アフィリエイトはインターネット広告の一種です。商品やサービスの購入を促すだけでなく、知名度向上やマーケティングにも役立ちます。
広告運用を成功させるには、魅力的な広告を作るだけでなく運用方法にもポイントがあります。アフィリエイトの広告効果を得るためにも、これからお伝えするポイントは把握しておきましょう。併せて、注意点も解説しますので、アフィリエイト広告の運用を検討中の方は参考にしてください。
アフィリエイト広告は4者で成り立つインターネット広告
アフィリエイトは、以下4者から成り立っているインターネット広告の一種です。
- 企業:ASPを利用してアフィリエイト用の広告を登録し、商品やサービスを販売
- ASP:広告主とメディア運営者を仲介する業者
- メディア運営者(アフィリエイター):Webサイトなどで広告を掲載・紹介
- サイト訪問者:広告を介して商品を購入
ASPとは、アフィリエイト・サービス・プロバイダーの略です。企業はASPに費用を払って広告を制作し、ASPはメディア運営者に対して企業が制作した広告を共有します。メディア運営者は、登録しているASPに掲載されている広告の中から好きな商品を選択し、自身が運営するブログ等に掲載、宣伝等を行います。
アフィリエイトによる報酬の発生は、メディアの訪問者が広告を介して商品やサービスを購入した場合のみです。
アフィリエイトを利用するメリットには、以下のような点が挙げられます。
利用者 | メリットの内容 |
企業(広告主) | 商品やサービスの認知拡大と新規顧客獲得の両方ができる既存の広告より費用を抑えてターゲットに広告を届けやすい成果地点と広告のコストをコントロールできる |
メディア運営者 | 初期費用が無料で市場に参加しやすい宣伝の成果に応じて収入が増える在庫管理の手間が必要ない |
このような多数のメリットにより、アフィリエイトを利用する企業は増え続けています。
企業がアフィリエイト広告を出稿するまでの流れ
ここでご紹介するのは、企業がアフィリエイト広告を出稿するまでの基本的な流れです。初めてアフィリエイト広告を利用する場合は、一連の流れを把握しておくと役立ちます。
広告の骨子を作成しつつASPを選定・登録
まずは、商材の購入数や会員登録数広告の条件など、広告の骨子を作成しつつ契約するASPを選定します。アフィリエイトは個人事業主でも法人でも利用できます。法人で利用する場合は、ASPを登録する際に会社の情報や口座情報、サイト情報が必須なので注意してください。
メディア運営者に支払う報酬の額や報酬を支払う条件も、このタイミングで決めておくのがおすすめです。
ASPを選ぶ際は、規模や知名度だけでなく法令を遵守しているかどうか、広告を制作したい商品やサービスに対しての強みを持っているかどうかなども重視しましょう。審査期間はASPごとに異なるので、申請前に確認しておいてください。
メディア運営者向けにPR文を記載
ASPへの登録が完了したら、ASPに登録しているメディア運営者へ向けて広告のPR文を制作します。「商品やサービスの売りやすさ」をPR文章内でアピールすると、メディア運営者の注目を集めやすい傾向です。メディア運営者は掲載した広告の商品やサービスが売れると報酬が得られるため、一定の知名度があったり売りやすかったりする商品やサービスは人気があります。
企業は売りやすさの根拠として、商品の品質の高さを客観的に証明するものや、ランキング入賞歴といった実績を挙げると説得力のあるPRとなるでしょう。
同時に、報酬条件や広告を掲載するに当たっての禁止事項なども明記しておく必要があります。禁止事項を定めておかないと、メディア運営者が商品やサービスを販売するために不適切な宣伝をするおそれがあります。
バナーやテキストリンクの準備
PR文の制作と並行してテキストリンクの文言や、バナーリンクの画像の制作を行います。テキストリングの文章や画像は、キャンペーン時用、通常用、セール用など複数用意しておくと、施策に合わせてスムーズに対応できます。
バナーは自社でも制作可能ですが、デザインが売上に大きな影響を与えるケースもあります。そのため、外部デザイナーへの発注も視野に入れるとよいでしょう。近年は、フリーのデザイナー等にその都度発注できるプラットフォームもあり、簡単に依頼が可能です。
このほか、バナーやテキストリンク作成を含めたアフィリエイト広告運用をすべて代行できるサービスに依頼する方法もあります。アフィリエイト広告は運用中も管理の手間がかかります。そのため一定の費用はかかりますが、人手が足りない会社は代行サービスを利用することで、スムーズな運用ができるでしょう。
アフィリエイト広告運用を成功させるポイント
アフィリエイト広告は失敗するケースも珍しくありません。この項では、アフィリエイト広告運用を成功させるポイントを紹介します。
アフィリエイトリンクの種類を適切に選ぶ
アフィリエイトリンクの種類は5種類あり、特徴やメリット・デメリットは以下の通りです。
リンクの名前 | 特徴 | メリット | デメリット |
テキストリンク | 文章の一部として溶け込むタイプのリンク ※リンク部分の文字が変わり、クリックするとリンク先へ飛ぶ | ユーザーを警戒させることなく、自然な流れで広告主サイトへ誘導できる | 目立ちにくいので、見逃されやすい |
バナーリンク | 写真・イラストなどの画像にリンクを設定する | 視覚的アピール効果が高く、購買意欲を高めやすい | 大きさ、写真・動画の内容によっては邪魔に感じられる |
ボタン型リンク | ボタン型をしたリンクバナーリンクよりは目立ちにくい | ユーザーの注意を引きやすく、プロモーションやキャンペーンに効果的 | APSによってはボタン型リンクの設置が禁止されている |
物販アフィリエイトリンク | 複数のボタン型リンクをまとめたもの | 複数の通販サイトを選べ、購入へのハードルも下げやすい | 物販アフィリエイト限定のリンク |
メール形式リンク | メール文面とテキストリンクがセットになったリンク | 文面を考えなくて済むため、手軽に利用できる | 広告としては訴求力が低め |
広告を出す商品やサービスによって適したアフィリエイトリンクが異なります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握して選びましょう。
商品・サービスにあったアフィリエイト広告を使う
アフィリエイト広告には4種類があり、それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下のとおりです。
広告の名称 | 特徴 | メリット | デメリット |
成果報酬型 | アフィリエイト広告のスタンダードなタイプ設定した成果地点に対して報酬を支払う形 | メディア運営者のやる気が出やすい広告を出す商品やサービスとマッチした媒体で広告を出すと高い効果が期待できる | 成果を求めて不正が行われる可能性がある広告の掲載先を誤ると逆効果なケースがある |
インプレッション型 | 広告が表示された時点で報酬が発生する認知拡大を目的として広告を出したいときに適している | 認知度を上げるには高い効果が期待できる | 成果報酬型に比べて単価が低いので、力あるメディア運営者に敬遠されがち |
クリック課金型 | クリックすると課金が発生する成果報酬型と併せて使うのが一般的 | 使い方によっては費用をかけずに商品をアピールできる | 予算をオーバーするおそれがある |
固定報酬型 | 従来の広告同様一定の費用を払って掲載するインフルエンサーなど多くの人が訪問するメディアへの掲載が適している | 広告費用が一定なので予算を組みやすい | 広告費用に対して効果が上がらない場合がある。 |
それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握して、自社の商品やサービスに適した広告を選んでください。
広告掲載してくれるところを増やす
広告を掲載してくれるメディアが増えるほど宣伝効果は高くなり、商品やサービスが購入されやすくなります。広告を掲載してくれるメディアを増やすには、以下のような方法があります。
- 競合商品よりも優れている・類似商品はあるが差別化が図れている・売上実績があるなど根拠を挙げる
- 特別報酬を設定する
- 実績を出しているメディア運営者に報酬単価アップなどを交渉材料に優先的に広告を掲載してもらう
- 実績を出しているメディア運営者にレビューを書いてもらうなどの交渉をする
同時に、自社の商品やサービスに対して影響力のあるアフィリエイターや信頼性の高い媒体を見つけ出すなどの努力も必要です。悩んだ場合はASPに相談するとアドバイスをもらえます。
定期的にランディングページ・ASPを見直す
アフィリエイト広告は、制作してメディアに掲載して終わりではありません。ランディングページ(LP)は定期的にブラッシュアップが必要です。
また、売上が今ひとつ上がらないときは、ユーザー像を改めて明確にすることも有効です。ペルソナに定めたユーザー像がどのような動線を通ってLPに行き着くかを考えて、キーワードやバナーのデザインを再度検討します。必要ならば、SNSなどとも連携してユーザーを呼び込むきっかけを作るとよいでしょう。なお、LPは基本的に1つの商品に1つですが、必要に応じて複数作ってもかまいません。
このほか、ASPとの意思疎通がうまくいかない、売上が上がらないといった状態が続く場合は、一時的に出費が増えてもASPの見直しを検討しましょう。
SNSやメールを活用する
アフィリエイト広告が掲載されたメディアをSNSやメールで紹介するなどして、認知度を高めるのも有効です。インスタ、Xなど複数のSNSにアフィリエイト広告を出しているメディアのインプレッション数を上げると、商品やサービスの購入者も増える可能性があります。
なお、SNSに直接リンクを張るSNSアフィリエイトを利用する方法もありますが、SNSは一度に発信できる文字数が少ないため、宣伝が十分に行えない場合もあります。しっかり商品を紹介したい場合は、SNSにアフィリエイトブログやサイトへのリンクを張る方がおすすめです。
フォロワー数が多いアカウントは効果が期待できます。また、メディア運営者にも自身のSNSで宣伝してもらうように呼びかけてもいいでしょう。
アフィリエイト広告をスムーズに運用し続けるためのポイント
アフィリエイト広告をスムーズに運用し続けるには、いくつかのポイントがあります。ここでは、その代表例を3つ紹介します。
定期的に広告を確認する
定期的に広告と掲載しているサイトを確認し、不正がないかチェックしてください。広告主が定めた禁止事項を破った場合は速やかに対処が必要です。もしステルスマーケティングなど法律に違反した宣伝をしている場合、責任を問われるのは広告主です。
社内でチェックするのが難しければ、外部委託を検討しましょう。万が一、重大な不正や違反が発覚した場合は、必要ならばASPやメディア運営者と話し合いの場を設け、再犯防止に努める必要があります。
メディア運営者と景品表示法に関する知識を共有する
メディア運営者と景品表示法に関する知識を共有してください。例えば、有利誤認表示・優良誤認表示・薬機法上の誇大広告等に該当する事例を挙げたマニュアルなどを作り、表記方法に注意してもらいます。ASPとも協力し、宣伝のやり方をレクチャーしましょう。
また、景品表示法に基づく表記方法にコツがいる商品やサービスは、実績があるメディア運営者に依頼すると安心です。
違反や不正が確認されたらすぐに広告を停止する
もし、メディア運営者が広告の宣伝に関して違反や不正を行った場合、広告の掲載を即座に停止します。すでに購入者やサービスの利用者がいる場合、相談窓口の設置、景品表示法に違反したことを広告主のサイトなどにお詫びと共に明記してください。
同時に、違反したメディア運営者の契約解除を行い、その旨をASPに報告し意見します。必要ならばASPも変更しましょう。
また、契約解除したメディア運営者と再度契約しないよう、情報を社内や支社と共有します。このほか、消費者庁から要請が来た場合は速やかに従いましょう。
アフィリエイト広告を出す際の注意点
最後に、アフィリエイト広告を出す際の注意点を解説します。初めてアフィリエイト広告を利用する場合は、特に参考にしてください。
ステルスマーケティング・景品表示法に注意する
景品表示法では、商品やサービスの品質や規格等が実際よりも著しく優良に見える表示や、取引条件が競争事業者のものより著しく優良であると誤認させる表示を禁止しています。また、取引が準備されていない、もしくは取引の意思がない商品やサービスの表示も禁止です。
このほか、2023年10月より広告であることを隠して商品を勧める表示(ステルスマーケティング)も違法になりました。誇大広告、虚偽広告、ステルスマーケティングは法律違反になるだけでなく企業の信用も落とします。
アフィリエイト広告の不備の責任は広告主にある
消費者庁は不当表示があった場合、当該商品・サービスを供給している者が表示規制の対象となると明言しています。したがって、アフィリエイト広告に不当表示があった場合、責任を問われるのは広告主(製造者・販売者)です。「メディア運営者が不当表示を行ったので、広告主は知らない」といった言い訳はできません。
ただし、ASPやメディア運営者であっても、広告主と連携して一体となった事業をしている場合は景表法規制の対象となります。
まとめ
本記事では、アフィリエイトを運用する際に注意すべきポイントや成功のコツを紹介しました。アフィリエイト広告は、広告費用を抑えながらも広く商品やサービス、会社の認知度を高めるメリットがありますが、メディア運営者に任せきりではいけません。
ASPとアフィリエイト広告を掲載するメディア運営者と定期的に連絡を取りながら、ときにバナーなどを変えて顧客を取り込む努力を続けることが大切です。
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