「ECサイトの立ち上げに関する基本的な手順がわからない」
「ECサイトやECモールなど、似たような言葉や情報が多すぎてどれがよいのかわからない」
これからECサイトを始めたいと考えている方の中には、上記のような悩みや疑問を持つ方もいるでしょう。また、ECサイトを始めるにあたって、どのような準備が必要かを知っておくことも重要です。
そこで本記事では、ECサイトを始める前の準備事項を詳しく解説したあとで、実際のECサイトの種類を紹介します。ECサイトを作る際の注意点にも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
ECサイトを始める前の準備事項
ECサイトを立ち上げる前にビジネスモデルや目標を明確にすることで、効率的かつ目的に沿ったECサイトを構築でき、結果として売上の向上につながります。
ここでは、ECサイトを始める前の準備事項を解説します。
何を売るかを決める
ECサイトを立ち上げる際、何を売るかは最も重要なポイントです。取り扱う商品は、実店舗ですでに売っている商品、もしくはEC専用商品の選定が一般的です。実店舗があれば、実店舗とECの価格差によって顧客に混乱を与えず、かつ相乗効果を生むよう慎重に考える必要があります。
また、販売する商品を選ぶ際は、検索ボリュームの確認も大切です。なぜなら、検索ボリュームは、特定の商品やサービスに対する市場の関心や需要を反映しているからです。そのため、アンケートやSNS分析を利用し、ユーザーが何に興味を持っているかを深く理解しましょう。
さらに、大手ECモールのランキングやGoogleトレンドを利用してどの商品が人気を集めているかを定期的にチェックし、流行を捉えることも重要です。
ターゲットを明確にする
取り扱う商品が決まったら、次はターゲットを特定します。
ネットショッピングを利用するユーザーは、自分のニーズに合った商品を積極的に検索しています。そのため、市場調査や顧客フィードバックを通じてターゲットニーズを把握し、それに基づく商品開発やマーケティングの実施が重要です。
マーケティング手法の1つであるWeb広告は、検索関連広告が主流となっています。ゆえに、ユーザーが検索する際の具体的なニーズに適した情報提供が重要です。例えば、ダイエットに興味があるユーザーには、ダイエットに関連する商品情報を提示する必要があります。
Web上で商品を販売するなら、他社製品との比較が簡単にできてしまうため「なぜこの商品が最適なのか」を明確に伝える必要があります。
ECサイトのコンセプトや方向性を決める
ECサイトを開設する前に、サイトのコンセプトや方向性を明確にすることも忘れてはいけません。コンセプトが不明確だとサイトの目指す方向性が不安定になり、結果的にターゲット顧客のニーズを十分に理解できず、信頼を損ねるリスクが生じます。
例えば、高級感あふれるサイトを目指すのか、それとも手ごろな価格で気軽に買い物ができるサイトを目指すのかといったコンセプトによって、ターゲット層やマーケティング戦略が大きく変わります。
また、トレンドを追う若者層を狙うのか、女性や高齢者などの特定層に特化するのか、持続可能な環境に優しい商品を扱うのかによってサイトカラーやコンセプトも決まります。
明確なコンセプトは、サイトの一貫性を保ち、顧客との信頼関係を築くための基盤となるのです。
目的と予算を明確にする
ECサイトを立ち上げる際、目標達成に必要な予算の検討と、計画に基づいた予算設定が重要です。目的に応じた適切な予算配分でサイトを構築し、効率的な運営を目指しましょう。目的が明確であれば、サイト開設時の機能追加やデザインの修正を最小限に抑えられ、不必要なコストの削減が可能です。
また、ECサイトの立ち上げ後、何を基準にサイトを評価するかをはっきりと決めておけば、運営を進めていくにあたって何をどう改善すべきかを決めやすくなります。基準の設定により、サイトのどこが問題かを明確にでき、それに合わせた具体的な改善計画を立てスムーズな実行が可能になります。
一貫した運営によって顧客との信頼関係を構築でき、リピーターの獲得にもつながるため、長期的なサイトの成長を促進させられるでしょう。
目標を決める
ECサイト運営を開始するにあたり、目標設定はその後の方向性や戦略構築を行なう上での中心的な指針となります。そのため、「初年度の売上目標を3,000万円に設定」「訪問者数を1万PVにする」など、目標は明確な数値で定めます。
目標を設定する際のポイントは、現実的で達成可能な範囲にすることです。目標を高く設定し過ぎると多くの費用や労力が必要になる場合が多く、もしそれを達成できない場合、モチベーションの低下につながる可能性があります。事業を継続するために、自社の製造力や資金繰り、市場の需要を踏まえ現実的な売上予測を立てるようにしましょう。
ECサイトの目標設定においては、短期的な成果にとらわれず、長期的な視点が重要です。なぜなら、ECサイトを一旦導入してしまうと、他システムへの移行は簡単ではなく、コストがかかるからです。目標は、サイト導入から3年間を見通して設定するとよいでしょう。
ECサイトの作り方6選!
ECサイトの基本的な作り方を理解していれば、自分のビジネスに最適なサイト選択やカスタマイズが可能になります。また、市場ニーズに合わせたサイト設計もできるようになるでしょう。
ここでは、ECサイトの主な作り方を6つ紹介します。
1.モール型|高い集客力が魅力
モール型のECサイト構築は、複数のお店が同一のプラットフォーム上で商品を販売するスタイルです。「Amazon」や「楽天市場」などの有名なモールを利用すれば、特別集客に力を入れなくともユーザーを集められ、マーケティングにかかる労力や費用を節約できます。
また、初期投資を抑えながら手軽にビジネスを始められるのも魅力の一つです。店舗運営に必要なサポートも充実しているため、ECビジネス初心者にも優しい環境が整っているといえます。
デメリットとして、出店するには一定の費用がかかり、売上に応じた手数料も発生するため、費用対効果を計算する必要があります。顧客データをすべて得られるわけではないため、データの蓄積がしづらいと理解しておくことが必要です。
2.ASP|初心者におすすめ!
ECサイトを手軽に始めたい方には、ASPがおすすめです。ASPとは、複雑なサーバー準備や管理は必要なく、クラウドサービスを通じて簡単にECサイトを開設できるサービスを指します。
初期投資を最小限に抑えたい場合でも、無料で始められるASPサービスがあるため、初期費用を気にせずECサイトを手軽にスタートすることが可能です。無料で始められるASPサービスとしては、「BASE」や「STORES」「イージーマイショップ」などがあります。システムの運用や保守もサービス提供業者が行ってくれるため、運営者はショップのマーケティング活動に集中できる点も魅力的です。
ただし、モール型のように初めからユーザーが集まっているわけではないため、自身で集客を行なう必要がある点に注意が必要です。
3.オープンソース|技術力が高く作りこみたい場合
オープンソースとは、ECサイトを作るための基本的なプログラム(ソースコード)が誰でも見られる状態で公開されているシステムを指します。誰でも自由に使ったり、自分のニーズに合わせて改良したりできるのが特徴です。
オープンソースのメリットは、コストを抑えつつ自由にカスタマイズができる点です。費用をかけずにスタートしたい場合や、サイトに独自性を持たせたい場合に適しているといえるでしょう。
デメリットは、セキュリティリスクの管理や、サイト構築において専門的な知識が求められる点です。特にセキュリティは、公開されているコードを使用しているため、脆弱性が突かれるリスクを考慮した開発が必要です。
4.パッケージ|ECサイトに必要な機能が備わっている
ECパッケージとは、ECサイトを効率的に立ち上げるためのシステムやソフトウェアのセットを指す用語です。ECパッケージを用いれば、開発の必要がなくスムーズにECサイトを構築できます。
ECパッケージの特徴として自社サーバーへのインストールによる運用が多い傾向にありますが、クラウドサービスとしての提供も増えています。
メリットは、ECサイトを立ち上げた初期段階で必要な機能がすべて揃っているため、短期間でサイト構築が可能な点です。また、カスタマイズの範囲が広く企業のニーズに合わせたサイト作りができるため、独自性の高いECサイトを作成できる点も魅力的です。
デメリットは、充実した機能性と引き換えに、初期導入費用が高額になるケースがあります。さらに、システムの最新性を保ち続けるには定期的な更新が必要になる点も考慮が必要です。
5.クラウドEC|システムが自動で更新され安全性も高い
クラウドECとは、インターネット上のサービスプラットフォームを通じて、手軽にオンラインショップを作成・運営できるサービスを指します。在庫管理や商品管理、決済システムなどのECサイト運営に必要な機能が一括で提供されており、クラウド上で利用できるのが特徴です。
メリットは、システムが常に最新の状態に保たれる点です。システム更新にともなうコストが不要となるため、コストを削減できます。また、サービスプロバイダーが強固なセキュリティ体制を提供しているため、独自のセキュリティ対策等も不要です。
デメリットは、クラウドサービス特有の初期費用や継続的な利用料の発生です。加えて、ソースコードが非開示であるため、企業によっては自社でのカスタマイズや管理が難しいケースもあります。
6.フルスクラッチ|大企業で採用されることが多い
フルスクラッチとは、ECサイトを1からオリジナルで構築する手法です。既製のフレームワークやソースコードを用いずに新しくプログラミングすることを意味します。
フルスクラッチでECサイトを構築するメリットは、自由度の高さです。ECサイトに求められる機能やデザインを、制約なく実現できるため、ブランドの独自性を確立しやすいといえます。また、拡張性が高く、社内システムとの連携も自由に行えるのも大きな特徴です。
デメリットとして、初期投資はもちろん、運用コストの大きさが挙げられます。加えて、サイト構築には高度な技術力を持つ人材が必要とされますが、これらの人材は市場にそう多く存在しないため確保が困難な場合が少なくありません。
ECサイトを作る際の注意点
ECサイト立ち上げに関する注意点を事前に理解しておけば、一般的なミスやよくある間違いを回避でき、サイト立ち上げのリスクを軽減できます。
ここでは、ECサイトを作る際の注意点を解説します。
ユーザーの使い心地はよいか
ユーザーが快適に使用できる「ユーザビリティ」は、ECサイト構築において重要なポイントです。ユーザビリティとは、簡潔かつ明瞭なプロセスで商品の検索から購入に至るまで、操作がスムーズに行える度合いを指す用語です。
ユーザーは迅速かつ簡単な購買プロセスを求めているため、ユーザーニーズに応えることで売上の増加や顧客からの信頼感を得られます。反対に操作性に欠けるサイトは、競合他社への顧客流出に直結する恐れがあります。
ユーザビリティを向上させるためには、まずサイト全体のデザインに一貫性を持たせることが大切です。統一されたデザインはユーザーに安心感を与え、迷わずに操作できる環境を提供できます。
また、ユーザーが求める情報や機能へのアクセスが簡単であり、かつサイトの読み込み速度が早いことも、ユーザビリティを高めるためには欠かせません。
分析機能は十分か
ECサイトの運営において、サイト分析機能の充実は不可欠な要素だといえます。
ECサイトでは、実店舗だと得られない来客数や商品への関心度などの情報を詳しく追跡できます。これにより、消費者の行動パターンを理解でき、購入へと導くための方法を考え出すことが可能です。また、顧客動向の分析により売り上げ増加につなげられるような改善点を発見でき、質の高いサイトを提供できます。
分析すべきポイントとしては、訪問者数・購入率・顧客単価が挙げられます。これらは売上を形成する基本的な要素であり、詳細な分析によって、売上の最大化を図ることが可能です。
ストアデザインは商品やターゲットに適しているか
ECサイト構築に際して、デザインの選択も重要なポイントです。デザインがブランドイメージに合致していないと、商品の魅力を伝え切れないリスクがあります。また、サイト訪問者によいと思ってもらうには、ブランドにふさわしいデザイン選択が必須です。
商品画像はユーザーの関心を惹くためにも重要な要素です。商品の魅力を最大限に伝えるには、背景や明るさ、アングルなどを工夫し利用シーンを想起させるような画像を用意すると購入後のイメージを持ってもらえます。
ECサイトのデザインは商品の売れ行きに直結します。デザインが統一されていればユーザーは違和感を感じずに買い物ができ、ユーザー体験を向上させることも可能です。
まとめ
本記事では、ECサイトの始め方を詳しく解説してきました。
ECサイトを成功させるには、ただサイトをオープンさせるだけではなく、事前のコンセプト策定や目標設定が欠かせません。自社ブランドに適した構築方法の選択により、効率よく売上を上げることが可能です。また、ターゲットとする市場と顧客層への理解を深めておけば、適切なマーケティング手法の選択やサービスを提供できるようになります。
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