「マーケティング部門を任せたが戦略の立案に自信がない」
「戦略の立て方がわからない」
「戦略の成功が見えないが、ほかにやり方はあるのだろうか」
このように悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。BtoBマーケティングの成功には、基本を知ること、目的を見失わないこと、フレームワークを使いこなすことが大切です。
本記事では、BtoBマーケティングの基本や経営戦略との違い、マーケティング手順や戦略・手法、フレームワークを解説しています。本記事を読んで成功するための術を身につけましょう。
そもそもBtoBマーケティングとは?経営戦略との違いや目的
BtoBマーケティングとは、消費者ではなく企業に対して商品やサービスを認知してもらい、契約に結びつけるためのマーケティング手法です。かつては、直接店舗に訪問して営業を行うスタイルが主流でした。しかし、新型ウィルスの流行やインターネットの普及によりマーケティング手法は変化しました。
現在は、WebコンテンツやSNSなどを活用したデジタルマーケティングが主流になり、より効率的にターゲット企業にアプローチできるようになっています。以下の頁では、経営戦略との違いとその目的を解説します。
経営戦略との違いは?
マーケティング戦略は特定の商品やサービス、事業に焦点を当てた戦略です。どのように商品やサービスの認知を拡大させ、購入や利用につなげるのか計画をします。
一方、経営戦略は会社全体に焦点を当てています。どのような市場に参入するか、どのような商品やサービスを提供するかというように中長期的なビジョンと目標の設定を行います。つまり、マーケティングも経営戦略の1つに含まれます。
行う目的は事業の収益アップ
BtoBマーケティングを行う目的は、見込み顧客となる企業へのアプローチや情報発信により成約につなげ、事業の収益を増加させることです。収益を増加させるためには、継続的に契約をしてもらえるような関係の構築、企業が抱える課題や悩みの解決が重要です。これにより顧客の信頼を獲得し、持続的なビジネスの成長を実現します。
プロセスは全部で4つある
BtoBマーケティングで目的を達成するためのプロセスは4つあり、以下の流れで行います。
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
- クロージング
それぞれのプロセスを解説します。
【プロセス1】認知度拡大を狙う「リードジェネレーション」
リードジェネレーションは、自社商品やサービスを幅広い企業に認知してもらい、見込み顧客を獲得するためのプロセスです。リードジェネレーションで行う施策は、以下の通りです。
- インターネット広告
- SNSマーケティング
- SEO
- セミナー など
これらの施策は単独でも活用できますが、複数の施策を併用することで相乗効果が期待できます。どのような顧客を獲得したいかを明確にし、ターゲットに合った施策を選定することが重要です。
【プロセス2】見込み顧客を顧客に育てる「リードナーチャリング」
リードナーチャリングは、獲得した見込み顧客を顧客へ育成するためのプロセスです。リードナーチャリングで行う施策は、以下の通りです。
- メールマガジン
- オウンドメディア
- ホワイトペーパー
- セミナー など
リードナーチャリングでは、「接点を増やすこと」が重要です。定期的に情報を配信するメールマガジンやメディア、SNSの運用などで、見込み顧客との接点を増やし、関係性を深めます。企業との成約においても、繰り返し接点を持てる手法を利用して興味と信頼を高め、顧客として育成していきます。
【プロセス3】高効率で営業するための選別をする「リードクオリフィケーション」
リードクオリフィケーションでは育成した見込み顧客のなかから、顧客になる可能性の高い見込み顧客を選定するプロセスです。見込み顧客の絞り込みには「スコアリング」が有効です。スコアリングはアプローチ方法や反応の良さに基づいてスコアを設定します。
そうすることで、自社商品やサービスへの熱量を把握でき、ターゲットへの適切なアプローチ方法や施策を計画できます。マーケティング活動は予算や時間などリソースは限られているため、見込み顧客を選別し、効率的に営業することが大切です。
【プロセス4】商談を行い受注につなげる「クロージング」
クロージングは選定した見込み顧客に対してアプローチを行い、商談を進め、受注につなげるプロセスです。クロージングまで進んだ見込み顧客は、自社商品やサービスの知識を得て、興味を持っている状態です。
しかし、油断すると成約につながらないため、接客態度や丁寧さなど気を緩めないように注意しましょう。BtoBマーケティングはクロージングで終わりではありません。受注後も顧客満足度を高め、信頼関係を維持することが重要です。
BtoBマーケティングを行う手順
BtoBマーケティングを行う手順は、以下の通りです。
- 市場の動向をリサーチする
- リサーチ結果から戦略・手法を練る
- 戦略・手法を実践する
手順ごとにどのようなことをするのか詳しく解説します。
【手順1】市場の動向をリサーチする
BtoBマーケティングを行う上で、市場の動向をリサーチすることは欠かせません。効果的な戦略を立案する上で、自社商品やサービスの市場における傾向や規模、ニーズ、自社の状況を把握する必要があるためです。市場リサーチは、主に以下のポイントで行います。
- 競合他社の分析
- 企業ニーズの把握
- 自社の強みと弱み など
これらの情報を通じて、どのように自社商品やサービスを市場に投入し、ライバルと競争するかを検討することが重要です。
【手順2】リサーチ結果から戦略・手法を練る
リサーチした結果をもとに「誰に、どのような価値を、どのように提供するのか」を考え、具体的なマーケティング戦略や手法を計画します。
「誰に」の部分では、ペルソナ設計を行います。ターゲットになる企業像は以下のポイントを参考に設計してください。
- 業種
- 会社規模
- 売上
- 抱えている課題や悩み など
次に、自社商品やサービスの価値を検討します。価値を検討する際は、以下のツールを活用しましょう。
【ポジショニングマップ】
自社と競合他社の商品やサービスの位置づけを視覚化し、競争上の優位性を明確にする
【バリュープロポジション】
自社と競合他社が提供する価値と、顧客が求める価値を視覚的に比較する
これらツールの活用により、他社との差別化ポイントが明確になり、効果的な戦略が立案できます。
最後に、どのマーケティング手法を活用するかを検討します。限られたリソースのなかで施策を実行するためには、求めるコンバージョンに適しているものを選定しなければなりません。例えば、購入数を増やしたい場合、認知度を拡大しつつ購入を促せるランディングページ(LP)の作成が有効です。
【手順3】戦略・手法を実践する
決定したマーケティング戦略を実行に移します。しかし、選定した手法や立案したマーケティング戦略で期待通りの結果が得られない場合があります。その際は、結果を詳細に分析し、改善点を明確にすることが重要です。実践と改善を繰り返し行うことで、戦略の精度が高まり、目標とするコンバージョンの達成が可能になります。
BtoBマーケティングの戦略・手法
以下の頁では、BtoBマーケティングの戦略・手法を紹介します。
リスティング広告
検索したキーワードをもとに、検索画面の上位に掲載される広告です。タイトルや説明文、リンクが貼られており、クリックすると詳細ページに遷移します。前向きに商品やサービスの導入・購入を検討している層にアプローチしやすい特徴があります。ただし、テキストのみの広告のため、視覚的なアピールが必要となる商品やサービスには適していません。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリに表示される広告で、動画や画像などで広告が掲載できます。ディスプレイ広告はバナー広告とも呼ばれています。目に留まりやすい上に潜在層にもアプローチできるのがメリットです。しかし、幅広いユーザーが対象となるためリスティング広告と比べるとコンバージョンは期待できません。
リターゲティング広告
過去に自社のWebサイトにアクセスしたユーザーに表示される広告です。リターゲティング広告は、コンバージョンの向上やリピート顧客を作れることが期待できます。ただし、何度も広告が表示されるため、マイナスな感情を持たれる可能性もあります。表示回数の制限を設けるなどして対策をしてください。
ネイティブ広告
ネイティブ広告は、広告色が弱くWebコンテンツに溶け込むように表示できる広告です。商品やサービスの認知度を高め、成約につなげたい場合に向いています。ただし、ネイティブ広告は種類が多く、利用する際はどの方法を選ぶか見極めが肝心です。
- インフィード型:コンテンツと同じ形式で表示される広告
- ペイドサーチ型:検索エンジン上に検索結果と連動して表示される広告
- レコメンドウィジェット型:「おすすめの商品」などの文言と一緒に表示される広告
- プロモートリスティング型:口コミサイト・通販サイトで一般的に用いられる広告
- ネイティブ要素を持つインアド型:コンテンツの内容と似た内容で表示される広告
- カスタム型:上記に該当しないタイプの広告
自然に溶け込むためクリックされやすい特徴がありますが、なかには「騙されている」と感じマイナスに思われるデメリットがあります。
記事広告・タイアップ広告
インフルエンサーやユーチューバーのほか、大手メディアなど提携を組みWebサイトやSNSでPRする広告です。信頼性が向上し、コンバージョンにつながりやすい傾向にありますが、人材選びによってはイメージダウンにつながるリスクがあります。そのため、記事広告やタイアップ広告を行う際は、適した人材やメディアであるかを見極めなければなりません。
SNS広告
SNS広告には以下の種類があります。
- YouTube
- X(旧:Twitter)
- LINE
- TikTok
自社商品やサービスを知らない方にもPRができるため、認知度を拡大できるメリットがあります。ただし、SNSは炎上しやすい特徴があるため、投稿や広告内容、文言に細心の注意を払わなければなりません。
デジタル音声広告
インターネットラジオや音楽配信サービスで行う音声広告の1つです。聞き流せる特徴から受け入れられやすいため、商品やサービスを知らない方や潜在層にもPRできます。このため、コンバージョンや認知度の向上が期待できます。デジタル音声広告を配信する際のポイントは、シンプルな文言で伝えることです。
メール広告
メール広告は正確にターゲットをピックアップし、実践できると高い費用対効果が期待できます。メール広告にはテキストのみとHTMLがあり、HTMLは画像の添付や文字のフォントをカスタマイズできるなど自由にレイアウト可能です。また、配信形式もオプトインメール広告とターゲティングメール広告と2種類あります。自社の方針に合わせて配信しやすい点がメリットです。
調査・企画考案に使えるフレームワーク
調査・企画考案に使えるフレームワークは以下の通りです。
- STP分析
- 3C分析
- 4P分析
- マーケティングファネル
- LTV分析
- VRIO分析
以下の頁で各フレームワークの概要を説明します。
STP分析
STP分析は、市場やターゲットを決定する際に活用できるフレームワークです。STP分析では、以下の要素を分析できます。
- どのような顧客(企業)が存在し、どのようなニーズがあるかを整理できる
- 自社商品やサービスの強みや差別化ポイントを理解できる
- プロモーション戦略を考える際の基盤を整えられる
STPとは「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の頭文字を取ったものです。必ずしも順番にこだわって分析する必要はないため、柔軟に市場分析を行えます。
3C分析
自社を中心に市場環境を分析するためのフレームワークです。自社商品やサービスの強みと弱み・競合他社の戦略や市場シェア・顧客のニーズなどを分析することで、効果的な戦略立案が可能になります。また、顧客企業を中心に分析する「6C分析」も併用すれば、より的確な施策が見えてくるでしょう。
4P分析
企業がコントロールできる要素である「Product」「Price」「Place」「Promotion」の4つの視点で分析するフレームワークです。現状の課題を把握し、効果が得られていない状況を改善する際に役立ちます。4Pの要素はそれぞれが密接にかかわっているため、全体の整合性を考えながら、すべての要素を総合的に分析することが重要です。
マーケティングファネル
見込み顧客が自社商品やサービスを認知してから購買するまでの心理状態を段階ごとに分けて視覚化したマップです。認知から購買までの図形は逆三角形で表します。施策のなかでどこを強化するか分析する際に効果的であり、市場の分析には適しません。
LTV分析
LTV(Life Time Value)は、1社が取引開始から終了するまでの期間における支払い総額を分析する際に活用するフレームワークです。この分析は、サブスクリプションサービスを提供している企業にとって重要です。LTV分析を通じて、1社あたりの収益とその企業との関係性を評価し、余分なコストを削減しながら利益を最大化するための指針を得られます。
VRIO分析
VRIO(ブリオ)分析は、自社の競争優位性を評価するために「Value」「Rareness」「Imitability」「Organization」の4つの視点から分析するフレームワークです。これにより、自社のリソースや能力が長期間にわたって競争優位を保つかどうかを判断できます。
VRIO分析は自社の強みや弱みを詳細に評価する必要があるため、社会や市場の動向や経済といった全体像を把握していなければ活用できません。そのため、マーケティングの初期段階でVRIO分析の適用が難しい場合があります。また、VRIO分析は長期的な競争優位性を分析するものであり、定期的な見直しとそれにともなう戦略の調整が不可欠です。
戦略を練る際に使えるフレームワーク
戦略を練る際に使えるフレームワークは、以下の通りです。
- 5フォース分析
- PEST分析
- SWOT分析
以下の頁で各フレームワークの概要を説明します。
5フォース分析
5フォース分析は自社を取り巻く環境を5つの脅威に分類し、今後の動向を予測して戦略を立案する際に役立つフレームワークです。この分析は自社が市場で直面する可能性のある競争要因を的確に評価し、長期的な競争力を維持するために適切な対策を講じるための手がかりとなります。5つの要因は以下の通りです。
- 業界内の脅威
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 買い手の脅威
- 売り手の脅威
市場で長期的に競合他社と競争するためには、これらの要因を分析し、どの脅威に対してどのような対策を行うべきかを明確にすることが重要です。
PEST分析
PEST分析は自社を取り巻く外部環境である「Politics」「Economy」「Society」「Technology」の4つの視点を分析するフレームワークです。これらの外部環境の変化が、自社の商品やサービスにどのような影響を与えるかを予測し、長期的な戦略を立案する際に役立ちます。
PEST分析はマクロ環境を理解し、将来のビジネス環境を予測するために効果的です。しかし、「来月のみの営業目標達成」などといった短期的な戦略には適していません。
SWOT分析
SWOT分析は自社商品やサービスを内部環境(強みと弱み)、外部環境(機会と脅威)の4つの視点で分析するフレームワークです。この分析を通じて、内部環境と外部環境を把握し、マーケティング戦略の立案に活用します。
内部環境と外部環境を掛け合わせて分析する「クロスSWOT分析」を活用することで、強みを活かして機会を捉えたり、弱みを改善して脅威への対策を行ったりできます。
まとめ
BtoBマーケティングを成功に導くためには、効果的なマーケティング戦略を立案するための分析が不可欠です。自社の強みや弱み、競合他社や市場動向の分析を行い、自社に与える影響を予測することで、競争の優位性が保てます。適切なフレームワークを用いて、分析・予測・戦略立案を行うことが、BtoBマーケティング戦略の成功につながります。
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