「広報とマーケティングの違いが分からず社内で摩擦が起きている」
「少ない人数で効果を最大化するために広報とマーケティングの連携を強化したい」
「広報とマーケティングを兼任したい」
マーケティングと広報はどちらも企業の成長に大切ですが、その違いを明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、広報とマーケティングの目的や役割、具体的な業務内容、必要な能力の違いを解説します。さらに両者が連携する際の注意点や、1人でも効率的に兼任するための方法も紹介します。
この記事を読むと、広報とマーケティングの認識違いによる社内摩擦の解消や、効果を最大化するためのヒントが得られるでしょう。
ふだん広報やマーケティングに馴染みのない方でも理解できるように、丁寧に解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
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広報とマーケティングの違いがひと目で分かる早見表
違いを今すぐ知りたい方のために、ポイントをまとめた早見表を用意しました。それぞれの目的や対象、手法や必要なスキルなどを比べてみてください。
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次章からは、広報とマーケティングの違いを、1つずつ解説します。
広報とマーケティングの違い①:目的
両者の違いを理解するために、それぞれの目的を把握しましょう。目的を理解することで、役割や業務の違いも理解できるようになります。
広報の目的
広報の主な目的は、企業と社会の間に健全な関係を作り上げ、それを保つことです。企業の考えや活動内容を正しく伝えることで、社会からの理解や信頼獲得を目指します。
例えば自社の商品・サービスに込めた思いや、地域社会への貢献などの情報を発信します。企業の活動情報を発信し、社会に価値があることを理解してもらうのです。
長期的に見て企業のブランドイメージを高め、社会と信頼関係を築くことが広報の目的です。
マーケティングの目的
マーケティングの目的は、企業の商品やサービスを購入してもらい、売上と利益を増やすことです。
そのために市場調査や競合分析、ニーズ把握などを行います。調査内容を踏まえた商品開発や、価格設定、販促活動などマーケティングの領域は多岐に渡ります。
マーケティングは顧客の購買行動に直接働きかけ、企業の経済的な成果に結びつけることが最大の目的です。
広報とマーケティングの違い②:役割
続いては、広報とマーケティングの役割について解説します。前章の「目的」に向けて、両者がどんな役割を持つのか理解しましょう。
広報の役割
広報は企業が社会から理解され、信頼される存在となるために活動します。企業の理念や活動内容などを伝え、企業の「ファン」を増やすことが役割です。
また企業にとってネガティブな情報が広まった場合や、予期せぬ出来事が起きた際にも対応します。迅速かつ誠実な姿勢を示して、企業へのダメージを最小限に食い止めるのも広報の大きな役割です。
マーケティングの役割
マーケティングは、売り上げを伸ばすために幅広く活動します。顧客が求めていることを理解し、ニーズに応える価値提供や、競争の中での売上アップが求められます。
具体的には、どのような商品が売れるのかを調べる市場調査、効果的な販売方法を考える戦略立案、販売を促進する販促活動、などのプロセス全体を管理しています。
さらに一度購入してくれた顧客と良好な関係を続け、リピーターになってもらえるように働きかけることもマーケティングの役割の一つです。
広報とマーケティングの違い③:業務
3つ目の違いは、業務内容です。役割を果たすために日々おこなうべき、代表的な業務を紹介します。
広報の代表的な業務
広報の業務は、企業と社会が良好な関係を築くための活動です。企業の考えや活動を正しく伝えることで、理解と信頼を得ることが主なねらいです。
1.取材対応
新聞記者やテレビ局の担当者など、報道機関からの問い合わせや取材申し込みに対応する仕事です。また日頃から報道機関といい関係を築くことで、企業にとって大切な情報を伝えてもらいやすくなります。
2.会社の評判づくり
企業が社会からいいイメージを持たれ、信頼されるよう働きかける業務です。各種媒体を通じて企業の理念や文化、社会貢献活動などを積極的に発信します。企業にとって良くない評判が立った場合は、火消し役として信頼回復に努めることも重要な仕事です。
3.情報発信
情報発信は、新しい情報やメッセージを積極的に伝える活動です。具体的には新しい商品やサービス、業績、人事異動などの動きをまとめた「プレスリリース」を作成し、報道機関に送ります。また自社のWebサイトやブログ、SNSといった媒体を運営し、顧客や社会に情報を届けることも含まれます。
マーケティングの代表的な業務
マーケティングの業務は、商品やサービスを顧客に届け、企業の売上アップを目指す活動が中心です。企業の収益アップのために、幅広い業務を行います。
1.市場調査
市場調査では、顧客がどのような商品やサービスを求めているのか、市場全体が今どのような状況で、今後どのように変化しそうかなどの情報を集めます。市場調査によって得られた情報は、新しい商品を開発したり既存の商品をリニューアルしたりする際の手がかりです。
2.マーケティング分析
市場調査で集めた情報や自社の売上データ、顧客データなどを詳しく調べて、自社が攻めるべきポイントを見つけ出す作業です。どのような層が自社商品をよく購入しているのか、競合商品はどのような特徴があるのかなどを調査します。
3.販促活動
販促活動とは販売促進活動の略で、顧客に商品やサービスの魅力を伝え、買いたい気持ちを高める業務です。テレビCMやインターネット広告を出稿したり、期間限定セールや商品を試せるイベントを実施したりします。
広報とマーケティングの違い④:必要なスキル
広報とマーケティングは仕事の性質が異なるため、求められる能力も違います。それぞれの仕事で成果を出すための、代表的なスキルを紹介します。
広報に必要なスキル①分かりやすく伝える文章力
企業の考えや活動内容を正確に伝えるためには、分かりやすい文章を書く能力が大切です。プレスリリースやWebサイトなど、様々な場面で文章力が求められます。
誤解を招かないように一つひとつの言葉に気を配り、企業のメッセージを的確に届けなければいけません。
広報に必要なスキル②メディアや社内との調整力
広報は報道機関だけでなく、社内の様々な部署や社外関係者など多くの人と協力する場面があります。それぞれの違う立場や意見の中で、スムーズに物事を進めるための調整力が必要です。
相手の意見を聞いたうえでこちらの意図を説明し、お互いが納得できる着地点を見つけ出す能力が求められます。
広報に必要なスキル③トラブルに対応できる危機管理力
企業が活動する上では、予期しない炎上や批判が起こる可能性があります。トラブルが起きた際でも、冷静に状況を把握しスピーディーかつ適切に対応しなければいけません。
パニックにならず、的確な判断と行動でトラブルを乗り越える力が必要です。
マーケティングに必要なスキル①数字を読み解く分析力
マーケティングでは、売上データやホームページのアクセス数、広告の効果など多くの数字を扱います。数字の背後にある顧客の動向を正しく理解し、課題や成功要因を見つける能力が必要です。
例えばどの広告がどれだけ売上に繋がったのかを調べ、より売上につながる方法を見つけなければいけません。
マーケティングに必要なスキル②ユーザー目線で考える発想力
商品やサービスを使う人の立場で、何が喜ばれるか、どのような情報が求められているかを考える能力です。顧客の困りごとやもっと便利になる方法を想像し、新しい商品のアイデアを生み出します。
思い込みではなく顧客の視点で考えることが、良質な商品やサービスづくりに繋がります。
マーケティングに必要なスキル③広告やツールを使いこなす実行力
マーケティング担当者は、計画を立てるだけでなく形にする実行力が不可欠です。インターネット広告やSNSキャンペーン、イベントなど様々な手段から最適なものを選んでも、実行しなければ意味がありません。
また市場分析や顧客管理に役立つツールを学び、使いこなす対応力も大切です。
広報とマーケティングが連携するメリット
ここまで、広報とマーケティングの違いについて解説しました。ここからは両者が連携することで企業にどんな影響があるかお伝えします。
広報とマーケティングが協力すると、企業にとって多くのメリットがあります。それぞれの専門性を活かして活動することで、情報の発信力が高まるからです。
ここでは以下の3つを解説します。
- 認知と信頼を同時に高められる
- 広告費をムダなく使える
- 顧客の声を素早く広報に活かせる
認知と信頼を同時に高められる
広報とマーケティングが連携することで情報に一貫性が生まれ、認知と信頼を同時に高められます。社外に、商品やサービス、企業そのものについて同じ方向性のメッセージを届けられるからです。
例えば、マーケティング部門が新しい商品を開発したとします。同時に広報部門が、開発した企業の想いを共通のメッセージとして伝えれば、顧客は商品への興味と企業への好感を抱きやすくなります。
商品の魅力だけでなく企業姿勢への共感が加わることで、より深い信頼関係が築けるでしょう。
広告費をムダなく使える
広報とマーケティングが情報を共有することで、広告費の削減につながります。広報活動で得られたニーズや社会が興味をもったポイントを、マーケティング活動に活かせるからです。
広報が自社の取組みを発信し、メディアで好意的に取り上げられたとします。マーケティング部門はその情報から、関連キーワードで広告を出すことで効率的にアプローチできます。
両者が情報を共有することで、限られた広告予算を最大限に活かせるのです。
顧客の声を素早く広報に活かせる
マーケティング活動で得た顧客の声を、広報活動に反映できることも大きな利点です。マーケティング部門が収集している顧客の意見や要望、不満などは、企業が社会からどのように見られているかを知る上で貴重だからです。
自社商品において、顧客が感動した点や選ばれている理由を広報活動の軸にすることで、共感される情報発信が可能です。
顧客の声を広報戦略に取り入れることで、企業は信頼関係をより深められます。
広報とマーケティングが連携する際の注意点
広報とマーケティングは目的や得意分野が異なるため、事前の準備や認識合わせが不十分だとかえって混乱を招く可能性があります。
スムーズな連携のためには、以下のポイントを事前に押さえておきましょう。
- 目標をすり合わせる
- 連絡経路と担当範囲を明確にする
- 機密情報の取り扱いルールを決めておく
目標をすり合わせる
目標がバラバラのままでは、連携しても期待した効果は得られません。広報は企業の評判向上や信頼関係の構築、マーケティングは売上増加や市場シェアの拡大など、目的が異なる場合が多いからです。
新商品を発表する際、マーケティングが「発売後1ヶ月で販売数1万個」を目標にしたとします。一方、広報は「主要メディア5社以上での好意的な記事掲載」を目指すとした場合、お互いに情報共有してください。
目的をすり合わせることで、不要な衝突や意見の食い違いを防げます。
連絡経路と担当範囲を明確にする
確認先や主導権が曖昧だと、意思決定の遅れや作業の漏れにつながる可能性があります。
進捗は週1回の定例会議で共有し、緊急時は担当者同士がチャットツールで行う、など具体的な連絡ルールも決めておくのがおすすめです。
さらには、顧客向けの告知メッセージの作成はマーケティング部門、その内容を報道機関向けにアレンジして発信するのは広報部門、といった役割分担も明確にしましょう。
連絡方法と仕事の分担を事前に決めることで、お互いの業務がスムーズに進められます。
機密情報の取り扱いルールを決めておく
部門が違えば、情報の重要度に対する認識が違う場合があります。機密情報が不用意に共有されたり外部に漏れたりすると、企業にとって深刻な問題を引き起こしかねないからです。
マーケティング部門は個人情報や購買データ、広報部門は未発表の新製品情報や経営戦略に関わる情報に触れる機会があります。
どの情報をどこまで共有して良いのか、誰にアクセス権限を付与するのか、情報の管理方法をどうするかなどを事前に決めておきましょう。
広報とマーケティングの兼任を効率的にする方法
広報とマーケティングを1人で担当する場合、2部門の役割を限られた時間の中でこなさなければいけません。ここでは、両方の業務を1人で効率的に行う方法として以下を紹介します。
- 優先順位を決める
- 同じツールで作業を自動化する
- 外部の力を活用する
優先順位を決める
広報とマーケティングの業務を兼任する場合、優先順位を明確にすることが大切です。限られた時間の中では、全ての業務を完璧に行うのは難しいからです。
新商品の発売日が迫っている状況であれば、販売促進の準備や広告出稿などのマーケティング活動を優先しましょう。もし企業に関する良くない情報が広がり始めている場合は、スピーディーな情報収集と対応策の検討といった広報活動が最優先事項です。
ToDoリストを作り「今日中に必ず行うこと」「今週中に対応すること」など分類しましょう。それぞれの仕事が、企業の目標達成にどれだけ影響するかを考えて順番を決めてください。
同じツールで作業を自動化する
業務内容は異なっても、同じツールを使うのがおすすめです。別々のツールだとそれぞれの業務が独立してしまい、非効率だからです。
また作業を自動化できる場合は、積極的に活用しましょう。定型的な作業や時間のかかる作業を自動化することで、クリエイティブな仕事や戦略を考える時間に使えます。
ツールを上手に利用することで業務の負担を減らし、限られた時間で成果を出しましょう。
外部の力を活用する
どうしても1人で手が回らない場合は、外部の力を借りることも検討してください。全ての業務を1人で完璧にこなそうとすると、かえって効率が悪くなることがあります。
たとえば広報活動で重要なプレスリリース文書の作成や報道機関への配信は、専門の会社に依頼できます。またマーケティング活動であるWebサイトの制作やSEO施策、インターネット広告の運用などを専門にしている業者もあります。
自分1人で抱え込まず、必要に応じて外部の助けを借りることで、効率的に仕事を進められます。
広報とマーケティングの違いに関するよくある質問(FAQ)
ここでは広報とマーケティングの違いについて、よくある質問をまとめました。理解をさらに深め、今後の方針を考える参考にしてください。
広報とPRは同じ?
広報とPRは、ほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。PRとは「パブリックリレーションズ」の略で、企業や組織が様々な人々(パブリック)と良い関係(リレーションズ)を築くための活動全般を指します。「広報」という言葉も、この考え方で行われる活動を指すのが一般的です。
広報とマーケティングはどちらを先に整備すべき?
企業の状況や目指す目的によって異なります。新しい会社や商品の場合は、社会からの信頼獲得や認知のために、広報活動から始めるのが一般的です。
広報活動のROIはどう測る?
広報活動の成果を、ROIで正確に測るのは難しいと言われています。ROIとは投資収益率のことで、費用に対してどれだけの利益があったかという指標です。広報の成果は、企業の評判向上やブランドイメージの強化など、数値化しにくい形で現れるのが一般的です。
しかし、広報活動の効果は全く測れないわけではありません。新聞やテレビ、Webサイトなどのメディアに取り上げられた件数、自社サイトへのアクセス数、SNSで企業名や商品名がポストされた数、といった指標で効果を見ることは可能です。
まとめ:広報とマーケティングの違いを理解してビジネス成長につなげよう
この記事では、広報とマーケティングの根本的な違いから、それぞれの目的、役割、具体的な業務内容、そして必要な能力に至るまで詳しく解説しました。両者は目指すゴールや手法が異なりますが、どちらも企業が成長するためには欠かせない大切な活動です。
しかし十分な人材が確保しにくい中小企業などでは、広報とマーケティングを兼任する場合も少なくありません。1人に負担がかかり効果的な活動ができない場合は、外部の力を借りるのも選択肢のひとつです。
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