多くの方々に興味を持ってもらえます。また、口コミはSNS投稿で拡散されるため、ブランドの話題性や商品やサービスの信頼性向上にもつながります。
BtoBでインフルエンサーマーケティングを取り入れる3つのデメリット
インフルエンサーマーケティングを取り入れるデメリットは、次の3つです。
- 相性が良いインフルエンサーの選定が難しい
- 炎上する可能性がある
- インフルエンサーを制御しにくい
それぞれのデメリットを実施時の注意点と併せて解説します。
デメリット1.相性が良いインフルエンサーの選定が難しい
ブランドや商品のイメージに適合するインフルエンサーを探す際、フォロワーとの関係性や投稿の質、過去のPR投稿などさまざまな要素から総合的に判断する必要があります。
マーケティングの目的に合わない方を選定してしまうと、期待していた成果は得られません。したがって、インフルエンサーの選定は難易度が高く、慎重に検討すべきといえます。
デメリット2.炎上する可能性がある
インフルエンサーマーケティングは、起用したインフルエンサーの行動や発言次第で商品やサービスの評判が左右されるため、炎上するリスクがあります。加えて、ステルスマーケティングが発覚したり、不適切な発言や投稿があったりすると、悪評につながる恐れもあります。
依頼する際は、インフルエンサーの言動が商品やサービスのイメージに直結することを念頭に置き、細心の注意を払いましょう。
デメリット3.インフルエンサーを制御しにくい
インフルエンサーという「人」が介在するため、企業側が宣伝方法や内容を完全に制御するのは難しいでしょう。投稿内容や動画編集のデザインをある程度インフルエンサーに任せることが前提だからです。
そのため、マーケティングの目的から外れた表現にならないよう、方向性を入念に打ち合わせしましょう。ただし、訴求方法に関して細かい指示を出すとインフルエンサーの個性が薄れてしまいます。フォロワーの共感も得にくくなってしまうため、指示の仕方には注意する必要があります。
インフルエンサーマーケティングを成功に導く3つのポイント
インフルエンサーマーケティングで成果を出すためのポイントは、次の3つです。
- 目的・目標を明確に設定する
- 商品・サービスにマッチしたインフルエンサーを起用する
- インフルエンサーの個性を活かす
それぞれのポイントを押さえておきましょう。
ポイント1.目的・目標を明確に設定する
インフルエンサーマーケティングで成果を出すためには、施策の目的と目標の明確化が重要です。目的が明確でないと、適切な人材の選定や、成果測定の基準設定が困難です。
反対に、消費者の購買プロセスに沿って施策の目的や目標を設定すれば、施策内容を最適化できます。なお、1つの施策で複数の目的を達成するのは困難です。まずは認知度拡大を目的にマクロ〜トップインフルエンサーに情報発信を依頼するとよいでしょう。
ポイント2.商品・サービスにマッチしたインフルエンサーを起用する
宣伝したい商品やサービスに興味を持ちそうなユーザーから支持されている方を起用すれば、費用対効果を高められます。また、商品やサービスにマッチした方に依頼すると、伝えたい情報が的確にわかりやすくなります。その結果、商品やサービスへの信頼性が高まり、購入へスムーズにつなげられるでしょう。
ポイント3.インフルエンサーの個性を活かす
インフルエンサーの個性を活かすことも、マーケティングを成功させるためには重要です。企業側の要求が多過ぎると、インフルエンサー側の自由度がなくなり、本来の魅力を発揮できなくなるためです。その結果、フォロワーが違和感を抱いてしまい、思ったような反応が得られなくなります。
第1目標は、インフルエンサーのフォロワーに、商品やサービスに興味を持ってもらうことです。したがって、インフルエンサーの個性を活かし、フォロワーに好意的に受け入れてもらえるような投稿が成果を出すためのコツです。
成功事例から学ぶBtoBインフルエンサーマーケティング
BtoBでインフルエンサーマーケティングを導入し、認知度拡大・売上増加を実現した事例を紹介します。導入を検討している方は、今回紹介する事例を参考に、マーケティング施策を実施してください。
事例1.IBM×Gaurav Gupta(ファッションデザイナー)
AIのプラットフォーム「Watson」を開発したIBMと、ファッションデザイナーでインフルエンサーでもあるGaurav Gupta氏がコラボレーションした事例です。
「Watson AI」を活用したサリードレスを制作し、認知拡大に成功しています。このサリードレスにはAIが組み込まれており、ドレスを着る人の個性を判断して、似合う色で光らせる仕様です。これが大きな話題を呼び、IBMの認知度が高まりました。
事例2.AWS×人気の漫画インフルエンサー
Amazonが運営するクラウドサービス「AWS」と漫画インフルエンサーのコラボ事例です。BtoBビジネスが抱える認知拡大の課題を打開すべく、Amazonが人気の漫画インフルエンサーとのコラボレーションを依頼しました。
自社サービスを漫画でわかりやすく説明してもらった結果、漫画がもたらす親近感と人気インフルエンサーの拡散力が効果を発揮し、「AWS」の認知拡大に成功しています。
まとめ
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーを応援するフォロワー経由の情報拡散力を活用して、認知度や売上の向上を狙うマーケティング手法です。この手法を上手く活用すれば、潜在顧客に対して効率的に商品やサービスを宣伝でき、収益の増加が期待できます。
SNSを活用したマーケティング施策に取り組もうと考えている方は、今回紹介した成功するためのポイントを参考にして、ぜひ成果につなげてください。
ウェビットでは主に中小企業がWebマーケティング、Web集客を行ううえでのお悩みを解決するような情報を発信しております。気になられた方はぜひ、ほかの記事もご一読ください。