Webマーケティングが盛んになるにつれて、Web戦略の重要性もまた注目されています。Webマーケティングが成功するかは、戦略の立て方にかかっているといっても過言ではありません。一方で「Web戦略の立て方がわからずに悩んでいる」「Web戦略を立てたがうまくいかない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、主にWebマーケティングにおけるWeb戦略の重要性や立て方のコツを解説し、併せて役立つフレームワークをご紹介します。
Web戦略の概要とWeb戦術との相違点
Web戦略とは、インターネットを利用したマーケティングを成功させるための計画や方針の総称です。例えば「インターネットを活用して顧客を増やしたい」と目標を立てた場合、顧客を増やすために活用する手段や活用方法などを考えるのがWeb戦略です。
Web戦略を的確に立てることで施策の取捨選択や優先順位が明確になり、限られた人的リソースや時間の中で最大限の効果を発揮します。Web戦略が曖昧だと施策が失敗する可能性が高くなるため、細かく施策を練ることが重要です。
なお、Web戦略とよく似た用語に「Web戦術」があります。これは、Web戦略を実行に移すための具体的な行動や手法です。例えば、顧客を増やすためにECサイトをオープンすると戦略を立てた場合、どのようなECサイトを作るのか、主力商品を何にするのかといった選択がWeb戦術です。戦略がなければ、具体的な戦術を立てられないため、目標に沿った計画を検討する必要があります。
Webマーケティングがうまくいかない原因4つ
Web戦略を立てたものの、Webマーケティングがうまくいかない場合、考えられる原因に以下の4つが挙げられます。
- 目標・目的が定まっていない
- ターゲットを絞り切れていない
- Webマーケティングの施策が適していない
- Webマーケティングを適切に行える人材がいない
それぞれの原因を解説します。
目標・目的が定まっていない
Webマーケティングは目標や目的を明確にしなければ失敗しやすい傾向にあります。Webマーケティングにおける目標とは、認知の拡大や売上向上、新規顧客の獲得などが挙げられます。Web戦略でも目的、すなわちゴールの決定は重要です。
Webマーケティングの種類は膨大なため、目的を定めずに行動を起こしても結果にはつながりません。Web広告やSNS運用など、さまざまな手法を実践したとしても明確な戦略がなければ、結果につながらない可能性があります。また、売上30%アップなど無理な目標を立てると、売上が10%アップしても失敗とみなされてしまいます。目標は細かく、かつ現実的な数値で立てましょう。
ターゲットを絞り切れていない
Webマーケティングは、ターゲットの選定が重要です。ターゲットを的確に定めないと、マーケティングの効果は発揮されません。例えば「男性・サラリーマン」でターゲットを定めたつもりでも、年代・未婚または既婚・勤め先などでニーズは異なります。ターゲットは、「男性・30代・結婚を考えている会社員」とより細かく、具体的に絞ってください。
また、実際にマーケティングを行った結果、ターゲットがずれている場合もあります。その際は、迅速な修正が必要です。最初に定めたターゲット像に固執せず、客観的な視点で物事を考え、臨機応変に対応することが大切です。
Webマーケティングの施策が適していない
目標や目的を立て、ターゲットの選定が的確だったとしても、Webマーケティングの施策が適していなければ失敗する可能性が高まります。例えば、最新の情報が売上を左右しやすいサービスや商品のマーケティング施策に、更新が月2回程度のWebサイトを選んでしまうと売上が伸びない可能性があります。
また、「ブログのみ」「SNSのみ」と1つの施策だけでWebマーケティングを行うのも効果的ではありません。成功するためには、SNSとWebサイト、アフィリエイト広告とブログなど複数の施策を組み合わせることも検討しましょう。
このほか、施策の順番で失敗する場合もあります。Webマーケティングは「認知・興味・確信・行動(成約)」の順番が原則です。ターゲットに即行動させようとしたり、興味を持った時点で満足してしまったりするような施策も失敗の原因になります。
Webマーケティングを適切に行える人材がいない
Webマーケティングを成功させるには、経験と知識を持った人材が必要です。知識を身につけず、気軽に始めるとうまくいきません。Webマーケティングを利用し、売上向上や顧客の増加を狙いたい場合は、知識を会得し、最新の動向や方法を確認した上で取り組む必要があります。
また、現場に知識と経験を持つ人材を配置しても、責任者に理解がなく知識不足だった場合も失敗する恐れがあります。無理な工程を組み、適切な人材を配置できないために、マーケティングが失敗した事例は珍しくありません。
このほか、Webマーケティングを外注した場合も、担当者に任せきりでは失敗する確率が上がります。コミュニケーションを取り、目標や目的を共有しましょう。
マーケティングを成功させるWeb戦略の立案方法
Webマーケティングを成功させるWeb戦略の立案は、以下の手順で行います。
- 目標・目的を設定する
- ターゲットを検討する
- 現状を分析する
- マーケティングの施策を決める
- 施策の優先度を決める
- Web戦略を立案する
Webマーケティングは集客数や認知度、売上の向上など目的に応じて最適な方法は異なります。成功させるためには、戦略を立てて自社の目的や目標を明確にし、それぞれの担当者へ周知しなければなりません。
目標・目的を設定する
Web戦略の第一歩は、目標と目的の設定です。目的とは、Webマーケティングを実行して達成したい事例、目標は成功の定義です。「顧客を増やす」「売上を増やす」などが目的に該当します。例えば、顧客を増やしたい場合、「実店舗に来店しにくい、地方の若年層を顧客にしたい」が目的になりうるでしょう。その際、Webマーケティング以外にも適したマーケティングがないかを再度検討します。
目標を定める際は、中間目標も併せて検討してください。例えば、最終目標を「新規顧客を10%増やす」と定めた場合、中間目標は「キャンペーン中に1%増加を目指す」と目標を掲げます。目標と目的はどちらも具体的に定めることが重要です。
ターゲットを検討する
目標と目的を設定したら、ターゲットを選定します。Webマーケティングにおけるターゲットは、一般的なターゲットとコアターゲットの2種類があります。2つの違いは、以下の通りです。
- 一般的なターゲット:提供する商品やサービスの顧客となる可能性が高い人
- コアターゲット:提供する商品やサービスの価値を強く感じてくれる人
一般的なターゲットは「20代・女性」と大きなくくりでも問題ありません。一方、コアターゲットは「20代・未婚女性・肌トラブルに悩んでいる」と具体的なペルソナを設計します。施策を行う際は、コアターゲットに特別オファーをかけたり、コンタクトを積極的に取ったりします。
現状を分析する
自社の強みや弱み、市場のニーズ、市場における自社のポジション、競合の状況など現状を分析します。競合調査や市場調査により自社のサービスや商品を分析することで、以下の点が明確になります。
- 自社が目指すべきポジション
- 目標に到達できない理由
- 目標を達成するための改善 など
その上でWebマーケティングの活用方法を考えれば、最適な施策と実行の優先順位が把握できるようになります。
マーケティングの施策を決める
現状分析が完了したら、マーケティングの具体的な施策を決めます。目標や目的の設定やターゲットの選定が正確であっても、施策が方向違いだと想定した効果が得られなくなります。複数の施策を候補に用意し、その中から必要な施策を洗い出して絞り込みましょう。
現状分析をした結果、コアターゲットが主にインターネットを利用して情報収集を行っており、自社の弱みがWeb上での知名度の低さだった場合、リスティング広告を実行する、SNSで宣伝アカウントを運用するといった施策が挙げられます。
また、一定期間運用して効果が薄い場合は、すぐに施策を切り替える準備をしておきましょう。
施策の優先度を決める
施策の絞り込みが終わり次第、優先順位を決めます。Webマーケティングの手順は、認知・興味・確信・行動(成約)の順番が基本です。認知が低い場合は認知から、認知がすでに十分な場合は、興味や確信を得られる施策からスタートしてください。
また、施策にかかる費用や実行に必要な人材も考えて、優先度を決めます。費用がかかったとしても効果の高い施策がある場合は真っ先に優先し、サポート的な施策を組み合わせていく戦術を立ててもいいでしょう。重要業績評価指標や重要達成度指標を定めておくと選定がスムーズです。
Web戦略を立案する
今まで決めてきた事項を組み合わせてWeb戦略を立案します。選定した設定を組み上げて微調整します。そうすることで、成功への道筋が見えてきます。
また、Web戦略に基づき、より具体的なWeb戦術を立案すると「いつ」「どこで」その政策を実行すれば良いのかも把握可能です。予算の配分や人材を確保する時期などの目安もつけやすくなります。人材が多数必要なマーケティングで、予算を多く割り当てられるのであれば、戦略だけでなく戦術を検討するのもよいでしょう。
Web戦略に使えるフレームワーク
Web戦略を立てる際は、フレームワークを活用すると便利です。おすすめのフレームワークを3つ紹介します。
- SWOT分析
- PEST分析
- 3C分析
それぞれのフレームワークを詳しく紹介しますので、初めてWeb戦略を立てる方は参考にしてください。
SWOT分析
SWOT分析は、現状分析に役立つフレームワークです。SWOTとは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字をとった略語です。自社の強みや弱み、競合の立場などを分析する際、このフレームワークを利用すれば、自社を俯瞰して考えられます。改善点やリスクの洗い出しも行えるでしょう。
SWOT分析は、複数視点からの分析が必要です。営業や広報、製造など複数の方に参加して、分析してもらうとうまくいきます。
PEST分析
PEST分析は、自社周辺の環境を分析するのに適したフレームワークです。PESTとは「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の要因の頭文字が由来しています。
PEST分析を用いることで、外部環境に合わせて自社の商品やサービスをどのように適応させるべきか、対応策を計画できます。また、現在だけでなく将来的に外部から与えられる影響の予測も可能です。
3C分析
3C分析は、「Company(会社)」「Customer(顧客)」「Competitor(競争相手)」を分析することにより、自社の強みや弱み、市場のポジションなどを分析するフレームワークです。
自社の市場における立ち位置や、強み・弱みは市場調査や顧客アンケートなどを通じて把握しているつもりであっても、十分に理解できていない場合があります。3C分析を行えば各要素を体系的に分析できるため、市場の規模や成長性、顧客のニーズをより深く理解できます。
Web戦略を成功させるコツ
Web戦略を成功させるコツは、以下の通りです。
- 効果が出るまでの時間や自社との適性を考える
- 他社の力を借りることも検討する
それぞれのコツを紹介しますので、Web戦略を検討する際の参考にしてください。
効果が出るまでの時間や自社との適性を考える
Webマーケティングの施策には、効果が現れるまでに一定の時間がかかる施策と比較的短時間で効果が現れる施策があります。優れた施策であっても提供する商品やサービスに適応しなければ、期待する効果は得られません。そのため、マーケティングを予定している商品やサービスに対して、短期的な施策と長期的な施策のどちらが向いているのか見極める必要があります。
しかし、施策の中には実行してみなければ効果が得られるかわからないケースもあります。このような場合は、短期的と長期的な施策を組み合わせたWeb戦略を採用することで、成功確率を高められるでしょう。
他社の力を借りることも検討する
Webマーケティングの専門知識や知見のある人材がいない場合は、外部の協力を得るとよいでしょう。外部委託を行う方法は、主に以下2つが挙げられます。
- 競合調査や目標設定、ターゲット選定など特定の業務のみ委託
- 戦略立案から実行まで一括して委託
ほとんどのマーケティング会社は、どちらの委託方法も対応しています。予算や必要なサポートを検討し自社のニーズを把握して、複数の業者に相談してください。委託先は、コミュニケーションがスムーズに取れる業者を選ぶとよいでしょう。
まとめ
Webマーケティングを成功させるには、Web戦略を詳細に立てることが重要です。Web戦略を立てたのにマーケティングがうまくいかない場合は、戦略の立て方が不十分なケースが多い傾向にあります。本記事を参考にWeb戦略を立て直すと、不足している点が把握できる可能性があります。過去の戦略を見直し、Web戦略の再構築を図ってください。
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