ロングテールSEOは、オウンドメディアやECサイトを大きくするための重要な戦略です。ロングテールSEOをうまく導入すれば、集客力やCVR(コンバージョン率)の向上にもつながります。
本記事では、Webサイト運営に重要なロングテールSEOの基本知識を解説します。ロングテールSEOとは何か、メリットやデメリット、ロングテールSEOを成功させるコツなど集客力アップに役立つさまざまな情報をまとめました。サイトの集客力アップを図りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ロングテールSEOの概要
ロングテールSEOとは、ロングテールキーワードを構成するキーワードを用いたSEO対策を指します。検索数が少ないニッチな分野、具体的な検索ワードで検索するユーザーなどが主なターゲットです。
一般的に、Webサイトの8割はロングテールキーワードからのアクセスです。ロングテールSEOを行えば、より情報を強く求めるユーザーのアクセスが狙えます。企業がキーワードに合致した記事を用意すれば、CVRの向上も図れるでしょう。
ロングテールSEOの基礎知識を正しく理解
ロングテールSEOの概念を理解するために、前提となる基礎知識を解説します。知っておきたい用語は次の5つです。
- SEO
- ビッグキーワード
- ミドルキーワード
- スモールキーワード
- ロングテールキーワード
ここでは、各用語の意味や特徴を用語ごとにまとめています。
SEO|検索結果の上位表示に必須の施策
SEOとは、Search Engine Optimizationの頭文字を取っており、日本語で「検索エンジン最適化」を指します。SEOの狙いは、検索結果で上位表示を目指すことです。そのためには、検索エンジンがWebサイトに書かれている内容を理解しやすいように作成しなければなりません。
SEOには、「サイト内のSEO対策を行う内部施策」「サイト自体の評価を高めるための外部施策」「ユーザーファーストなサイトづくりを目指すコンテンツSEO」と3つの施策があります。これら3つの施策を適切に行っていないと、検索結果の上位表示は難しくなります。
ビッグキーワード|上位表示の難易度は高め
ビッグキーワードとは、検索ボリュームが非常に多いキーワードのことです。ビッグキーワードの月間検索数は、10,000を超えます。ビッグキーワードの特徴には、検索ワードが 「病院」 など1つの語句だけで構成されている場合が多いことや、競合の数が多く上位表示させるには難易度が高い点などが挙げられます。
そのため、最初からビッグキーワードで検索結果の上位表示を目指すのは得策ではありません。ビッグキーワードで上位表示を目指すのは、ロングテールSEOを行ってから考えた方がよいでしょう。
ミドルキーワード|上位表示の難易度は中程度
ミドルキーワードとは、ビッグキーワードに次ぐ検索ボリュームのキーワードで、月間検索数の目安は約1,000〜10,000とされています。ミドルキーワードの特徴は、検索ワードが「病院 クリニック」 のように2つ(または3つ)の語句で構成される点です。
ビッグキーワードと比較すれば競合の数は減っているものの、選択するキーワードによってはまだまだ競争率は高いといえるでしょう。
スモールキーワード|上位表示の難易度は低め
スモールキーワードとは、検索ボリュームが少ないキーワード群です。月間の検索数をみても1,000以下と少なめであるため、SEO対策に力を入れれば、参入して間もない新規メディアでも上位表示が狙いやすい傾向にあります。
スモールキーワードの特徴は、検索ワードが「病院 クリニック 違い 比較」など3つ以上の語句で構成されている点が挙げられます。
ロングテールキーワード|上位表示の難易度は少し低め
ロングテールキーワードは、スモールキーワードのみ、またはミドルキーワードの一部を交えたキーワードのことで、ニッチキーワードとも呼ばれています。
ロングテールはパレートの法則(8:2)の対となる概念です。パレートの法則は「売上の8割が2割の商品で占める」とされ、対するロングテールは売上を出す2割から弾かれた「残り8割の商品」に焦点を当ててSEO対策を行っています。
ロングテールキーワードは競合が少ない分野であるため、上位表示を狙うならロングテールキーワードから狙うのが基本戦略です。
ロングテールSEOが持つ4つのメリット
ロングテールSEOには、次のような4つのメリットがあります。
- 競合が少なく上位表示も狙える
- ニーズが具体的でCVRアップが期待できる
- アルゴリズムの変化に強くアクセスが稼げる
- ビッグキーワードの検索順位を上げられる
ここでは、各メリットの特徴を詳しく解説します。
競合が少なく上位表示も狙える
ロングテールSEOは複合検索キーワードを用いるため、競合が少ない傾向です。競合が少なければ、検索エンジンの評価次第で上位表示が狙えます。
ビッグキーワードで検索結果の上位に入ることは多くのアクセスが望めます。しかし、最初からビッグキーワードによる上位表示を狙うのは難しいものです。まずはロングテールSEOで上位表示を目指し、サイトの信頼性やCVR向上を図る方が堅実です。
複数のロングテールキーワードを設定して検索結果の上位表示を狙えれば、検索結果ごとにユーザーの流入が望めるため、将来的にはミドルキーワードやビッグキーワードでの流入も見込めるようになるでしょう。
ニーズが具体的でCVRアップが期待できる
ロングテールキーワードで検索をかけるユーザーは、具体的な内容を知りたい気持ちから検索しているのが一般的です。そのため、検索ニーズに合致したサイトを制作できれば、ユーザーが問い合わせや購入といった企業の期待するアクションを起こす可能性を高められます。
CVRの向上を図りたいなら、ロングテールSEOを積極的に取り入れ、ユーザーの具体的なニーズに応えるようにしましょう。
アルゴリズムの変化に強くアクセスが稼げる
検索エンジンは、定期的なアップデートによりアルゴリズムの更新を図っています。アルゴリズムの更新により、これまで上位表示されていたキーワードの順位が下がるなど、SEOにとってリスクとなる可能性がある点に注意が必要です。
ビッグキーワードの場合、キーワードの評価が下がると大きなダメージを受けてしまいます。しかし、ロングテールキーワードはキーワード数が多いため、1つのキーワードの評価が下がっても全体でみるとあまり変化がないこともしばしばあります。
安定したアクセス数を確保するには、アップデートに強いロングテールSEOに力を入れておくとよいでしょう。
ビッグキーワードの検索順位を上げられる
ロングテールキーワードを使って作成したページにビッグキーワードを狙っているページへの内部リンクを張れば、ビッグキーワードの順位向上も図れます。
内部リンクには「ユーザーのサイト滞在時間を延ばす効果」「クローラーによる巡回速度向上」「ページ同士の関連性やサイト全体の専門性を検索エンジンに伝える役割」などがあります。適切な内部リンクを施せば検索エンジンによるサイト全体の評価が高くなり、ビッグキーワードの順位向上にも役立つでしょう。
ロングテールSEOに潜むデメリット
ロングテールSEOには、下記3つのデメリットがあります。
- アクセス数が増えにくい場合もある
- 効果が現れるまでに時間がかかる
- 類似コンテンツによるカニバリゼーションがありえる
ここではロングテールSEOのデメリットを詳しく解説します。デメリットを事前に把握し、対策を考えておきましょう。
アクセス数が増えにくい場合もある
ロングテールSEOで上位表示を獲得しても、思ったようにアクセスが伸びない場合もあります。ロングテールキーワードはそもそも検索ボリュームが少ないものです。検索ボリュームが少ないと、アクセスユーザーの大幅な増加は見込みは薄いです。
また、キーワード選定の段階でニーズのないキーワードを選択してしまう可能性も考えられます。アクセス数を伸ばすには、関連キーワード調査ツールの活用が重要です。ツールを上手く活用し、ユーザーのニーズを正しく理解した上でサイト制作を行いましょう。
効果が現れるまでに時間がかかる
ロングテールSEOは検索ボリュームが少ないため、効果を得るまでに時間がかかります。1件あたりのアクセス数は多くないため、大きな成果をあげたいならその分多くのコンテンツを制作する時間が必要です。
時間がかかれば、その間を維持する予算も考えなければなりません。ロングテールSEOを取り入れる際は、予算の計算と多くのコンテンツ制作準備を事前に行いましょう。
類似コンテンツによるカニバリゼーションがありえる
カニバリゼーションとは「重複による評価分散」のことで、類似コンテンツが検索エンジンの評価を取り合う状況を指します。結果的にページの表示順位が下がってしまうため、SEO効果を高めるには避けたいところです。
例えば、コンテンツが1つだけならユーザーの行動はそのコンテンツに集中します。しかし類似コンテンツがあることで、ユーザーの行動も分かれてしまいます。その結果、ユーザーの行動指標は類似コンテンツ同士食いあってしまい、本来の行動指標が得られなくなるのです。
類似コンテンツがお互いを食いあって正しい評価がされないと、SEO対策において重要な機会損失となってしまいます。コンテンツを検索エンジンに正しく評価してもらうためにも、キーワードの重複や類似コンテンツの制作は避けるように気をつけましょう。
ロングテールキーワードを決める3STEP
ここでは、ロングテールキーワードの選定方法を3つのステップで解説します。
- コンテンツの軸となるビッグキーワードを選定
- ツールを使って関連キーワードを調査
- 複合キーワードのボリュームを確認
キーワード選定時の参考になるよう、選定ワードの具体例や役立つツールも紹介します。
1.コンテンツの軸となるビッグキーワードを選定
はじめに、コンテンツ全体の軸となるビッグキーワードの選定を行います。ビッグキーワードは、自社が制作したいと考えているサイトのジャンル・テーマから決めましょう。例えば、パソコン買取・中古販売のサイトなら、ビッグキーワードに「パソコン」や「中古販売」などが候補として挙げられます。
キーワードの選定は、Googleで提供しているキーワードプランナーなど月間検索数が確認できるツールの使用が効果的です。月間検索数が確認できるツールを使えば、市場の需要を確認しながらキーワード選定ができます。
2.ツールを使って関連キーワードを調査
ビッグキーワードの次は、ロングテールキーワードの基となる関連キーワードを調べましょう。関連キーワードの探し方でよく知られている方法は、Google検索をかけると表示されるサジェストの活用です。例えば「パソコン 中古」で検索すると「おすすめ」「ノート」などのワードが検索候補に出てきます。
ほかには、専用ツールを用いてキーワードを調べる方法もあります。無料でよく利用されているツールは「ラッコキーワード」「Googleキーワードプランナー」などです。有料ツールなら「Keyword Tool」もあります。
3.複合キーワードのボリュームを確認
関連キーワードを複数抜き出したら、キーワードの検索ボリュームを確認します。できるだけ、検索ボリュームが1,000以下のスモールキーワードを選ぶのがポイントです。検索ボリュームでキーワードを絞ることで、ターゲットがより明確になりSEO効果も期待できます。
検索ボリュームは「Googleキーワードプランナー」や「ラッコキーワード」で調べられます。Googleキーワードプランナーは、大まかな数値を知りたいだけであれば無料で利用可能です。広告の出稿をすれば、キーワードの具体的な数値もわかるようになります。なお、ラッコキーワードの検索ボリューム調査機能は有料です。
ロングテールSEOを成功させるコツ3選
この項では、ロングテールSEOを成功させるコツ3つを解説します。
- 長期的なスパンで戦略を立てる
- 品質の高いコンテンツを数多く制作する
- SEO以外の施策も同時に取り入れる
いずれも、メリットを享受しながらデメリットを極力避ける有効な手段です。
長期的なスパンで戦略を立てる
ロングテールSEOは、すぐに結果が出るものではありません。そのため、半年〜1年など長期的なスパンで戦略を立てる必要があります。最初は結果が出ないものと割り切り、根気強く取り組む姿勢が大切です。
焦ると「結果が出ない=効果がない」と勘違いし、成果の出始めた芽を潰しかねません。「すぐに結果が出るものではない」と心構えを持ち、まずは地道に良質なコンテンツづくりを行いましょう。
品質の高いコンテンツを数多く制作する
ただ時間をかけるだけでは、ロングテールSEOの成功は難しいものがあります。ロングテールSEOの成功には「高い品質」と「多くのコンテンツ」が不可欠です。いくら高い品質のコンテンツを制作しても、1つや2つでは成果は少なくなります。
反対にコンテンツの数だけ増やしても、質が低ければやはり成果は得にくいといえます。コンテンツ制作後も定期的にリライトや内部リンクの見直しなどを行い、コンテンツ自体の質も向上させるようにしましょう。
SEO以外の施策も同時に取り入れる
SEO以外の施策も併用すると、より効果的なマーケティングが行えます。代表的なWebマーケティングは、Web広告やメールマガジン、SNSマーケティングなどです。
施策ごとにメリットやデメリットは異なります。メリットを活かしながらデメリットをカバーする施策を展開すれば、効率の良いマーケティングにつながるでしょう。
まとめ
ロングテールSEOの知識は、Webサイトの集客やCVR向上に欠かせないものといえます。ロングテールキーワードで検索結果の上位表示を目指せば、将来的にビッグキーワードの上位表示も期待できます。メリット・デメリットを踏まえた上で、質・量ともに優れたコンテンツづくりを行うようにしましょう。
ウェビットでは主に中小企業がWebマーケティング、Web集客を行ううえでのお悩みを解決するような情報を発信しております。気になられた方はぜひ、ほかの記事もご一読ください。