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SIPSとは?SNS活用世代に効果的な理由と活用方法を解説

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SIPSとは、SNSを活用するターゲットを対象とした消費行動モデルです。ほかの行動モデルと比べて、より現在の消費者に合ったマーケティングを行いたい場合に役立ちます。

「自社でもSIPSを活用してマーケティングの施策を実施したい」と考えている方もいるでしょう。この場合、SIPSの概要だけでなく成功事例も知っておくのがおすすめです。本記事では、SIPSの概要や活用事例を紹介します。SIPSを活用してマーケティングを実施したいと考えている方は、参考にしてください。

目次 ー この記事で分かること ー

SIPSとは?概要や特徴を解説

SIPSとはSNSを活用して情報を収集し、商品やサービスを購入する消費者をターゲットとした行動モデルです。マーケティングに活用された行動モデルは「AIDMA」が有名ですが、AIDMAが提唱された時代はインターネットがありませんでした。

そのため、現在の消費者行動に該当しない部分が多くあります。SIPSはAIDMAよりも現在の消費者に近い行動モデルを描けるため、多くの企業が活用しています。SIPSは、以下の4段階で行動モデルを描きます。

  • Sympathize(共感する)
  • Identify(確認する)
  • Participate(参加する)
  • Share&Spread(共有・拡散する)

以下の頁でそれぞれを詳しく紹介します。

Sympathize|共感

SIPSにおける共感とは、「消費者が企業の価値観や考え方に賛同したり、好感を覚えたりする場合に際に生じる感情」と定義されています。そして、SIPSではSNSで発信された情報に消費者が「共感」を覚えるところを出発点としています。

しかし、共感の段階では消費者の購買意欲は薄いため、共感を経て消費者が見込み顧客になることが目標です。SNSの投稿では、消費者が共感を得やすい文章・写真・イラストを投稿し、企業の価値観や考え方を知って好感を抱いてくれると成功したといえます。

Identify|確認

確認の段階では、消費者は自分の共感が正しいかを確認するために、口コミサイトやSNS、ネットニュースや企業の情報サイトなどで共感した情報を調べます。自分の共感した情報が正しければ、参加の段階へ進みます。

ユーザーの共感を高めるには、良い口コミをピックアップし、消費者に確認してもらいやすくすることが重要です。また、専門家や著名人に商品やサービスの有効性やメリットを宣伝してもらう「権威性の法則」を利用するのも有効です。

Participate|参加

参加では、消費者は商品やサービスを購買する以外に、メリットを拡散してくれます。また、購買を伴わない「参加」には、SNSのリポスト「いいね」を押す、フォロー・コメントへの返信などが含まれます。

SNSの投稿にいいねやコメントされると、新たな消費者が「共感」や「確認」の段階へ進みやすくなり、見込み顧客につながるかもしれません。なお、SIPSにおける「参加する」は、消費者の関わり度合いに応じて4つの段階にわけられます。

Share & Spread|共有・拡散

「共有・拡散」は最終段階で、消費者は自分が参加した商品やサービスの有効性やメリットを共有したり拡散したりします。共有は女子会で化粧品の良さを語り合う、子育てサークルで育児グッズを紹介しあうなど同一コミュニティ内で行われます。一方、拡散は主にSNSで呟きをリポストやリツイート、シェアするなど、不特定多数が対象になるのが特徴です。

また、共有は「人」を題材に、拡散は「コンテンツ」を題材にしているといった意見もあります。人とは、「××が○○を良いと言った」など「誰が何をしたか」を指し、コンテンツとは「××するにはこれをする」といったノウハウやツール、サービスを指します。

Participate段階の4つのレベル

SPISにおける「Participate(参加)」には以下、4つの段階があります。

  • Participant|ゆるい参加者
  • Fan|応援者
  • Loyal Customer|支援者
  • Evangelist|伝道者

ここでは、各段階で消費者が取る行動の違いや重要度を紹介します。

Participant|ゆるい参加者

「ゆるい参加者」は、参加者のなかで最も人数が多く、かつ購買者ではない層です。SNSではフォローやシェアを行ったり、サンプルをもらったりなどが主な行動で、ほかの行動モデルでは見込み顧客に該当します。

ただし、何かのきっかけがあれば応援者に昇格する可能性があるため、無下にはできません。マーケティング施策では、ゆるい参加者が次の段階に昇格するきっかけ作りが重要です。また、ゆるい参加者が多いほど企業や商品、サービスの知名度が上がりやすいメリットもあります。

Fan|応援者

「応援者」とは、参加者のなかで2番目に人数が多く、実際に商品やサービスを購入してくれる層です。また、商品を購入するだけでなく、「入会する」「SNSにレビューを書き込む」といった行動もしてくれる層です。

応援者は単に商品を購入するだけでなく、建設的な意見を述べてくれる場合もあるため、企業は応援者を大切にする必要があります。「顧客が企業を育てる」といわれますが、応援者はまさに企業を成長させてくれる存在といえます。

Loyal Customer|支援者

「支援者」とは応援者の上位レベルにあり、以下のような行動を取ります。

  • 長期にわたって商品やサービスを購入する
  • 定期購入をする
  • 「応援している企業の商品やサービスなら購入する」といった姿勢を見せる

一度、支援者になると長期間にわたって企業を支援する傾向があるのも特徴です。一般的な消費活動における「お得意様」的な位置づけになり、支援者を増やせば、売上の増加や知名度、商品やサービスの価値が向上します。企業は応援者を支援者にランクアップさせたり、支援者を手堅く囲い込んだりする努力が必要です。

Evangelist|伝道者

「伝道者」は「Participate(参加)」における最高レベルであり、購入し続けている商品やサービスの魅力を第三者に伝えてくれる層です。伝道者は、商品やサービスを長期にわたってブログやSNSで宣伝してくれたり、自分でコミュニティを作って商品やサービスの良さを広めたりしてくれます。

顧客でありながら、企業の広報のような存在になってくれるので、「共感」や「確認」の段階にいる消費者を「参加者」に引き上げてくれる存在です。伝道者を作れば、商品やサービスの価値を一気に高められるかもしれません。

SIPSを活用してマーケティングに成功した事例

ここでは、SIPSを活用してマーケティングに成功した事例を3つ紹介します。

  • 柳田織物|SNSで商品の魅力を発信
  • Mr. CHEESECAKE|口コミ効果により知名度向上
  • 江崎グリコ|SNSのキャンペーンを有効活用

実際にSIPSを活用して成功した事例を理解すると参考にできる点が多くあります。効果的なマーケティング施策に悩んでいる方は参考にしてください。

柳田織物|SNSで商品の魅力を発信

株式会社柳田織物は、2000年代前半に自社企画商品を販売するECサイトを開店しました。また、SNSを活用してECサイトにゆるい参加者を呼び込み、応援者へとランクアップさせています。ECサイト開店当時の顧客獲得方法は、メルマガや電話による接客でしたが、顧客獲得や宣伝方法の中心がSNSに変化していきました。

現在は、LINEやYoutubeでの宣伝も積極的に行い、2021年にはインスタライブにも挑戦します。柳田織物は40~50代の共感者を増やしてECサイトに誘導し、「確認」や「参加」を促しています。柳田織物はターゲットに合わせたSNSを常にリサーチして活用することで、「ゆるい参加者」や「応援者」を増やす努力を行ない、売上を伸ばしています。

Mr. CHEESECAKE|口コミ効果により知名度向上

Mr. CHEESECAKEはチーズケーキのこだわりやおすすめのアレンジを写真や動画つきでSNSに投稿し、「共感」や「確認」へ進むきっかけを作っています。また、X(旧:Twitter)でアンケートを定期的に行い、ゆるい参加者を増やす施策も実施してきました。

さらに、プレゼントを行う企画を実施し、「ゆるい参加者」を「応援者」に昇格させるきっかけ作りも定期的に行っています。Mr. CHEESECAKEでは、SIPSを活用した対策を行い、4万人のフォロワーを獲得しています。

江崎グリコ|SNSのキャンペーンを有効活用

江崎グリコは、江崎グリコ・「ポッキー」の新製品プロモーションに、SIPSを活用しました。まず、人気芸人をCMに起用し、X(旧:Twitter)にも登場させて注目を集め、さらにポッキーが好きな人だけでなく人気芸人のファンの「共感」を集めました。同時に「ポッキー公式アカウントをフォローして、あなたが過ごしたい夏を対象#タグをつけて投稿しよう!」といったキャンペーンを実施しています。

人気芸人の登用とキャンペーンによりフォロワーを増やし、ポッキーに関する呟きをSNSのタイムライン全体に増やしました。これにより「共感」した人は自分の意見や感性が正しいと「確認」しやすくなりました。この結果、「ゆるい参加者」を増やし「応援者」に格上げしました。

SIPSを活用する際は「誤情報の蔓延」に注意

消費者を広報の一部として活用する際は、「誤情報の蔓延」に注意が必要です。消費者は商品やサービスを提供する企業とは異なり、自分の主観で情報を発信します。このため、「自分の発言がまわりにどのような影響を与えるか」を考えず、気軽に情報を流してしまう恐れもあるでしょう。

例えば、健康への効果が期待できると宣伝している健康食品を、PRしたいあまりに「治療法が見つかっていない病気に効果がある」とSNSで発信してしまうかもしれません。SNSの拡散力は大きく、一度誤情報が拡散されてしまうと訂正は困難です。誤情報の発信を防ぐためには、小まめなSNSのチェックが重要です。

SIPS以外のWebマーケティングに活用しやすい消費者行動モデル

最後に、SIPS以外のWebマーケティングに活用しやすい消費者行動モデルを2つ紹介します。

  • Dual AISAS|「広めたい」に注目した消費者行動モデル
  • DECAX|消費者に「発見」してもらう行動モデル

複数の行動モデルを比較・検討したい場合の参考にしてください。

Dual AISAS|「広めたい」に注目した消費者行動モデル

Dual AISASのDualとは、「二つから構成される」という意味をもちます。また、AISASは、AIDMAをベースにインターネットを活用する消費者の行動を加味した行動モデルであり、以下の頭文字を組み合わせた造語です。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(購買)
  • Share(情報共有)

「SNSは『広めたい』と『買いたい』という2つの行動モデルが存在する」といった考察から誕生しました。AISASを「広めたい」と「購買」の2つに分け、それぞれに対して異なるマーケティングを実施するのが特徴です。「広めたい」消費者に対しても、彼らの行動が顧客にとってプラスになるような施策を行います。

DECAX|消費者に「発見」してもらう行動モデル

DECAXは消費者が商品を「発見する」ところから始まる消費者主体の行動モデルです。「ユーザーに行動を起こさせる」ことを念頭に置いてマーケティング施策を行うのが特徴であり、以下の頭文字を取った造語です。

  • Discovery(発見)
  • Engage(関係)
  • Check(確認)
  • Action(購買)
  • Experience(体験・共有)

SIPSの第一段階「Sympathize(共感する)」に消費者を導くには、商品・サービスを「発見してもらう」必要があるため、DECAXを把握しておくと役に立つケースもあるでしょう。ECショップにお客をもっと流入させたい、と思ったときにも活用できる行動モデルです。

まとめ

SIPSはSNSを利用したマーケティングに欠かせない行動モデルです。SNSを有効活用すると、売上を増加させたり企業の認知度を高めたりできます。また、今まで実店舗中心だったお店がECサイトに拠点を移す際、宣伝方法を考える上でも有効です。

ECサイトの同業他社が多いほどSPISを活用した差別化は重要になるでしょう。SNSは無料で始められるため、ほかのマーケティング手法に比べて費用を抑えて始められるメリットもあります。

ウェビットでは主に中小企業がWebマーケティング、Web集客を行ううえでのお悩みを解決するような情報を発信しております。気になられた方はぜひ、ほかの記事もご一読ください。

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この記事を書いた人

大澤 要輔のアバター 大澤 要輔 『Webhit(ウェビット)』編集長

【プロフィール】
マーケティングメディア『Webhit(ウェビット)』の編集長。運営元の株式会社FlyEde 代表取締役を務める。中小企業経営者へのコンサルティングは累計3,000回以上。Webマーケティング × 組織構築 × 人材育成の3つの領域を中心に、年商5,000万円~数億円前後の領域で売上を伸ばす仕組みを構築。

【保有資格】
上級ウェブ解析士
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
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Yahoo!広告 各種資格

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