Web広告は、広告の効果測定がしやすく、リアルタイムに最適化が可能な広告手段です。Google広告やYahoo!広告では、どの広告がどれくらいクリックされたのか、クリック率や表示回数、コンバージョン率などのデータを即座に取得できます。
Web広告で目的を達成するためには、出稿後もデータを収集・分析を重ね、細かい効果測定を繰り返して効果を最大化していかなければなりません。
そこで本記事では、広告効果の測定を行うために知っておくべき11の指標を詳しく解説します。具体的な測定方法も紹介するので、これから広告の効果を最大限発揮させるための土台作りをしたいWeb広告運用担当者は、ぜひ参考にしてください。
広告効果とは
広告効果とは、広告が特定の目標や目的を達成する程度を指します。広告の目的は多岐にわたり、ブランド認知の向上や製品の販売促進、特定の行動への誘導などが挙げられます。広告効果の測定は、これらの目標がどれだけ達成できたかを客観的に評価し、広告の効果を把握するために行なうプロセスです。
例えば、広告の効果測定を行って目標以上の効果が確認できれば出稿を継続し、目標を下回るのであれば広告出稿の改善が必要です。
漠然と広告を出稿していると広告効果があるのかわかりません。そのため、無駄な広告費を浪費したり、どのような戦略を立てるべきかビジネスを見失ったり、さまざまな弊害が生じます。
広告効果の測定は、広告の予算を効率的に活用し、マーケティング戦略を最適化する上でも欠かせません。特に自社のマーケティング担当として広告運用を行うのであれば、広告指標の分析や改善の方法を身につけておくようにしましょう。
広告効果の測定を行うための11の指標
広告効果の測定を行うための指標には主に下記11つが挙げられます。
- imp(インプレッション)
- リーチ
- click(クリック)
- CTR(クリック率)
- CPC(クリック単価)
- CV(コンバージョン)
- CVR(コンバージョン率)
- CPA(コンバージョン単価)
- ROAS(広告費用対効果)
- ROI(投資収益率)
- LTV(顧客生涯価値)
どれも広告効果の測定を行うために必須の指標です。広告の出稿を行う際にはぜひ覚えておいてください。ここからそれぞれの指標を1つずつ詳しく解説します。
広告が表示された回数|imp(インプレッション)
imp(インプレッション)とは、Web広告がユーザーの画面上に表示された回数を指します。あくまで画面上に広告が表示された数であり、クリックされた数とは異なるので注意してください。
impが発生していなければその後の広告クリックや成約に至らないため、十分な数のimpが発生しているかを確認するのが重要です。
リスティング広告の場合、入札するキーワードの競合性が高すぎたり入札金額が低すぎたりするとimpが発生しない可能性もあるため注意しましょう。impがあまりにも低いのであれば、広告費の増額やターゲットの見直しなどの検証が必要です。
目に留まったユーザーの数|リーチ
imp(インプレッション)が広告の表示回数であり、リーチは広告を見たユーザーの数です。インプレッションとリーチは必ずしも一致しないため注意してください。
例えばあるユーザーが3ページを訪問し、それぞれのページで広告を閲覧したとします。このケースではインプレッションは3回になりますが、ユーザーは1人なのでリーチは1人です。
広告媒体ごとにリーチの定義が異なるため、媒体ごとにリーチの定義を確認してから広告効果測定を行いましょう。目標数値よりもリーチが少ないのであれば、ターゲットの範囲を広げたり出稿する広告費を増額したりなどの施策が考えられます。
広告がクリックされた純粋な数|click(クリック)
click(クリック)とは、表示されたWeb広告をユーザーがクリックした回数です。クリック数を元にして、クリック率やクリック単価などの指標を算出します。
クリック数が目標よりも低い場合は広告文やクリエイティブとユーザーのニーズがマッチしていない可能性が高いです。広告文やクリエイティブを見直し、クリックが目標数値に達するように調整を行いましょう。
クリックされた確率|CTR(クリック率)
CTR(クリック率)は、ユーザーの画面に表示された広告が実際にクリックされた割合を指します。以下の数式で計算できます。
click(クリック数)÷imp(インプレッション)×100=CTR(%) |
仮にCTRが目標よりも低い場合、ユーザーのニーズと広告が合っていない、もしくはキャッチコピーやクリエイティブの訴求が弱い可能性が高いです。ほかに出稿している広告でCTRの高いものがあれば、訴求やクリエイティブをCTRの高い広告へ近づければ、数字を改善できる可能性もあるでしょう。
CTRは広告の成果に直結する重要な指標なので、目標値に達していないのであれば原因を考え改善するようにしてください。
1クリックあたりの広告費|CPC(クリック単価)
CPC(クリック単価)とは、1クリックを獲得するのにかかった広告費を表す指標です。以下の数式で計算できます。
広告費用÷click(クリック数)=CPC |
リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、多くのWeb広告では、管理画面で上限CPCを設定できます。CPCがあまりにも高すぎる場合には競合性が高い可能性があるため、リスティング広告であれば出稿キーワードを変えるなどの対策が必要になるでしょう。
アクションを起こしたユーザーの数|CV(コンバージョン)
CV(コンバージョン)とは、最終的な目標・成果に達した数値です。商品の購入や資料請求、無料サンプルの取寄などがCVポイントとしてあげられるでしょう。
設定されたCVのハードルがあまりにも高いのであれば、CVの前段階の行動を「マイクロコンバージョン」として設定するのもおすすめです。例えば商品の購入を最終CVとするなら、問い合わせや予約がマイクロコンバージョンに該当します。
CVの件数が少なすぎると、広告効果を測定するデータのサンプルが少なく改善の余地を判断できません。そのような場合、Webサイトやアプリ内で進捗状況を示すマイクロコンバージョンを設定してデータを補います。
マイクロコンバージョンを設定すれば、広告効果を測定するデータを集めやすくなるでしょう。
広告を見たユーザーがアクションした割合|CVR(コンバージョン率)
CVR(コンバージョン単率)とは、コンバージョンに至った割合を指す指標です。以下の数式で計算できます。
click(クリック数)÷CV(コンバージョン数)×100=CVR(%) |
母数はクリック数や、LP(ランディングページ)へのアクセス数を設定するのが一般的です。
CVRが目標数値よりも低いのであれば、広告と遷移先のページ内容がかけ離れている、もしくはユーザーが求める情報が不足しているなどの原因が考えられるでしょう。CVRを少し高めるだけでも最終的なCV数は増えるので、ある程度のクリックが発生しているのであればCVRを高める施策を行ってください。
コンバージョン1件にかかった費用|CPA(コンバージョン単価)
CPA(コンバージョン単価)とは、コンバージョンに至った顧客1人を獲得するのにかかった単価を表す指標です。以下の数式で計算できます。
広告費用÷CV(コンバージョン数)=CPA |
例えば30万円の広告費をかけて20件のコンバージョンを獲得できたのであれば、「300,000÷20=15,000」となり、CPAは15,000円です。
複数の広告媒体を使用している場合、CPAが最も低い媒体が顧客獲得効率のよい媒体であるのがわかります。
ただしCPAは低いがCV数も少ない媒体や、反対にCPAは多少高いがCV数が多い媒体など、媒体ごとに特性が異なるため、各媒体の特性も掴むようにしましょう。
広告運用に対する売上|ROAS(広告費用対効果)
ROAS(広告費用対効果)とは、広告運用に対する売上を表す指標です。一定期間に支払った広告費に対して、どれだけの売上を上げられたのかをパーセンテージで示します。
ROASは以下の数式で計算できます。
広告経由で獲得した売上÷広告費用×100=ROAS(%) |
例えば100万円の広告費を支払い、200万円の売上を上げたとしましょう。すると、「200万÷100万=200%」となり、ROASは200%です。
広告施策ごとにROASを算出すれば、かけた広告費に対してどれだけの売上が返ってきたのかを把握できます。媒体や広告施策ごとにどれだけの広告費をかければよいかの指標になるため、ぜひROASを理解しておくようにしてください。
広告費に対する利益|ROI(投資収益率)
ROI(投資収益率)とは、かけた広告費に対する利益を表す指標です。ROIの数値がよいのか悪いのかによって、広告費をかけ続けるか止めるのかを判断できます。
ROIは以下の数式で計算できます。
(広告運用による売上−売上原価−広告費用)÷広告費用×100=ROI(%) |
例えば売上が500万円で売上原価が200万円、広告費用に100万円を使ったとします。するとROIは、「(500万−200万−100万)÷100万×100=200%」となり、ROIは200%です。
ROIを算出すれば広告の費用対効果を明確に把握できるため、広告費の増額や事業の撤退の判断ができるでしょう。
1人の顧客が生涯にわたりもたらす利益|LTV(顧客生涯価値)
LTV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益を表す指標です。LTVの高い顧客を獲得できれば、何度もリピート購入してもらえるため売上を最大化できるでしょう。
LTLの算出方法は複数あります。
- 平均購入単価×平均購入回数×平均継続期間(リピート商材)
- 顧客の年間取引額×収益率×継続年数(長期で取引する商材)
- 平均顧客単価÷解約率(サブスクリプション商材)
例えば、あるサブスクリプション商材の平均顧客単価が30,000円で、解約率が30%だったとします。するとLTVは、「30,000円÷30%」で100,000円になる計算です。ただしこの場合、顧客の平均利用期間や年間購入回数など、ほかの要因も考慮する必要があります。
LTVの数値は、CPA(コンバージョン単価)の目標値を算出するのにも使えます。
広告効果の測定方法
広告効果の測定方法としては下記の3ステップが挙げられます。
- 広告施策単位での測定を行う
- 広告を細かく分類して効果測定を行う
- A/Bテストを行い改善策を実施する
広告効果を正しく測定するには、手順も大切です。ここからそれぞれの方法を詳しく解説します。
①広告施策単位での測定を行う
出稿した広告媒体やキャンペーン別に、現状の指標と目標数値の比較を行いましょう。成果に直結するCVやCVRの指標と、費用対効果を見るROASの指標を優先的に確認してください。
特にtoCビジネスは短期間の成果を求められるので、費用対効果の悪い広告施策はどんどん減らしていく必要があります。
まずは現状の広告施策の指標を測定し、目標とどれくらいの乖離があるかを見極めましょう。
②広告を細かく分類して効果測定を行う
現状の広告指標の分析が完了したら、一つ一つの広告に対してキーワード、クリエイティブ、単価など細分化して効果測定を行いましょう。例えば検索広告の場合、下記のようなデータを収集し次の施策を投じます。
キーワード | 反応のないキーワードは除外し、反応が取れそうなキーワードに予算を投下する |
入札単価 | コンバージョン単価が低いキーワードの入札単価を引き上げる |
広告文 | クリック率の低い広告文の修正を行う |
ランディングページ | ランディングページの離脱率が高い場合、改善を行ってCVRを高める |
1つ1つの要素を細かく分類しないと指標の改善は見込めません。根気のいる作業となりますが、1つ1つ分類して効果測定を行うようにしてください。
③A/Bテストを行い改善策を実施する
A/Bテストを行い、指標となる数値が最大化するような施策を実施します。数パターンの広告を同じ条件で配信し、どちらがよい成果を出せるかをテストするのがA/Bテストです。
どれだけ多くの仮説を思いついても、実際にA/Bテストを行わなければどの施策がよいか判断はできません。データ分析の結果で改善策が見つかったらすぐにA/Bテストを行い、広告効果が改善するかを試しましょう。
A/Bテストを繰り返し行って成果を最大化させるのが、広告施策を成功させる鍵だといえます。
まとめ
ここまで広告効果の指標と測定方法を詳しく解説しました。広告施策は一度行って終わりではなく、指標を分析しながら改善を繰り返し成果を最大化させるのが重要です。
広告効果を測定する指標を理解し正しくA/Bテストを実施すれば、自社の広告運用成績を右肩上がりに伸ばしていけるでしょう。ぜひ本記事を参考に、広告運用の成果を最大化させてください。
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