「社会的証明とは何か知りたい」
「社会的証明をマーケティングで活用したい」
Webマーケティングを策定する中で、行動心理学を用いたプロモーションを展開し顧客の購買意欲を高めたいと考える担当者も多いでしょう。社会的証明とは、自分の判断よりもその他大勢の意見を信じてしまう認知バイアスです。マーケティングでは、主に販売促進で活用されています。
この記事では、社会的証明とは何か、社会的証明をマーケティングで活用するにはどうしたらよいかを解説しています。また、社会的証明の効果を高める方法も紹介しており、明日から実践しやすい内容になっていますので、Web担当者の方はぜひ参考にしてください。
社会的証明とは
社会的証明とは、自分の考えより多数派の意見を正しいと判断し、意思決定が左右される認知バイアスです。別名「ソーシャルプルーフ」とも呼ばれ、この現象は明確な答えがない曖昧な状況下で見られます。
人は損失を回避し、正しい行動を取りたい気持ちが根底にあるものです。そのため、無意識に多数派の意見に影響されます。例えば、流行りのお店に多くの人が集まりやすい、口コミやレビューに価値を左右されるなどがあります。
日常で見られる社会的証明の例
社会的証明は普段の生活でも影響しています。日常で見られる社会的証明の例は以下の3つがあります。
- 口コミやレビュー
- お店の行列
- スーパーでの買い物
誰しも日常で見た経験がある、行った経験があるでしょう。それぞれ具体的に解説します。
口コミやレビュー
口コミやレビューは社会的証明の典型的な例です。Amazonや楽天で商品を購入する際には、口コミやレビューを見てから買う方が多数でしょう。よいレビューがたくさんあれば「多数の方が評価しているから高品質だ」と消費者は自然に購買意欲が高まります。一方で、低評価のレビューが多ければ「低品質な商品だ」と判断しがちです。
高評価がたくさんの商品レビューの中には、「サクラ」が紛れている場合があります。日常生活において他人の評価を参考にする際は、低評価のレビューを含め、総合的に商品やサービスの良し悪しを見極められるようにしましょう。
お店の行列
お店の行列も社会的証明の効果が働きます。行列ができているのを見ると「このお店は人気なんだ」と多くの方は解釈するでしょう。同時に「人気の店だから美味しいはず」と期待が高まり「一度、行ってみよう」という気持ちになります。
戦略の一つとして、お店が社会的証明をうまく活用しているケースもあります。あえてお店の回転率を悪くし、行列をキープして人気なお店であると印象づける方法です。このような方法により、社会的証明効果を活用しているお店も少なくありません。
スーパーでの買い物
スーパーでの買い物では、商品を選ぶ際に社会的証明の効果が見られます。例えば、スーパーの陳列棚にバナナとみかんの2種類があったとします。バナナは残りわずかしかなく、みかんがたくさん残っているとき「バナナはみんなが購入しているから減っているんだ」と無意識に感じてしまうかもしれません。
その結果「バナナの方が人気なんだ」と社会的証明が働き、より多く買われているバナナを手に取りやすくなります。このように、日常生活において社会的証明の効果が見られる場面があります。
社会的証明をマーケティングで活用する
日常で見られる社会的証明の例を紹介しました。社会的証明はマーケティングでも活用できます。具体的な方法は、主に以下の4つです。
- キャッチコピーを活用
- ランキングやレビューを記載
- ランディングページを作成
- SNSによる認知
それぞれ詳しく解説します。
キャッチコピーで活用
マーケティングで社会的証明を活用する際には、キャッチコピーに活用する方法があります。例えば、書籍で「累計100万部突破」「最も読まれている本」など、周りから評価されていると認識できるキャッチコピーを見かけ、思わず手に取ってしまった経験がある方も多いでしょう。
このようなキャッチコピーを見かけると、消費者は「人気な本なんだ」と無意識にとらえ、書籍に対する期待が膨らみます。また、キャッチコピーに著名人の推薦文を記載すると社会的に評価されているとアピールでき、より社会的証明の効果アップを狙えます。
このようにキャッチコピーに社会的証明を活用することで、商品に対する信頼感や消費者の購買意欲の向上ができます。
ランキングやレビューを記載
ランキングやレビューを記載すると、社会的証明を効果的に活用できます。ランキングやレビューは、多くの方から支持されている証になり、社会的証明効果を得るのが可能です。例えば、メディアでのランキング紹介や通販サイトでのレビュー記載などがあると「この商品は人気なんだ」と消費者の興味を引き付けられます。
また、評価の高さだけでなく具体的なコメントを記載できれば、実際に使った方のリアルな声がわかるため、商品やサービスに対する信頼感や安心感がアップし、消費者は手にとりやすくなります。
ランディングページを作成
ランディングページを作成すると、社会的証明効果を活用しやすくなります。ランディングページとは、購入や問い合わせを目的とするページです。Googleの検索結果やSNS、Web広告を入口として訪問者が最初にアクセスします。
ランディングページの見出しやキャッチコピーに社会的証明の効果を取り入れると、よりサービスの魅力をアピールできます。例えば、口コミ多数・ランキング1位・有名モデルが愛用などと記載すると、多くの方に支持されている商品と認識され、信頼性が高まり購買意欲が高まりやすいでしょう。
SNSによる認知
今や多くの方が活用しているSNSを用いて、社会的証明を活用する方法があります。インフルエンサーや有名人がSNSで愛用している商品を投稿すると、ファンは同じ商品を購入したくなります。そのため、有名人に商品を宣伝してもらうのは効果的なマーケティングです。
また、商品が何かのきっかけで拡散され、多くの人の目に留まるとサービスを認知してもらえます。たくさんの方に認知されれば、サービスに対する反応も増え、社会的証明効果を発揮します。そのため、SNSを利用して認知を広めるのは効果的です。
受賞歴や資格・認定
受賞歴や資格・認定をアピールすると、サービスの価値や信頼性を高められます。例えば、高級チョコレートでは「○○賞を受賞したチョコレートです!」などとアピールすると、価値がある商品だと消費者はイメージするでしょう。
また、健康に関する商品では、医師や薬剤師の推薦文が書かれていると信頼性を高められます。身体に関係する商品は、消費者は信頼性を重視すると考えられるため、社会的証明を活用したプロモーションは効果的です。
新規出店での大幅値引きによる行列
新しいお店ができて大幅値引きされていると、気になったお客さんが多く集まり行列ができます。そして、たまたま行列を見かけたほかの方達は「人気店なのかな?」といった印象を受け「今度、行ってみようかな」と考えるかもしれません。その結果、多くのお客さんが来店し、継続的に社会的証明の効果が発揮できる環境が整います。
ただし、社会的証明の効果を狙った戦略だけでは客足は止まります。実際に美味しくなければお客さんは減ってしまい継続するのは難しいため、サービスの質を高めるのも大切です。
また「新規出店で値引きしたものの、通常料金に戻したらお客さんが来なくなった」というケースも考えられるので、活用する際には注意しましょう。
コミュニティの立ち上げ
社会的証明は、多数派の意見に基づいて意思決定する傾向であり、コミュニティの立ち上げは効果的です。コミュニティは、基本的に運営者の考え方やサービスに関心がある方が参加すると考えられます。そのため、コミュニティができた時点でサービスに対して好意的な方が多数と考えられます。
例えば、コミュニティ外で商品を売るより、コミュニティ内で商品を売るとすでに興味がある方が相手なので購入される割合が高くなるでしょう。その結果「まわりも購入しているから自分も購入しよう」と社会的証明効果が働きます。
社会的証明をより効果的に活用するには
社会的証明をマーケティングで活用する方法を解説しました。では、社会的証明をより効果的に活用するにはどうしたらよいのでしょうか。主に、以下の2つが重要です。
- 信頼性の担保
- 活用するタイミング
信頼性がなければ、多数に支持されていても見向きもされません。また、活用するタイミングを間違えれば、効果は軽減してしまいます。それぞれ詳しく解説します。
信頼性の担保
社会的証明の効果を高めるためには、信頼性の担保が必要です。例えば、ある会社のネガティブなニュースが流れてきたとき、商品に関係ない内容だとしても「なんか不安だ」と消費者は感じてしまいます。そのため、商品・会社の信頼性は大切です。
Amazonで商品を買う際に、高評価の口コミやレビューがたくさんあると、商品価値が高まり消費者の購買意欲は高まります。また、権威性のある専門家やフォロワー数の多いインフルエンサーからの支持があるのも信頼性を高める有効な手段です。さらに、受賞歴や販売実績、導入数をアピールするのも説得力を増し、社会的証明の効果を発揮しやすくなります。
活用するタイミング
社会的証明を活用するタイミングが大切です。商品の購入を決める際は、消費者は不安を感じており、その他大勢の意見に影響を受けがちです。反対に、商品に全く興味がない方は社会的証明効果はほとんど意味をなしません。そのため、まずは興味がある方を発見してから社会的証明を活用する施策を行うのが重要です。
例えば、興味はあるが購入には至ってない消費者層に対して、新商品の発売、大幅な値下げ、キャンペーンを開催すると購入を促せます。一方で、同じ施策を興味がない層に行っても成果を得にくいでしょう。
社会的証明を活用する際の注意点
社会的証明を効果的に活用する方法を解説しました。一方、社会的証明を活用する際には、注意点が2つあります。
- 過剰な宣伝は法律違反になるおそれがある
- 効果を得るまでに時間がかかる
法律に触れる可能性があるので、覚えておきましょう。
それぞれ下記で具体的に解説します。
過剰な宣伝は法律違反になるおそれがある
過剰な宣伝は法律違反になる場合があります。例えば、高評価の口コミを増やすために、自作自演で書き込みを行ったり、口コミ代行業者に依頼したりするなどです。また、あたかも購入した方の声のように偽って口コミやレビューを増やすのもNGです。
口コミやレビューを活用し、誇大表示するのは景品表示法に触れる可能性があります。例えば、実際の商品より著しく優良なものであると誇張する、もしくは他社より優れていると誤解させるような表示をするなどです。景品表示法の違反が指摘されれば、措置命令や課徴金納付命令が下される場合もあり、会社の信用にかかわります。
効果を得るまでに時間がかかる
多くの口コミを集めたり販売実績を増やしたり、社会的証明を確立させ販売促進するまでには時間がかかります。短時間で実績を作ろうとすれば、上記のように違法な方法に頼りがちになるため要注意です。
立ち上げのブランドであれば、先に無償提供しレビューを集めたり、口コミを投稿しやすいプラットフォームを構築したり、声を集めやすい環境を整えておきましょう。社会的証明の効果を発揮するためには、商品やサービスの利用者が多いことが大切です。そのため、まずは、顧客を納得させるようなレビューや口コミをコツコツと集めましょう。
まとめ
社会的証明は「多数派の意見を正しいと判断する」認知バイアスであり、日常やビジネスのさまざまな場面で見られます。マーケティングにおいて、社会的証明を効果的に活用すると、集客や売上に対してより大きな効果が期待できるでしょう。
ただし、活用する際には、信頼性とタイミングの2点が大切です。信頼がないサービスや会社は、社会的証明を活用したプロモーションを展開しようとしても、成果につなげるのは難しいです。また、偽りの信頼をアピールするため、嘘の情報や盛った情報は法律に抵触する可能性があり、サービスの評判低下にもつながるため避けましょう。
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