見込み顧客とは、将来的に商品やサービスを購入する可能性がある重要な顧客層を指します。ビジネスを成長させるためには欠かせない存在です。見込み顧客を理解すれば、優良顧客につながる効果的なアプローチを行えます。
本記事では、見込み顧客の定義や重要性、潜在顧客・顕在顧客との違いのほか、育成のポイントを紹介します。さらに見込み顧客を獲得する具体的な施策も解説していますので、見込み顧客の獲得から育成、成約率を高めたい方はぜひ参考にしてください。
見込み顧客とは将来的に顧客になる重要な存在
見込み顧客とは、自社の商品やサービスに高い関心があり、将来的に購入や利用の可能性がある顧客層を指します。業界やマーケターによって見込み顧客の定義は異なり、またBtoBとBtoCでも対象とする範囲は違います。
BtoBでは、メールマガジンの購読により連絡先を登録した企業、セミナーや展示会に足を運び名刺交換をした企業などが見込み顧客です。一方、BtoCは商品やサービスに興味・関心のある消費者すべてを見込み顧客とみなします。
見込み顧客は「優良顧客」になり得る重要な存在です。効果的なアプローチを行い、育成する必要があります。
見込み顧客の重要性と影響
見込み顧客は、企業の成長と収益の安定において不可欠な存在です。商品やサービスを認知していない顧客層にアプローチしても結果につながる可能性は低いでしょう。しかし、すでに商品やサービスに興味を示している見込み顧客に適切なアプローチができれば、顧客そして優良顧客として企業にとってかけがえのない存在になります。
また、見込み顧客のデータ分析やニーズの把握は、新たな市場開拓や商品改善の指針となり、競争優位性を築く上で重要な役割を果たします。このように、見込み顧客の獲得と育成は、企業の持続的成長に欠かせません。
見込み顧客と潜在顧客・顕在顧客との違い
見込み顧客と類似する言葉に「潜在顧客」「顕在顧客」があります。それぞれの言葉の違いを把握し、マーケティング戦略に役立てましょう。
潜在顧客は「商品やサービスをまだ知らない」顧客層
潜在顧客は自社商品やサービスをまだ認知していない顧客層であり、悩みや課題があるもののニーズにまだ気づいていません。潜在顧客を見込み顧客に昇格するためには、適切なアプローチを行い、ニーズがあることを認知させる必要があります。
アプローチ方法としては、自社Webサイトのブログやオウンドメディア、SNSなどが挙げられます。これらの手段を有効活用し、商品やサービスの利用が課題解決につながると認識してもらうためのマーケティング施策を展開する必要があります。
顕在顧客は「商品やサービスをすでに知っている」顧客層
顕在顧客は商品やサービスの知識をすでに持ち、ニーズも把握している顧客層です。また、自社商品やサービスと類似する商品やサービスの購入・利用をしたことがある顧客も顕在顧客に該当します。
顕在顧客は解決したい課題を理解しているため、能動的に商品やサービスを探している状態です。このため、Web広告や展示会・セミナーなどの実施により適切にアプローチできれば、顧客・優良顧客に昇格できる可能性があります。
見込み顧客を「優良顧客」に育成する流れ
見込み顧客を優良顧客にする流れを「デマンドジェネレーション」と呼び、以下の流れで行われます
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
それぞれのプロセスと具体的な施策を以下の頁で解説します。
リードジェネレーション
リードジェネレーションは、商品やサービスに興味のある見込み顧客を獲得するための施策を実施します。展示会の開催やWebコンテンツの制作、Web広告の運用などがリードジェネレーションの主な施策です。展示会では名刺の交換、WebコンテンツやWeb広告では問い合わせや資料請求により、顧客情報の収集を行います。
この過程で手に入れた顧客の連絡先は、会社の資産です。リスト化して社内で共有できるようにしましょう。なお、見込み顧客の数に加えて、質も意識することで、次のフェーズでより効果を発揮できます。
リードナーチャリング
リードナーチャリングでは、獲得した見込み顧客との関係づくりを行います。信頼関係を構築したり、自社商品やサービスへの興味を深めたりすることが成約につながるためです。特に、BtoB業界は検討期間が長いため、関係つくりをおろそかにすると成約につながらない可能性があります。
自社商品やサービスへの興味が薄れないよう、継続的なフォローアップでつなぎ止めることが重要です。見込み顧客の興味を深める施策は、メールマガジンの配信やリターゲティング広告、SNSの運用などがあげられます。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションでは、確度の高い見込み顧客の絞り込みを行います。見込み顧客すべてに同一のアプローチをしても成約にはつながりません。かえって見込み顧客が離れてしまう場合があります。
見込み顧客の定義を明確化し、行動をスコア付けすることで、アプローチする見込み顧客の優先順位を決められます。これにより、限られたリソースで効率的なマーケティング施策の実施が可能です。
見込み顧客を効率的に育成するポイント
見込み顧客を優良顧客に育成するときのポイントは以下3つあります。
- ターゲットを明確にする
- カスタマージャーニーマップで可視化する
- 各種ツールを導入し効果測定を行う
見込み顧客を育成するには入念な準備が欠かせません。紹介するポイントを押さえて、見込み顧客の育成を行いましょう。
ターゲットを明確にする
自社商品やサービスを利用して欲しいターゲットを明確にできれば、アプローチ施策の選定がスムーズになります。効率的にアプローチできるようになるため、成約にもつながりやすくなります。ターゲット像を考える際は、企業の業態・企業規模・予算などの属性、求めるニーズや抱えている課題を詳細に洗い出しましょう。
また、営業部門へのヒアリングや既存顧客へのインタビューもターゲットを明確にする上で重要です。BtoBの場合は、個人と企業の2種類のターゲットを選定するのが一般的です。また、確度の高い見込み顧客の獲得をしたい場合は、ペルソナの設計も功を奏します。
カスタマージャーニーマップで可視化する
カスタマージャーニーマップとは、ターゲットが商品やサービスを購入・利用するまでのプロセスを可視化したものです。顧客の検討段階に合わせて、それぞれの抱えている課題やタッチポイント、必要な施策をカスタマージャーニーマップに落とし込みましょう。
これにより、顧客の検討段階に合わせた的確なアプローチが行えるようになり、成約につなげやすくなります。なお、施策を実行しても思ったような効果が得られない場合は、ターゲットのニーズに合っていない可能性があります。ターゲットを取り巻く環境や行動は常に変化するため、定期的な見直しが必要です。
各種ツールを導入し効果測定を行う
見込み顧客の育成には、効果測定が欠かせません。効果測定をする際は、ツールを使用すると便利です。
例えば、MAツールは見込み顧客の行動分析や施策の効果測定などが行えます。アクセス解析ツールを用いれば、オウンドメディアの訪問数などの把握が可能です。これらツールの活用により数的データを可視化できるため、施策の効果を簡単に測定できます。
ツールの活用により見込み顧客の反応を把握できるため、アプローチ方法の方向性や、アプローチを継続するかどうかの判断がしやすくなります。
見込み顧客を獲得するための2つのアプローチ手法
見込み顧客を獲得するためのアプローチ手法は、以下の2つに分類できます。
- アウトバウンド型:顧客に直接アプローチする
- インバウンド型:顧客自らがアクションを起こす
アウトバウンド型は「プッシュ型」と呼ばれ、見込み顧客に対し企業側が積極的に接点を作る手法です。一度も接点のない潜在顧客や新規顧客を獲得したい場合にも効果を発揮します。
インバウンド型は「プル型」と呼ばれ、見込み顧客が企業に対して能動的にアプローチをする手法です。見込み顧客の興味・関心を高める情報を提供し、見込み顧客自ら商品やサービスの購入・利用をするように働きかけます。
見込み顧客を獲得するためには、目的やターゲットに応じて適切な手法を選択することが重要です。
見込み顧客を獲得するアウトバウンド型の施策
アウトバウンド型の施策を2つ紹介します。
- テレビCM
- ダイレクトメール
それぞれの特徴を把握し、潜在顧客や新規顧客の獲得につなげましょう。
テレビCM
テレビに流す広告映像は、テレビを視聴する幅広い層に商品やサービスの訴求を行えます。テレビCMには、主に3つの種類があります。
テレビCMの種類 | 概要 |
スポットCM | ・15秒程度のCMが可能 ・番組の指定はできないが、時間の指定ができる |
タイムCM | ・30秒からCMの設定が可能 ・スポンサー契約した番組の放送間にCMを流す |
SAS | ・15秒1本からCM枠を購入可能 ・継続番組に流すCMでも1回のみの放送に対応 |
テレビCMを流すためには、放映費と制作費が必要です。放映費はテレビ局や番組によって異なりますが、15秒1回につき75万円〜が相場です。制作費はアニメーションの場合で、100万円以上かかります。タレントを起用するなど、CM内容にこだわるほど制作費は高額になります。
DM
ダイレクトメールは、企業から見込み顧客へ直接情報を届けられるアプローチ施策です。主に以下、3つの種類があります。
- 郵送(ハガキ・レター)
- メール
- FAX
ハガキは目的によって送り方を変えるとアプローチの有効性が高まります。
- 一般的なハガキ:イベントの案内などの集客に適している
- 往復ハガキ:資料請求やアンケートなど新規顧客の開拓に適している
- 圧着ハガキ:法人向けの内容に適している
- 大判ハガキ:情報を多く記載したい場合に適している
それぞれの目的によってハガキの種類を使い分けましょう。また、封筒にカタログやお知らせなど豊富な情報を1つにまとめて送付したい場合は、レターがおすすめです。透明の封筒は中身がわかるため、開封率の向上が期待できます。
イベント開催のお知らせや新商品・サービスの発表、割引や値引き情報などのお知らせにメールを活用するのもよいでしょう。DMの発送にはコストがかかるため、十分な計画を立てて施策を実行する必要があります。
見込み顧客を獲得するインバウンド型の施策
インバウンド型の施策を3つ紹介します。
- SEO記事(オウンドメディア)
- ホワイトペーパー
- メールマガジン
それぞれの特徴を把握して、商品やサービスのターゲットに合った施策を実行しましょう。
SEO記事(オウンドメディア)
SEO記事(オウンドメディア)とは、GoogleやYahoo!などの検索結果の1ページ目に掲載されるよう対策された記事を意味します。コンテンツSEOマーケティングとも呼ばれている施策です。
SEO記事内でターゲットの課題を解決できる情報を発信すれば、顕在層だけでなく潜在層への認知度拡大を狙えます。加えて、自社商品やサービスの利用を促せば、確度の高い見込み顧客にアプローチでき、集客の成功率も高まるでしょう。
この施策を実行するには、SEOに関する知識やコンテンツを制作するスキルが求められます。SEOの知識が不十分な状態で施策を実行してしまうと、思ったような効果が得られません。内製化が難しい場合は、専門の業者に外注することをおすすめします。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、ダウンロード可能な資料を指します。種類が複数あり、代表的なものには以下があります。
- ノウハウ発信系
- 導入事例の紹介系
- 商品・サービスの紹介系
- 調査レポート系 など
ホワイトペーパーは、自社商品やサービスの特徴や魅力を伝えられると同時に、企業の連絡先も獲得できる点がメリットです。ただし、一度ダウンロードした企業に内容の変更や最新の情報を伝えられない、成約の意欲を削いでしまうといったデメリットもあります。
検討期間が長期にわたる企業には効果的です。しかし、ダウンロードの工程を億劫に感じ、ダウンロードそのものをやめてしまうリスクもあります。直接購入が可能な別の施策や顧客側の行動数を減らせる対策も同時に実行しましょう。
メルマガ
メルマガは、一斉に見込み顧客へメールを送信できるアプローチ施策です。接点づくりや購買意欲の向上に効果が期待できます。配信形式は以下の2種類があります。
- テキスト形式
- HTML形式
テキスト形式はシンプルな情報を伝えたい場合に適しています。一方、HTML形式は画像や動画、ハイパーリンクなども利用できるため、メールの見栄えが良くなりターゲットの興味を引きやすくなります。
メルマガは、件名に訴求の強いワードを入れて、本文の冒頭でターゲットの関心を高める文章構成にしましょう。加えて、軸を決めるのも重要なポイントです。配信する目的・ゴールを決めて一貫性のある内容を作り込み、ターゲットの行動を促せるものにしましょう。
まとめ
見込み顧客は自社の商品やサービスに高い興味・関心があり、アプローチ次第でアクションを起こす可能性があります。デマンドジェネレーションの実施により、見込み顧客を獲得できるだけでなく、有料顧客への育成も可能です。
見込み顧客の獲得、優良顧客への育成をする際は、ターゲットを明確にしましょう。また、カスタマージャーニーマップにより、顧客との接点を可視化することも適切なアプローチをする上で重要です。
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