マーケティング戦略を組み立てる上でよく耳にする「ターゲット」と「ペルソナ」という言葉ですが、調べてみても違いがはっきり分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「ターゲット」と「ペルソナ」の違いやマーケティングにおける意味を解説します。
「ターゲット」と「ペルソナ」について正しく理解して、マーケティング戦略に活用しましょう。
「ターゲット」と「ペルソナ」の違いとは
「ターゲット」と「ペルソナ」には違いがあり、マーケティングにおいてそれぞれ重要な意味があります。
まずは「ターゲット」と「ペルソナ」の意味について、詳しく解説していきましょう。
「ターゲット」とは
マーケティングにおける「ターゲット」とは、年齢や性別、地域、職業などの個人の情報から分けられたグループの中で、自社のユーザーと想定される顧客層を意味します。
そして、自社商品やサービスを利用して欲しい、利用してもらう見込みがあるグループを絞り込むことを「ターゲット設定」または「ターゲティング」と言います。
ターゲット設定は、マーケティング戦略を組み立てる際に重要な道しるべとなる重要な工程です。
「ペルソナ」とは
一方で、「ペルソナ」は「ターゲット」より個人を特定できるまでに情報をさらに明確に設定されたユーザー像のことです。
年齢や性別のグループとしてくくられた「ターゲット」とは異なり、「ペルソナ」は家族構成や性格、生活パターン、名前まで設定します。
ペルソナ設計には、「ユーザー像を絞り込み、マーケティング戦略の構築に役立てる」というターゲット設定と同じ意味がありますが、ペルソナ設計が必要な理由は他にもあるので次章で詳しく解説していきます。
なお、下記の記事ではペルソナに関して詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
「ターゲット」と「ペルソナ」は異なるもの
ここまで説明してきたように、「ターゲット」は自社サービスを利用して欲しい「想定顧客層」のことで、「ペルソナ」は自社サービスを利用する「具体的な人物像」を指します。
「ターゲット」と「ペルソナ」の大きな違いは、理想や目標とする顧客層である「ターゲット」と、より具体的なユーザー像が「ペルソナ」であるという点です。
例としてペルソナとターゲットの違いを見てみましょう。
【ターゲット】
・30代
・女性
・主婦
・都内在住
・メイクについて興味がある
【ペルソナ】
・33歳
・女性
・主婦(駅近くのスーパーでパートとして働く)
・3歳と5歳の娘、夫(35歳)と同居
・東京都大田区在住
・JR○○駅から徒歩20分弱の2LDKマンション居住
・保育園までの送り迎えとパートで自分に割く時間が限られている
・効率良く家事や仕事をこなしたいと考えている
・時短メイク、美容、時短料理、時短家事などを良くネットやSNSで調べている
上記のように、ペルソナはターゲットに比べてより具体的で、個人の特徴や生活のリズムまで詳細に分かるように設計していきます。
ひとりの人格があるキャラクターとしてユーザー像を設計することで、どのような人物かイメージしやすくなりユーザーに刺さるメッセージを作ることができます。
マーケティングにおけるペルソナ設定の意味とは
「ペルソナ」と「ターゲット」には明確な違いがあることが分かりました。
ここからは、マーケティングにおけるペルソナの意味について詳しく見ていきましょう。
はじめに、ペルソナ設計は何のために必要なのかについて説明します。
チームの共通認識になる
ペルソナは詳細な人物像を設定するため、自社商品を使う人を容易にイメージできチーム全体で認識を合わせることが可能になります。
商品を使ってもらう人(目標)を、共通認識として設定しておくことはマーケティング戦略を組み立てる上で重要なことです。
チーム内で目標の認識にズレが生じている場合、話がかみ合わず物事が進まない事態に陥ることがあります。
ペルソナ設計ではひとりのユーザー像を作り出しニーズを狭く絞り込んでいるように感じられますが、異なる価値観を持った人間が集まったチームには明確な目標となります。
そのため、ペルソナはマーケティングにおいてチーム共通の目標として重要な意味を持っています。
ユーザー視点で施策を考えられるようになる
ペルソナ設計をすることで、ユーザーの立場でマーケティング戦略を考えられるようになります。
年齢や地域だけでなく、性格や趣味嗜好、考え方、価値観、悩みまで細かく設計するため、ユーザーが悩みを解決するために求めていることや、本来欲しいと思っている機能、メッセージが思いつきやすくなります。
ユーザー目線で施策を考えることで、効率的なアプローチができ成果に繋がりやすくなるでしょう。
「狭く深く」の方がユーザーに刺さりやすい
ターゲットは広く浅い情報であるのに対して、ペルソナは狭く深くユーザーを絞り込んでいきます。
そのため、その人のために考えたメッセージを作り深い共感を得られ、自社商品やサービスの魅力がユーザーにより伝わるようになります。
インターネットが普及し、ユーザーも自ら多くの情報を得られるようになった現代では、消費者のニーズも多く変化し多様化しています。
たくさんの人に購入してもらおうとして、幅広いターゲットに向けてマーケティング戦略をおこなうより、強いメッセージを伝えて個人に的確なアプローチをする方が購買意欲が高まる傾向があります。
競合と比較したときに、よりユーザーにメリットを感じさせられるかが重要なポイントとなるでしょう。
ペルソナ設計をするメリット
ペルソナ設計には様々なメリットがあります。
アプローチする企業側はもちろんですが、ユーザー側のメリットにも繋がることがあります。
ここでは、ユーザー側のメリットも含めて3つ解説します。
アプローチの方法を絞り込める
ペルソナ設計によって、ユーザーが自社商品のどこに魅力を感じるかが分かるようになれば、効率的なアプローチ方法を絞り込むことができます。
例えば、品質を基準に選ぶユーザーに対して価格の安さをいくらアピールしても購買意欲が高まることはありません。
しかし、ペルソナが明確でない場合、ユーザーの本来のニーズに気付くことは難しいでしょう。
商品やサービスに対して、「何を求めているのか」をペルソナ設計によって明らかにしていきます。
そうすることで、ユーザーにより深く響くメッセージを考えることができ、同じような悩みを持つ顧客へのアプローチにも繋がります。
ユーザーの問題解決がスムーズになる
ペルソナ設計をすることは、商品やサービスを利用するユーザー側にもメリットがあります。
ペルソナ設計されて厳選したメッセージに絞られた内容だと、ユーザーも悩みを素早く解決することができます。
企業が自社商品について魅力を伝えようとした場合、情報量が多くなり結局なにが言いたいことなのかが分からなくなってしまうケースが多々見られます。
ユーザーからすると、自分に必要な情報が見つからないとストレスを感じ、企業や商品に対してネガティブな印象を持つようになる可能性があります。
商品やサービスのアプローチ方法を考える際は、ユーザーの悩みや問題がスムーズに解決するように重点をおくようにしましょう。
改善策が立てやすい
ペルソナ設計をするメリットとして、改善策が立てやすい点も上げられます。
マーケティングにおいて、ユーザーのニーズや市場の動きに合わせて施策を常に改善することが必要です。
ペルソナ設計をせず幅広いターゲットに向けてアプローチを考えた場合、様々な視点から商品のメリットを伝えようとするため、内容に統一感がなく情報量も多くなってしまいます。
情報量が多く統一感がないと、内容を改善しようとしても問題点を抽出しにくくなります。
逆に、良い成果が出た場合でも何が効果的だったのかが見えづらくなってしまうことになります。
結果を分かりやすくして分析に役立てるためにもターゲットを絞り込み、必要な情報だけ選択しマーケティング戦略を考えるようにしましょう。
ペルソナ設計のポイント
次に、実際にペルソナ設計をする際の具体的なポイントを3つ紹介します。
事前の準備からペルソナ設計後までポイントがあるので、覚えておきましょう。
データを収集して根拠を基に設計する
ペルソナは、明確なデータを使用して設計していきます。
思い込みや個人の価値観だけでペルソナ設計をおこなうと、実際には考えにくいユーザー像ができてしまう可能性も考えられるためです。
自社の今までの顧客データや市場調査などで情報を収集して、明確な根拠を基にして誰もが共感できるペルソナ設計をしていきましょう。
定期的にユーザー像を見直す
ペルソナは、定期的に設計を見直すことが必要です。
情報過多と言われる現代では、市場やユーザーのニーズはめまぐるしく変化しています。
市場調査によって得られた情報からペルソナ設計をおこなったとしても、時間の経過とともに現状とズレが発生してきます。
また、成果が思ったように出ない場合、想定したユーザー像と実際のユーザーとなる顧客の特徴が異なっているケースも考えられます。
より現実的なユーザー像に近づけられるよう、ペルソナを定期的に見直すと良いでしょう。
複数のペルソナがいてもOK
ペルソナはひとりの人物に絞り込む必要はありません。
実際のペルソナ設計をしていくと、特徴が大きく異なるユーザーがいることが考えられるケースもあるでしょう。
その場合、「メインのユーザー像」と「サブのユーザー像」として2つのペルソナを作ってもOKです。
ただし、複数のペルソナ設計をおこなうときは、ペルソナ間で明確な違いがあることが条件です。
ペルソナ設定の注意点
ペルソナは、誰が見ても容易にその人物像を想像できるものである必要があります。
しかし、ペルソナ設計していると客観的に見ることが難しく感じる方も多いでしょう。
そこで、ペルソナ設計の際に下記のような点について注意するとスムーズに進めることができるので、参考にしてください。
自分のものさしで考えない
前章でも解説したように、自分だけの価値観でペルソナ設計をおこなうと実際のユーザー像からズレてしまう可能性があるため注意しましょう。
ペルソナは誰もが共感・想像できる人物像である必要があります。
個人の思い込みや先入観で進めるのではなく、自社の顧客データや行政機関のデータなど明確な根拠を用いるようにします。
ユーザー像をより具体的に言語化する
ユーザー像を分かりやすくするためには、より具体的な言葉で表現します。
ペルソナ設計をする際に多くの情報を収集するため、様々な特徴が考えられるでしょう。
しかし、細かく作り込もうとしすぎて、曖昧で同じような表現が多くなるとユーザー像がぼやけてペルソナ設計に失敗してしまう可能性があります。
ここでは、情報をしっかりと整理して具体的で分かりやすい言語にまとめるように注意が必要です。
ペルソナ設定してもターゲット設定は必要
ペルソナを作ったらターゲットを設定しなくても良い、という訳ではないので注意しましょう。
最初に解説したように、ペルソナは「自社のユーザーとなるひとりの人物像」でターゲットは「自社商品を購入する想定顧客となる層」です。
ペルソナ設計だけでマーケティングをおこなおうとした場合、ターゲットの特徴が大きく異なることが想定されたとき、必要な分のペルソナを作る必要があるという状況が発生します。
そのようなときには、いくつかの特徴を基にグループ分けされたターゲットを利用した方が、効率的にマーケティング戦略を展開しやすくなることもあります。
様々な状況に対応できるよう、ペルソナとターゲットはそれぞれ作っておくことが良いでしょう。
まとめ
「ターゲット」と「ペルソナ」にはそれぞれ異なる意味があるため、理解を深め状況によって使い分けるとマーケティング戦略がスムーズにおこなえるようになります。
ただし、ユーザーのニーズや市場の環境は常に変化しています。
丁寧に時間をかけて作ったターゲットやペルソナでも、定期的に見直して常に最新のユーザーのニーズをキャッチできるようにしましょう。
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