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マーケティング戦略って机上の空論ではないですか?

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Webhit 編集部

今回は、「マーケティング戦略って机上の空論ではないんですか?」と
いうテーマでお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

大澤 要輔

お願いします。

Webhit 編集部

さっそく本題に入らせていただきます。
「経営やマーケティングにおいては『戦略』が重要と言われますが、
結局のところ、マーケティング戦略って机上の空論ではないんですか?」というご質問が来ています。いかがでしょうか……?

大澤 要輔

はい。
マーケティング戦略というものは、机上の空論にすることもできれば、
実効性のある武器にすることもできるもの
だと考えています。
戦略が机上の空論に終わってしまう要因には、大きく分けて2つの
パターンが存在します。

大澤 要輔

1つは、自分たちが描く理想の勝ち筋に固執しすぎてしまうパターン
です。「こうやって勝ちたい」という願望が先行し、自分たちのやりたいベースで考え、それを正当化するための都合の良い材料ばかりを集めて戦略を組み立ててしまいます。

大澤 要輔

そうなると、いざ実行に移そうとした際に、

「現実的にこれを遂行できるリソースがあるのか?」
「そもそも、そんな都合の良い顧客がどこに存在するのか?」

という矛盾に気が付きます。

大澤 要輔

そして、現場から「これは無理があるのではないか」と声が上がった
瞬間、その戦略はただの机上の空論へと成り下がってしまう
のです。

Webhit 編集部

なるほど、戦略を描いているつもりが、いつのまにか自分たちに都合の
良い願望を正当化するための裏付け作業になってしまっている、ということですね。

大澤 要輔

はい、おっしゃるとおりです。
もう1つは、顧客の事実や市場の実態といった一次情報を軽視し、
自分たちの経験や勘、そして主観的な仮説のみで戦略を構築してしまうパターンです。

大澤 要輔

これは特に、成功体験を持つ経営者に多く見られる傾向で、

「私だったらこう思う」
「昔はこれでうまくいった」

という主観ベースで戦略を組んでしまいます。

大澤 要輔

しかし、「実際の顧客がどう動いているか」 ということがわからない状態で進めることになります。そのため、どれだけ緻密に組み上げたとしても、自分たちの思い込みの世界の中で戦略を作ってるだけであるため、現実世界とリンクしません

大澤 要輔

つまり、この2つのパターンのどちらかに該当した時点で、その戦略が「机上の空論」になることは確定します。
どれほど実績のあるマーケティング支援会社に依頼したとしても結果は
同じでしょう。最近では「生成AIを活用すれば解決するのでは?」と
考える方も増えていますが、生成AIを使っても同様です。

Webhit 編集部

たとえプロであるマーケティング支援会社が入ったとしても、机上の空論に終わってしまう場合があるとすると、マーケティングに困っている人
たちはどうしたらいいのでしょうか……?

大澤 要輔

そうですね、まず自社でマーケティングに取り組む際に、必要なのは
これまでの成功体験や固定観念を完全に捨てることです


「自分たちはこうやって勝ってきた」
「これまでの経験上、こうあるべきだ」
「社長や部長がこう思う」

といった主観的な判断基準を、一度すべてリセットしてください。

大澤 要輔

「うちは紹介だけで回ってきたから」
「以前はリスティング広告でうまくいっていたから」

といった過去の事実に固執し、そのやり方をそのまま再現しようとしてしまうケースは、実際に弊社が支援に入る現場でも、よくあります。

Webhit 編集部

よくあることなのですね。

大澤 要輔

はい。
事実として、自分たちがこれまで勝ってきた手法が通用しなくなって
いるのです。しかし、もう一度うまく行かせようと、無理やりやろうと
してしまいます。

大澤 要輔

冷静に現状を考えると、よりよい手法は他にいくらでも存在します。
そもそも、以前の手法がうまくいかなくなったのには、そうならざるを得ない必然的な理由があり、多くの場合その最大の原因は、自社が
変わらなかったこと
にあります。

大澤 要輔

自分たちが過去のスタイルに固執し、同じ場所にとどまっている間に、
競合他社は着実に改善を積み重ね、顧客のために新しいサービスを開発し、進化を続けています。
そのため、市場の変化に取り残された結果として、かつての成功が通用しなくなったケースはごく普通にあることです。

Webhit 編集部

耳が痛いお話ですね……。

大澤 要輔

はい。かつての成功体験を引きずっていると、うまくいかないのにも
かかわらず、現状にそぐわない施策を無理やり成立させようと骨組みを
こねくり回してしまいます。
しかし、どれだけ足掻いても結果には結びつきません。

大澤 要輔

そのため、まずは「過去にうまくいったから」という執着を捨ててください。
そして、経営者や部長といった責任者レベルの人の「自分だったらこれがいいと思う」という主観的な判断を、一度完全に止めていただく必要があります

大澤 要輔

「長年の経験に基づいた判断だ」と言われれば、現場の人間は反論しにくくなりますが、実はその正体はただの勘に過ぎません。
もちろん、経営者や熟練した責任者の勘は、経験則に裏打ちされているため、当たる確率が他の人より高いというのは事実です。
しかし、戦略構築において直感だけで進んでしまうと、それが外れた際のプランB(次の一手)が用意できません

Webhit 編集部

勘で進むと、外れたときに迷子になるということですね……。

大澤 要輔

はい。結局のところ、多大な時間をかけて戦略を作り上げたとしても、
それが一時の「勘」に依存しているものであれば、その勘が外れた瞬間にすべてが崩れてしまいます。これでは到底、戦略とは呼べません。

大澤 要輔

ここでお伺いしたいのですが、そもそも、マーケティングとは何をすることだと思いますか?

Webhit 編集部

商品やサービスを売れるようにすることでしょうか……?

大澤 要輔

そうですね。
商品を売ることだけに焦点を当てれば、それは営業の領域です。
マーケティングは、自分たちの商品やサービスが自然と選ばれる状態を作ることです

大澤 要輔

では、マーケティング戦略とは何かというと、自分たちの商品や
サービスが市場の中でいかに選ばれやすい状態を築くか、それを
いかに効率的、かつ持続可能な形で実現するかを設計することです。 

Webhit 編集部

はい。

大澤 要輔

ここで重要なのは、マーケティング戦略を定義する際、そこに自社と
いう要素は一切含まれていないという事実です

自社のこれまでの経験や、過去の成功パターン、自分たちがどうしたいかという主観は全くありません。
大切なのは、市場であり、もっと言えばお客様です。

大澤 要輔

お客様に選ばれやすい状態を、いかに迅速に、かつ効率的に構築
できるか。それこそが戦略の本質です

大澤 要輔

したがって、戦略を立てる上で最優先すべきは、市場とお客様を徹底的に理解することに尽きます。
お客様は今、何を求めているのか。
何に不満を感じ、何を解決したいと切望しているのかという、生々しい実態を知らずして、戦略を語ることはできません。

大澤 要輔

知らないまま行くとどうなるかというと、先ほど申し上げた「机上の
空論」という壁に突き当たります。
まずは、お客様の真実を知ることが重要です。
そのための方法は、いくらでも存在します。

Webhit 編集部

なるほど……。まずは真っ白な気持ちでお客様の真実を知る必要があると理解しました。

大澤 要輔

はい。例えば実店舗であれば、来店されたお客様に直接、一言二言お話を伺うだけでも、そこには膨大なヒントが隠されています。
BtoBのように利用者の声を拾うのが難しい場合は、お時間をいただいてお客様インタビューをするのもよいでしょう。

大澤 要輔

ECサイトのように顧客との物理的な距離が遠い場合は、アンケート調査によって定量的なデータを集めるのも1つの方法です。
ミステリーショッパー(覆面調査)のような形で、実際のお客様と同じ目線で自社サービスを体験してもらい、その違和感や不満を拾い上げるという手法も非常に有効です。

大澤 要輔

一定規模の層に対してマーケティングリサーチを行い、全体の市場傾向を把握するのもよいでしょう。
これらはあくまで一例に過ぎませんが、大切なのは『お客様が今どう
動いているのか、何に価値を感じているのか』という基準を、知ることです

大澤 要輔

そのための手段はいくらでもあります。
そして、そのなかでもやはりお客様の生の声に直接触れること以上に
価値のある情報源はありません

Webhit 編集部

お客様の生の声が一番重要なのですね。

大澤 要輔

そうです。お客様に直接お話を伺うことが最善である理由は、特定の
アンケート項目に縛られず、気になったポイントを柔軟に深掘りできる点にあります
BtoB企業であれば顧客インタビューは必須といえるでしょう。

大澤 要輔

顧客の実態を知ることこそが、マーケティングの絶対的なスタート地点です。そこを通過して初めて、3C分析やSTP分析といったフレームワークを活用して整理していきます。

大澤 要輔

ここで勘違いしてはならないのは、フレームワークを使うこと自体は
目的ではなく、あくまで手段に過ぎないということです
例えば3C分析であれば、自社を取り巻く状況を市場・競合・自社の
三方向から客観的に確認するための道具です。これを使う最大のメリットは、思考の抜け漏れを防げる点にあります。

大澤 要輔

「フレームワークは必ず使わなければならないのか?」と聞かれることもありますが、結論から言えば、使わなくても構いません。

Webhit 編集部

フレームワークは使わなくてもいいのですか……??

大澤 要輔

はい。ただし、現在セオリーとして残っているフレームワークは、数多のマーケティング手法が生まれては消えていく中で、最終的に、これこそが原理原則だと多くの先人たちが立ち戻ってきた思考の整理方法です。

大澤 要輔

そのため、思考を整理するための信頼できる方法として、フレーム
ワークを活用する価値は十分にあるため、やる必要がないとは私は
思いません。
むしろ、フレームワークは項目を単純に埋めれば完了というものでは
なく、フレームワークを自社用にさらに改良して、新たな視点を足し
たり、項目を足したりということはやっていくべきだと思います。

Webhit 編集部

マーケティングの初心者にとって、世の中に溢れるフレームワークはどう使い分ければいいのか、どう埋めたらいいのかがわからず、高い壁に
感じられると思います。
大澤さんはフレームワークの基本をどのように学びましたか?

大澤 要輔

フレームワークの知識を詰め込むこと自体は、本を一冊読めば済む話であり、それほど重要ではありません。
もし、どのフレームワークをどう埋めればいいのかと思い悩んでいる段階なら、いっそフレームワークには手を出さない方がいいでしょう。
その疑問が出る時点で、ツールの価値や意味を本質的に理解できていないからです。

大澤 要輔

迷うくらいなら、まずお客様と向き合っていただいた方がいいと
思います。結局、お客様は何をしたいのか?という一言に尽きます。

Webhit 編集部

そうですよね。

大澤 要輔

はい。言うまでもないことですが、経済の本質とはお客様が商品や
サービスに対して対価を支払うことで成り立っています
つまり、提供される価値と、支払われる対価が釣り合う等価交換が
行われています。

大澤 要輔

例えば、ある商品に1,000円を支払うという行為は、その商品に対して1,000円を払うに値する価値があるとお客様が判断したからです。

大澤 要輔

かつての物々交換が貨幣という形に置き換わり、現代では1,000円札と
いう紙幣に1,000円分の価値が担保されている状態です。
この1,000円分の価値があるものと、あなたの持っている1,000円を交換しませんか?という提案、やり取りが、単純な購買行動です。 

Webhit 編集部

はい。

大澤 要輔

そのため、極論を言えば、売り手側が考えるべきことはたった1つです。どうすれば、お客様にこの価値(対価)を感じてもらえるか、これに
尽きます。

大澤 要輔

先ほど、お客様は何がしたいのかということが大事だと申し上げましたが、お客様が抱えるニーズ、すなわち欲求を解き明かすことこそが
商売の根源だからです

それが「喉を潤したい」といった原始的な欲求であれ、「複雑な業務課題を解決したい」というビジネス上の欲求であれ、その欲求に応えるために、お客様がどのような行動をとりたいのかを徹底的に考え抜くしか
ありません。無論これには正解がありません。

大澤 要輔

そのため、フレームワークを使えば必ず正解が出るものではありませんし、たとえ何十年もお客様を目の前で見続けてきた人でも、正解を一発で出すことは不可能です

Webhit 編集部

正解を一発で出すことが不可能なのはなぜなのでしょうか……?

大澤 要輔

はい。なぜなら、お客様や市場は生き物だからです。
人の気分は、昨日と今日で、あるいは午前と午後ですら移ろいます。
私自身、昼には肉を食べたいと思っていても、今は魚がいいと感じて
います。

大澤 要輔

例えば、私はロードバイクが趣味で、普段はAmazonで熱心にパーツを
探していますが、仕事が極限まで忙しくなれば、大好きな趣味のことでもやらなくなります。それどころではないという感じでしょうか。

大澤 要輔

人の感情も行動も、決して一定ではありません。
だからこそ、私たちが考え抜くべきことは、お客様が何かをしたいと
願い、アンテナが立ったその瞬間に自分たちを見つけてもらえるか、
選んでもらえるか。
そのために、今の自分たちに何ができるのか、その一瞬に自分たちの
価値をどう差し出すかを考える必要があるのです。

Webhit 編集部

なるほど……。

大澤 要輔

フレームワークとは、本来とてもシンプルなもので、刻一刻と移ろう
お客様の心を、取りこぼしのないよう、あらゆる角度や切り口から
言語化し、整理するために存在しているに過ぎません。

大澤 要輔

もしフレームワークを使うのが苦手だ、あるいはどう埋めていいか
分からないと立ち止まってしまうのなら、一度それらを横に置いて、
次の問いに愚直に向き合ってみてください。

・結局、お客様は何をしたいのか?
・お客様が何かをしたいと思ったその瞬間に、自分たちを見つけてもらうにはどうすればいいか?
・「したい」と思う前から、自分たちの存在を心に留めておいてもらうには、何をすべきか?
・競合も含めた選択肢の中で、最終的に自分たちを選んでもらうには、どんな価値を提供すればいいのか?

大澤 要輔

フレームワークを選び、活用するのが難しいのであれば、まずは、
これらの問いに対して自分たちが完璧に答えられる状態を作ること。
それこそが、何よりも強固な戦略の土台となると思います。

Webhit 編集部

ありがとうございます。ここまでマーケティングの基礎、そして本質について詳しく伺ってきました。
有名なマーケターもずっと成功してるわけではないと思うのですが、有名であっても失敗するのはなぜなのでしょうか……?

大澤 要輔

そうですね、日本で最も有名なマーケターを挙げるとすれば、おそらく多くの方が森岡毅さんの名前を出すでしょう。
私自身、森岡さんの著書はすべて拝読していますし、その手法や実績を
深く勉強させていただきました。
USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させた実績、特にハロウィン・ホラーナイトの導入による大逆転劇などは、マーケティングに関わる人間なら誰もが知るエピソードです。

大澤 要輔

大規模なプロジェクトで圧倒的な成果を出し、それがニュースや
メディアを通じて広く世に知れ渡る。
その結果、マーケターといえば森岡さんという確固たる地位を築かれたのですが、注目すべきは華やかな成功そのものではありません。

大澤 要輔

USJ を再建するという大きなプロジェクトは、私は手がけたことが
ありませんが、森岡さんが私たちの想像を絶するような困難を
乗り越えてきたのは間違いありません。

Webhit 編集部

そうですよね。

大澤 要輔

そうした圧倒的な経験値があるからこそ、一般的なマーケターに
比べれば非常に成功率が高いと思います

大澤 要輔

しかし、強調しておきたいのは、それが森岡さんであっても、
他の著名なマーケターであっても、あるいは私であっても結局市場の
答えを持っている人はいないということです。

大澤 要輔

どれほど綿密に市場調査を行い、お客様の生の声に耳を傾け、フレーム
ワークで思考の整理をして勝ち筋を言語化したとしても、最終的にうまくいくかどうかは分かりません

大澤 要輔

新規事業の成功率が20〜30%、その中で黒字化して収益化に成功して
いるのがわずか15%程度と言われています。
もちろん、全ての事業にマーケティングは必要なため、マーケティングの成功率もまた、イコールであるといえるでしょう。

大澤 要輔

マーケティングの成功率というのは、本来その程度のものなのです。
もちろん、実力を持つマーケターであれば、その打率を4割、5割と
引き上げることは可能かもしれません。
しかし、それでも残り半分は外します。

大澤 要輔

身近な例で言えば、広告クリエイティブのABテストが分かりやすい
でしょう。
広告の画像を多く作って、広告の代理店が運用のテストであるABテストをやりますが、最初に出したすべてのクリエイティブが一発で当たる
ことはありません。

Webhit 編集部

なるほど。つまり、どんなに経験を積んだ人であっても、市場の全知全能ではないということですね。

大澤 要輔

はい。有象無象の何百何千とクリエイティブを作って、その中で
ようやく勝ち筋を1本見つけたという話がほとんどです。
有名なマーケターだから失敗しないわけではありません

大澤 要輔

そもそもマーケティングも営業と同じで、 大なり小なり100%絶対
失敗します。
営業で考えれば分かりやすいでしょう。失注することもあれば、
見積もりが相手の要望した金額と違うこともある。
そうした失敗を一切せず、受注率100%を叩き出し続ける営業マンなど
存在しません。

大澤 要輔

正解のないものを相手にしている以上、失敗するのは当たり前の
ことです

そのため、なぜ有名なマーケターでも失敗するのか?という問い自体が、実はナンセンスと言えるでしょう。

Webhit 編集部

ありがとうございます。では、戦略を考えるよりも、まずは1回試して
みる方がいいのでしょうか……?

大澤 要輔

まず試してみることが大事という考え方自体は、正しいといえます。
しかし、「まず試してみること」が「戦略」よりも優先度が高いと
言われると、話が別になってきます。

大澤 要輔

もしも資金やリソースが無限にある会社なら、戦略など気にせず、
思いつく限りの施策を次々と試せばいいでしょう。
失敗しても痛くも痒くもないと思います。たとえ1億円かけて失敗
しても、また次の1億円を投じれば済む話です。
しかし、現実はそうではありません。

大澤 要輔

私たちに戦略が必要な理由は、限られた予算の中で戦わなければ
ならないからです

先ほど申し上げたとおり、マーケティング戦略の本質は、自分たちの
商品が自然と選ばれる状態を、より効率的に、より確実に作り上げる
ことです。

大澤 要輔

例えば、広告予算が月に5万円しかないという状況で、無計画なテストを何十回も繰り返せるでしょうか?

Webhit 編集部

現実的に考えて不可能だと思います。

大澤 要輔

そうですよね。事前にどの筋であれば勝ちやすいのかという仮説を
立てずに、適当に広告を回しても「取れませんでした」といった失敗で
終わる。これは単なる資金の浪費です。
もちろん、戦略があっても失敗することはあります。
戦略によって成功確率は上がりますが、それでも外れるときは外れ
ます。

大澤 要輔

問題は、ただ単純に戦略なしで回した場合、
「自分たちの思うような数字が取れなかった」
という失敗した事実しか残りません。

大澤 要輔

しかし、戦略を持って動いた場合、「このターゲットに、この見せ方で、この道筋で攻めたけれど、結果はこうだった。だから、この道筋は間違っていた」という明確な答えが出ます
そして、道筋が違うと分かれば、その道筋で勝とうとするのはやめて、
別の道筋で行こうという判断ができます。

Webhit 編集部

なるほど……。戦略の真の価値は、単に当てることではなく、
なぜ外れたかという理由を明確に手に入れることにあるのですね。

大澤 要輔

おっしゃるとおりです。
戦略という仮説を立てて挑んだ結果、もし上手くいかなかったと
しても、それは自分たちが立てた仮説のどこかに、噛み合わない
要素があったという発見があります

大澤 要輔

その原因をまた特定して、その別の原因と同じ原因を踏まないように、新しく戦略を立て直して描き直して、再度テストを仕掛けていく。
このように、うまくいかない道筋を徐々に消していって、原因を潰し
ながらテストしていきます。

大澤 要輔

そうしていくと、ある瞬間に必然的に勝っているタイミングが訪れます。そのため、試してみるということはもちろん非常に重要なことですが、
戦略より優先すべきものではない
ということは認識しておいていただき
たいと思います。 

Webhit 編集部

わかりました、ありがとうございます。

大澤 要輔

はい。もっとわかりやすい例で言うと、100km先にある島を目指して
船を出すとき、海図も持たず、食糧配分も考えず、天気すら確認せずに「とりあえず出発しよう」なんていう人がいるでしょうか……?
緯度経度もわからない、コンパスも持っていない状態で、いきなり船を出そうとする人はいないと思います。

大澤 要輔

もちろん、運が良ければ着くかもしれません。
その船に乗っている人が、実は非常に優秀な人で、船には凄まじいエンジンが積まれていたり、奇跡のような追い風が吹いたりして、ラッキーで
成功することもあるでしょう。しかし、それは実力ではありません。

大澤 要輔

海図があり、事前に天気などの情報も把握をしていて、最もリスクなく
成功確率が高いルートでいけば、成功する確率は当然高くなるはずです。

大澤 要輔

仮に成功しなかったとしても、

「この海域には、海図にない岩礁があった」
「このペースでは食糧が足りなくなる」

というように失敗した原因が特定できれば、次はそこを避けたルートを描き、食糧を増やして再挑戦できるでしょう。

大澤 要輔

しかし、闇雲に突き進んで失敗した人は、事前に計画を立てていない
ため、「なぜ着かなかったのか」という失敗の理由が永遠に分からない
のです。

Webhit 編集部

非常に分かりやすい例でお話しいただき、ありがとうございます。
それでは、こちらもよくあるご質問かなと思うのですが、時間をかけて
戦略を考えたらうまくいくのでしょうか……?

大澤 要輔

戦略立案に多くの時間をかければ、成功率は上がるのか?という質問には、私の答えはノーです。
通常1週間で終わる分析に1ヶ月、2ヶ月と費やしたところで、成功の確率はさほど変わりません。

大澤 要輔

例えば3C分析ひとつ取っても、市場、競合、自社の情報を掘り下げようと思えば、文字通りキリがありません。
もしその会社に無限の体力があり、検討のためのリソースを永遠に割き続けられ、その間、売上や集客が一切立たなくても倒産しないという
特異な状況にあるのなら、好きなだけ時間をかければいいでしょう。

Webhit 編集部

多くの時間をかけても変わらないのですね。

大澤 要輔

はい。時間をかければ良いものができるわけではありません。
大切なのは、冒頭でお話しした通り、自社の過去の成功体験や勘といった執着をいかに早く捨てられるか。そして、短期間でどれだけ深くお客様に向き合えるかです。
執着を捨てきれないから、いつまでも決断ができず、ズルズルと時間だけが過ぎていくのです。

大澤 要輔

弊社では、中小企業に特化して支援しておりますが、中小企業の現場は、常に時間との戦いです。
「来月には広告を出したい」「すぐに集客を始めたい」といった切迫した状況下で、1ヶ月という限られた時間で戦略を組まなければならないことも珍しくありません。

大澤 要輔

その場合、あれもこれも全部やって、120%完璧にやることはできません。その会社にとっての勝ち筋を見極めるために、最も重要な分析や
企画にリソースを集中させます。
ボトルネックになりそうなものがあれば追加で動くという、圧縮された戦い方が現実には求められます。

Webhit 編集部

なるほど、中小企業の現場における戦略構築は、時間とリソースとの
戦いなのですね。

大澤 要輔

はい。
そのため、マーケティング戦略を立てるときは、必ず、お尻(期限)や
期間を決めて取り組むほうがいいでしょう

大澤 要輔

戦略は完成してもゴールではなく、完成したらスタートです。
完成してからそれをテストして検証して、うまくいったのかいかなかったのかという結果をできるだけ早く得て、うまくいかないのであれば早く直すといったスピード感が大切です

大澤 要輔

それができないと、結局いつまでたっても「餅の絵をより綺麗に書いているだけの人」になります。
どれだけ綺麗な餅を絵に描いても意味がありません。

Webhit 編集部

はい、ありがとうございます。
今日のお話は耳が痛いことが非常に多い内容でした。
では、今日のこの記事を見てくださっている方に、最後に一言お願い
します。

大澤 要輔

「マーケティング戦略は机上の空論ではないですか?」ということに
関しては、この記事を読んでいる人が、机上の空論にすることもできて
しまうし、しないこともできます。
しかし、マーケティング戦略そのものが机上の空論というのは、少々
行き過ぎた発想だと思います。

大澤 要輔

マーケティング戦略が机上の空論になってしまうのは、ほとんどの
場合、自分たちの執着が原因です
自社の都合、過去の成功体験、根拠のない主観に執着しているからこそ起きるのであり、実際には役に立ちません。

大澤 要輔

机上の空論になってしまいがちなのは、戦略を市場に出す際に

「結局、今までやってきたことと何も変わらない」
「理想的すぎて、現場でどう動けばいいか分からない」

という2パターンが考えられます。

大澤 要輔

戦略を机上の空論にしないために、やるべきことはただ1つです。
とにかく、お客様に向き合うことです。

大澤 要輔

マーケティングの世界において、自分たちがどう楽をしたいか、自社にとって何が都合がいいかなどという話は、関係ありません。
マーケティングの目的は、お客様が、市場が、私たちを自然と選んで
しまう状態を創り出すことです。
そこには、自社の都合は1つも出てこないはずです。

大澤 要輔

あくまでお客様が選ぶ環境を整え、価値を演出し、お客様起点でやらなければ意味がありません。
もし仮に、「戦略さえ作れば、すぐに楽して集客できるだろう」と
いう魔法のような期待を抱いているのなら、マーケティング戦略は
作らない方がいいでしょう。
そんなものは誰のためにもなりません。

大澤 要輔

今の話がどうしても理解できない、あるいは納得がいかないというのであれば、どうぞ闇雲に広告を出し、SNSを運用し、思いつく限りの施策を片っ端から試してみてください。
そして、たくさん、たくさん失敗してください。
そうするとわかると思います。

大澤 要輔

自分たちの都合でお客様に押しつけるようなマーケティングをすると、
それが自分たちに結果として跳ね返ってくるため、やってみれば体感
できると思います。

大澤 要輔

一方で、「なるほど、まずは何よりもお客様に向き合うことが先決だ」と、真っ直ぐに受け止められた人は、真のマーケティング戦略を構築
する準備がすでにできています

少しずつ手をつけてもらえばいいと思います。以上です 。

Webhit 編集部

ありがとうございます。

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この記事の執筆者・監修者

大澤 要輔のアバター 大澤 要輔 『Webhit(ウェビット)』編集長

【プロフィール】
マーケティングメディア『Webhit(ウェビット)』の編集長。運営元の株式会社FlyEde 代表取締役を務める。中小企業経営者へのコンサルティングは累計3,000回以上。Webマーケティング × 組織構築 × 人材育成の3つの領域を中心に、年商5,000万円~数億円前後の領域で売上を伸ばす仕組みを構築。

【保有資格】
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