近年、アフィリエイト広告はTVCMや折り込み広告などと並んでメジャーな宣伝方法になりました。そのため、これから従来の広告に加えアフィリエイトの導入を検討している企業も多いでしょう。
アフィリエイトは広告主にとって安価で広告が掲載できることに加え、メリットが豊富です。その一方で問題点もあるため、出稿を検討している方は把握しておく必要があります。
本記事では、アフィリエイトのメリットや問題点、運用を成功させるポイントを紹介します。
アフィリエイト広告の基礎知識
アフィリエイト広告とは、インターネット上のWebサイトに掲載された広告を経由して商品購入や資料請求、会員登録等ができる広告の総称です。「成功報酬型広告(CPA課金型)」と一括りにされることが多いですが、厳密には異なります。ASPを介して広告掲載を行うのがアフィリエイトであるのに対し、成功報酬型広告は広告代理店に広告運用を代行してもらいます。
広告出稿から商品購入までに関わる人々は、以下のとおりです。
- 企業(依頼者):アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)を利用してアフィリエイト用の広告を登録
- メディア運営者(アフィリエイター):Webサイトなどで広告を掲載・紹介する
- ASP:依頼者とメディア運営者を仲介する
- サイト訪問者:広告より商品を購入
パソコンやスマホが普及するにつれて、アフィリエイト広告はTVCMや新聞の折り込み広告など、既存の広告と変わらないくらい高い効果が期待できるようになりました。また、広告から製品・サービスをすぐに購入できるので、従来の広告よりアフィリエイトの方が相性がよいものもあります。
広告主にとってアフィリエイト広告を利用するメリット
広告主(依頼者)にとってアフィリエイトを利用するメリットを紹介します。最も大きな利点は、従来の方法に比べて費用がかからないことが知られていますが、それ以外にも複数のメリットがあるため、参考にしてください。
かかる費用に対して高い効果が期待できる
アフィリエイトを利用する最も大きな利点は、かかる費用に対して高い効果が期待できる点です。アフィリエイトは成果に応じてASPに支払う費用が発生します。したがって、TVCMや折り込みチラシのような従来の広告に比べて、出稿しただけで発生する料金を大幅に抑えられます。
また、数多くのメディア運営者が自分のブログやサイトに広告を掲載するほど、広告を打つ費用は少なく済み、高い費用対効果が期待できるでしょう。
そのほか、初期費用や月額費用に加え承認対象となった商品やサービスのみ費用が発生する仕組みです。そのため、「広告の費用が発生しない=製品やサービスに魅力、訴求力がない」という証明にもなります。マーケティングやプロモーションで、今後どのように施策を展開していくかの判断材料にも活用できます。
Webを利用した集客にかけるコストを削減できる
アフィリエイトを導入すれば、広告を掲載したホームページやブログ、SNSに商品やサービスを紹介した記事も掲載されます。そのため、自社でSNSやブログを運営する手間が省けるのもメリットです。
また、広告を掲載したブログ・SNSの運営者が他社製品との比較記事や、掲載した商品のレビュー記事を書いてくれるケースもあります。比較記事やレビュー記事は口コミ同様の効果が期待でき、商品・サービスを選択する際の参考にもなるでしょう。
このほか、自社以外の第三者が宣伝をすることで、ウィンザー効果(第三者が発行する情報の方が信頼性が高くなる効果)が期待できるのも利点です。
今後のマーケティング戦略にも利用できる
アフィリエイトは、以下のような効果を詳細に測定できるのもメリットです。
- 表示回数
- クリック数・クリック率
- コンバージョン数・コンバージョン率(購入数や購入率)
これらのデータを収集すれば、今後のマーケティングに活かせます。例えば、主力商品やサービスの候補が複数あった場合、アフィリエイト広告を出して表示回数やクリック数などを比較すれば、力を入れて宣伝する製品を絞れるでしょう。
また、InstagramやX、LINEなどのSNSや検索エンジン、YouTubeなどのプラットフォームで広告が展開できるので、新しい顧客の掘り起こしにも役立ちます。幅広いプラットフォームを利用すれば、今までターゲットに定めていなかった新たな客層への需要が見つかるかもしれません。
費用を抑えて多くの消費者にPRできる
アフィリエイト広告は、ブログやSNSの運営者が広告を掲載してくれるほど消費者の目に留まりやすく、商品やサービスのPRができるメリットがあります。
掲載する製品やサービスが魅力的なほど、多くのメディア運営者が広告の掲載を希望します。また、インフルエンサーなどに依頼して商品の宣伝をしてもらえば、インフルエンサーのファンも新たな顧客となる可能性があるでしょう。
拡散力・PR力が強い従来の広告といえばTVCMが代表格ですが、アフィリエイトならTVCMを作成するより費用を大幅に抑えて、多くの人々に商品・サービスのPRができるでしょう。
アフィリエイト広告を利用した際に発生しやすい問題点
アフィリエイトには問題点もあります。ここでは、広告を導入・運用していく際に発生しやすい問題点を紹介します。導入を検討している方は、メリットだけでなく問題点も把握しておくことが大切です。
製品・サービスのイメージに合わないメディアに掲載される可能性がある
必ずしも自社のイメージに合ったメディアに掲載されるとは限らない点が、アフィリエイトを利用するデメリットです。例えば、男性向けのメディアに女性向けの商品やサービスの広告が掲載されることもあります。掲載媒体のミスマッチは、効果が減少する要因の1つです。いかにして、ターゲットに広告を見てもらうかにかかっているためです。
影響するのは広告効果だけではありません。成功報酬が発生しなければ、やがて広告を掲載する媒体も少なくなる悪循環に陥ってしまいます。
広告を依頼した企業は掲載場所のミスマッチを防ぐために、配信ジャンルの設定や、掲載媒体審査、掲載後の掲載面のチェックを入念に行いましょう。ASPとも協力できますが、人気商品の場合すべての掲載先を把握するのは難しいため、依頼者の定期的なチェックと修正が重要です。
虚偽・誇大表現が行われる可能性がある
メディア運営者の知識が不足していると、広告の商品やサービスに対して虚偽・誇大表現を行う可能性があるのもデメリットの1つです。
また、掲載品によっては表現に一定のルールが設けられているものもあります。例えば、金融商品の場合は手数料や保証料の情報、元本を上回る損失が発生する恐れなどを記載しなければなりません。
虚偽・誇大表現が行われたり記載が定められている項目を記載しなかったりした場合、責任を問われるのは依頼者です。景品表示法5条には「優良誤認表示・有利誤認表示などの不当表示の禁止」が定められており、違反すると広告表示を取りやめるよう措置命令が行われます。
また、虚偽・誇大広告を行ったと公になれば、製品や会社の信用が失墜する恐れがあります。一度失った信用を回復するまでには、長い期間がかかるでしょう。
広告主がアクションを起こさないと効果が出ない可能性がある
アフィリエイトは従来の広告とは異なり、掲載を依頼した企業が効果測定をして定期的に見直す、もしくはメディアリクルーティングを行うなど積極的にアクションを起こさないと成果が出ない傾向です。
従来の広告は、掲載後は依頼主が望んだ結果が出るように見守るしかありませんでした。しかし、アフィリエイト広告の場合は掲載されてからが本番ともいえます。
広告が掲載されたあとにそのまま放置しておくと、徐々に購入者が減少する傾向です。購入者がいなくなれば成果報酬が発生しないため、アフィリエイターが掲載を避ける恐れもあります。掲載場所が少なくなると広告の効果も上がりません。
このような事態を避けるために、依頼者はメディアリクルーティングを行う、特別報酬を出すなどしてアクションを起こしていく必要があります。しかし、社内に運用に割ける人的リソースがないと、掲載後は放置になりやすいかもしれません。
広告を掲載し続ける限り費用がかかる可能性がある
アフィリエイトは、完全無料ではありません。成果が上がらなくても月額利用料が必要です。そのため、一括で出ていく金額は従来の広告を作成する費用より少なくても、長期間広告を掲載し続ければまとまった費用が発生します。
したがって、効果が出るまでに一定の時間がかかる製品やサービスの広告を掲載する場合、かけた費用の割には効果が薄いケースもあるのがデメリットです。
アフィリエイトを掲載する場合は、表示回数などデータを随時チェックして効果があるのか確認し続ける必要があります。広告の効果が思ったより得られないと判断したなら、撤退した方が利点が大きい場合もあるでしょう。
アフィリエイト広告を上手に運用するポイント
アフィリエイト広告は、魅力的な広告を作るだけでなく運用方法も成功するための重要なポイントです。ここでは、広告を上手に運用するために抑えておきたいポイントを3つ紹介します。
アフィリエイト広告にふさわしい製品やサービスを選ぶ
運用を成功させるには、広告向きの製品やサービスを選ぶことが大切です。向いている製品やサービスとは、ブログやSNSのメディア運営者が果たす役割が大きく、掲載したくなるようなものです。また、一般消費者(個人)向けの商品(BtoC)の方が広告には適しています。一例をあげると、以下のようなものです。
- クレジットカードやFXなどの口座開設など、金融系の商品
- 脱毛やAGAなど、美容系で高単価、かつSNSで個人が「やりました」「効果あり」と顕名で宣伝しにくいもの
どちらも、人目を引きやすく宣伝のための口コミ記事などが作りやすい製品です。また、Web経由で購入しやすいのも特徴です。
ASP選びは入念にする
ASP選びは入念に行いましょう。ASPは広告主とアフィリエイターの架け橋になってくれる存在です。利用者が多く知名度も高い「A8」をはじめ、JANET(アドウェイズ社)、affltown(GMOメディア社)などの大手会社を選ぶとサービスが手厚い傾向です。
ただし、自社の製品、サービスにあった業者を選ぶことも重要であり、大手だからという理由だけで決めてはいけません。料金、得意分野、強みなどを複数のASP業者を比較しましょう。予算に余裕があったら一度に数社を利用する方法もあります。
社内でアフィリエイト広告運用チームを作る
アフィリエイト広告チームを作っておくと、メディア運営者のチェックや各種交渉などの運用業務をスムーズに遂行しやすいです。アフィリエイトは、景品表示法を始め薬機法などの法令などの知識も必要です。また、掲載条件の設計・新しいバナーやリーディング文章の作成、掲載面のチェック、ASPとの交渉などの仕事もあり、手の空いた人がやる姿勢では失敗する恐れがあります。
広告を出すと決めたらプロジェクトチームを結成して、やるべきことをピックアップし、勉強会などを開き作成物を用意しましょう。運用が始まったら掲載面をチェックし、必要ならばASPとの交渉も行ってください。
アフィリエイトの運営を外部委託する方法もある
アフィリエイト広告を運営する社内リソースが確保できない場合、業務の一部やすべてを外部委託する方法もあります。ここでは、アフィリエイト広告の運営を外部委託する方法の種類や、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
広告出稿代行業者を利用する
アフィリエイト広告は出稿代理と運営を引き受けてくれる業者もあります。ASPとの交渉から日々の業務まですべて代行してもらえるので、広告運用に人手を割く余裕のない会社に適した方法です。代行業者を依頼すれば社内リソースが不要になるだけでなく、代理店が培ってきたノウハウを利用できます。また、アフィリエイト広告で成功するためのアドバイスが受けられるのもメリットです。
一方、デメリットとしては利用し続ける限り費用が発生する、社内でアフィリエイト広告に関するノウハウ・リソースが育たないなどが挙げられます。また、相性のよい代理店を探すのに手間がかかる可能性があるでしょう。
クリエイターに必要な作業だけ依頼する
ライターやデザイナーなど外部の業者に、バナー作成、リーディング文作成など部分的な作業を依頼する方法もあります。ライターやデザイナー探しは、クラウドソーシングを利用すると便利です。
必要な作業だけ依頼すれば、広告出稿代行業者に依頼するより費用が抑えられる利点があります。しかし一方で、クリエイターの選定に手間がかかり、加えて成果物の仕上がりにばらつきがあるといったデメリットもあります。
アフィリエイト広告を出すまでの流れ
アフィリエイト広告を出すまでの流れは、以下のようなものです。
手順 | 業務 | 内容/ポイント |
1 | ASPの選択と登録 | ASPを選択して登録し、審査を受ける費用だけでなく登録者、強みを持つジャンルなども確認して選ぶ |
2 | 広告の概要・紹介を作成 | メディア運営者へ向けてアピールするための商品紹介文を作成するなお、この段階で広告の報酬条件・単価を決めておき、リンク・バナーを用意しておくと広告出稿がスムーズにいく |
3 | 広告掲載先の選定・提携 | 提携依頼が来たら、提携先を審査し、問題なければ提携するなお、提携先が多いほど宣伝効果は高まるが不適格な場所に広告が掲載される恐れもあるため、審査は慎重に行う |
4 | 広告掲載 | 広告掲載後は定期的に運用状況をチェックし、問題があれば改善を試み効果を確認していく |
基本的な流れを頭に入れておくと、各所の作業がスムーズに進みます。
まとめ
アフィリエイト広告は従来の広告に比べて大きなメリットがあります。その一方で、問題点もあるため、両方を把握しておくことが大切です。また、広告の利用を検討している場合は、自社製品やサービスがアフィリエイト広告に適しているかよく考えて決断してください。
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