X(旧:Twitter)マーケティングは、拡散力の高いSNSであるXを使ったマーケティング手法です。会社やブランドの成長に欠かせないツールとして、近年注目を集めています。しかし、どのように運用すればよいのか、どんな戦略が効果的なのか、頭を悩ませている担当者もいるでしょう。
本記事では、Xマーケティングについて基礎知識から成功事例までを解説します。Xマーケティングで成果を出したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
X(旧:Twitter)マーケテイングの概要
Xマーケティングとは、X Corp. Japan 株式会社が運営するSNSを利用したマーケティング活動を指します。同社が国内で実施した調査によると、Xを月に1回以上利用すると答えた人は6,700万人でした。
2025年3月現在、総務省が発表した人口推計によると、日本の総人口は約1億2030万人のため、人口の約半数がXを利用しているとわかります。リアルタイムで情報を全国に共有できるスピード感と拡散力のあるXは、企業のマーケティング活動にも取り入れやすいSNSといえるでしょう。
参照:X Corp. Japan 株式会社「X Corp. Japan 株式会社」への社名変更のお知らせ」
参照:総務省「人口推計」
若年層向けのマーケティングに向いている
Xは若年層向けのマーケティング戦略に活用しやすいツールだといえます。13歳から69歳までの男女1,500人を対象に実施した「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、10~30代のXの利用率は50%を超えており、ほかの世代と比較しても高いことがわかりました。
10〜30代の年齢層でXの利用率が50%を超えていることから、Xは若年層を中心に利用されているSNSサービスだと考えられます。また、若年層はトレンドに敏感であり、共感できる事柄に興味を持つ傾向にあるため、Xを利用したプロモーション活動は若年層に効果的といえるでしょう。
参照:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
長く情報を受け取ってもらえる
Xは認知拡大や購買促進に適したプラットフォームであり、特にフォロー&リポストキャンペーンなどの施策が効果的です。
生活者を中心にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティングが実施したTwitter企業アカウントに関する調査では、「キャンペーン参加後、60%以上がフォローを継続する傾向にあることがわかりました。企業がキャンペーンにてフォロワーを獲得した場合、新たに獲得したフォロワーの半分以上はキープできる可能性が高そうです。」と発表されています。
この調査からもわかるように、一度でもフォローしてもらうきっかけがあれば、継続的に企業の情報を届けられる可能性があると考えられます。
引用:株式会社ネオマーケティング「Twitter企業アカウントに関する調査」
X(旧:Twitter)マーケティングにおける3つの特徴
Xを使ったマーケティングには3つの特徴があります。
- リアルタイムで情報発信ができる
- リポスト(返信)による拡散力が高い
- 双方向でのコミュニケーションが図れる
これらの特徴を活かしたマーケティング戦略を立てることで、効果を最大化できます。
リアルタイムで情報発信できる
Xは、リアルタイムで情報発信ができるSNSです。Xのタイムラインは時系列で表示されるため、常に最新の投稿が目に入りやすく、リアルタイムの情報収集に適しているといえます。
例えば、「#交通情報」「#地震速報」など投稿の内容に関連するハッシュタグを付けて投稿することで、世の中で起こっている出来事を素早く共有できます。
特に、テレビ番組の内容やスポーツ中継、天候、交通情報など、即時性が求められる情報との相性が良く、迅速な拡散が可能です。ハッシュタグ検索を通じて、フォロワー以外の人にも投稿が届きやすくなるため、企業のイベントやキャンペーンの告知などにも有効です。
リポストによる拡散力が高い
Xには、他者の投稿をそのまま共有できるリポスト機能があります。リポストとは、他者の投稿をそのまま自分のタイムライン上で共有できる機能です。手軽に投稿を拡散できるため、投稿者のフォロワーが自分自身のフォロワーへと情報を広めていきやすく、短時間で多くの人に届きます。
このリポストが連鎖的に繰り返されると、爆発的な拡散が生まれ「バズり」と呼ばれる大きな話題へとつながります。企業が発信する情報はリポストによって拡散されやすいため、Xの即時性と相まってほかのSNSにはない発信力を創出できるでしょう。
双方向でのコミュニケーションが図れる
XはテレビCMや新聞広告のような一方向の情報発信とは異なり、企業とユーザーによる双方向のコミュニケーションが図れる点が特徴です。具体的には、投稿に対する「いいね」や「リプライ(返信)」、「DM(ダイレクトメッセージ)」などを活用した気軽な交流が挙げられます。
ユーザーの声を直接聞き、リアルタイムで意見交換や反応を受け取れるため、商品やサービスの改善に生かす貴重な場にもなっています。積極的なコミュニケーションを図ることでユーザーとの信頼関係を深められるため、ブランドや企業のファンになってもらえる可能性も高まるでしょう。
X(旧:Twitter)マーケティングのメリット
Xマーケティングに参入するメリットは、次の2つです
- 高い拡散性から潜在層への認知拡大につながる
- ユーザーの声を把握できる
Xマーケティングの実施により得られるメリットを把握し、メリットを活かした効果的な運用を行いましょう。
高い拡散性から潜在層への認知拡大につながる
Xは拡散力の高さに優れています。リポストなどの機能によりフォロワー以外の潜在層にも情報が届きやすく、新たな顧客層へのアプローチにも効果的です。企業がXを活用したマーケティングを行う際は、その高い拡散力を生かし、PRやキャンペーンの場として活用することが可能です。
例えば、新商品の情報を投稿したり、よくある質問への回答をシェアしたりすれば、フォロワーがポストを拡散します。これにより、さらに多くの方々に情報を届けられます。
ユーザーの声を把握できる
Xは本名登録が不要なため、匿名性が高いSNSです。この特性により、従来のアンケートやお問い合わせでは得られなかった率直な意見や感想がリアルタイムで集まりやすくなります。
ユーザーのフィードバックを活用することで、ニーズを的確に把握し、より期待に応える商品やサービスの開発・提供が可能です。これにより、企業は市場の動向に迅速に対応し、顧客満足度の向上につなげられます。
X(旧:Twitter)マーケティングのデメリット
Xを活用したマーケティングには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。拡散力の高さゆえ、投稿が多くの人の目に触れ企業の認知拡大につながる一方で、意図しない形で情報を受け取られたり、誤解を招いたりする可能性があるため注意が必要です。
意図しない受け取り方により誤解を招くと、炎上につながるリスクを高めてしまいます。一度炎上すると、企業に対する悪いイメージが広まってしまい、ブランド価値の低下や顧客離れを引き起こす恐れがあるでしょう。
このようなリスクを防ぐには、投稿前に慎重なチェックを行ったり、炎上時の対応マニュアルを用意したりするなどの炎上対策が重要です。入念な対策を講じて、万が一の事態に備える必要があります。
企業がXを活用したマーケティングを成功させるためには、拡散力を活かしつつも、リスク管理を怠らないように注意しましょう。
X(旧:Twitter)をマーケティング活用している企業の成功事例
ここでは、企業がどのようにXを活用してユーザーとのエンゲージメントを高め、ブランドの認知度を向上させたのかを成功事例を交えて紹介します。
Xを活用したマーケティングの事例を学ぶことで、自社のマーケティング戦略を強化するためのヒントが得られます。Xの特性を最大限に活かしたマーケティング手法を見つけ、実践に役立てましょう。
ローソン|ハッシュタグを活用したPR
ローソンのXアカウントは約880万人のフォロワーを抱えており、Xを用いたマーケティングに成功している企業の1つといえます。ローソンは新商品などのPRにテレビCMを使わず、XをはじめとしたSNSを活用しています。
新商品のハッシュタグを付けた投稿や、プレゼントキャンペーンの実施により認知度や購買意欲を高める戦略をとっているのが大きな特徴です。また、単なる宣伝にとどまらず、ユーザーの反応を重視した運用を行っています。
新サービス導入前にはX上で集めた意見を分析し、効果的な導入タイミングを慎重に検討しました。このように、ユーザーのニーズに寄り添った施策を展開している点がローソンの強みといえます。
湖池屋|キャンペーン実施で認知拡大
湖池屋は、X上で新商品の情報発信やキャンペーンを積極的に展開しています。「湖池屋プライドポテト」のリニューアル時には、フォロー&リツイートキャンペーンを実施し、約1カ月間で平均3.4万回のリツイートを獲得しました。
キャンペーンを実施するほか、ユーザーの関心を集める投稿が多いのも湖池屋の特徴です。湖池屋は公式アカウントとは別に、公式キャラクター「ムッシュ・コイケヤ」のアカウントを運用しています。
ムッシュ・コイケヤのアカウントでは、ユーザーから寄せられるコメントや投稿に対して積極的に返信し、コミュニケーションを図っています。企業アカウントでありながら人間味を感じさせる運用が、ユーザーの関心を高め、親しみやすいブランドイメージの確率へとつなげている事例です。
シャープ|ユーザーとの交流でエンゲージメントを強化
シャープは、企業アカウントでありながら、ユーザーとの積極的なコミュニケーションに評判があり、親しみやすさを徹底しているのが特徴です。フォロワーからは親しみを込めて「シャープさん」などと呼ばれています。
例えば、「シャープ製品を購入した」などのつぶやきに対して、必ずリプライを行ってるのも親しまれる要因の1つです。また、「何を買ったらいいか」といった質問に対しては、忖度せずに他社製品をすすめるなど、柔軟かつ丁寧な回答がフォロワーからの信頼を集めています。
このように、シャープのXアカウントはフォロワーとの1対1の対話を重視することでエンゲージメントを高め、ブランドイメージ向上にもつなげています。
X(旧:Twitter)マーケティングを成功させるポイント
Xマーケティングを成功させるには、ターゲット層に響くコンテンツの発信が不可欠です。ここでは、Xでのマーケティングを成功に導くための重要なポイントを紹介します。
目標を決める
Xマーケティングを成功させるには、最終的な目標を数値化し、具体的な指標をもとに効果を測定することが大切です。正確な数値を測るためには、投稿数や表示回数(インプレッション)の目標回数を設定し、情報発信の頻度を決めましょう。
いいね、リポストの数、コメント数をチェックすれば、ユーザーの反応が測れます。また、Xアナティリクスを用いたエンゲージメントの分析を行い、客観的なデータに基づいて戦略を見直せば、より効果的なXマーケティングを実現できるでしょう。

戦略を立てる
Xマーケティングで成果を出すためには、効果的な戦略を立てる必要があります。まずは、詳細なペルソナを設計し、どのようなユーザーに向けて発信するのかを明確化することが大切です。
次に、企業や商品のブランドイメージを統一しましょう。一貫性のある情報発信ができるため、ユーザーにメッセージを伝えやすくなります。
最後に、炎上を避けてルールを決めることも大切です。あらかじめ社内でルールを策定しておけば、表現や内容に注意を払って投稿できます。3つのポイントを意識できれば、安定した方向性で運用が行えます。
アカウントの運用ルールを決める
Xのアカウントをチームで運用する場合、統一感を持たせるためのルール作りが重要です。具体的には、下記のようにルールを決めるとよいでしょう。
ルール | 詳細 |
投稿のトンマナ(トーン&マナー)を統一 | ・文章の表現や口調を統一してアカウントの一貫性を確保 |
投稿時間をターゲット層に最適化 | ・情報を届けたいターゲット層が最もアクティブな時間帯を分析 ・投稿のスケジュールを最適化し、エンゲージメントの向上を図る |
チーム内にて方針やルールを共有 | ・誤投稿や炎上リスクを防ぐ ・NGワードや対応ガイドラインを設定 |
これら3つのポイントを意識的に取り入れれば、たとえ複数人で運営していたとしてもアカウントの統一感が生まれるため、ファンを獲得しやすくなります。
分析と改善を繰り返す
継続的な分析と改善が、Xマーケティングを成功させる鍵となります。トレンドやユーザーの関心は常に変化するため、一度注目を集めた施策が長期間にわたって有効であるとはいえません。そのため、投稿のエンゲージメントを分析し、改善を繰り返すことが重要です。
逆に、エンゲージメントが低かった投稿は、内容や投稿時間、表現方法を見直せば、施策の改善に活かせます。また「Xプレミアム」に加入すればアナリティクス機能を活用できるため、より詳細なデータ分析が可能です。
コミュニケーションを図る
Xは情報発信の場だけではなく、ユーザーと直接コミュニケーションを取れるツールとしても活用できます。投稿へのリプライに対して企業が直接反応すれば、ユーザーとの距離を縮めることが可能です。
また、企業側からの積極的なコミュニケーションは、ユーザーにポジティブな印象を与えるだけでなく、エンゲージメントを向上させる要因となります。単なるフォロワーとしての関係を超えて強固なファンになってもらえれば、マーケティング効果を継続的に高められるでしょう。

まとめ
Xはリアルタイムでの情報発信と、ユーザー同士のコミュニケーションを可能にするプラットフォームです。若年層を中心に幅広い層で活用されているため、企業やブランドは多様なターゲット層にリーチでき、集客や認知向上につながります。
また、ハッシュタグを駆使することで、関心のあるテーマを簡単に追跡し、効果的な情報発信が可能になります。自社商品・サービスの集客や認知向上に悩んでいる方は、本記事で紹介した活用方法を参考にXを運用してください。
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