マーケティングと心理学には、深い関わり合いがあります。
消費者の取る行動には一つ一つ要因があり、それが理解できると有効なマーケティング戦略を打ち出すことができます。
今回は、マーケティングと心理学の関係性と実際にマーケティングの現場で活用されているマーケティング心理学を厳選してご紹介します。
消費者の深層心理を読み解き、有効なマーケティング戦略を立てたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
マーケティング心理学とは?
マーケティング心理学とは、消費者の心理を分析しマーケティング戦略に活用したものです。
商品やサービスを売るには仕組み作りが重要で、その仕組みを構築するにはマーケティング心理学を使って戦略を立てるとより効果があると考えられています。
まずは、マーケティング心理学の基本について解説します。
マーケティングと心理学の関係性
マーケティングと心理学には、深い関わりがあります。
消費者が商品を購入するまでの仕組みを作るには、戦略的なアプローチをおこなう必要があります。
人がモノを買うときにはある一定の行動パターンがあり、マーケティングでは消費者の深層心理を読み解き戦略を立てることが有効的だと考えられています。
最後には1つの商品が選ばれますが、消費者がその1つを選ぶにはどのような要素が関わっているのか、心理学で分析していきます。
マーケティング戦略をおこなうには、心理学を活かして消費者の行動を理解し、購買意欲を高めるための施策を選ぶことが重要です。
マーケティング心理学を学ぶメリット
マーケティング心理学は「行動心理学」や「心理学」を基に人の心理を分析して、マーケティングに活用しています。
心理学そのものを学びマーケティングに展開していこうと思うと複雑で難しく、マーケティングに活用できるまでにかなりの時間が必要となります。
マーケティング心理学は長年の研究と分析で、簡潔かつ分かりやすくマーケティング手法としてまとめられています。
マーケティング心理学は、普段から利用するような身近なお店でも活用されています。
企業がマーケティング心理学を理解し正しく使うことでマーケティング戦略がさらに効率的になり、人の心を動かすアプローチで消費者の行動をコントロールすることができるようになります。
マーケティングに役立つ資格
前述したように、行動心理学や心理学をしっかり学ぶことは時間と労力が必要です。
行動心理学や心理学に詳しくなくても、マーケティング心理学を学び理解することでマーケティング戦略を構築するための力を身につけることに繋がります。
一方で、心理学を基礎から学びマーケティングに役立てたいと思う方には、「行動心理士」という資格がおすすめです。
「行動心理士」は、相手の仕草や表情から本音を読み解くスキルと、問題解決のためのコミュニケーション能力を持っています。
「行動心理士」の取得を目標に学習すれば、行動心理学に基づいたマーケティング戦略で消費者の本音と悩みを解決するためのアドバイスをおこなうことができます。
「行動心理士」はまず、日本能力開発推進協会が指定する認定教育機関で必要なカリキュラムを受講して試験の受験資格を獲得します。
その後、試験を受験して合格すれば「行動心理士」の資格を取得できます。
マーケティング心理学19選
ここからは、実際にもよく活用されているマーケティング心理学19選をご紹介します。
適切な場面で使えると結果にも分かりやすく反映されますので、内容をしっかりと理解するようにしましょう。
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、行動に禁止や制限をつけられると逆に興味が強まってしまうというものです。
具体的には「美容に興味がない人は見ないでください」という文言は、行動に制限がされておりカリギュラ効果を狙った広告として知られています。
また、よくある会員制度や期間限定のキャンペーンなどもカリギュラ効果を利用したマーケティング戦略として良く活用されます。
ウィンザー効果
第三者の意見や評価を信じるという心理を利用したのが、ウィンザー効果です。
商品やサービスを購入する際、口コミや比較サイトなどを参考にしたことがあるのではないでしょうか?
販売元のセールスマンから商品の魅力を聞くより、関係のない第三者からの情報の方が信頼しやすいのです。
自社ホームページなどに「お客様の声」や「実績」として顧客のインタビュー記事が掲載されていることがあるのは、このウィンザー効果でユーザーの信頼を得るためです。
アフォーダンス効果
アフォーダンス効果は、過去にあった経験と似た場面に遭遇したとき、そのときの経験や思ったことが行動に反映されるという心理効果です。
アフォーダンス効果が現れている部分として代表的なのは、Webサイトで「リンクは青文字になっている」と認識されていることが挙げられます。
訪問したWebサイトが特徴的な仕様やデザインになっていると、ユーザーは混乱し「見にくいWebサイト」と判断されてしまうので注意しましょう。
返報性の原理
返報性の原理とは、相手に何かしてもらったら「お返しをする」という考えが働くことです。
「引っ越しの手伝いをしてもらったから、今夜はご飯をご馳走しよう」といったように、相手の好意に対してお礼をすることが具体例として挙げられます。
他にも「無料サンプルの配布」や「無料相談」などの返報性の原則を活用したマーケティング戦略が良く見られます。
また、「あなた一人のために」という特別感を感じると、返報性の原則の効果が高まると言われています。
バーナム効果
多くの人が該当するようなことでも、自分のことを言われていると感じたことはありませんか?
それは、バーナム効果と呼ばれるものです。
占い師が「悩みを持っている」ことを言い当てていると感じるのもバーナム効果が発揮されています。
大半の人が持っているであろう「悩み」ですが、自分に向けて言われると「自分のことを言い当てられた」と感じてしまいます。
ネットショッピングなどで、「こんなことでお困りではないですか?」という前置きを見たことがある方も多いかと思いますが、これもバーナム効果で共感や親近感を得て、その後の商品を見てもらおうとする手法です。
アンカリング効果
はじめに目にした情報を自分の中のボーターラインとして認知し、物事の判断基準にすることがアンカリング効果です。
例えば、商品の値段の表記が「定価10,000円から30%引きの7,000円!」となっているとお得に感じるかもしれません。
しかし、その商品の相場や機能などを総合して価値を見極めないと安いかどうかは分かりません。
先に「定価10,000円」を提示して判断基準を作り、値引きされた価格がお得だと思わせるのがアンカリング効果です。
ディドロ効果
ディドロ効果は、新たなものを手に入れたとき、そのものに合わせた環境作りをしたくなる心理のことです。
効果が分かりやすいのは、家具などのインテリアに関するものです。
新しく購入した家具が気に入ったデザインだと、その他のインテリアについても統一感を出すために次々と買い換えたくなるディドロ効果が働きます。
家具や洋服売り場にはよくトータルコーディネートの例としてディスプレイが置かれていますが、これもディドロ効果を高めるためのものです。
ヴェブレン効果
高価なものを買うと、満足感を得られることがあります。
これはヴェブレン効果が働いたことによるものです。
ヴェブレン効果は自己顕示欲とも言われ、ブランドものなどの高価な品を持つことで欲求を満たし満足度が向上します。
ヴェブレン効果は周囲からの評価を期待して発揮される心理行動のため、商品に一定以上の価値や人気がないと逆効果になってしまうので注意が必要です。
ザイオンス効果
ザイオンス効果とは、接触回数を重ねることで徐々に好印象になっていくという効果で、単純接触効果とも呼ばれています。
人に何度も会うことや商品を目にすることで、抵抗感が少しずつ薄れていき親近感が湧いてきます。
ザイオンス効果を利用したマーケティング戦略は近年で増加傾向にあり、SNSの中でよく活用されています。
ザイオンス効果は、最初にネガティブな印象を与えないことがポイントで、自然な形で宣伝できるSNS広告とは相性が良いのです。
スノッブ効果
スノッブ効果は、あまり見たことがないようなものだと魅力的に見え、多くの人が使っているものほど欲しくなくなるという心理効果です。
人気のスニーカーや同じようなデザインの服より、「数量限定」や「店舗限定」という文言に惹かれるのがスノッブ効果を利用した戦略です。
ご当地の商品が売れるのも「他では手に入らない」というスノッブ効果が働いています。
松竹梅の法則
松竹梅の法則は、日本人に対して特に有効的だと言われるマーケティング心理学です。
松・竹・梅と3つの選択肢を並べたときに、無難な中間の商品を選んでしまうという心理行動です。
そのため、最も売りたい商品を真ん中に置いて、平均的で安定した商品である印象を与えます。
松竹梅の法則は、レストランやエステなどで複数のコースやプランから1つを選択する場面でよく見ることがあります。
バックトラッキング
バックトラッキングとは「オウム返し」という意味で、話の最中に共感を表明するために相手の言ったことを繰り返すという行動です。
バックトラッキングをおこなうことで、相手は話を聞いてもらえているという安心感を得られ、信頼関係を築くことができます。
対面だけでなく、書面でも効果を発揮するのでメールやSNSのコメントの返信にも活用できます。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果は、人気の商品や話題になっているものを自分も欲しいと思う心理効果です。
SNSで芸能人やインフルエンサーが紹介した商品が一気に売れ出すのは、バンドワゴン効果です。
また、店頭でも「当店人気No.1」や「話題の商品!」などのポップを見ると、つい商品を手に取ってしまうことや、行列を見ると並びたくなってしまうということもバンドワゴン効果が働いています。
奇数の法則
奇数には、注目度や信頼度を向上させる効果があると言われています。
割り切れる数字の偶数は、人工的に作られた不自然な感覚になってしまい、割り切れない奇数の方が、自然で安心感を与えることができるというのが奇数の法則です。
広告やタイトルなどに数字を入れる際は、奇数に注目してみると奇数の法則が働き効果を発揮するでしょう。
フット・イン・ザ・ドア
フット・イン・ザ・ドアは、簡単なお願いから徐々にハードルを上げていく手法で、セールスマンの商談の場面で良く使われています。
はじめは警戒されていても、ハードルの低いお願いだと「そのくらいなら」と聞き入れる心理を利用して、徐々に契約に持ち込むという流れです。
フット・イン・ザ・ドアを利用したマーケティング戦略で良く目にするのが「無料体験」です。
「最初の○ヶ月間無料体験」と案内して、入会のハードルを下げて本契約までおこなう方法です。
選択肢の絞り込み
選択肢を多くしすぎず、絞り込んだ提案をすることで購買意欲を高める手法です。
選択肢が多いほど悩む時間も長くなり、最終的にどれを選択すれば良いか分からなくなってしまうことがあります。
そのような状況を防ぐために、選びやすい選択肢を数個用意して顧客が決定しやすい環境を作ることが重要です。
一貫性の原則
人は、自分の意思や行動に一貫性を持たせようとする心理が働きます。
マーケティングに一貫性の原則を利用したものとして、アプリの課金制度があります。
ダウンロードや基本的な使用は無料ですが、ある程度使い込んで追加したい機能が出てくると課金が必要になることが多いでしょう。
ここまで使ってきたことで一貫性を持たせようと、ユーザーは課金して使い続ける傾向があります。
ドア・イン・ザ・フェイス
ドア・イン・ザ・フェイスは、前述したフット・イン・ザ・ドアとは反対に、最初にわざとハードルの高い要求をするという手法です。
そこから要求のレベルを下げていくことで、受け入れやすい気持ちにしていきます。
質問の使い分け
質問形式には2種類あります。
「はい」か「いいえ」で回答できる「クローズドクエスチョン」と、思ったことを自由に答えられる「オープンクエスチョン」です。
この2つの質問形式を適切に使い分けることで、ユーザーのニーズを引き出し効果的な提案ができるようになります。
一般的には、はじめの段階では「クローズドクエスチョン」で答えやすい環境を作り、興味が高まったと感じたら「オープンクエスチョン」で聞くようにします。
まとめ
本記事では、心理学を基礎としたマーケティング心理学をご紹介しました。
マーケティング心理学は、私たちの生活の中でも日常的に使われています。
今回19のマーケティング心理学を集めて解説しましたが、この他にも様々なマーケティング心理学があり、実際に活用されています。
全てを把握して使いこなすことは難しいですが、マーケティングにおいて、ユーザーの取った行動には必ず何かの働きかけがあるということを覚えておくと良いでしょう。
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