アフィリエイトとはインターネット広告の一種であり、手軽に始められ、かつ広告費を抑えられることから幅広く利用されています。企業はアフィリエイト広告をネット上に出すことで、売上だけでなく商品や会社の知名度を上げることもできるでしょう。
アフィリエイト広告を始めたい場合、広告の仕組みを一通り理解しておくのがおすすめです。本記事では、アフィリエイトとはどのような広告か、仕組みや始め方、報酬を得るまでの流れや実施する際の注意点を紹介します。
アフィリエイトとは?
アフィリエイトとは、インターネット広告手法の一つであり、「成果報酬型広告」ともいわれています。
メディア運営者が自分の運営するWebサイトやブログ、SNSなどにアフィリエイトを掲載します。サイト訪問者がそのアフィリエイトから商品購入やサービスを利用すると、運営者に報酬が入る仕組みです。
企業は広告費を抑えて幅広い層に商品やサービスを宣伝でき、サイト運営者は運営するWebサイト等にアフィリエイトを掲載すれば収入を得られます。サイト訪問者は、お気に入りのWebサイトやブログを訪問した際に新しい商品やサービスを知り、気に入ったものを購入できます。
受託調査サービス会社「矢野研究所」の報告によると、2019年より国内アフィリエイト市場規模は増加の一途をたどっており、2026年まで市場は拡大する見込みです。かつて、広告といえばTVCMや雑誌、新聞の折り込み広告などが主体でしたが、これからはアフィリエイトが広告の主流になる可能性は十分にあるといえます。
アフィリエイト広告の仕組みを解説
アフィリエイト広告の仕組みは、以下の4者によって成り立っています。
- 企業(広告主):アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)を利用してアフィリエイト用の広告を登録。広告を通じて自社の商品やサービスを販売
- ASP:広告主とメディア運営者を仲介
- メディア運営者(アフィリエイター):ASPに登録をしてWebサイトなどで広告を掲載・紹介
- サイト訪問者:広告を通じて商品を購入
企業は、アフィリエイト広告を出すことによって商品やサービスの認知を広げ、新しい顧客も得られます。広告主である企業は仲介業者であるASPに広告費を支払い、メディア運営者はASPより成果報酬の支払いを受けられます。そして、顧客は新しい製品やサービスを知り、購入できるといった4者4様のメリットがあるのが特徴です。
アフィリエイトのメリットとは
アフィリエイトは従来の広告に比べて企業側、メディア運営者側それぞれにメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットを紹介します。
企業側のメリット
アフィリエイトを利用する企業側のメリットには、以下のようなものが上げられます。
- 広告が掲載されるメディアが増え、自社の商品やサービスの認知度と売上がアップしやすくなる
- 従来の広告に比べて掲載費用や制作費用を抑えられる
- 売上の推移等を確認できるため、マーケティングに活用できる
アフィリエイトは成果報酬型の広告のため、従来の広告に比べて費用を抑えて効果的な宣伝が可能です。また、アフィリエイトを掲載してくれるメディア運営者が増えるほど、広告主である企業が手間をかけなくても商品やサービスの認知度がアップして売上も上がります。
このほか、アフィリエイトは広告からどのくらいの売上があったか確認できます。このデータを分析、活用すればより効果的な広告の出し方や宣伝方法、新たなターゲットの開拓などが可能です。
メディア運営者側のメリット
メディア運営者側のメリットは、以下のようなものが上げられます。
- 初期費用がかけずに始められる
- 広告を運営するメディアに貼るだけで報酬が得られる可能性がある
- 在庫管理の手間等がかからない
- 本業と並行して行いやすい
メディア運営者は、アフィリエイトを自身が運営するブログなどに貼るだけで収入が得られます。自身のメディアを用意してASPに登録すれば無料で始められるので、副業には最適です。
また、商品の販売は広告主が行うため、在庫管理等の手間もかかりません。一方で、自身が運営するメディアに貼られた広告経由で商品を購入する方が増えるほど、収入もアップします。気軽にできるビジネスとして、参入する方も増え続けています。
アフィリエイトのデメリットとは
アフィリエイトにはメリットだけでなくデメリットもあります。アフィリエイトの利用を検討している企業は、メリットとデメリットの両方を知っておくのがおすすめです。
ここでは、企業とメディア運営者それぞれのデメリットを紹介します。
企業側のデメリット
企業側のデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 競合が多い場合がある
- 広告主が望まない形で掲載が行われる場合がある
- ASPとの関係がうまくいかないと失敗する可能性がある
- 虚偽・誇大表現の記事が掲載される可能性がある
- 広告の掲載方法、種類によっては予算がオーバーする可能性がある
- 結果が出るまでに時間がかかる場合がある
現在、アフィリエイトは多くの企業が利用しています。そのため、同じメディアに同業他社の広告と一緒に掲載され、思ったような効果が得られない恐れもあります。
また、広告主は掲載メディアを指定できません。そのため、広告主が望まない形で広告が掲載されるケースがあるほか、ターゲットに広告が届かない場合もあるでしょう。
このほか、ASPとの連携やコミュニケーションがうまくいかないと、広告を掲載しても効果無しに終る可能性もあります。
メディア運営者側のデメリット
一方、メディア運営者側にも以下のようなデメリットがあります。
- 安定した収入を得られるまで時間がかかる場合がある
- 継続的なメディアの運営が必要
- メディア運営のモチベーションを維持するのが大変
アフィリエイトは、訪問者が広告をクリックしたり、広告経由で商品やサービスを購入したりして初めて収入が得られます。したがって、まずはメディアの訪問者を増やす努力が必要です。
一からブログ等メディアを立ち上げてアフィリエイトから安定した収入を得られるまでには、どうしても時間がかかります。それまでモチベーションが続かず、途中で諦める方も珍しくありません。
アフィリエイト規制とは?
アフィリエイトは従来の広告に比べると自由度が高いイメージがあります。しかし、アフィリエイトにも規制やルールが設けられているため、利用する前に確認しておきましょう。
ここでは、アフィリエイトの規制や利用する際の注意点を紹介します。
アフィリエイト規制の概要
アフィリエイトは以下のような理由で、2022年6月より景品表示法管理措置指針の改正が行われ、規制が厳しくなりました。
- 虚偽・誇大広告等の不当表示がおきやすい
- 消費者がアフィリエイトを広告と認識しづらい
アフィリエイト広告を制作、掲載する際は以下の点に注意が必要です。なお、法律に違反した場合、責任を問われるのは広告主です。
- 商品やサービスの内容や品質を実際のものより著しく優良に見せかける表示は禁止
- 取引条件が実際より競争会社と比べて著しく有利と消費者に誤解させる表示は禁止
- 取引の準備がされていない、もしくは意思のない商品やサービスの表示は禁止
この3点は景品表示法に基づいた禁止事項です。それに加えて、広告であると明記せずに商品やサービスを推奨する行為はステルスマーケティングとして、2023年10月より景品表示法に違反する行為になりました。
マスメディア運営者が、アフィリエイトの製品やサービスを広告であると隠して宣伝する行為は違法です。発覚すれば罪に問われるだけでなく、アフィリエイトを出した企業は信頼を失います。広告主はその旨をメディア運営者に通達することが重要です。
アフィリエイト広告を出す際の注意点
アフィリエイト広告を出す場合、広告主はメディア運営者にASPを通じて不当表示を行わない旨を通達しましょう。また、通達だけではなく定期的にアフィリエイトが掲載されているメディアを巡回し、掲載内容を監視・管理すると違法行為を防げます。
このほか、アフィリエイトを利用する際にメディア運営者に向けて、禁止事項と禁止事項を破った場合の罰則を制定しておくのも有効です。
アフィリエイトを利用する際に、広告主は担当者を決めて定期的に広告や掲載ページのチェックを行うのが理想です。難しい場合は、チェックの外部委託を行う方法もあります。チェック項目はマニュアル化しておくと便利です。
アフィリエイト広告を成功させるポイント
ここでは、アフィリエイト広告を成功させるポイントを紹介します。これからアフィリエイトの利用を検討している企業の担当者は参考にしてください。
商材はBtoCがおすすめ
アフィリエイトで取り扱う商品は、一般消費者(個人)向けの商品(BtoC)が適しているといわれていますが、中でもおすすめは以下のものです。
- クレジットカードやFXなどの口座開設など、金融系の商品
- 脱毛やAGAなど、美容系で高単価、かつSNSで個人が「やりました」「効果あり」と顕名で宣伝しにくいもの
- 会員登録が必要なサービス(アルバイト登録など)
このような商品やサービスなら、メディア運営者がうまくブログ等で宣伝してくれると消費者の購買意欲もアップしやすいでしょう。ただし、上記に該当する製品やサービスでも地域密着型のものはアクセス数も伸びにくく、アフィリエイト運営者も敬遠しがちです。全国でサービスの利用や商品が購入できる製品を選んでください。
ASPは大手がおすすめ
初めてアフィリエイトを利用するなら、ノウハウが蓄積されておりサポートが手厚い大手の業者がおすすめです。一例を挙げると、最大手「A8」をはじめ、「JANET」(アドウェイズ社)「affltown」(GMOメディア社)などです。大手業者のサービス内容や業者独自の特徴などを一通りチェックしてみましょう。
ただし、商材によっては規模こそ小さいけれど大手よりも知識があり、扱いに長けたAPSもあります。APSを決める際は規模や知名度と共に、扱っている商材の種類や得意分野もチェックしてください。
運用後も定期的に広告をチェックする
掲載したアフィリエイトが景品表示法に違反していた場合、責任を問われるのは広告主です。したがって、広告を掲載する際は、禁止事項と禁止事項を破った場合の罰則を制定しておくと不正を予防できます。また、定期的に広告と掲載しているサイトを確認して不正がないかチェックしましょう。チェックを怠ると、不正の発覚が遅れて問題が大きくなる可能性があります。
このほか、定期的にランディングページ(LP)の見直しを行ってください。作ったまま放置していると集客は難しくなります。
アフィリエイト広告の出稿手順
最後に、アフィリエイト広告の基本的な出稿手順を紹介します。
掲載条件の選定
はじめに、掲載条件の選定を行います。具体的には、成果報酬額の決定や予算配分を選定しましょう。成果報酬が低ければ、広告にかける予算は抑えられますがメディア運営者から敬遠されます。反対に成果報酬が高ければ、メディア運営者が多く集まりますが、不正が行われるリスクもあるでしょう。
相場などもチェックして、高すぎず安すぎない報酬額を設定してください。同業他社の様子も比較したり有識者に相談したりすれば、適正な成果報酬額が決められます。同時に、アフィリエイトの広告の種類も決めましょう。
アフィリエイト広告の種類が決まったら、適切なバナー広告やテキストリンクを用意します。
契約を結ぶASPの選定
次に、契約を結ぶASPを決めましょう。ASPは大手ほどマニュアルが充実しており、不正が起きた場合の対処法も整理されています。ただし、小規模なASPの中にも優良な業者はたくさんあります。自社に合ったASPを見つけるには、規模や知名度以外にも口コミや得意分野も参考にしてください。特定の商品やサービスが得意なASPもあります。
このほか、事前に相談したときの印象もチェックしておきましょう。対応が事務的すぎたり質問の返答が遅すぎたりするところはおすすめできません。特に、初めてアフィリエイトを利用する場合は親身になって対応してくれるところを選びましょう。
バナー広告やテキストリンクを用意
最後に、バナー広告やテキストリンクを用意します。キャンペーン時用、通常用、セール用など複数用意しておくと変化が生まれて、新規顧客も獲得しやすくなります。なお、バナー広告は視覚に訴えやすいメリットがある一方、アフィリエイト広告を邪魔と感じるユーザーには不評なデメリットがあるため、デザインに注意しましょう。
バナー・テキストリンクは自社でも作成できますが、単体でデザイナーなどに作成依頼もできます。また、代行業者に運用を丸ごと委託することも可能です。代行業者に依頼すれば、費用はかかりますがバナーやテキストリンクの作成から 日常的なチェック、結果の集計などすべて任せられます。
まとめ
本記事では、アフィリエイトの仕組みやメリット・デメリット、出稿手順などを紹介しました。アフィリエイト広告は、広告費用を抑えながらも広く商品やサービス、会社の認知度を高めるメリットがあります。一方、広告を監視・管理しておかないと法律に触れるリスクもあります。
したがって、アフィリエイト広告を出す際は、事前に商品やサービスがアフィリエイトに適しているかなどを検討したうえ、信頼できるASPと契約してください。
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