LINE公式アカウントを作ったものの、どのように運用すべきか分からず、お悩みの方も多いでしょう。LINE公式アカウントではステップ配信の設定が可能で、ユーザーの反応や接触のタイミングに合わせてメッセージを段階的に送信できます。手間をかけずにユーザーの興味や関心を引ける強みのある施策です。
本記事では、ステップ配信がどのように機能するのか、設定手順や効果的な活用方法まで詳しく解説しています。また、活用例も紹介しているので、この記事を読めば、ステップ配信を使いこなし、売上向上への第一歩を踏み出せるでしょう。
LINE公式アカウントにおけるステップ配信の基礎知識
LINE公式アカウントで利用できるステップ配信とは、あらかじめ作成しておいたメッセージをユーザーに対して段階的に自動送信する仕組みです。
例えば、新しく友だち追加をしたユーザーに向けて、「登録直後」「翌日」「さらにその2日後」のように、事前に決めたスケジュールに沿って順番にメッセージを配信します。このような仕組みをLINE上で実現できるのが、LINE公式アカウントのステップ配信機能です。
「友だち追加」や「特定のアクション」などをきっかけに、それぞれに合ったタイミングで情報を届けられます。新規ユーザーへの商品紹介、初回購入までの自然な導線つくりといった効果が期待でき、売上の向上や関係構築にもつながります。

ステップ配信を活用する3つのメリット
LINE公式アカウントのステップ配信機能を導入することで、企業はマーケティング施策の精度を高めやすくなります。これにより、顧客満足度の向上や売上の向上にもつながる可能性があります。LINE公式アカウントのステップ配信によって得られる3つのメリットは以下の通りです。
- 最適なタイミングでメッセージを自動送信できる
- ユーザーとの信頼関係の構築や購買意欲の向上が期待できる
- 運用業務の負担を軽減できる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
最適なタイミングでメッセージを自動送信できる
LINE公式アカウントのステップ配信では、友だち追加や特定の行動に応じて、最適なタイミングでメッセージを自動送信できます。例えば、追加直後にウェルカムメッセージを送り、数日後に商品情報やクーポンを届けるといった段階的な配信が可能です。
公式の情報によると、LINE公式アカウントから届いたメッセージをすぐに開封するユーザーが2割、3〜6時間以内に開封するユーザーが5割いることから、ユーザーの開封率が高い傾向にあるとわかります。
メールに比べて到達率・開封率の高いLINEだからこそ、ユーザーの関心が高いうちにアプローチできるため、購入や問い合わせといった次の行動にもつながりやすくなります。
ユーザーとの信頼関係の構築や購買意欲の向上が期待できる
ユーザーの属性や行動に応じて、パーソナライズされたメッセージを送れることがLINEステップ配信の強みです。これにより、ユーザーとの関係構築ができるため、購買意欲の向上が期待できます。
例えば、商品を初めて購入したユーザーに対しては、数日後に使い方やお手入れ方法などを案内するメッセージを送り、継続的な利用を促すことが可能です。また、過去の購入履歴に基づいたおすすめ商品の紹介や、誕生日に合わせて特別なメッセージを送ることで、ユーザーの満足度とロイヤリティの向上につなげられるでしょう。
運用業務の負担を軽減できる
LINEのステップ配信は、あらかじめ設定したシナリオに沿ってメッセージを自動的に送信できます。そのため、手動で対応する必要がなくなり、運用の手間を大幅に削減できるでしょう。
また、ユーザーの属性や行動に合わせてターゲットを絞ったメッセージの配信にも対応しており、精度の高いアプローチを実現できます。購入後のフォローや、見込み顧客への段階的な案内も自動化でき、少ない人員でも継続的に効果的なマーケティング活動を行えます。
ステップ配信の基本設定と使い方
ここからは、LINE公式アカウントのステップ配信の基本設定と利用方法の手順を紹介します。LINE公式アカウントの運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1.ステップ配信を選び基本設定を入力
はじめに、LINE Official Account Managerの管理画面にログインしてください。左側のメニューから【ステップ配信】を選び、【新規メッセージを作成】を選ぶと、設定画面に切り替わります。次に、基本情報を設定するために以下の内容を入力しましょう。
- タイトル:管理用の名称を設定
- タイムゾーン:メッセージを送る基準となる時間
- 有効期間:ステップ配信を適用する期間・開始日と終了日の指定が可能
- 配信数の上限:メッセージ配信数の上限を設定
上記の内容を正確に入力しておくことで、ステップ配信の全体設計が整い、設定もスムーズに進められます。
2.配信が始まるきっかけとなる条件設定
次に、メッセージの送信が自動で始まる条件を事前に設定しましょう。【開始条件:友だち追加】を選んで以下の内容を入力していきます。
- 開始条件の種類:【友だち追加】または【オーディエンス】から選択
- 追加日:ステップ配信を開始する日付を入力
- 追加経路:【すべての経路】または【特定の経路】を選択
なお、追加経路の【特定の経路】を選択すると、「検索」「ホームタブ」「友だち追加アイコン」などの選択肢から対象経路を選べます。設定が完了したら、【保存】してください。
3.各ステップで送信するメッセージ内容を設定
届けたいメッセージを送信するタイミングや内容を入力していきましょう。まず、【ステップを追加】から、【メッセージを配信】を選択します。ステップが追加されているかをチェックして、以下の内容を入力します。
- 待ち時間:前のステップから次のメッセージを送信するまでの待ち時間を設定。
- メッセージ内容:配信するテキスト、画像、クーポンなどを設定
待ち時間は、「友だち追加から2日後」など任意の日数を設定します。上記の設定を繰り返し行い、ステップ配信を設計していきます。
4.必要なメッセージ数に合わせたステップを設定
ステップ配信で重要なのは、ユーザーとの接触を1回で終わらせるのではなく、複数の段階を通じた継続的な情報の提供です。必要に応じて段階的なステップを追加し、それぞれに異なる内容を設定しましょう。
例えば、1通目でサービス紹介、2通目で導入事例の紹介、3通目で限定クーポンを送る、といった流れをつくれば、ユーザーの興味を引き、問い合わせや購入へとつなげやすくなります。ユーザーにとって自然な流れで情報を受け取ってもらえるよう設計しましょう。
5.条件分岐の設定
LINEのステップ配信には条件分岐という機能があり、ユーザーの行動や属性に応じたメッセージ内容の切り替えにも対応しています。条件分岐を設定する際は、【ステップを追加】から【条件分岐を追加】を選択してください。
条件分岐は、属性とオーディエンスから選べます。属性は、性別・年齢・OS・地域、オーディエンスは、メッセージクリック、メッセージインプレッション、リッチメニュークリックなどから選択可能です。
例えば、資料請求ページのリンクをクリックしたユーザーには導入事例を紹介するメッセージを送り、クリックしていないユーザーには別の案内を送る、といった分岐を行えます。
ステップ配信を活用する場合の注意点
LINEのステップ配信は、ユーザーに合わせたアプローチを行えることから問い合わせや商品の購入などにつながる効果が期待できる反面、運用にあたっては以下のような慎重に対応すべき点もあります。
- メッセージの送信には費用がかかる
- メッセージが配信停止になるケースがある
- 詳細な条件分岐の設定には対応していない
ステップ配信を活用する際は、紹介する注意点も押さえて対応しましょう。
メッセージの送信には費用がかかる
ステップ配信で送信されるメッセージは、料金プランに基づき、メッセージ通数としてカウントされます。無料メッセージ通数は以下、表の通りです。
コミュニケーションプラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
無料メッセージ通数(月間) | 200通 | 5,000通 | 30,000通 |
コミュニケーションプラン、ライトプランは、無料メッセージ通数を超えてメッセージの送信はできません。なお、スタンダードプランのみ追加料金を支払えば、30,000通を超えてもメッセージの送信が可能です。配信計画を立てる際は、メッセージ数を考慮し、コスト管理の徹底が重要です。
メッセージが配信停止になるケースがある
ステップ配信の設定を行っていても、配信が停止されるケースがあります。契約しているプランの送信可能なメッセージ数が上限を超えると、メッセージの配信は自動で停止する仕組みになっています。
また、ユーザーがアカウントをブロックした場合もメッセージ配信停止の対象です。設定したメッセージを継続的に配信するには、メッセージ送信数の管理とユーザーに配慮した適切なコミュニケーションが重要になるでしょう。
詳細な条件分岐の設定には対応していない
ステップ配信の仕組みでは、詳細な条件分岐は行えません。条件分岐は、性別や年齢などのユーザー属性や、メッセージクリックやメッセージインプレッションなどの行動に基づいた基本的な条件分岐は可能です。
しかし、シナリオの詳細設定や複雑な条件分岐には対応できないため、高度な条件分岐を実現したい場合は、外部ツールとの連携を検討しなければなりません。
ステップ配信を活用した事例
LINE公式アカウントのステップ配信を活用した具体的な活用例を3つ紹介します。
- 再来店を促進するクーポンの配信
- 継続購入を促すための情報提供
- セミナーや個別面談の案内
LINEのステップ配信を利用したことがない方でも、取り入れやすい事例を挙げています。紹介する事例を参考にステップ配信の設計をしてみましょう。
再来店を促進するクーポンの配信
再来店を目的としたクーポンの配信は、小売業や飲食業などの店舗型ビジネスに有効な施策です。例えば、初回来店時に友だち追加をしてもらい、来店3日後に「次回使える10%オフクーポン」を配信します。さらに、5日後にはおすすめメニューや季節限定メニューを紹介することで、継続的な接触が可能になります。
初回来店から一定期間内に次回利用を促す流れを作ることで、再来店の確率を高められるでしょう。
継続購入を促すための情報提供
通販や定期購入型の商品を扱う企業もステップ配信を活用できます。例えば、購入直後に「購入ありがとうございます」といったお礼のメッセージを送り、1週間後には「商品活用のコツ」や「関連商品の紹介」を配信します。
2週間後には「レビュー投稿のお願い」や「次回購入時に使える特典」を伝えることで、再購入のきっかけがつくれるでしょう。段階的に信頼関係を築きながら、継続的な売上につなげることが可能です。
セミナーや個別面談の案内
採用活動における個別面談の案内や、顧客向けセミナーの告知などにも、ステップ配信は活用されています。実際にLINEのステップ配信を施策の一つに取り入れて、成果を上げた事例もあります。
コーチング業をしているA社は、これまで口コミや紹介に頼っていたため、集客数が不安定でした。そこで、LINEのステップ配信を活用し、「友だち追加→セミナー案内→個別相談→成約」といった一気通貫の集客導線を設計しました。
その結果、安定してセミナーへの申し込みを獲得できる仕組みが整い、月間200万円の売上達成に成功しています。
ステップ配信を効果的に行うコツ
LINEのステップ配信は、ユーザーとの関係構築や購買促進に効果的なマーケティング手法です。効果をより高めるためのコツを4つ紹介します。
- ユーザーの疑問や不安を解消できるシナリオを設計する
- 訴求したいポイントは繰り返し配信する
- 配信するタイミングを調整する
- 成功事例・失敗事例の分析や効果測定を実施する
それぞれのコツを把握して、LINEのステップ配信を行いましょう。
ユーザーの疑問や不安を解消できるシナリオを設計する
ステップ配信の成果を高めるには、ユーザーが抱えている疑問や不安を解消できるシナリオの設計が重要です。シナリオを設計する際、ユーザーの認知から購入するまでの一連の行動や思考の流れを可視化したカスタマージャーニーマップを取り入れるとよいでしょう。
カスタマージャーニーマップの活用により、ユーザーが今どの段階にいるか理解でき、一方的な売り込みではなく、心に響く最適なメッセージを届けることが可能です。
例えば、商品購入にためらいのあるユーザーには、初回で商品の特徴や価値を伝え、次に口コミやレビューで安心感を与え、最後に割引や保証制度を紹介するといった流れが考えられます。こうした段階的な配信によって、ユーザーは自然に次の行動に進みやすくなります。

訴求したいポイントは繰り返し配信する
伝えたい情報は、表現を変えて繰り返し届けることでユーザーの記憶に残りやすくなります。例えば、初回は文章で商品の魅力を伝え、次回は図解や写真、さらにその次は動画と、形を変えることで飽きずに読まれやすくなります。
ただし、同じ内容をそのまま繰り返すと、ブロックや離脱の原因になるため注意が必要です。

配信するタイミングを調整する
ステップ配信は、配信時間の工夫によって開封率や反応率を上げられます。ターゲットユーザーの生活パターンに合わせて、適切な時間帯にメッセージを配信しましょう。
例えば、会社員向けであれば通勤中の8時〜9時、主婦向けであれば午前10時〜11時、学生向けなら夕方以降が反応されやすい時間とされています。曜日や時間を変えてテストを行い、最も開封率の高いタイミングを見極めてください。
成功事例・失敗事例の分析や効果測定を実施する
LINEのステップ配信を成功させるには、既に成果を出している成功事例と、期待通りの結果が得られなかった失敗事例の分析が大切です。そして、配信後には必ず効果測定を行い、各メッセージの開封率、クリック率、コンバージョン率などの数値を詳しく分析しましょう。
これらのデータに基づいて、どのメッセージがユーザーに響いたのか、改善すべき点はどこかを明確にすれば、次のステップ配信の改善につながります。
まとめ
LINE公式アカウントに備わっているステップ配信は、あらかじめ設定したメッセージを段階的に自動配信する仕組みです。ユーザーとのコミュニケーションを最適化し、信頼関係の構築や購入を促進できるだけでなく、運用負荷の軽減、費用対効果の向上などのメリットが期待できます。
BtoB、BtoC問わず、さまざまなビジネスシーンで活用されています。LINE公式アカウントを運用する際は、問い合わせや商品の購入といったアクションにつながるステップ配信も利用しましょう。
ウェビットでは主に中小企業がWebマーケティング、Web集客を行ううえでのお悩みを解決するような情報を発信しております。気になられた方はぜひ、ほかの記事もご一読ください。