手軽に情報発信できる手段としてSNSを活用している企業も多いでしょう。しかし、単なる情報発信ではなく、集客など具体的な効果を出すためには、正しいマーケティング戦略を立てなければなりません。
この記事では、SNSマーケティングにおける戦略の重要性や具体的な手順を解説します。さまざまなSNSの特徴や成功している企業の事例もまとめているので、SNSマーケティングで実績を増やしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
SNSの運用は戦略が重要
企業のSNSアカウント運用において、多くの担当者が投稿による認知拡大だけでなく、集客や成約につなげることを目指しています。実際に問い合わせや売上などの具体的な成果を上げるためには明確な戦略が不可欠です。
フォロワー数が増加傾向にあったり、投稿へのいいねが付いたりしているにもかかわらず、ビジネス面での成果が見られない場合は、戦略の見直しを検討する必要があります。
SNSマーケティングを戦略的に実践する7ステップ
SNSマーケティングを効果的に運用するためには、戦略を持つことが大切です。
- 目的や目標を設定する
- ペルソナを設計する
- 競合を調査する
- 運用するSNSを決める
- 目標達成のためのKPIを設定する
- 投稿頻度や内容を選定する
- 施策の実行と分析・改善を繰り返す
やみくもに投稿を重ねていたり、フォロワー数を増やすことだけに注力していたりする場合は、これらの手順に沿って戦略を明確化しましょう。
1.目的や目標を設定する
SNSマーケティングを始める前に、まず運用における具体的な目的や目標を明確にしましょう。目的や目標には以下のようなものが挙げられます。
- 認知拡大
- 新規顧客の獲得
- ブランディング強化
- 売上向上
- 採用活動の強化 など
SNSの運用方法は目的によって大きく異なるため、最初の段階でゴールを具体的に設定し、それに向けた施策を組み立てます。
2.ペルソナを設計する
目的・目標を明確にしたら、次はターゲットとなる顧客像をイメージしましょう。マーケティング効果を高めるには、1人の人物を具体化するようなペルソナの設計が重要です。ペルソナ設計では性別や年齢といった基本的な属性に加え、趣味や興味関心、行動パターンなどを具体的にイメージします。
特に、企業アカウントでは複数の担当者が運用に関わります。そのため、ペルソナを明確に設計しておくことで、一貫性のある投稿内容を維持できるほか、狙ったターゲット層への継続的なアプローチが可能です。
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3.競合を調査する
SNSマーケティングで成果を上げている競合企業の運用状況を調査することは、自社のマーケティング戦略の立案にも役立ちます。具体的に以下のような項目を調査します。
- 投稿内容
- 投稿頻度
- 獲得しているエンゲージメント数 など
競合を知ると自社アカウントの運用における具体的な指標を設定でき、より効果的な成長戦略を描けるようになります。
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4.運用するSNSを決める
目的や設計したペルソナ、競合の使用状況などを加味しながら、最適なSNSプラットフォームを選定しましょう。主要SNSプラットフォームの特徴を以下の表にまとめました。
SNS | 特徴 |
・写真や動画による視覚的な訴求が強み ・若年層の利用が多い ・商品やサービスの世界観を伝えやすい | |
TikTok | ・短尺動画をメインとしている ・学生など10代~20代を中心に利用者が急増している ・バイラル効果も期待できる |
X(旧:Twitter) | ・リアルタイムな情報発信と拡散に強み ・幅広い年齢層が利用している |
・30-50代のビジネスパーソンの利用が多い ・BtoBマーケティングに適している | |
LINE | ・日常的なコミュニケーションツールとして定着している ・公式アカウントによる直接的な情報発信ができる |
プラットフォームはペルソナが日常的に利用しているものや、潜在顧客が多く活動しているものから検討することで、より効果的なアプローチを実施できるでしょう。
5.目標達成のためのKPIを設定する
SNSマーケティングの目標達成に向けた進捗を適切に管理するためには、具体的なKPIの設定が欠かせません。自社からの情報発信に関する指標としては投稿数を、ユーザーからの反応を測る指標としては、いいねやコメント、シェア数などを設定しましょう。
これらの指標を定期的にチェックすることで、施策の効果を具体的に把握し、必要な改善につなげるのも容易となります。
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6.投稿頻度や内容を選定する
次は、設定したKPIを達成するために投稿頻度や内容の方向性を決め、施策としてまとめます。投稿時間はペルソナがSNSをチェックしやすい時間帯に設定し、週に1回、商品やサービス紹介をメインの内容を投稿するなど、具体的に決めましょう。
また、継続的で効果的な運用を実施するためには、自社のリソースを考慮しながら各担当者を選任しておくのがおすすめです。「企画実行の責任者」「投稿作業をする担当者」「広告運用を行う担当者」といったように役割を決め、チームで実践していきましょう。
7.施策の実行と分析・改善を繰り返す
ここまで戦略を策定できたら、実行に移します。ただし、実行して終わりにせず、分析・改善を繰り返すことが大切です。具体的には、投稿内容に対するいいねやコメント数、シェア数などの定量データに加え、コメントの内容や反応の傾向といった定性データも収集します。
SNSは情報の流れが早い特徴から、データ収集や分析はリアルタイムで行う必要があります。これらの分析結果をもとに改善できれば、より効果的なマーケティング戦略へとブラッシュアップしていけるでしょう。
SNSを戦略的に実践するメリット
SNSマーケティングは、戦略的に実施することでさまざまなメリットを享受できます。ここでは、主なメリットを3つ説明します。
認知度の拡大につながる
SNSの大きな特徴として、情報の拡散力の高さが挙げられます。投稿内容がユーザーによってシェアされたり、リアクションが付いたりすることで、より多くの方々の目に触れる機会が増えるためです。
また、SNSプラットフォームには、ユーザーが自ら検索をしなくても、興味関心に合わせて情報を優先的に表示するアルゴリズムが組み込まれています。そのため、これまで自社の商品やサービスを知らなかった潜在顧客層にもリーチできる可能性が高まります。
ターゲット層の興味関心に沿ったコンテンツ作成や、適切なハッシュタグの活用などにより認知拡大へとつながるでしょう。
集客効果が見込める
SNSは近年、幅広い世代に利用されています。総務省の「令和5年通信利用動向調査の結果」によると、全体の80%がSNSを利用しており、20代での利用率が最も高く、80代でも50%以上が利用していることがわかっています。
調査結果からも、SNSを活用したマーケティングは、幅広い層へのアプローチが可能な広告手法の一つであるといえるでしょう。また集客には、SNSの大きな特徴であるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用も見逃せません。
商品やサービスを利用したユーザーが自発的に投稿する口コミや写真は、広告よりも信頼性が高いと判断される傾向にあります。そのため、ポジティブな声を多く活用できれば、広告に費用をかけなくても集客効果が見込めるでしょう。
顧客ロイヤルティを向上させられる
顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに対して抱く信頼感や愛着を指します。SNSの特徴である双方向のコミュニケーションの活用により、顧客ロイヤルティを高める効果が期待できます。SNSを活用した顧客ロイヤルティの向上は、以下のようなステップで実現できます。
- 見込み客へのアプローチ→新規顧客の創造
- 有益なコンテンツ配信→顧客ファンの育成
- 適切なコミュニケーションの継続→顧客ロイヤルティの向上
このように、SNSは単なる情報発信の場としてだけでなく、顧客との関係性を深める重要なコミュニケーションツールとしての役割も果たします。
SNSマーケティングにおける注意点
SNSマーケティングで戦略立案する際は、以下3つの注意点に気をつけましょう。
- 中長期的な視点を持って活用する
- フォロワー数増加をゴールにしない
- 炎上などで注目される可能性がある
それぞれ詳しく説明します。
中長期的な視点を持って活用する
SNSは誰でも無料で始められる手軽なマーケティングツールです。しかし、誰でも簡単に成果を上げられるわけではないと理解しておきましょう。企業がSNS運用を始めて、投稿した情報が拡散されたとしても、すぐに集客や売上につながるわけではありません。
SNSを運用して継続的な成果を上げるには、数ヶ月から年単位での継続的な運用が必要です。また、効果的な運用のためには人材確保や広告費用など、必要なコストをしっかりと見積もっておくことも重要です。
フォロワー数増加をゴールにしない
SNSマーケティングは本来、売上や問い合わせといった具体的な実績を上げることが目的です。フォロワー数の増加など、わかりやすい数字を短期的な目標にするのはよいかもしれませんが、それだけに注力してしまうと本質的な目的を見失う可能性があります。
フォロワー数の増加は、あくまでも目的達成のための手段の1つとして捉え、最終的なゴールを見据えた運用を心がけましょう。
炎上などで注目される可能性がある
SNSでの情報発信は不特定多数のユーザーの目に触れるため、企業アカウントであっても投稿内容が意図しない形で解釈される可能性があります。本来の狙いとは異なる理由で拡散される、想定外の理由で注目を集めてしまうなどのリスクがあると覚えておきましょう。
炎上してしまうと企業イメージの低下を招いたり、対応に追われたりするなど、コストが増大してしまう可能性もあります。対策として、投稿前に過度な表現や不適切な内容がないかを事前にチェックする体制を整えておきましょう。
【成功事例】SNSを戦略的に活用している企業
SNSを戦略的に活用し、実際に成果を上げている企業の事例があります。
- スターバックス
- ダイソー
- ローソン
それぞれの企業独自の戦略を詳しく解説します。
コミュニケーションを重視する「スターバックス」
スターバックスは、マス広告に頼らずにSNSでブランド価値を高めるコーヒーチェーン店です。店舗での体験価値や顧客とのコミュニケーションを重視したマーケティングで知られており、その姿勢はSNS運用にも表れています。
約395万人のフォロワーを抱えるInstagramでは、主要な顧客層である女性や若年層の嗜好に合わせた「映え写真」を効果的に活用しています。商品や店舗の魅力を視覚的に訴求することにより、テレビCMなどに頼らない独自のファン獲得を実現しているのも特徴です。
さらに、関連ハッシュタグをつけた投稿を積極的に促進しており、顧客が自発的に投稿するUGCを活用した集客にも成功しています。SNSならではの双方向コミュニケーションを最大限に活用している成功事例といえるでしょう。
豊富な品揃えをアピールする「ダイソー」
100円ショップのダイソーは、SNSで商品の魅力をわかりやすく発信しています。ダイソーは豊富な商品展開と高いクオリティを特徴としており、Instagramでは約195万人のフォロワーを獲得しています。
同社のSNS運用で特に注目すべきは、新商品の発売に合わせて商品の詳細情報や具体的な使用方法を丁寧に発信している点です。投稿画像には商品説明が明確に記載されており、視覚的にも内容が把握しやすいデザインを採用しています。
このような工夫により、商品のメリットがわかりやすく伝わり、購入後の使用シーンをユーザーが具体的にイメージできる点が人気を呼んでいます。
SNSありきの戦略を立てる「ローソン」
ローソンはSNSマーケティングを積極的に取り入れ、コンビニ業界最多のフォロワー数を獲得しています。公式Xアカウントは、約870万人のフォロワー数を獲得しています。同社は、フォローとリポストで無料クーポンがもらえるといったキャンペーンを積極的に展開し、ユーザー参加型の施策を成功させているのが特徴です。
特に話題となった「バスチー」は、SNSでの拡散を前提として企画された商品であり、キャンペーン効果だけでなくユーザーによる情報拡散の結果、累計1900万個という販売実績を達成しました。
その後も、企画ありきの商品開発や定期的なキャンペーンを実施しており、継続的にSNSでの集客効果を高めている事例といえます。
まとめ
SNSの運用は、マーケティング効果を最大化する観点からも正しい戦略を立てる必要があります。認知度向上や売上向上などの目標に合わせて、具体的な施策を実践しましょう。
なかでも重要なのは、各SNSにて顧客と適切なコミュニケーションをとることです。成功事例を参考にしながら、顧客ロイヤルティを高めてファンを増やしていきましょう。
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