「ザイオンス効果って言葉を耳にするけどよくわからない」
「ザイオンス効果をビジネスやマーケティングで活用したい」
「心理効果を用いて売上を増やしたい」
ビジネスをしていると、さまざまなマーケティング戦略を立て実践していく必要があります。その中で、決して見逃してはいけないのが顧客の心理です。消費行動は、心理効果が大きく影響します。
消費者の購買行動に影響を与える一つの要因として、ザイオンス効果があります。ザイオンス効果は、くり返し接触すると好感度が高まる心理効果です。
この記事では、ザイオンス効果をビジネスやマーケティングに活かす方法と注意点をご紹介します。
ザイオンス効果(単純接触効果)とは
ザイオンス効果(単純接触効果)とは「くり返し接触すると関心の度合いが高まる効果」です。例えば「会う頻度が高いと好感度が上がりやすい」「よく目にする商品に関心を持ちやすい」などです。この心理効果は、SNSやテレビなど日常のいたるところで無意識に経験しています。
日常で経験するザイオンス効果
ザイオンス効果は日常のさまざまな場面で見られます。
以下に4つ例を挙げます。
- 恋愛
- ドラマやアニメの主題歌
- テレビCM
- SNS広告 など
このように日常に溶け込んでおり、無意識のうちにザイオンス効果が影響し自身の購買行動も操作されているかもしれません。それぞれ、どのように影響しているか詳しく解説します。
知らないうちに好きになる恋愛
例えば、「最初は意識していなかった異性なのに、たくさん会ううちに好きになった」こんな経験はないでしょうか。これはザイオンス効果が影響しています。
マーケティングも同様で、自社のファンを獲得したいなら顧客の目に映る頻度を増やすことが大切です。例えば、コンタクトの回数を増やす、会う頻度を重ねるなど、回数を重ねて少しずつ信頼関係を構築していきましょう。そうすると、自社に好意を抱いてもらいやすくなります。
見たことないけど、聞いたことはあるドラマやアニメの主題歌
人気アニメの主題歌は、よくテレビの歌番組でも取り上げられ話題になります。くり返し曲を聴くと自然にその歌を覚えてしまい、アニメを見ていなくても無意識のうちに曲を好きになっている経験は多くの方が体験しているかもしれません。
例えば、アニメ「鬼滅の刃」の「紅蓮華/LiSA」やアニメ「マッシュル」の「Bling-bang-Bang-Born/Creepy Nuts」などです。
話題になるとさまざまな媒体で取り上げられる回数が増え、より耳にする機会が増えます。そのため、増々親しみがわき好感度が高まります。
何度も見たことがあり印象に残るテレビCM
テレビCMはある期間に何回も放送されているため、商品に興味がなくてもCMを見るたびに親しみをもち、記憶に残ってしまう経験はないでしょうか?日々接触することで、商品を認知し興味をもち、購買行動に影響を受けています。
例えば、2つの商品でどちらを買うか迷ったときに、無意識にCMで見た商品を買っている場合もあるかもしれません。
買い物中にも、ある商品を見かけたときに「この商品、面白いCMしてたな。」と商品をみてCMを思い出す場合もあります。このように、ザイオンス効果は無意識の領域まで影響しています。
ザイオンス効果を用いたマーケティング
ザイオンス効果は、ビジネスやマーケティングでも活用できます。先ほど紹介したテレビCMもマーケティング施策の一つです。ザイオンス効果は、意図せず日常で経験する機会も多いため、顧客に違和感を与えることなく商品やサービスの認知・興味を醸成できます。
マーケティングにおけるザイオンス効果の主な活用例は、以下の3つです。
- SNSやブログの更新
- リターゲティング広告の配信
- メールマガジンや公式LINEで発信
これらはすべてマーケティングの手段ですが、それぞれの方法を段階によって使い分けるとよりザイオンス効果を活かせます。使い分けを詳しく以下で説明します。
SNSや企業ブログの更新
SNSは誰でも簡単に始められ、多くの方が利用しているツールです。そのため、必然的に目に触れる頻度も高くなります。
ただし、商品やサービスの魅力を多くの方に認識してもらえるメリットがある反面、ユーザー数も多いのが特徴です。そのため発信してもほかの投稿に埋もれてしまう、もしくは娯楽の一環としてなんとなく見ている方が多いため、顧客の印象に残りにくいデメリットもあります。
企業ブログも同様に接触頻度は多いですが、多くの方に知られるSNSと異なり「知りたい方が検索してたどり着く」地点です。そのため、SNSで興味を引き認知を図り、次に企業ブログでもっと知りたいと思っている方に向けて発信する流れができると、スムーズな導線ができます。
リターゲティング広告を配信
リターゲティング広告とは「一度サイトに訪れたユーザーにくり返し広告を配信する」広告です。「気になる商品があるから調べてみよう」とサイトを閲覧しても、購入まで至らなかった経験は誰にでもあるでしょう。
このように、興味はあるが購入に至っていない方に対して広告を表示し、商品への興味を高めます。何回もその商品が広告として表示されるため、ザイオンス効果により顧客の関心が高まり、購入のチャンスを広げられます。
メールマガジンや公式LINEで発信
メールマガジンや公式LINEで商品情報を発信すると、SNSと同様に接触頻度が増えます。例えば、クーポンを配信して有効期限が近づくにつれ発信頻度を増やすと、接触頻度が増え思い出す回数が増えると同時に、ユーザーはクーポンの使用期限も近づいているため、何度も決断を急かされます。このようにして購買欲求を刺激することが可能です。
メールマガジンや公式LINEは、全く興味がない方は登録もしていないはずです。そのため、ある程度興味がある方をターゲットとした情報発信の仕方が重要になります。
フリークエンシーコントロールが重要
広告の表示回数を設定する「フリークエンシーコントロール」が重要です。フリークエンシーとは、ユーザー1人に対して広告を表示する回数で、表示回数をコントロールすることを「フリークエンシーコントロール」といいます。
「たくさん表示した方がよいに決まっている」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。接触回数が多すぎても逆効果になります。
Google広告では、フリークエンシーコントロールを設定できる機能があり、1日に何回、月に何回までと表示回数の設定が可能です。具体的にベストな回数は、商材や広告により異なります。
もし、認知拡大を目的とする場合は、まず顧客に覚えてもらうため多めに設定しましょう。反対に、すでに認知されている場合は控えめにした方がおすすめです。運用しながら顧客の反応を分析し、回数を調整していきましょう。
いかに顧客に不快感を与えず、無意識のうちに関心を集めるかが重要です。
ザイオンス効果を用いるときの注意点
ザイオンス効果は購買欲求を高めるのに効果的ですが、注意しないと逆効果になってしまいます。
ザイオンス効果をマーケティングに活用する際は、以下3つの点に注意して活用しましょう。
- ネガティブな印象は変えられない
- 過剰な接触は避ける
- セールス感を主張しすぎない
それぞれ詳しく解説します。
ネガティブな印象は変えられない
商品に対してネガティブな印象を抱くユーザーに何度おすすめしても、ネガティブな印象は払拭できません。むしろ嫌悪感を強く抱かせる原因になってしまいます。
加えて、ファーストインプレッションで商品やサービスに悪い印象を抱かせてしまうと、ザイオンス効果は状況が悪化する一方で、くり返し接触するのは危険です。まずは、その商品に対するネガティブのイメージを払拭するのを最優先にしましょう。
過剰な接触は避ける
接触回数が多すぎてもマイナスな印象を与えてしまうため注意しましょう。回数は約10回がピークといわれており、多すぎると関心が薄れてしまいます。興味のない商品のセールスを何度しても、かえって「しつこい」とネガティブな感情を抱かせてしまうためです。
このように、計画性なしに接触回数を単純に増やすのは逆効果です。ある商品やサービスに接触する機会が7回だと、購入する確率が高まる「セブンヒッツ理論」があります。よって、7〜10回を目安に接触を図り、反応がない場合は違う角度からアプローチできないか、もしくは諦めるのも手段の一つです。
広告・宣伝色は極力ひかえる
「広告っぽさ」や「宣伝っぽさ」が濃いコンテンツは、ユーザーに嫌悪感を与えてしまうため注意が必要です。例えば「新製品発売」や「キャンペーン中」など内容の周知をするものです。顧客は売られたいのではなく、自分のタイミングと意思で購入を決定したいと考えます。
同時に、宣伝色が強いとサイト全体の信憑性を低下させる原因にもなります。特に、ターゲットの興味関心の低い広告やコンテンツは嫌悪感を抱かせてしまうため、コンテンツの内容は吟味しましょう。ユーザーが求めているものは、あくまで自分にとって役立つ情報です。
ターゲティングの精度を高め、ユーザーの興味・関心度が高い広告やコンテンツを研究しましょう。
接触の期間が開きすぎると記憶に残りにくい
ザイオンス効果は接触頻度が重要といわれており、短期間でたくさん接触する方が効果を発揮しやすいです。期間が開くと記憶も薄くなり、購買意欲も徐々になくなってきます。例えば、1年で12回見た広告より1週間で4回見た広告の方が、顧客の記憶に残りやすいです。
また、好感度は一度高まると長期間持続します。そのため好感度を高めてから短い期間にたくさん接触するような戦略を策定しましょう。例えば、来月発売の売りたい商品がある場合に当日にいきなり売り出すのはもったいないです。前月から情報に少しずつ接触し、お客さんの興味を引きつけたところで売りたい商品の告知を出すようにすると、より目的の商品に関心が集まりやすいでしょう。
ザイオンス効果を高めるには?
ザイオンス効果を高めるためには、一定の期間でさりげなく接触するのが大切です。効果を最大限に高めるには以下の3点に重点を置きましょう。
- ユーザーにとって有益な情報を提供する
- 顧客と密接な関係作りを心がける
- コミュニケーションを工夫する
上記3つの内容に重きをおくと効果を高められます。
ユーザーにとって有益な情報を提供する
相手にとって価値のない情報を提供しても興味は示してもらえません。そのため、相手が必要としている情報は何かを考え、知りたいと思えるような情報を提供しましょう。例えば、すでに購入の検討段階に入っている顧客であれば、商品の詳細やお得に買える方法などを提供すると、より購買意欲が高まるかもしれません。
そのためには、ターゲットの分析が何より大切です。どんな課題を抱き、解決したいと思っているのか、どのような情報を提供できればユーザーにとって有益な情報になるのか、ユーザー目線で考える姿勢を忘れないようにしましょう。
顧客と密接な関係作りを心がける
ザイオンス効果を高めるには、接触回数を増やすだけではなく、顧客と密接な関係を構築していく必要があります。顧客は思考や行動がタッチポイントによって異なるため、何を知りたがっているか分析することが大切です。
顧客の思考や感情の整理には「カスタマージャーニーマップ」を活用しましょう。カスタマージャーニーマップとは、顧客が購入や契約にいたるまでのプロセスを図式化したものです。顧客は現在どの位置にいるのか(商品やサービスを認知・情報整理・購入検討・再購入)により、顧客が必要とする情報は異なります。
コミュニケーションを工夫する
ザイオンス効果ではコミュニケーションが重要です。消費者は、「何を買うか」より「誰から買うか」を重視する傾向にあるといわれています。
メールマガジンやSNSを通じて情報を発信するなら、顧客が知りたい情報のみを提供するのでは不十分です。企業の歴史やビジョンなど、ストーリー性を感じる価値観の提供も織りまぜながら発信していきましょう。
同時に、顧客とコミュニケーションをとれる環境を作るのも有効です。SNSは企業とユーザーが強くつながるプラットフォームです。アカウントのフォローやコメント、DMなどターゲットユーザーの投稿にいいねやコメントを残すなど、企業側からのアプローチも心がけましょう。
まとめ
ザイオンス効果の活かし方を紹介しました。ザイオンス効果は日常にあふれており、顧客の生活に自然と溶け込めるマーケティング施策の一つです。
しかし、同時に注意も必要です。ザイオンス効果には、「ファーストインプレッションで与えたネガティブな印象は変えられない」「接触回数は10回まで」「さりげなく行う」「期間を開けすぎない」の4つの注意点があります。常に顧客の反応をチェックし、適切な回数を分析していきましょう。
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