UXを改善するのは、顧客満足度を向上させる上で非常に重要な要素の一つです。ただ、具体的にどのようなプロセスでUX改善を行えばよいのか、わからない方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、UX改善の手法と具体的なプロセスをわかりやすく解説していきます。UX改善の成功事例もご紹介しますので、これから自社サービスのUX改善を図りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
UXとは?
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、製品やサービスの利用を通じてユーザーが得る体験・感情です。UXを改善すれば、ユーザーが製品・サービスを利用した際の感動や印象アップにつながり、会員の定着率アップや口コミの拡散による新規獲得など、ビジネス成果に寄与します。
反対にUXが悪ければ、ユーザーは一度利用しただけで使い勝手が悪いと判断し、他社サービスへと乗り換えてしまうかもしれません。
優れたUXの具体例としては下記が挙げられます。
- 情報が探しやすい
- 直感的に操作できる
- Webサイトの表示速度が速い
昨今では多くの製品・サービスが市場に出回り、機能やスペックが高いものが溢れています。多くの製品・サービスの中で、UXの優劣が購入の決め手になっているといっても過言ではありません。
UX改善が必要である理由
自社製品・サービスのUXは改善を繰り返す必要があります。UXを改善すればユーザーが心地よい体験を得られるため、継続利用や追加購入につながる可能性があるからです。
現代社会では市場に製品・サービスが溢れているため、商品の品質だけでは他社との差別化が難しくなってきています。
そのため、「商品の品質だけでなく商品を通じてどのような体験ができるか」という点がユーザーから選ばれる理由になっているのです。もし自社製品・サービスのUX(ユーザー体験)が悪かったとしたら、一度きりしか利用してもらえずに他社製品に乗り換えられてしまうかもしれません。
もし、自分でも使いにくさを感じるWebサービスやECサイトを利用したら、次からはもっと使いやすい別のサービスやショップを使おうと思うのではないでしょうか?
UX改善を継続的に行い、ユーザーの求める価値を追求して長期的に選ばれる製品・サービスを提供していきましょう。
UXを改善するための4つのプロセス
UXを改善するためのプロセスは下記4つです。
- ユーザーの流入経路を調査する
- ユーザーが求めていることを分析する
- 分析結果を元にサービスを設計する
- サービスがユーザーの要望を満たしているか評価する
これらのプロセスを順序立てて進めていけば、自社製品・サービスのUXを向上させられるでしょう。
ここからそれぞれのプロセスを詳しく解説していきます。
ユーザーの流入経路を調査する
まずはデータ分析によって、ユーザーがどのような経路で自社製品・サービスへとたどり着いたのか流入経路を調査しましょう。ユーザーの流入経路を把握すれば、UX上でどのような課題があるのかを見つけやすくなります。
オンラインビジネスであれば、下記のような流入経路が考えられるでしょう。
- 検索エンジン
- Twitter、InstagramなどのSNS
- ダイレクト入力
- ほかのサイトから流入
上記以外にも流入経路は考えられるため、自社製品・サービスへどこから流入しているのかを調査してみましょう。アクセス解析ツールを使えばどこから流入したのかを調べられます。
ユーザーが求めていることを分析する
製品・サービスとユーザーとの接点がわかったら、次にユーザーが何を求めているかを分析しましょう。ユーザーの要望を分析すれば、どのようなUX改善を行えばよいかがわかりやすくなります。
分析は下記の方法で行います。
- カスタマージャーニーマップを作成する
- ペルソナ設計を行う
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品・サービスを発見してから利用するまでの意思決定するまでの流れをまとめたものです。ユーザー理解が深まり関係者への共有もしやすいため、本格的なUX改善を行いたいのであればぜひ作成してみましょう。
その際、ペルソナ設計も重要なプロセスです。カスタマージャーニーマップを作成する際、ペルソナが曖昧な設計になっていると焦点にズレが生じ、ターゲットとしているユーザーの心理から外れます。
具体的な人物像まで詳細に設計できれば、UX改善の役に立つためぜひチャレンジしてください。
分析結果を元にサービスを設計する
ユーザーのペルソナ設計や要望が明確になったら、売上向上につながりやすい部分からサービスの再設計を行っていきます。UX改善にはさまざまな要素がありますが、売上アップにつながりやすい部分から着手すれば、改善効果が現れやすくなるでしょう。
具体的な改善目標としては、下記のような内容が挙げられます。
- 新規購入
- リピーター獲得
例えば新規購入数を増やしたいのであれば、購入導線を見直して売上を評価する方法が考えられるでしょう。またリピーター獲得を目標とするのであれば、サイトのデザインや操作性を改善して「利用しやすいから、また活用しよう」と思ってもらうのが重要になります。
UX改善でどの部分を優先的に行うかを考えて、設計するのがおすすめです。
サービスがユーザーの要望を満たしているか評価する
製品・サービスのUX改善を行った結果、ユーザーの要望が満たされているかどうかを評価しましょう。改善施策後に適切な評価を行えば、UXが本当に向上しているかどうかを確認できます。売上や継続率など数値やデータで確認できる指標に加え、アンケートやインタビューなどでユーザーの声をヒアリングするのも効果的です。
UX改善を行った結果、評価が悪かったならば、なぜそのような結果になったのか仮説を立て、UX改善を繰り返してよりよい製品・サービスにしていきましょう。
一発勝負でUX改善を行うよりも、何度もPDCAサイクルを回しながら改善を続ける意識をもつのがおすすめです。
UX改善の成功事例3選
UX改善の成功事例としては下記の3つがあげられます。
- フェリシモ【パスワードのリマインド改善】
- FABRIC TOKYO【一度採寸後はネットから注文可】
- ちばぎんアプリ【ユーザーフレンドリーなUIに再構築】
どのサービスもUX改善をして業績を大きく伸ばしているため、参考になる企業です。ここからそれぞれのUX改善を詳しく解説していきます。
フェリシモ【パスワードのリマインド改善】
フェリシモは、ファッションや雑貨を販売しているECサイトです。フェリシモではメルマガでユーザーに購入を促していましたが、メルマガからサイトへアクセスしてもログインができずに離脱される状況が発生していました。
そこで担当者が原因を分析した結果、パスワードを忘れた方が再設定するために訪れるページの使い勝手が悪いため、改めてパスワードを発行せず、そのまま離脱が増えていたとのことです。そこでフェリシモでは離脱の原因となっているパスワードリマインダーの改善を行ったところ、年間1万人以上の離脱防止に成功しました。
ユーザーとの接点はUX向上に影響しやすい部分なので、改善して成果につながった好例だといえるでしょう。
FABRIC TOKYO【一度採寸後はネットから注文可】
FABRIC TOKYOは、ビジネススーツのオーダーメイドサービスです。FABRIC TOKYOでは通常30〜60分でサイズ測定を行い、ユーザー一人ひとりのライフスタイルに最適な1枚を提供しています。
しかし、毎回スーツを新調するたびに採寸時間をとられると、面倒に思う方も少なくありません。そこで、アカウントを作成すれば一度測定したデータがクラウド上に保存され、自分のスマホからオーダーメイドスーツを注文できるようになります。
オーダーメイドスーツという敷居の高い商品を、手軽に購入できるUX改善につながった好例だといえるでしょう。
ちばぎんアプリ【ユーザーフレンドリーなUIに再構築】
ちばぎんアプリは、千葉銀行の公式スマホアプリです。従来のスマホアプリは使い勝手が悪かったため、ユーザーの使いやすさを意識してアプリのUX改善を行いました。
銀行はお堅いイメージがありますが、できるだけ堅いイメージを払拭してユーザーが使いやすいアプリを目指したとのことです。銀行アプリや投資アプリを使ったことがない初心者の方でも使いやすいように、わかりやすいUXを目指しています。
具体的には、下記のような操作をアプリだけで行なえます。
- 引落予定照会
- 振込
- 振替
- 税金の支払い
- 投資信託
さらにユーザーの行動データを分析する仕組みも取り入れ、行動データを見ながらUX改善を繰り返し行えるような設計です。使い勝手が悪かった従来のアプリから、UX改善を成功させた好例だといえるでしょう。
UX改善における3つのポイント
UX改善を行う上で意識したいポイントは下記3つです。
- ユーザーを具体的にイメージする
- UX改善を行う目的を明確にする
- UX改善のプロセスを繰り返し行う
これから自社製品・サービスのUX改善を行いたいと考えているのであれば、ぜひ参考にしてください。
ユーザーを具体的にイメージする
UX改善を行う上で重要なのは、製品・サービスを利用するユーザーを具体的にイメージすることです。製品・サービスのユーザーをイメージできれば、どのようなUX改善を行えば満足度が上がるのかを判断しやすくなります。
ユーザー行動データを分析し、どのようなニーズがあるのか確かめるのも有効です。データは嘘をつかないので、ユーザーがどんな行動をとっているか分析できればUX改善のアイデアが浮かびやすくなります。また、インタビューやアンケートを行ってもユーザーの生の声を集められるでしょう。
ユーザー行動データの分析やインタビューなどの方法を活用し、製品・サービスのユーザーを具体的にイメージしてください。
UX改善を行う目的を明確にする
UX改善を行う目的を明確にしておくのも非常に重要なポイントです。どんなユーザーに、どのような体験をしてもらいたいのか、明確な目標を決めましょう。
事前にUX改善の目的を明確に決めておかないと、具体的な改善案を出せなくなってしまいます。
- 新規ユーザーの獲得
- リピート購入率アップ
- 継続率アップ
現在の製品・サービスにおける課題の所在と、どのような目的を達成する必要があるのかを明確にしましょう。またターゲットとなるユーザーのペルソナ設計(年齢、性別、職業・ライフスタイル・価値観など)を想定すると目的を決めやすくなるため、事前にペルソナ設計を行うのもおすすめです。
UX改善の目的が明確になれば、おのずと具体的な改善案も浮かびやすくなるでしょう。
UX改善のプロセスを繰り返し行う
UX改善は一度行ったら終わりではなく、改善のプロセスを何度も繰り返し行うのがポイントです。一度の改善で成果が出るとは限らないため、UX改善の成果を評価して何が悪かったのか仮説を立て、再度改善を行うようにしましょう。
評価を行う際には、ユーザー行動のような数値化できるデータを参考にし、場合によってはインタビューやアンケートなどの調査を行うのもおすすめです。
市場の変動によってユーザーのニーズが変わり、以前は有効であった施策がUX改善につながらないケースも考えられます。状況に応じて最適なUXを提供するためにも、改善を止めずに常にPDCAサイクルを回し続けるのが重要になってくるでしょう。
まとめ
ここまでUX改善の方法や具体的な手法、プロセスを詳しく解説してきました。製品・サービスが選ばれ、継続利用してもらうためにも非常に重要な要素になります。昨今では多くの製品・サービスが販売されており、品質や特徴だけでは他社製品との差別化が難しくなっているからです。
自社製品・サービスのUX改善を行いたいと考えているのであれば、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。UX改善によって優れたユーザー体験を提供できれば、新規ユーザー数の増加やリピーター増加、継続利用率の向上につながります。
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