LINEは幅広い年齢層に利用されているSNSで、公式アカウントを運用すれば多様なターゲット層へのアプローチが可能です。また、集客や販促に効果的な機能も充実しているため、ビジネスへの活用が注目されています。
本記事では、LINE公式アカウントの運用ポイントや成功するためのコツを解説します。自社商品・サービスの認知度・売上向上を狙ってLINE公式アカウントの運用を検討している方は、本記事で紹介したポイントを押さえておきましょう。
LINE公式アカウントの基礎知識
LINE公式アカウントは、企業や店舗などがビジネス目的で利用できるサービスで、個人アカウントとは利用目的や機能が異なります。個人アカウントは友人や家族とのコミュニケーションが主な目的で、日常的な連絡手段として使用されます。
一方、公式アカウントは企業の情報発信により顧客との関係構築を図ることを目的とし、ビジネスに特化した多彩な機能を備えているのが特徴です。なお、公式アカウントは個人アカウントとは別のアカウントとして管理されます。

運用時の禁止事項
LINE公式アカウントのガイドラインでは、以下に挙げる社会的に不適切で、利用環境に悪影響を与える行為を禁止しています。
- 違法行為
- 個人情報の不正利用
- 過度な暴力表現や差別表現
- なりすましや虚偽情報の配信
- 迷惑行為
- 権利侵害
- 出会い目的の利用
また、公式アカウントで利用不可となっている業種・業態、商品・サービス(例:アダルト関連店舗・サービス、マルチ商法、情報商材)を取り扱うと、アカウントが凍結する場合があります。アカウントが凍結されると元に戻せないため、違反行為をしないよう注意しましょう。
開設にかかる費用
LINE公式アカウントの料金プランは、以下の3種類です。
プラン名 | 月額費用 | 無料メッセージ数 |
コミュニケーションプラン | 無料 | 200通 |
ライトプラン | 5,000円 | 5,000通 |
スタンダードプラン | 15,000円 | 30,000通(従量課金制で追加可能) |
どのプランも利用できる機能に差はないため、ビジネスの規模や顧客のニーズに応じて柔軟にプランの選択ができます。ただし、大量のメッセージ配信をすると月額費用も上がるため、費用対効果を考慮した運用が大切です。
LINE公式アカウントの始め方と基本的な運用方法
LINE公式アカウントの始め方と基本的な運用方法は、次の4ステップです。
- アカウントを開設する
- 友だち登録者数を増やす
- 定期的に情報発信をする
- アカウントを分析してPDCAサイクルを回す
各手順のポイントもあわせて解説します。
STEP1|アカウントを開設する
LINE公式サイトにアクセスし、「LINEビジネスID」を登録します。LINEビジネスIDは、LINEアカウントまたはメールアドレスで登録を行います。登録後、アカウントの基本情報を入力し、プロフィール画像や説明文を設定しましょう。
アカウント開設後は、管理画面からリッチメニューや自動応答メッセージを設定し、ユーザーが使いやすいように環境を整備します。
STEP2|友だち登録者数を増やす
アカウント開設後は、多くのユーザーに友だち登録をしてもらえるよう活動しましょう。QRコードやURLを活用し、WebサイトやSNS、店頭POPなどで告知を行います。特典付きのキャンペーンやクーポンを案内すれば、登録のハードルを下げられるでしょう。
また、既存顧客に対して店頭やメールなどで案内すれば、自然な流入を促進できます。友だち登録数が増えれば、配信した情報のリーチが広がり、マーケティング効果も高まります。
STEP3|定期的に情報発信をする
友だち登録数を増やすのと同時に、メッセージ配信を行います。キャンペーン情報や新商品のお知らせ、限定クーポンの配信など、ユーザーにとって価値のある内容を意識しましょう。お得な情報を定期的に発信すれば、顧客との接点の強化にもつながります。
また、テキストの一斉配信だけでなく、セグメント配信や画像・動画配信の活用も有効です。ユーザーの興味関心を引くような工夫により、エンゲージメントの向上が期待できます。
STEP4|アカウントを分析してPDCAサイクルを回す
LINE公式アカウントを継続的に運用するには、数値データの把握と分析が欠かせません。管理画面の分析機能を使って、配信メッセージの開封率・リンクのクリック率・友だち数の増減などを確認しましょう。
例えば、開封率が低い場合は冒頭の1行目を見直す、クリック率が低ければ配信内容を変更するなど、各指標をもとに配信の内容や頻度を調整していきます。
こうした改善を定期的に繰り返すことで、ユーザーの反応が高まり、キャンペーン参加や問い合わせ、来店などの具体的な行動につながりやすくなります。
LINEの公式アカウントを運用する4つのメリット
LINE公式アカウントをビジネス目的で運用するメリットは以下の4つです。
- メールよりも情報発信力に優れている
- 一斉配信と1対1のチャット機能を両立できる
- 集客や販促に効果的な機能が充実している
- 幅広いユーザー層へアプローチできる
各メリットを詳しく解説します。
メールよりも情報発信力に優れている
LINE公式アカウントは、メールマガジン(メルマガ)と比べて情報発信力に優れています。LINEを利用しているユーザーの約2割がメッセージを受け取ってすぐ、約5割が3~6時間以内、約8割がその日のうちに開封する傾向があると調査からわかりました。
これは、LINEが日常的に使用されるSNSで、プッシュ通知機能によりユーザーが即座にメッセージを確認しやすいことが理由に挙げられます。LINEはメールに比べて開封・クリックが早いため、多くの場合で高い反応率が期待できます。
なお、メルマガにはメルマガのメリットもあるため、目的や事業内容に合わせてどちらが最適か、併用するべきかを検討しましょう。
参考:LINEヤフー for business「【公式】LINE公式アカウント「メッセージ配信」機能のメリットや種類、効果を高めるコツとは」

一斉配信と1対1のチャット機能を両立できる
LINE公式アカウントは、一斉配信と1対1のチャット機能を兼ね備えているため、ユーザーと多様なコミュニケーションを行えます。一斉配信では、キャンペーン情報や新商品のお知らせなどを登録しているすべての友だちに一度に送信でき、広範な顧客層への迅速な情報伝達が可能です。
1対1のチャット機能を使えば、ユーザーからの問い合わせや予約対応を個別行えます。さらに、音声通話やビデオ通話にも対応しているため、さまざまな形で双方向のやり取りが実現可能です。これらの機能を適切に活用すれば、顧客満足度の向上や売上増加につながるでしょう。
集客や販促に効果的な機能が充実している
LINE公式アカウントには、クーポン配信やショップカード、リッチメニューなど、集客や販促活動に役立つ多彩な機能が備わっています。クーポン配信やショップカードの提供により、売上増加やリピーターの獲得が期待できるでしょう。
また、トーク画面下部にカスタマイズ可能なリッチメニューを設定すれば、ユーザーの利便性を向上させ、サービス利用を促進できます。これらの活用により、集客や販促に効果のあるマーケティング施策が展開できます。

幅広いユーザー層へアプローチできる
LINE公式アカウントの大きな魅力として、圧倒的なユーザー登録数と幅広い年齢層へのリーチ力も挙げられます。日本国内の月間アクティブユーザー数は9,800万人以上で、10〜60代まで幅広い年齢層で利用されています。
したがって、LINE公式アカウントの活用により、企業や店舗は多様なターゲット層に対して効果的なアプローチが可能です。例えば、若年層向けの商品やサービスを提供する企業はもちろん、高齢者を対象としたビジネスでも、LINEを通じて直接的なコミュニケーションを図れるでしょう。
運用を成功させるためのポイント
LINE公式アカウントの運用を成功させる上で気をつけるべきポイントは、次の3つです。
- 運用目的を明確にする
- 目的に合わせたKPIを設定する
- メッセージを配信する頻度や時間を考慮する
各ポイントを詳しくみていきましょう。

運用目的を明確にする
LINE公式アカウントを運用する際は、最初に何のために活用するのかを明確にすることが重要です。目的が曖昧なままだと、配信内容や施策がブレやすく、成果も見えにくくなります。顧客との関係構築、売上向上、新規顧客の獲得など、目的に応じて活用すべき機能や戦略は異なります。
目的と優先度を整理すれば、リソースを効果的に配分でき、運用の方向性を定められるでしょう。自社の課題を洗い出し、どのようにLINE公式アカウントを運用すればその課題を解決できるか考えることが大切です。
目的に合わせたKPIを設定する
設定した目的に基づいた、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定も重要です。LINE公式アカウントの運用による成果を可視化するため、具体的な数字でKPIを設定しましょう。
例えば、ブランド認知度の向上を図りたいのであれば、「1年間で友だち数を1,000人増やす」といった目標が考えられます。具体的な数値目標を定めれば、運用成果を客観的に評価し、必要な改善策を講じることが可能です。
メッセージを配信する頻度や時間を考慮する
メッセージの配信頻度や時間帯は、ユーザーの受け取りやすさに直結します。ターゲットの生活リズムを考慮し、例えば昼休みや夜間などSNSをチェックしやすい時間帯に配信すれば、開封率や反応率の向上が期待できます。
競合他社がLINE公式アカウントを運用しているのであれば、その配信設定を参考にするのも有効です。なお、過度な配信はブロックの原因となり、逆に少な過ぎるとエンゲージメントの低下につながるため注意しましょう。
成果を出すLINE公式アカウント運用のコツ
LINE公式アカウントの運用で成果を出すにはコツが必要です。アカウントの運用時には、次の3つを意識しましょう。
- 簡潔で分かりやすい情報発信を心掛ける
- クーポン配布などでブロック防止対策をする
- LINE公式アカウントを軸にした業務設計をする
以下でそれぞれのコツを解説します。
簡潔で分かりやすい情報発信を心掛ける
ユーザーとのコミュニケーションでは、簡潔で分かりやすいメッセージを意識しましょう。長文は読み手に負担をかけ、内容が伝わりにくくなるため、200字程度で要点をまとめた短い文章を心掛けてください。また、視覚的な訴求力を高めるために、画像や絵文字の適度な使用も効果的です。
これにより、ユーザーの興味を引き、メッセージの開封率や反応率の向上が期待できます。ただし、画像や絵文字の多用はユーザーによっては逆効果になる場合もあります。ターゲットに応じてテキストと画像の比率を調整しましょう。
クーポン配布などでブロック防止対策をする
LINE公式アカウントを運用する際は、ユーザーにブロックされないための工夫が必要です。特に、友だち追加直後に配信するメッセージでは、ユーザーにとってのメリットを明確に伝えることがポイントです。
例えば、初回限定の割引クーポンやポイント特典を提供すれば、アカウントをブロックされにくくなるでしょう。また、配信頻度や情報内容を事前に伝え、ユーザーが不要と感じにくい運用をしなければなりません。これにより、継続的な関係を構築し、アカウントの活用価値を高められます。
LINE公式アカウントを軸にした業務設計をする
LINE公式アカウントをビジネスの中心ツールとして活用すれば、業務の効率化と顧客満足度の向上が期待できます。例えば、予約受付や問い合わせ対応をLINE上で行えば、電話やメール対応の負担を減らせるでしょう。
また、LINEの自動応答機能やリッチメニューを活用すれば、ユーザーが必要な情報にスムーズにアクセスできる環境を整えられます。業務フローをLINEに集約すれば、情報管理の一元化が可能となり、企業の運営効率を向上させられるでしょう。
LINE公式アカウントの運用で成功した企業事例
LINE公式アカウントの運用を通して、自社商品の売上向上を実現した企業事例を紹介します。各企業がなぜ成果を出せたのか、そのポイントも併せて解説します。自社で運用する際の参考にしてください。
整体師養成スクール業|LINE活用で月間売上1,000万円超えを達成
LINE公式アカウントの運用を含むWebマーケティング施策により月間売上1,000万円超えを達成した、弊社コンサルティング先の事例です。
弊社にご相談いただく前は、月間売上が数百万円程度で留まっていました。しかし、弊社コンサルティングのもとLINEステップ配信の設計や運用などを含むWebマーケティング施策に取り組んだ結果、友だち登録数384名以上を獲得、広告費12.85倍の売上金額を達成しました。
LINE公式アカウントの戦略的な運用により、伸び悩んでいた売上を爆発的に伸ばすことに成功した良い事例といえます。
長沼精肉店|双方向コミュニケーションで売上向上
長沼精肉店は、実店舗とECショップを運営しており、LINE公式アカウントを通じた1対1のコミュニケーションを重視しています。例えば、寄せられた相談に丁寧に回答し、ユーザーの意見をもとに新商品の開発を行いました。
この取り組みにより、ユーザーとの関係性を深め、売上増加につなげています。LINE公式アカウントの運用を通してユーザーの意見を販売戦略へ活用した良い事例といえるでしょう。
株式会社白鳩|LINEを活用し顧客との関係構築に成功
下着専門の通信販売サイト「SHIROHATO」を運営する株式会社白鳩は、LINE公式アカウントを活用して売上増加に成功しました。友だち追加前の特典明記や、追加直後のあいさつメッセージの工夫により、ブロック率を抑えながらエンゲージメントを高めています。
また、ターゲットごとに最適な情報を配信して購買意欲を刺激したり、クーポン配布や期間限定キャンペーンを実施したりして、売上の約15%をLINE経由で獲得することに成功しました。LINEの活用により、新規顧客の獲得だけでなくリピート客の増加にもつなげた事例です。
まとめ
LINE公式アカウントは、自社商品・サービスを効率良く届けるために有効なSNSです。アカウントの開設は無料ででき、ニーズに応じて3つのプランから選んで運用できます。
効果的に運用するためには、運用の目的を明確にし、ターゲットに合った配信内容や頻度を設計することが大切です。定期的にデータを分析し、開封率や反応率をもとに改善を重ねていくことで、ユーザーとの関係性が深まり、リピーターの獲得や売上向上につながるでしょう。
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