近年、スマートフォンを始めとするデジタルデバイスの普及が進み、多くの方のコミュニケーションがSNSに集中しています。そのため、各企業がコンテンツマーケティングを成功させるためにはSNSの利用が重要だといえるでしょう。
この記事では、SNSを利用する理由や注意点、活用方法を解説します。また、コンテンツマーケティングに利用される主なSNSの種類や成功事例まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
コンテンツマーケティングとSNSの概要を解説
コンテンツマーケティングとSNSは相性が良いため、効率的に成果を出しやすい関係性であるといえます。初めに、コンテンツマーケティングとSNSについておさらいをしましょう。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとはブログやコラムなど独自のコンテンツを通じて、製品やサービスの購入・利用といった購買行動につなげていく戦略のことです。また、幅広いユーザーに向けて自社の製品やサービスに関する情報をコンテンツとして発信し、新規顧客・ファンの獲得を目指します。
SNSとは?
SNSとは、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のことで、テキストや写真、動画などを投稿できるコミュニケーションツールです。ネットワーク上で、友人や遠く離れた相手とつながり、社会的なつながりを作り出すのがSNS本来の機能とされています。
近年、個人間のつながりだけではなく、ニュースメディアのように情報発信をするツールとしても利用されているのがSNSの特徴です。インターネットを介して広くつながり合い、情報を共有しあえる便利なプラットフォームとして利用者が増えています。
企業がコンテンツマーケティングでSNSを利用する理由
各企業が、SNSを利用したコンテンツマーケティングを行う理由は以下の通りです。
- SNSの利用者が増加傾向にある
- 低コストで集客できる
- 高い拡散性が期待できる
- 自社のブランディングを高められる
- ユーザーの反応で効果の分析がしやすくなる
総務省が令和5年に実施した「通信利用動向調査」によると、SNSを利用している方は全体の80.8%となっています。多くの人が日常的にSNSを利用していることがわかります。有益な情報を瞬時にやり取りできるSNSは「いいね」「シェア」「リポスト」などの機能が利用できるため、拡散力が高いのが特徴です。
また、自社製品やサービスの魅力をダイレクトに伝えられるため、ブランディングを高める効果も期待できます。さらに、SNSはフォロー数やいいねの数で結果を測定しやすく、素早い対策ができるため、多くの企業がSNSを利用したコンテンツマーケティングに参入しています。
コンテンツマーケティングにSNSを利用するときの注意すべきポイント
コンテンツマーケティングにSNSを利用する際のデメリットとして以下が挙げられます。
- 炎上のリスクがともなう
- 発信した情報は修正が効かない場合がある
- 分析ツールを使いこなせる担当が必要になる
- 短期間の運用では成果が出にくい
SNSで発信する内容によっては炎上するリスクがともなうこともあり注意が必要です。一度発信した内容は修正できない場合もあるため、内容が適切かを複数人で確認することが重要になってきます。
また、効果を分析するためのツールを使いこなせる担当者が必要です。分析ができないと、成果が出ているかを判断できません。SNSは高い拡散力があるものの、短期間で成果が得にくい特徴があります。そのため、成果を得るには分析と改善を定期的に行う必要があります。
コンテンツマーケティングにSNSを活用する3つの方法
コンテンツマーケティングにおいてSNSを活用する方法は3つあります。
- SNSアカウントを作成して発信
- コンテンツ内にSNSのシェアボタンを設置
- SNS広告の利用
それぞれの方法を紹介します。
SNSアカウントを作成して発信
各SNSで自社のアカウントを作成し、ターゲットに合わせた投稿をしていく方法があります。また、既存のコンテンツをSNSで紹介し、WebサイトやLP(ランディングページ)へ誘導する方法も有効です。
SNSの特性に合わせたコンテンツを運用して、製品やサービスの詳しい情報を発信するとともに、自社の魅力を伝えていきます。結果として、新規顧客の獲得やブランド力の強化を期待できるでしょう。
コンテンツ内にSNSのシェアボタンを設置
ブログやコラムなどのコンテンツ内に、SNSのシェアボタンを設置して、訪問したユーザーにシェアしてもらうのも方法の1つです。訪れたユーザーに有益な情報と認知してもらえれば、拡散される可能性は高く、集客効果が期待できます。
ただし、ターゲットに合わせたSNSコンテンツを設置する必要があります。例えば、BtoBの場合「Facebook」や「X」、若年層をターゲットとする場合「Instagram」や「TikTok」など、運用するSNSの選定が重要です。
SNS広告の利用
各SNSのプラットフォーム上では、広告配信が行えます。各SNSが保有する個人情報を活用して、精度の高いターゲティングができるのが魅力です。
さらに、不特定多数のユーザーに対して広告を出すことで、潜在層にもアプローチでき、新規顧客の獲得にも役立つといえるでしょう。
コンテンツマーケティングで利用される主なSNSの種類と活用事例
コンテンツマーケティングでよく利用される主なSNSは以下の通りです。
- LINE
- YouTube
- X(旧:Twitter)
- TikTok
このほかにPinterestやWantedlyを利用している企業もあります。
総務省情報通信政策研究所が調査した「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、主なソーシャルメディア系サービス・アプリ等の全年代の利用率は以下、表の通りです。
SNS | 利用率 |
LINE | 94.9% |
YouTube | 87.8% |
56.1% | |
X(旧:Twitter) | 49.0% |
TikTok | 32.5% |
30.7% |
Instagram・X・TikTokは令和4年度と比べて全年代で利用者が増加傾向にあり、SNSを活用したコンテンツマーケティングに力を入れている企業も増えています。以下の頁では、主要なSNSの特徴や活用事例を解説します。
LINE
LINEを利用しているユーザーは多く、さまざまな企業でコンテンツマーケティングの一環として活用されています。月間利用者数は2024年3月時点で9,700万人以上となっています。年齢層も幅広く、10~50代では90%以上が利用しているSNSです。
一般ユーザーが利用する場合、料金はかかりません。しかし、企業や店舗がビジネス用(LINE公式アカウント)に運用する場合、メッセージ送信数に応じて利用料金がかかります。LINEを活用したコンテンツマーケティングの事例は以下の通りです。
- ユーザーにセールやキャンペーンなどの情報を届ける
- LINE広告を利用して認知拡大に役立てる
公式アカウントに登録したユーザーに向けて、LINE友だち限定のキャンペーンや製品の情報を提供できます。また、LINEが保有する豊富なデータを利用したLINE広告は、精度の高いターゲティングによる広告配信が可能です。
YouTube
Google社が運営する動画共有サービスのYouTubeは、世界各国で人気を集めているSNSです。YouTubeの国内月間利用者数は、2023年10月時点で7,120万人以上となっています。ユーザー数の多さから、コンテンツを上手く活用して認知拡大に役立てる企業も増えています。
チャンネル登録者数が増えると、動画広告によって収益が得られるのも魅力の1つです。YouTubeを活用したコンテンツマーケティングの事例に以下が挙げられます。
- 自社製品やサービスを動画で紹介し認知を拡大させる
- 製品やサービスの使用方法やノウハウを動画で紹介しCV率を高める
ユーザー属性を絞り込んだ動画広告を配信できるのもYouTubeの特徴です。
Instagramは画像・動画の投稿を中心とし、特に女性から人気を集めているSNSです。国内月間利用者数は2023年11月時点で6,600万以上となっており、年代別利用者の割合は10代が72.9%、20代が78.8%と若い世代が占めています。
ハッシュタグやリールを活用した集客を行う企業も増えているのがInstagramの特徴です。Instagramを活用したコンテンツマーケティングの事例は、以下の通りです。
- インフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらい認知を拡大させる
- テレビやラジオなどのマスメディアと併用して運用する
インフルエンサーやユーザーに製品やサービスを試して感想を投稿してもらったり、マスメディアと併用してアプローチしづらい層に向けて発信したりするなど、企業も工夫をしてマーケティングを行っています。
X(旧:Twitter)
X(旧:Twitter)は140字以内の文字数以内であれば、誰もが一言からでも気軽に投稿できるコンテンツとして人気を集めています。月間利用者数は2023年12月時点で6,650万人で、20代のユーザーが81.6%となっています。
Xはお気に入りの投稿を「いいね」「リポスト(リツイート)」を使用して、幅広いユーザーに拡散できるのが特徴です。多くの企業でもXの機能を活用したマーケティングを行っています。Xを活用したコンテンツマーケティングの事例は以下の通りです。
- フォロー&リツイートしてくれた方にクーポンを配布する
- ハッシュタグ(#)を使ったポストをしたユーザーに抽選でクーポンを配布する
サブスクリプションサービスである「Xプレミアム」に登録すると、最大全角5,000文字の投稿ができます。また、最大3時間・8GBまでの動画(1080p)をアップロードできたり、収益化に関する機能が使えたりするのも魅力の1つです。
TikTok
TikTokはショート動画のプラットフォームとして、主に若年層から人気を集めているSNSです。15秒から60秒程度の動画をアップロードできます。国内月間利用者数は2023年9月時点で2,700万人以上になり、年代別利用者の割合は10代で70%、20代で52.1%と若年層の利用者が多い傾向にあります。
TikTokを活用したコンテンツマーケティングを行う際は、面白さや気になる動画をアップロードして印象づけることで製品やサービスの購入につなげます。
Facebookは知名度が高く、実名での登録が必須になるため、利用者が安心感を得られやすいSNSです。ビジネスでも多くの企業が利用しています。
国内月間利用者数は2019年7月時点で2,600万人以上になり、年代別利用者の割合は30代で44.4%、40代で39.3%となっています。Facebookを活用したコンテンツマーケティングの事例は、以下の通りです。
- オンラインショップ「Facebookショップ」を活用した製品を販売する
- Facebook広告を活用して認知を拡大させる
ECサイトを連携させて利用できるFacebookショップは、リーズナブルな手数料でマーケティングが行えます。長文の投稿も可能で画像の挿入も行えるため、柔軟な使い方ができます。ターゲットに合わせた記事内容でFacebook広告も活用できるでしょう。
SNSを利用したコンテンツマーケティングの成功事例
SNSを利用したコンテンツマーケティングに成功した3社を紹介します。
- Sky株式会社|Instagramでキャンペーン情報を積極的に掲載
- NTT東日本|Facebookの「リード獲得広告」を利用して入力の手間を削減
- 株式会社リクルート|Instagramで明日から使える仕事のヒントを発信
それぞれが行なったマーケティング方法を把握し、ぜひ自社に取り入れてみましょう。
Sky株式会社|Instagramでキャンペーン情報を積極的に掲載
Sky株式会社は幅広い分野でシステム開発を行っている企業です。Sky株式会社はInstagramを企業・採用関連・自社製品と3つのアカウントに使い分け、それぞれの目的に合わせた運用を行っています。
3つのアカウントに共通している点は、積極的にキャンペーン情報を掲載していることです。結果として、1つのアカウントでは2024年9月時点で5.2万人のフォロワー獲得に成功しています。
NTT東日本|Facebookの「リード獲得広告」を利用して入力の手間を削減
NTT東日本はクラウド型防犯カメラサービスのサブスクリプションサービスを提供する際、Facebookのリード獲得広告を活用しました。Facebookに登録しているプロフィール情報を活用できるため、入力項目の手間を省略できます。
リード獲得広告の活用により広告のクリック率が向上し、これまでのコンバージョン広告と比べてリード獲得単価を低下できました。
株式会社リクルート|Instagramで明日から使える仕事のヒントを発信
株式会社リクルートはライフイベント、ライフスタイル、業務支援領域など、広範囲でサービスを展開している企業です。Instagramを活用して明日から使える仕事のヒントや働く上で大切なことなどを発信しています。
また、同社の従業員へのインタビューも掲載されており、スタッフの考え方などがわかる内容が働く世代から大きな共感を得ているアカウントです。フォロワー数は2万人を超えるアカウントに成長を遂げています。
まとめ
デジタルデバイスの普及が進む昨今、マーケティングで成果を上げるにはSNSの活用が必須といえます。SNSによってユーザーの属性は異なるため、ターゲットに沿ったコンテンツを配信できるものを選定しなければなりません。
しかし、成果を出すためには、正しく分析して運用していくための知識が必要です。SNSそれぞれの特徴や活用方法などの知識を身につけて、運用を試みましょう。
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