SNSマーケティングを始めたい方、SNSマーケティングの戦略の見直しをしたい方にとってSNS分析は重要です。SNS分析を行うことで、マーケティング戦略や自社商品・サービスの改善点を見つけたり、ブランドイメージを向上したりできます。
本記事では、SNS分析の概要や注目されている背景などの基本知識、実践方法を紹介します。SNS分析の課題や解決につながるヒントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
SNS分析の概要
SNS分析はソーシャル分析とも呼ばれ、XやInstagramなどのプラットフォームに投稿された内容からユーザーの声や反応を詳しく調査・分析し、マーケティング戦略に役立てるための手法です。
SNS分析の目的は、主にマーケティング戦略の見直しにあります。ユーザーの意見を活用することで、自社商品やサービスの改善、企業イメージの向上などが期待できます。また、競合他社との差別化も図れます。分析対象のSNSは、以下の通りです。
- X
- YouTube
- ブログ
- Reddit など
例えば、Xはユーザーの生の声や意見、そして競合他社の動向を把握するのに役立ちます。SNS分析を通じて、企業は顧客のニーズを深く理解でき、より効果的なマーケティング施策の立案・実行が行えます。
SNS分析が注目されている背景
SNS分析が注目されている背景には以下3つの理由が挙げられます。
- 企業イメージや自社商品・サービスへの本音を把握できる
- リアルタイムに情報を取得し素早く対応できる
- 競合企業を分析して戦略を見直せる
それぞれを解説します。
企業イメージや自社商品・サービスへの本音を把握できる
SNSはユーザーが自発的に意見を述べている特徴があり、アンケートでは得られない率直な感想や意見がそのまま投稿されています。そのため、SNS分析を行うことで、ユーザーが実際に感じている細かなニーズや改善点を発見しやすくなります。
例えば、「こんな機能があれば便利なのに」「この操作はわかりにくくて使いづらい」などは、アンケートや相談窓口だけでは得られない意見でしょう。しかし、このような本音が書かれている投稿を分析すれば、未充足ニーズの発見や既存サービスの誤った運用方法の見直しにつながります。
SNS分析はユーザーの本音を理解するのに有効な手段であり、商品やサービスの改善や新たな企画開発に役立つ重要な情報が得られます。
リアルタイムに情報を取得し素早く対応できる
SNSはユーザーが商品やサービスに関する意見や感想をリアルタイムで投稿しています。これらの情報を即座に収集・分析すれば、迅速に商品やサービスの改善が可能です。
SNS分析はインタビューやアンケートを行うよりもスピーディーに情報を収集できるため、スピード感を持ってPDCAサイクルを回せるようになります。SNS分析は市場のトレンドや消費者の嗜好をリアルタイムで把握できるため、競合他社との差別化にもつながります。
競合企業を分析して戦略を見直せる
SNSの投稿を通じて、競合企業がPRしている商品やサービス、PR方法、事業内容などを把握できます。また、コメント欄では競合商品やサービスに対する意見もチェックでき、ユーザーの動向やニーズも把握できます。競合企業の同カテゴリーの商品やサービスへの意見は、自社商品やサービスにも活用可能です。
例えば、競合他社に寄せられたニーズや不満、炎上した内容などは自社商品やサービスの改良に役立てられます。加えて、SNS分析は企業や商品・サービスの強みも把握できる機会にもなります。自社の良い点をさらに伸ばすための参考にもなるでしょう。
SNS分析の種類と特徴
SNS分析の方法は大きく以下の2つに分られます。
- アカウント運用分析
- ソーシャルリスニング
それぞれの特徴を解説します。
アカウント運用分析|投稿への反応を分析
アカウント運用分析では、自社が運営しているアカウントと競合他社のアカウントを分析します。各SNSにはアナリティクスやインサイトといったツールや機能があり、以下のデータを収集できます。
- いいね
- リンククリック数
- インプレッション数
- エンゲージメント率 など
アナリティクスやインサイトから得たデータは、ユーザーが興味・関心のあるコンテンツ内容を理解するのに役立ちます。ユーザーニーズを把握するためにも、アカウント運用分析は実施しましょう。
ソーシャルリスニング|投稿内容・口コミを分析
ソーシャルリスニングでは、ユーザーの投稿や口コミを分析します。新たな商品やサービスの開発、既存商品やサービスの改良、投稿内容の見直しなどのマーケティングに活かすために行います。
投稿や自社商品・サービスに対する口コミの内容で多いものをデータ化し分析すれば、マーケティングの方向性が顕在化するでしょう。ソーシャルリスニングを実施する際は、自社アカウントにあるコメントだけでなく、投稿や口コミをリサーチします。
投稿や口コミの調査をすれば、コメントや引用リポストなどでは把握できない生の声が発見できます。
SNS分析を行う流れとポイント
SNS分析は、以下の流れで行います。
- 目的を明確化しKGI・KPIを設定
- アナリティクスやインサイトのチェック
- 分析結果の記録
- 施策の優先順位を決定
それぞれのポイントと併せて紹介しますので、SNS分析をする際にお役立てください。
1.目的を明確化しKGI・KPIを設定
はじめに、KGIとKPIの設定を行います。SNSマーケティングの実施目的やゴールを明確にしなければ、方向性が定まらず分析データをうまく活用できません。KGI・KPIを設定する際は、最終ゴールであるKGIの決定後にKGIを達成するための指標であるKPIを定めます。
SNSでは、以下のような項目をKPIに設定します。
- インプレッション
- リポスト数
- 共有・シェア数
- 保存数
- リーチ数 など
例えば、インフルエンサーマーケティングの成功を目的とする場合、保存数やリーチ数といったものがKPIに設定できます。
2.アナリティクスやインサイトのチェック
アナリティクスやインサイトを確認し、現時点での良い点と悪い点を分析します。設定したKGIやKPIから自社アカウントの立ち位置や競合に比べて不足している点を洗い出します。
Xの場合、アナリティクスは有料プランに加入しなければ確認できません。無料プランの場合、「https://ads.x.com/user/ユーザー名を入力/tweets/」にアクセスすると、Twitterで使用していたアナリティクスの閲覧が可能です。
FacebookやInstagramは、インサイトからアカウント分析が行えます。Facobookはページ上部に表示される「インサイト」から、リーチ数やページプレビューの推移、アクションの傾向を確認できます。また、Instagramはポストに表示された「インサイトを見る」から、リーチ数やいいねなどのアクション数の分析が可能です。
3.分析結果の記録
スプレッドシートやExcelなどに分析結果をレポーティングする工程に移ります。以下の指標を分析し、レポートを作成しましょう。
- ネットセンチメント:ポジティブ・ネガティブ感情のスコア
- センチメントドライバー:感情の原因
- 情熱度:ユーザーのブランドに対する情熱度合い
- トップドメイン:熱狂的なファンがいるSNSの種類
- メディア・リンク・投稿:エンゲージメント率が高い投稿
- 情報源:分析したソーシャルメディア
- デモグラフィック:ユーザーの属性
- トレンドアイテム:トレンドになっているアイテム
- タイムラインの変化:タイムラインのトレンドの変化
- トピックの比較:自社商品・サービスに関連するトピックの比較
細かく記録するほど分析の精度が高められ、潜在的なニーズの発見やマーケティング施策の振り返りに役立てられます。
4.施策の優先順位を決定
設定したKGIとKPI、そして分析から見えてきた時代の変化やトレンド、ニーズを踏まえて、施策を検討します。マーケティングの最終目的は収益の向上や安定です。そのため、費用対効果を最大限に高める必要があります。
施策を実行するだけでなく、効果測定を定期的に行い、その結果に基づいて施策の優先順位を見直さなければなりません。特にBtoBは顧客の状態によって購買までの意思決定プロセスが複雑化するため、施策の優先順位付けが重要になります。
即効性がある施策、実行しやすい施策、コストパフォーマンスの高い施策などの要素に加えて、自社の状況に適合する施策を優先的に実施することが大切です。
SNS分析の課題と解決につながるヒント
SNS分析は、マーケティング戦略の立案や商品・サービスの改善につながります。しかし、以下のようなデメリットや課題もあるため対策を講じて進める必要があります。
- 膨大なデータから情報を見極める必要がある
- ユーザーの属性特定が難しい
それぞれの課題と解決につながるヒントを紹介します。
膨大なデータから情報を見極める必要がある
SNSは24時間365日、さまざまな投稿がされています。そのため、膨大にあるデータから正確な情報を得るために内容を精査しなければなりません。特にXは全角140文字で投稿ができる特性上、少ない文字数や文脈から内容の意味や意図を把握する必要があります。
また、広告収入を目的としたインプレッション稼ぎをするための迷惑投稿をするアカウントも散見されています。SNS分析で正確な情報を得るためにできる対策は、以下の通りです。
- データ分析に特化した人材を確保する
- SNS分析専用ツールを導入する
これらの対策により、膨大なデータから正確で有益な情報を効率的に抽出できます。的確なマーケティング戦略の立案・実行につながるでしょう。
ユーザーの属性特定が難航する
SNSの多くは匿名性が高く、ユーザー属性の特定が難しい傾向にあります。性別や年齢、居住地などのプロフィール情報は不完全であったり、虚偽の情報が含まれていたりする場合があります。そのため、アンケートで得られるような正確な情報の取得は難しいでしょう。
ユーザーの属性は、各SNSのアナリティクスやインサイトから閲覧できる場合があります。アナリティクスやインサイトでは、アカウント作成時に使用された住所や年齢、在住地域などの属性を確認できます。SNSを運用する際は、必ずアナリティクスやインサイトを確認しましょう。
SNS分析を効率化するためのツールと選び方
SNS分析を効率的に行いたい方は、分析専用ツールの導入がおすすめです。ここでは、分析ツールの主な種類と選ぶときのポイントを紹介します。
分析ツールの主な種類
SNSの分析ツールは、主に以下3つの種類があります。
- アカウント分析
- ソーシャルリスニング
- オールインワン(アカウント分析・ソーシャルリスニングに対応)
アカウント分析とソーシャルリスニング、それぞれの主な機能を以下の表にまとめました。
アカウント分析用 | ・自社と競合他社アカウントの投稿数 ・ユーザーの属性分析 ・新語やトレンドワードの抽出 ・エンゲージメント率が高いキーワードやハッシュタグの抽出 |
ソーシャルリスニング用 | ・情報源からのデータ取得 ・共起語・関連語の分析 ・競合他社・ベンチマーク企業の比較分析 ・投稿内容のポジティブ・ネガティブ感情の分析 ・口コミ急増時の通知 |
分析ツールの種類によって分析できる内容は異なります。分析ツールを導入する際は、導入の目的と機能や内容が適合するかを確認しましょう。
分析ツールを選ぶ際のポイント
SNS分析ツールを選ぶ際のポイントは、以下の3つです。
- 分析できる項目と自社の使用目的が合っているか
- 実施するSNSマーケティングに合っているか
- 要望を叶えられる機能があるか
SNSマーケティングのKPIによって必要な分析項目は異なります。例えば、フォロワー数の増加をKPIにするなら投稿分析のできるツールが適しています。分析が必要な項目を洗い出し、その項目を分析できるツールを選べば失敗を避けられるでしょう。
また、分析ツールは特定のSNSを対象にしたものと、複数のSNSを一括管理できるものがあります。複数のSNSアカウントの分析を行いたい場合は、一括管理に対応したツールの導入を検討してください。
情報を得るべきSNSは企業によって異なるため、どのSNSから情報を得たいかを明確にし、適切な分析ツールを導入しましょう。
まとめ
SNS分析は投稿内容やコメントからユーザーの意見や感想を拾い、企業イメージや自社商品・サービスの改善、戦略の方向性の見直しに役立てられます。
地道に投稿をチェックする手法もありますが、分析専用ツールを導入すれば、口コミ内容の傾向やアクション数を簡単に分析できます。分析は時間がかかる傾向にあるため、実施する際は作業効率を上げる方法も考えて実践しましょう。
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